反抗期

小学生の「反抗期」どう乗り越える?「うざい」「キモい」に隠された子どもの本音と向き合う

「うざい」「キモい」…その言葉、子どもの成長のサインかも?

これまで素直だった子どもが、突然「うざい」「キモい」といった反抗的な言葉を口にするようになった。親が話しかけても無視したり、部屋に閉じこもったり…。

「うちの子、どうしちゃったんだろう?」と、戸惑いや悲しさを感じているママ・パパは多いのではないでしょうか。特に、小学生の時期に訪れる反抗期は、思春期の前触れとも言われ、親子の関係に大きな変化をもたらします。

しかし、この反抗期は、子どもが親から精神的に自立し、自分自身のアイデンティティを確立していくための、非常に大切な成長のプロセスでもあります。親がその意味を理解し、適切に対応することで、子どもは健全な自立へと向かうことができます。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、小学生の反抗期に隠された子どもの本音と、親が冷静に、そして温かく向き合うための「コミュニケーション術」について、詳しく解説します。反抗期を乗り越え、より深い親子の絆を築きましょう。

小学生の反抗期、なぜ起こる?

小学生の反抗期は、一般的に**「中間反抗期」**と呼ばれ、思春期(第二次反抗期)の準備段階とも言われています。この時期の子どもたちは、以下のような心理状態にあります。

  • 親からの自立欲求:
    • 親の言うことを何でも聞く「良い子」でいることに疲れ、自分自身の意思を主張したいという気持ちが芽生えます。
  • 自我の芽生え:
    • 「自分は自分」という意識が強くなり、親とは違う一人の人間として認められたいという欲求が高まります。
  • 友達関係の重視:
    • 親よりも友達との関係を重視するようになり、親の干渉を嫌がるようになります。
  • 感情のコントロールが未熟:
    • 自分の感情をうまく言葉で表現できず、反抗的な態度や言葉で示してしまうことがあります。
  • 体の変化への戸惑い:
    • 思春期に向けて体が変化し始める時期でもあり、その戸惑いや不安が反抗的な態度に繋がることもあります。

ママナース直伝!小学生の反抗期を乗り越えるコミュニケーション術

1. 「反抗」を「成長」のサインと捉える

子どもが反抗的な態度を取った時、「また始まった…」とネガティブに捉えるのではなく、「ああ、成長しているんだな」とポジティブに捉えましょう。親の心の持ちよう一つで、子どもの態度への受け止め方が変わります。

2. 「うざい」「キモい」の裏にある本音を探る

子どもが反抗的な言葉を口にした時、感情的に怒鳴り返すのではなく、まずは一呼吸置いて、その言葉の裏に隠された子どもの本音を探りましょう。「今、ママに構ってほしくないんだな」「自分のことを尊重してほしいんだな」など、子どもの気持ちを想像してみることが大切です。

3. 「聞く耳」を持つ

子どもが話しかけてきた時は、どんなに忙しくても、一旦手を止めて、子どもの目を見て話を聞きましょう。子どもは、親が自分の話を真剣に聞いてくれることで、「自分は大切にされている」と感じ、親への信頼感を深めます。

4. 「命令」ではなく「選択肢」を与える

「〇〇しなさい!」と命令するのではなく、「〇〇と△△、どっちがいい?」と、子どもに選択肢を与えましょう。自分で選ぶことで、子どもは「自分で決めた」という主体性を持ち、反発心が和らぎます。

5. 「見守る」姿勢を大切に

子どもが自分でできることは、口出しせずに見守りましょう。失敗しても、すぐに手を出さず、子ども自身に考えさせ、解決する機会を与えます。親が信じて見守ることで、子どもは自信をつけ、自立へと向かいます。

6. 「褒める」ことを忘れない

反抗期の子どもは、親から褒められる機会が減りがちです。しかし、どんなに小さなことでも、子どもの良いところや頑張りを具体的に褒めましょう。「〇〇ができたね!」「△△してくれて助かったよ!」など、感謝の気持ちを伝えることも大切です。

