「公園に行くと、いつもお友達に命令している…」
「遊びのルールを、全部自分で決めないと気が済まないみたい…」
我が子が、まるであの人気アニメのガキ大将「ジャイアン」のように、お友達に対して威張ったり、自分の思い通りにコントロールしようとしたりする姿を見るのは、親として、とても胸が痛みますよね。
「このままでは、お友達に嫌われてしまうんじゃないか…」
「どうして、あんなに偉そうな態度をとってしまうんだろう…」
その不安と戸惑い、よくわかります。周りの保護者の目も気になり、肩身の狭い思いをしているかもしれません。
しかし、その行動の裏には、子どもなりの切実な思いや、SOSが隠されていることがほとんどです。頭ごなしに「威張っちゃダメ!」と叱りつけるだけでは、問題の根本的な解決にはなりません。
この記事では、現役ママナースである私が、
- 子どもが「ジャイアン」になってしまう、3つの心理的背景
- 今すぐやめて!逆効果になる親のNG対応
- 子どもの行動を変える、親の正しい関わり方3ステップ
を、詳しく解説します。
この記事を読めば、お子さんの威張る態度の裏にある本当の気持ちが理解でき、どうすればそのエネルギーをポジティブな方向へ導いてあげられるのか、具体的な道筋が見えてきます。
なぜ?我が子が「ジャイアン」になる3つの心理
子どもが友達に威張ってしまうのは、生まれつきの意地悪だからではありません。その行動の裏には、以下のような心理が隠されています。
1. 自信のなさの裏返し(自己肯定感の低さ)
意外に思われるかもしれませんが、これが最も多い原因です。自分に自信がない子どもは、他人を支配し、自分の思い通りに動かすことでしか、自分の価値を確かめられないのです。「僕がいないと、みんなは遊べないんだ」「私に従っていれば、間違いないんだ」と思うことで、かろうじて心の安定を保っています。
2. 「どう関わっていいか分からない」不器用さ
本当は、みんなと仲良く遊びたい。でも、どうやって友達の輪に入っていけばいいのか、どうやって自分の意見を伝えたらいいのか、そのコミュニケーションの方法が分からない。その不器用さが、「おい、お前も入れよ!」「こうやって遊ぶんだよ!」という、乱暴で一方的な命令口調として現れてしまうのです。
3. リーダーシップの歪んだ発揮
もともと、周りを引っ張っていくのが好きな「リーダー気質」の子もいます。その有り余るエネルギーや、「みんなをまとめたい」という気持ちを、うまくコントロールできずに、「支配」という歪んだ形で発揮してしまっている状態です。この場合は、その力を正しい方向へ導いてあげれば、素晴らしい長所に変わる可能性を秘めています。
今すぐやめて!逆効果になる親のNG対応
子どもの威張る態度を見て、焦るあまり、ついやってしまいがちなNG対応があります。
- 人前で、大声で叱りつける: 子どものプライドを深く傷つけ、さらなる反発を招くだけです。「どうせ僕はダメなんだ」と、自己肯定感をさらに下げてしまいます。
- 「そんなことしてると、嫌われるよ!」と脅す: 子どもは、嫌われることへの恐怖から、一時的に行動を改めるかもしれません。しかし、根本的な解決にはならず、親の顔色をうかがうようになったり、見えないところで同じことを繰り返したりします。
- 親が、相手の親に過剰に謝罪する: もちろん、迷惑をかけた場合は謝罪が必要ですが、子どもの前で親がペコペコしすぎると、子どもは「自分はとんでもなく悪いことをしたんだ」と、自分自身を全否定することに繋がります。
子どもの行動を変える!親の正しい関わり方3ステップ
では、親はどのように関われば良いのでしょうか。大切なのは、子どもの気持ちに寄り添いながら、正しい行動を教えていくことです。
ステップ1:まずは、家庭で「絶対的な安心感」を与える
自信のなさが原因である場合、何よりもまず、家庭を「ありのままの自分でいられる安全基地」にしてあげることが不可欠です。
- 結果ではなく、過程や存在そのものを褒める: 「一番になれて偉いね」ではなく、「最後まで諦めずに頑張ったね」「あなたがいてくれるだけで、ママは幸せだよ」と伝えましょう。
- 子どもの話を、最後まで聞く: 「でも」「だって」と話を遮らずに、まずは子どもの言い分を全て受け止めてあげてください。
- 「大好き」と、言葉と態度で示す: 毎日、ぎゅっと抱きしめ、「大好きだよ」と伝える。この「無条件の愛情」が、子どもの心の土台を築きます。
家庭で心が満たされると、子どもは、友達を支配することで自分の価値を証明する必要がなくなります。
ステップ2:「もし、自分がされたら?」と、相手の気持ちを考えさせる
子どもが落ち着いている時に、1対1で静かに話す時間を作りましょう。
「もし、〇〇くんが、お友達から『これやれよ!』って命令されたら、どんな気持ちがするかな?」
「遊びのルールを、全部決められちゃったら、楽しいかな?」
このように、相手の立場に立って考えるように、優しく問いかけます。子ども自身に「ハッ」と気づかせることで、行動の変容を促します。
ステップ3:正しい「お願い」の仕方を、具体的に教える
「どうすればいいか分からない」という不器用な子には、具体的なコミュニケーションの方法を、ロールプレイング形式で教えてあげるのが効果的です。
「『これやれ!』じゃなくて、『これ、一緒にやってみない?』って誘ってみるのはどうかな?」
「『こうするんだ!』じゃなくて、『僕はこう思うんだけど、みんなはどう思う?』って聞いてみるのはどう?」
親が、お手本を見せてあげるのです。正しい関わり方を知れば、子どもは安心して、友達の輪に入っていくことができます。
まとめ:ジャイアンの心には、のび太が隠れている
一見、乱暴で自己中心的に見える「ジャイアン」のような子の心の中には、実は、自信がなくて、友達との関わり方が分からずに怯えている、か弱い「のび太」が隠れているのかもしれません。
- 威張る態度は、自信のなさや、不器用さの裏返しであると理解する。
- 人前で叱るのではなく、まずは家庭で、子どもの自己肯定感を満たしてあげる。
- 相手の気持ちを考えさせ、具体的なコミュニケーション方法を、一緒に練習する。
その子の持っているリーダーシップの才能を、正しい方向へ導いてあげられるかどうかは、親の関わり方次第です。
問題行動の裏にある、子どもの本当の心の叫びに耳を傾け、その子が本来持っている優しさや強さを、信じて引き出してあげてください。