災害対策

子連れ防災、本当に必要なものは?ママ防災士が厳選!非常持ち出し袋の中身リスト

「もしも」の時、子どもを守れますか?子連れ防災のリアル

近年、日本各地で地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しています。「もしも、今、災害が起きたら…」そう考えた時、幼い子どもを抱えるママ・パパは、大きな不安に襲われるのではないでしょうか。

特に、まだ自分で身を守ることができない赤ちゃんや小さな子どもを連れての避難は、想像以上に困難を伴います。ミルクやおむつ、離乳食など、普段から必要なものが多いため、いざという時に何を持ち出せば良いのか、頭を抱えてしまうかもしれません。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、自身の経験と防災士の知識を元に、子連れ防災で本当に必要なもの、そして「非常持ち出し袋」に最低限入れておくべき中身リストを厳選してご紹介します。いざという時に、家族の命を守るために、今すぐできる準備を始めましょう。

なぜ子連れ防災は「特別」なのか?

  • 子どもの命を守る責任:
    • 子どもは自分で判断し、行動することができません。親が全てを準備し、守る必要があります。
  • 必要なものが多岐にわたる:
    • ミルク、離乳食、おむつ、着替え、薬など、子どもの月齢や発達段階に応じた特別な備えが必要です。
  • 避難時の困難さ:
    • 抱っこやおんぶでの移動、ベビーカーが使えない場所、避難所での生活など、大人だけの避難とは異なる困難が伴います。
  • 精神的なケア:
    • 子どもは災害によって大きな精神的ストレスを受ける可能性があります。安心できる環境と、心のケアも重要です。

ママ防災士が厳選!非常持ち出し袋の中身リスト

非常持ち出し袋は、災害発生から避難所までの移動、そして避難所での数日間を乗り切るための「命綱」です。家族の人数分、そして子どもの月齢に合わせて準備しましょう。リュックサックに入れ、すぐに持ち出せる場所に置いておくのがポイントです。

【共通で必要なもの】

  • 水: 1人1日3リットルが目安。ペットボトルで準備。
  • 非常食: カンパン、栄養補助食品、レトルト食品など、火を使わずに食べられるもの。
  • 簡易トイレ: 携帯用トイレ、トイレットペーパー。
  • 懐中電灯、予備電池: ヘッドライトタイプが両手が空いて便利。
  • ラジオ: 手回し充電式や電池式。
  • 軍手、笛: 瓦礫撤去や助けを呼ぶ際に。
  • 救急セット: 常備薬、絆創膏、消毒液、包帯、体温計など。
  • 現金、小銭: 公衆電話や自動販売機で必要になることも。
  • 身分証明書、保険証のコピー: 避難所で必要になる場合があります。
  • 携帯電話の充電器、モバイルバッテリー: 連絡手段の確保。
  • タオル、ウェットティッシュ、マスク: 衛生用品。
  • 防寒具: ブランケット、カイロなど。

【子連れ家庭で特に必要なもの】

  • ミルク・哺乳瓶: 液体ミルクやキューブタイプの粉ミルクが便利。使い捨て哺乳瓶も。
  • 離乳食: レトルトパウチタイプ。アレルギー対応食も忘れずに。
  • おむつ: 普段使っているもの。多めに。
  • おしりふき: 大判タイプが便利。
  • 着替え: 子どもの人数分、多めに。季節に合わせたもの。
  • 抱っこ紐: ベビーカーが使えない場所でも移動可能。
  • お気に入りのおもちゃや絵本: 子どもの精神的な安定に。
  • 体温計、冷却シート、子ども用解熱剤: 子どもの急な発熱に備えて。
  • ビニール袋: ゴミ袋、汚れた衣類入れなど多用途に。
  • 母子手帳のコピー: 子どもの健康情報。
  • アレルギー情報カード: アレルギーがある場合、緊急時に提示できるよう作成。

非常持ち出し袋、準備のポイント

  • 定期的に中身をチェック: 食料や水の賞味期限、電池の残量などを定期的に確認し、入れ替えましょう。
  • 家族で共有: 家族全員で中身を把握し、どこに何があるかを知っておきましょう。
  • 子どもと一緒に準備: 子どもと一緒に準備することで、防災意識を高めることができます。
  • 重すぎないように: 持ち運びやすい重さに調整しましょう。必要であれば、複数に分けるのも良いでしょう。

まとめ|備えあれば憂いなし。家族の命を守るために

災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。しかし、事前に備えておくことで、被害を最小限に抑え、家族の命を守ることができます。

子連れ防災は、大人だけの防災とは異なる視点が必要です。今回ご紹介したリストを参考に、ぜひご家庭に合った非常持ち出し袋を準備し、定期的に見直す習慣をつけましょう。

「備えあれば憂いなし」。この言葉を胸に、家族みんなで防災意識を高めていきましょう。

【衛生・医療編】避難生活を乗り切る。ママナース直伝、災害時の子どもの健康と応急処置

はじめに:命が助かった「その先」を見据えていますか?