7. 親自身の「ストレスケア」も忘れずに

反抗期の子どもとの関わりは、親にとって大きなストレスになることもあります。一人で抱え込まず、夫や友人、専門機関に相談するなど、親自身のストレスケアも忘れずに行いましょう。

まとめ|反抗期は、親子の絆を深めるチャンス

小学生の反抗期は、親にとっては試練の時かもしれません。しかし、それは子どもが親から精神的に自立し、一人の人間として成長していくための、非常に大切なプロセスです。

親が子どもの反抗を「成長のサイン」と捉え、冷静に、そして温かく向き合うことで、子どもは健全な自立へと向かい、親子の絆はより一層深いものになるでしょう。

「うざい」「キモい」の言葉の裏に隠された子どもの本音に耳を傾け、親子のコミュニケーションを深めていきましょう。きっと、反抗期を乗り越えた先には、新しい親子の関係が待っています。

【思春期】「うざい」「別に」…反抗期の我が子と、どう向き合う?

はじめに:かつての可愛い我が子は、どこへ…?

「話しかけても、返事は『別に』だけ」「部屋に閉じこもって、何を考えているのか分からない」「親の言うことなすこと、全てに『うざい』と反発してくる」…。かつては、あんなに「ママ、ママ」と慕ってくれた我が子の、突然の変貌ぶりに、戸惑い、寂しさを感じている親御さんは、少なくないでしょう。

こんにちは、ママナースのさとみです。子どもの思春期・反抗期は、親にとって、子育ての第二の大きな壁とも言える、試練の時です。

しかし、これは、子どもが「親の保護下にある子ども」から、「一人の自立した大人」へと、脱皮するために不可欠な、正常な成長過程なのです。この記事では、そんな嵐のような思春期の子どもと、親はどう向き合っていけば良いのか、そのヒントを探ります。


なぜ、反抗するの?その裏にある「自立したい」気持ち

思春期の子どもが反抗的な態度をとるのは、親が嫌いになったからではありません。その逆で、親という絶対的な安全基地があるからこそ、安心して反抗し、自分の力で立つ練習をしているのです。

  • 「親の価値観」からの卒業: これまで親から教えられてきたことを、一度、自分の頭で考え直し、「自分自身の価値観」を再構築しようとしています。
  • 「大人」と「子ども」の狭間での葛藤: 早く一人前の大人として扱ってほしい、という気持ちと、まだ親に甘えたい、守ってほしい、という気持ちが、心の中で激しくぶつかり合っています。
  • ホルモンバランスの変化: 急激なホルモンバランスの変化が、自分でもコントロールできないイライラや、気分の浮き沈みを引き起こしています。

「うざい」という言葉の裏には、「僕(私)のことを、もう子ども扱いしないで!」という、切実な叫びが隠れているのです。


思春期の子どもとの関わり方:3つの基本姿勢

親が試されるこの時期。子どもとの適切な距離感を見つけることが大切です。

1. 「管理」するのをやめ、「信頼」して見守る

子どもの全てを把握し、コントロールしようとするのは、もうやめましょう。「勉強しなさい」「部屋を片付けなさい」と、ガミガミ言うのは逆効果です。

「あなたの人生なのだから、最後はあなたが決めるんだよ。でも、困った時は、いつでも相談に乗るからね」と、子ども自身の力を信頼し、任せる姿勢を見せることが、子どもの自立心を育てます。

2. 「聞き役」に徹する

子どもが、何かを話してきたら、それは絶好のチャンスです。親の意見やアドバイス(正論)を言いたくなるのをぐっとこらえ、まずは**「うん、うん」「そうか」と、子どもの言葉を最後まで、ただひたすら聞いてあげましょう。**

