はじめに:子どもの溺水は、静かに、一瞬で起こる
夏になると、プールや海での水難事故のニュースが増え、心が痛みます。しかし、子どもの水難事故は、夏のアウトドア活動だけで起こるわけではありません。実は、**0歳から4歳の子どもの不慮の事故死の原因で、最も多いのが「溺水」**であり、その多くが家庭の「お風呂」で発生しているのです。
こんにちは、ママナースのさとみです。子どもの溺水は、映画やドラマのように、バシャバシャともがいて助けを求めることは稀です。静かに、そしてほんの一瞬で、命に関わる事態に陥ります。
この記事では、家庭内とレジャー、それぞれの場面で子どもの命を守るために、親が絶対に知っておくべき水難事故対策について、詳しく解説します。
Case1:最も危険な場所「お風呂」での絶対ルール
消費者庁のデータによると、子どもの溺水事故の約8割が家庭内で起きており、そのほとんどがお風呂場です。
たった10cmの水深でも、子どもは溺れる
子どもは頭が大きく、バランスを崩しやすいもの。一度うつ伏せに倒れてしまうと、たとえ水深が浅くても、パニックになり自力で顔を上げることができずに溺れてしまいます。
お風呂での絶対ルール
- 子どもから、一瞬たりとも目を離さない、手を離さない: 「電話が鳴った」「上の子が呼んでいる」ほんの少しの時間でも、絶対に子どもを一人で浴槽に残してはいけません。必ず一緒に浴室から出るか、子どもを浴槽から出して待たせましょう。
- 浴槽の残り湯は、必ず抜く: 入浴後、残り湯を洗濯などに使うご家庭も多いと思いますが、子どもが誤って転落する危険があります。入浴後は、必ずすぐに栓を抜く習慣をつけましょう。
- 浴室のドアには鍵をかける: 子どもが勝手に浴室に入れないよう、ベビーゲートを設置したり、ドアにチャイルドロックをかけたりする対策が有効です。
Case2:楽しいはずの「水遊び・レジャー」での注意点
プールや海、川など、夏のレジャーは格別ですが、危険も伴います。
「見てるだけ」では不十分。親の心構え
- 「監視」ではなく「一緒に遊ぶ」: スマホを見ながらの「ながら監視」は絶対にNG。子どもから目を離さないのはもちろん、すぐに手の届く範囲(アームズリーチ)で、常に一緒に遊ぶことを心がけましょう。
- ライフジャケットを正しく着用させる: 特に海や川では、浮き輪だけでは不十分です。体にフィットし、股下ベルトのあるライフジャケットを正しく着用させましょう。
- 体調管理を徹底する: 疲れていたり、寝不足だったりすると、注意力が散漫になり、事故のリスクが高まります。前日はしっかり睡眠をとり、こまめな休憩と水分補給を忘れずに。
場所別の注意点
- プール: プールの排水溝に、子どもの髪の毛や手足が吸い込まれる事故が起きています。排水溝には絶対に近づかないよう、事前に教えましょう。
- 海: 波打ち際でも、急に高い波が来て沖にさらわれる危険があります。「足だけ」のつもりが一番危険。離岸流(リップカレント)という、沖に向かう強い流れがある場所もあることを知っておきましょう。
- 川: 川は、場所によって深さが急に変わったり、流れが速くなったりします。また、上流で雨が降ると、急に増水する危険性も。天気予報のチェックは必須です。
まとめ:大人が「危険」を知ることが、最大の予防策
子どもの水難事故は、親が「危険な場所」と「危険な状況」を正しく認識し、ほんの少し注意を払うだけで、そのほとんどを防ぐことができます。
「うちの子に限って」という油断が、一番の敵です。正しい知識を身につけ、子どもとのかけがえのない時間を、安全に、そして目一杯楽しんでくださいね。