子どもは、答えを求めているのではありません。自分の考えや気持ちを、誰かに受け止めてほしいだけなのです。

3. 「一人の人間」として、敬意を払う

たとえ親子であっても、相手は一人の人格を持った人間です。子どものプライバシーを尊重し、部屋に勝手に入ったり、スマホを盗み見したりするのはやめましょう。

また、親自身の考えを伝える時も、「親だから」という立場からではなく、「私は、こう思うよ」と、一人の人間としての意見を、冷静に伝えることが大切です。


まとめ:反抗期は、親離れの「リハーサル」

思春期・反抗期は、子どもが、親の手を離れ、自分の足で人生を歩んでいくための、大切な「リハーサル期間」です。

親としては、寂しく、歯がゆい時期かもしれませんが、これは、あなたがこれまで、子どもにとっての「安全基地」として、素晴らしい子育てをしてきた証拠でもあります。

干渉しすぎず、かといって、無関心でもなく。少し離れた場所から、どーんと構えて、子どもの船出を見守ってあげましょう。嵐が過ぎ去った後には、一回りも二回りも大きく成長した我が子の姿と、新しい親子の関係性が、待っているはずです。


【実践編】反抗期の子どもに響く!今日からできる効果的なコミュニケーション術

はじめに:わかっているけど、どう話せば…それが本音ですよね

前回の記事では、思春期の反抗期に悩む親御さんに向けて、まずは親自身が持つべき「心構え」についてお話ししました。

▼前回の記事はこちら
【基本編】思春期の反抗期、まずは親の心構えから。ママナースが教える冷静な向き合い方

「子どものイライラを真正面から受け止めない」「完璧な親じゃなくていい」

頭ではわかっていても、「じゃあ、実際にどんな言葉をかければいいの?」「どう話しかけたら、あの固く閉ざした心を開いてくれるの?」と、具体的な方法がわからず、ため息をついている方も多いのではないでしょうか。

わかります。私もそうでした。良かれと思ってかけた言葉が、逆に火に油を注ぐ結果になってしまったことも一度や二度ではありません。

でも、大丈夫。ちょっとしたコツを知るだけで、親の言葉は子どもの心に届きやすくなります。

こんにちは!現役看護師で、3姉妹の母でもある皐月です。

今回は、いよいよ実践編。思春期の子どもとのコミュニケーションで、特に効果的な3つのスキル「傾聴」「共感」「I(アイ)メッセージ」について、具体的な会話例をたっぷり交えながら、誰でも今日から実践できるように分かりやすく解説していきます!


スキル1:ただ聞くだけじゃない「傾聴」の魔法

「子どもの話、ちゃんと聞いてますよ!」という親御さん、素晴らしいです。でも、その「聞き方」、もしかしたら「尋問」や「説教」になっていませんか? 思春期の子どもに必要なのは、親の意見やアドバイスではなく、「ただ、黙って最後まで聞いてくれる」安心感なのです。

やってはいけない!NGな聞き方3パターン

まずは、やりがちなNGパターンから見ていきましょう。ドキッとした方もいるかもしれません。

  1. 結論を急かす・遮る
    • 子ども:「今日、部活でさ…」
    • 親:「はいはい、で?何があったの?早く結論から言ってくれる?」
  2. すぐに評価・ジャッジする
    • 子ども:「友達とちょっとケンカして…」
    • 親:「またあなたが何か言ったんじゃないの?いつもそうなのよ」
  3. 自分の話にすり替える
    • 子ども:「勉強が全然わからなくて…」
    • 親:「お母さんの頃はもっと大変だったわよ。それに比べれば…」

これでは、子どもは「もう話すもんか」と心を閉ざしてしまいますよね。

OKな聞き方:「へぇ」「そうなんだ」で心を開く

では、どうすればいいのか?答えはシンプルです。

①相づちを打ちながら、黙って聞く
「うんうん」「へぇ」「そうなんだ」と、ただただ相づちを打ちます。大切なのは、**子どもの言葉を繰り返す「オウム返し」**です。

  • 子ども:「今日、部活でマジむかつくことがあって」
  • 親:「そっか、むかつくことがあったんだ

これだけで、子どもは「ちゃんと聞いてくれてる」と感じます。

②質問は「開かれた質問」で
「はい/いいえ」で終わってしまう「閉じた質問」(例:「宿題やったの?」)ではなく、相手が自由に話せる「開かれた質問」を心がけましょう。

  • (NG):「先生に怒られたの?」
  • (OK):「そっか。それで、どんな気持ちになったの?

無理に聞き出そうとせず、子どもが話したくなるまで待つ姿勢が大切です。


スキル2:気持ちに寄り添う「共感」の力

子どもが話してくれた内容に対して、親がすべきなのは「正論」をぶつけることではありません。その奥にある**「感情」に寄り添う**ことです。

「わかるよ」は禁句?安易な同感との違い

つい「わかるよー、その気持ち」と言ってしまいがちですが、これは時に「わかったつもりにならないでよ!」と反発を招くことも。

共感とは、「あなたの気持ちを、私はこう感じ取ったよ」と伝えることです。

  • 子ども:「もう部活やめたい…」
  • (NGな同感):「わかるわかる!お母さんも昔、やめたいって思ったことあるわー」
  • (OKな共感):「そっか。『もうやめたい』って思うほど、今つらいんだね

親の経験談は、子どもが求めてきた時にだけ話すのがベターです。


スキル3:主語を「私」にする「I(アイ)メッセージ」

何かを注意したり、親の気持ちを伝えたりする時に、絶大な効果を発揮するのが「I(アイ)メッセージ」です。主語を「あなた(You)」ではなく、「私(I)」にして伝える方法です。

「Youメッセージ」は相手を責める言葉

私たちは無意識に「Youメッセージ」を使いがちです。

  • あなたは、なんでいつも部屋を片付けないの!」
  • あなたは、何度言ったらわかるの!」

これは相手を非難するメッセージになり、反発しか生みません。

「Iメッセージ」で、素直な気持ちを伝える

これを「Iメッセージ」に変えてみましょう。

  • は、部屋が散らかっていると、悲しい気持ちになるな」
  • は、あなたが夜遅くまで起きていると、体のことが心配だよ」

どうでしょうか?不思議と、スッと心に入ってきませんか?
これは、自分の「感情」を伝えることで、相手に判断を委ねる言い方だからです。命令されると反発したくなる子どもも、親の素直な気持ちを聞くと、「じゃあ、やるか」と考えてくれる可能性が高まります。


まとめ:コミュニケーションはキャッチボール。焦らず、ゆっくりと

今回ご紹介した3つのスキルは、思春期の子どもだけでなく、夫婦関係や職場など、あらゆる人間関係に応用できる強力なツールです。

もちろん、今日から急に完璧にできるわけではありません。失敗したっていいんです。大切なのは、「あなたと、もっと良い関係を築きたい」という親の想いです。

焦らず、ゆっくりと。まずは「聞く」ことから始めてみませんか?
子どもの心の扉が、少しだけ開く音が聞こえるかもしれません。

さて、次回は「信頼構築編」。
親子の絆をさらに深めるための具体的なヒントや、ママナースだからこそ伝えられる心と体の変化へのサポート方法についてお話しします。お楽しみに!

【基本編】思春期の反抗期、まずは親の心構えから。ママナースが教える冷静な向き合い方

はじめに:「うちの子、何だか最近おかしい…」そう感じていませんか?

「おはよう」と声をかけても返事がない。部屋にこもりがちで、話しかけても「別に」「ウザい」の一言。

ついこの間まで、あんなに素直で可愛かった我が子が、まるで別人のように…。そんなお子さんの変化に、戸惑い、寂しさ、そして言いようのない不安を感じていませんか?

わかります。何を隠そう、我が家の長女が思春期に突入した時、私も同じように悩みました。「私が何か間違った育て方をしたんだろうか…」と、自分を責めてしまった夜もあります。

でも、大丈夫。それはあなたの子育てが間違っていたわけではありません。お子さんは今、「思春期」という、大人になるための大切なトンネルの真っただ中にいるだけなのです。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

病院でたくさんの子どもたちと接する中で、そして自身の経験から、この時期の子どもたちには心と体で大きな変化が起きていることを実感しています。

この記事では、親としてまず何を知り、どう心を構えておくべきか、その「基本のキ」をママナースの視点からお伝えします。この記事を読み終える頃には、きっと少しだけ肩の力が抜けて、「よし、もう少し見守ってみよう」と思えるはずですよ。


思春期の反抗期は「病気」じゃない!まずは正しく理解しよう

反抗的な態度は、親からすると本当に頭が痛い問題ですよね。でも、これは決して「病気」や「異常行動」ではないんです。子どもが自立した一人の人間になろうと、必死にもがいている証拠。まずは、そのメカニズムを冷静に知ることから始めましょう。

なぜ反抗するの?子どもの中で起きている心と体の変化

思春期の子どものイライラや不安定さの背景には、ホルモンバランスの急激な変化と、脳の発達という、科学的な根拠があります。

  • 心と体のアンバランス: 第二次性徴によって、体はどんどん大人に近づいていきます。でも、心の発達はまだ追いついていません。このアンバランスさが、本人ですらコントロールできない感情の波を引き起こすのです。
  • 脳の前頭前野が工事中: 感情のコントロールや、理性的な判断を司る「前頭前野」という脳の司令塔は、実は10代後半から20代前半にかけて、ゆっくりと完成していきます。つまり、思春期の子どもは、感情のブレーキが未完成な状態で、アクセルを踏み込んでいるようなもの。だから、些細なことでカッとなったり、衝動的な行動をとってしまったりするのです。

「第二次反抗期」は成長の証

「イヤイヤ期」とも呼ばれる第一次反抗期は、「自分」という存在に気づき始める2〜3歳頃に起こります。

そして、思春期に訪れるのが**「第二次反抗期」**。これは、親から精神的に自立し、「自分自身の価値観」を確立しようとするために起こる、ごく自然な発達段階です。親の言うことを鵜呑みにするのではなく、「本当にそうなの?」と疑い、自分の頭で考え始める。これって、すごい成長だと思いませんか?

ママナースが見た、思春期の子どもたちのリアル

私が病院で出会う思春期の子どもたちも、みんな同じです。親の前ではツンケンしていても、ふとした瞬間に、ものすごく不安そうな顔を見せることがあります。本当は、自分でもどうしていいか分からなくて、苦しんでいるんですよね。

「親に心配かけたくない」「でも、このモヤモヤを誰かに聞いてほしい」

そんな相反する気持ちの中で、彼らは揺れ動いています。そのことを知っているだけでも、親の気持ちは少し楽になるはずです。


反抗期の子どもと向き合う前に。親が持つべき3つの心構え

子どもの変化を理解したら、次は親自身の心構えです。ここが一番大切かもしれません。親がドンと構えているだけで、子どもの荒波は少しずつ穏やかになっていきます。

心構え1:子どもの「イライラ」を真正面から受け止めない

子どもがぶつけてくるトゲトゲした言葉や態度。これを真正面から受け止めてしまうと、親も感情的になり、売り言葉に買い言葉の悪循環に陥ってしまいます。

大切なのは、**「ああ、今ホルモンが荒ぶってるのね」「脳が工事中で、感情のコントロールが難しいのね」**と、一歩引いてみること。子どものイライラは、必ずしもあなたへの人格攻撃ではありません。いわば、コントロール不能な感情の“八つ当たり”のようなもの。親は「感情のゴミ箱」になる必要はないのです。

心構え2:「親も一人の人間」と割り切る。完璧な親なんていない

「親なんだから、常に冷静でいなければ」「子どものすべてを受け止めなければ」…そんな風に、自分を追い詰めていませんか?

もう、やめましょう!親だって、一人の人間です。腹も立つし、悲しくもなります。完璧な親なんて、どこにもいません。

「今、ママはあなたの言葉に傷ついたな」「ちょっと頭を冷やしたいから、少し一人にさせて」と、自分の感情を素直に伝えてもいいんです(これを「I(アイ)メッセージ」と言います。次回の記事で詳しく解説しますね!)。親が自分の気持ちを大切にすることは、子どもが他者の気持ちを想像する訓練にも繋がります。

心構え3:距離感を大切に。干渉しすぎず、放任しすぎず

子どもが自分の世界を作り始める思春期には、物理的にも精神的にも、適切な距離感が必要になります。

  • 干渉しすぎない: 子どもの部屋に無断で入ったり、スマホを勝手に見たりするのはNG。プライバシーを尊重し、一人の人間として扱う姿勢を見せましょう。
  • 放任しすぎない: かといって、完全に無関心になるのは「放任」です。食事の準備をしたり、声をかけたり、いつでも話を聞く準備があるというサインを送り続けることが大切。「あなたのことを、いつも気にかけているよ」というメッセージを伝え続けましょう。

まとめ:嵐は必ず過ぎ去る。親の冷静さが子どもの灯台になる

思春期の反抗期という嵐は、いつか必ず過ぎ去ります。そして、嵐が過ぎ去った後には、たくましく成長した我が子の姿があるはずです。

今、親にできる最も大切なことは、感情の荒波に一緒に飲み込まれるのではなく、冷静な灯台のように、いつでも戻ってこられる場所であり続けることです。

とはいえ、頭では分かっていても、具体的にどう声をかけたらいいの?と悩みますよね。

次回の記事では、いよいよ実践編!反抗期の子どもに響く「効果的なコミュニケーション術」について、具体的な会話例を交えながら詳しく解説していきます。

ぜひ、そちらも楽しみにしていてくださいね!

【イヤイヤ期】魔の2歳児だけじゃない!長引く反抗期を親子で乗り切るための関わり方・言葉かけ辞典

「イヤ!」の嵐に、心が折れそうなあなたへ

「ごはん、イヤ!」
「お着替え、イヤ!」
「お風呂、イヤ!」
「イヤなのも、イヤーーーッ!!」

何を言っても「イヤ!」の大合唱。道端でひっくり返って大泣きする我が子を前に、途方に暮れ、周りの視線が突き刺さる…。

「魔の2歳児」とも呼ばれる、恐怖のイヤイヤ期。可愛い我が子のはずなのに、まるで小さな怪獣のようで、こちらの身が持ちませんよね。

「私の育て方が悪いのかな…」
「いつまで続くの…?」

そんな風に、一人で涙ぐんでいませんか?

こんにちは!3人の娘たち全員の、それはそれは壮絶なイヤイヤ期を乗り越えてきた、現役ママナースの皐月です。

断言します。イヤイヤ期は、あなたの育て方のせいでは決してありません。それは、子どもが「自分」という存在に目覚め、自立へと向かう、成長の証なのです。

そうは言っても、綺麗事だけでは乗り切れないのが現実。そこでこの記事では、親のイライラをスーッと軽くする考え方のコツと、**具体的なシーン別の「魔法の言葉かけ」**を、私の実体験と専門知識を交えてご紹介します。

この記事を読み終える頃には、きっと「イヤ!」の嵐を乗りこなすヒントが見つかるはずです。


なぜ?どうして?イヤイヤ期の正体を知れば、少し楽になる

まず、敵の正体を知ることから始めましょう。なぜ子どもは「イヤ!」を連発するのでしょうか?

  • 理由1:「自分」の芽生え
    • 「これは自分がやりたい!」「ママの言う通りじゃない!」という、自我が芽生え始めた証拠。親の指示を拒否することで、「自分」を確立しようとしています。
  • 理由2:やりたい気持ち vs できない能力のギャップ
    • 「自分で靴を履きたい!」でも、まだ手先がうまく使えない。そのもどかしさや悔しさが「イヤ!」という癇癪になって爆発します。
  • 理由3:気持ちを言葉にできない
    • 「眠い」「お腹がすいた」「もっと遊びたい」。そんな自分の気持ちを、まだうまく言葉で表現できません。そのあらゆる不快感が、便利な「イヤ!」という一言に集約されてしまうのです。

つまり、「イヤ!」は、あなたを困らせるための言葉ではなく、「僕はここにいるよ!僕の気持ちを分かって!」という、心の叫びなのです。


親のイライラが半減する!3つの考え方のコツ

子どもの気持ちは分かっても、こちらのイライラは収まらない!…当然です。そこで、親の心を軽くするための考え方のコツを3つご紹介します。

コツ1:子どもの「イヤ!」を翻訳してみる

子どもが「イヤ!」と言った時、その言葉をそのまま受け取るのではなく、「本当は何て言いたいのかな?」と、心の中で翻訳してみましょう。

  • 「ごはん、イヤ!」 → (翻訳)「今は遊びたい気分なの!」
  • 「お風呂、イヤ!」 → (翻訳)「眠くて、もうヘトヘトだよ…」

こう考えるだけで、「またワガママ言って!」という怒りが、「そっか、眠かったんだね」という共感に変わりやすくなります。

コツ2:選択肢を用意して、本人に選ばせる

イヤイヤ期の子どもは、「自分で決めたい」欲求の塊です。「〇〇しなさい!」という命令は、反発を招くだけ。

  • (✕)「青い服を着なさい!」

  • (〇)「青い服と赤い服、どっちがいい?」

  • (✕)「早くお片付けして!」

  • (〇)「アンパンマンとバイキンマン、どっちからお家に帰す?」

自分で選べたという「自己決定感」が、子どもの満足感に繋がります。

コツ3:時には、真正面から向き合わない

すべてに丁寧に対応しようとすると、心が持ちません。時にはユーモアで返したり、全く違う話題で気をそらしたりするのも、立派なスキルです。

  • 子:「イヤ!」
  • 親:「えー、イヤイヤ星人が出たー!ママ、食べられちゃうー!」
  • 親:「あ、見て!飛行機雲!」

危険がない限り、「今はそういう時期」と割り切って、受け流す力も大切です。


【シーン別】困った「イヤ!」が「うん!」に変わる言葉かけ辞典

ここでは、具体的なシーンで使える言葉かけの例をご紹介します。

SCENE 1:ごはん・食事

  • イヤ!:「ごはん、いらない!」
  • OK!:「そっか、今は気分じゃないんだね。じゃあ、このお野菜さんだけ、ウサギさんみたいにもぐもぐできるかな?」(食べるハードルを下げる)

SCENE 2:着替え

  • イヤ!:「この服、着ない!」
  • OK!:「分かった!じゃあ、ママとどっちが早くお着替えできるか競争だ!」(ゲーム感覚に持ち込む)

SCENE 3:歯磨き

  • イヤ!:「歯磨き、しない!」
  • OK!:「歯のバイキンマン、ママがやっつけるから応援してて!シュシュシュ!」(ヒーローごっこで楽しませる)

SCENE 4:お風呂

  • イヤ!:「お風呂、入らない!」
  • OK!:「お風呂にアヒルさん浮かべて競争させようよ!どっちが勝つかな?」(楽しいことで気を引く)

SCENE 5:お片付け

  • イヤ!:「お片付け、できない!」
  • OK!:「じゃあ、ママが赤いブロックを集めるから、〇〇ちゃんは青いのをお願いできる?」(役割分担で参加しやすくする)

SCENE 6:お出かけ・帰宅

  • イヤ!:「公園から帰りたくない!」
  • OK!:「そうだよね、もっと遊びたいよね。じゃあ、あの滑り台をあと3回やったら、お家に帰ろうか」(見通しを立てて、納得しやすくする)

まとめ:嵐が過ぎ去った後には、必ず成長が待っている

イヤイヤ期の対応に、たった一つの正解はありません。今日うまくいった方法が、明日には通用しないことの連続です。

でも、どうか自分を責めないでください。

あなたが子どもの「イヤ!」と真剣に向き合い、悩み、試行錯誤していること自体が、何より素晴らしい愛情の証です。

「イヤ!」は、子どもがあなたに寄せる「絶対的な信頼」の裏返しでもあります。「このママなら、僕の気持ちを受け止めてくれるはずだ」と信じているからこそ、安心して感情を爆発させられるのです。

嵐のような毎日ですが、この時期は必ず終わりが来ます。そして、その先には、言葉で自分の気持ちを伝えられるようになった、一回りも二回りも大きく成長した我が子の姿が待っていますよ。