これまでの2回の記事で、災害への「備え」と、発災直後の「行動」についてお伝えしてきました。

▼これまでの記事

  1. 【準備編】今日から始める!子連れ防災の必需品リストと家庭でできる安全対策
  2. 【行動編】その時どうする?ママナースが教える、子どもと安全に避難するための行動マニュアル

無事に避難できた。本当に、それだけで十分です。でも、親の役目はそこでは終わりません。命が助かった「その先」の、避難所での生活が待っています。水や電気が止まり、医療機関もすぐに頼れないかもしれない。そんな中で、どうやって子どもの健康を守っていくか。これこそ、親の防災知識が本当に試される場面です。

こんにちは!現役看護師で、3姉妹の母でもある皐月です。

看護師として、そして母として、私が防災対策で最も重視しているのが、この**「避難生活における衛生・医療の知識」**です。なぜなら、災害関連死の原因の多くが、避難所での感染症や、持病の悪化だからです。

最終回となる今回は、「衛生・医療編」。ママナースならではの専門知識を総動員して、避難生活で子どもの命と健康を守るための具体的な方法をお伝えします。少し専門的な内容も含まれますが、必ず役立つ知識ですので、ぜひ最後までお読みください。


感染症から子どもを守る!避難所の衛生管理術

避難所は、多くの人が密集し、衛生環境も悪化しがち。まさに感染症の温床です。特に、抵抗力の弱い子どもは、真っ先にその標的になってしまいます。

① 水がなくてもできる「手指衛生」

感染対策の基本は、なんと言っても手指衛生です。

  • アルコール手指消毒液を携帯: リュックに必ず入れておき、食事の前、トイレの後など、こまめに使いましょう。
  • 除菌ウェットティッシュの活用: 手指だけでなく、子どもが触れるテーブルやおもちゃなどを拭くだけでも効果があります。
  • ペットボトルの水で手洗い: もし少量の水が使えるなら、ペットボトルのキャップに数カ所穴を開ければ、簡易的なシャワーになります。石鹸をつけて洗い流すだけでも、ウイルス量は大幅に減らせます。

② 咳エチケットと換気

  • マスクの着用: 咳やくしゃみによる飛沫感染を防ぐ基本です。子どもが嫌がるかもしれませんが、その重要性を伝えましょう。
  • 定期的な換気: 避難所が建物内であれば、管理者と協力し、定期的に窓を開けて空気を入れ替えることが重要です。自分たちのスペースの周りだけでも、意識的に空気の流れを作りましょう。

③ 食中毒を防ぐ3つの原則

  • 「つけない」: 食事の前には必ず手を清潔に。
  • 「増やさない」: 食べ物は、できるだけ早く食べきる。常温で長時間放置しない。
  • 「やっつける」: 加熱できるものは、できるだけ加熱する。ただし、カセットコンロなどの火の取り扱いには最大限の注意が必要です。

限られた物資で!家庭でできる応急処置

病院にすぐ行けない状況で、子どもが怪我をしたり、熱を出したりしたら…。親がある程度の応急処置を知っているだけで、子どもの苦痛を和らげ、重症化を防ぐことができます。

ケース1:すり傷・切り傷

  1. 洗浄: まずは傷口をきれいにすること。もし水道水が使えるなら、しっかりと洗い流します。使えない場合は、ペットボトルのミネラルウォーター(軟水)で代用します。
  2. 止血: 清潔なガーゼやハンカチで、傷口を直接、強く押さえます。5分以上圧迫しても血が止まらない、傷が深い、などの場合は、専門的な処置が必要です。
  3. 保護: 絆創膏や、清潔なガーゼをテープで固定して、傷口を保護します。

※ママナースの豆知識: 昔は「消毒液で消毒する」のが当たり前でしたが、今は**「まず洗浄」**が基本です。消毒液は、傷を治す細胞まで壊してしまうことがあるため、よほど汚れた傷でない限り、洗浄が最優先です。

ケース2:やけど

とにかくすぐに、長く、冷やすこと。これに尽きます。最低でも15〜30分は、流水で冷やし続けてください。服の上から熱湯をかぶった場合は、無理に脱がさず、服の上から冷やします。水ぶくれは、絶対に潰さないでください。感染の原因になります。

ケース3:発熱

  • 水分補給: 脱水を防ぐことが最も重要です。イオン飲料や経口補水液があればベストですが、なければ湯冷ましやお茶でも構いません。少量ずつ、こまめに与えましょう。
  • クーリング: 嫌がらなければ、首の付け根、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている場所を、濡れタオルなどで冷やすと、体温が下がりやすくなります。
  • 解熱剤の使用: ぐったりして水分も摂れないようなら、防災リュックに入れておいた子ども用の解熱剤を、用法用量を守って使いましょう。

まとめ:知識は、最強の防災グッズ

3回にわたってお届けした「子連れ防災」シリーズ、いかがでしたでしょうか。

防災グッズを揃えることも、避難のシミュレーションをすることも、もちろん大切です。でも、どんな状況にも対応できる**「知識」**こそが、親が持てる最強の防災グッズだと、私は信じています。

災害は、いつ、どこで起こるかわかりません。でも、正しい知識があれば、パニックの中でも、きっと最善の行動がとれるはずです。

この記事が、あなたとあなたの大切な家族の「もしも」の時に、少しでも役立つことを心から願っています。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

【準備編】今日から始める!子連れ防災の必需品リストと家庭でできる安全対策

はじめに:「そのうちやろう」が一番危ない。子どもの命を守るための第一歩

地震、台風、豪雨…。日本に住んでいる限り、誰の身にも起こりうる自然災害。「防災対策、やらなきゃな…」と思いつつも、日々の忙しさにかまけて、つい後回しになっていませんか?

特に、小さなお子さんがいるご家庭では、大人だけの避難とはわけが違います。いざという時、パニックにならず、冷静に子どもの命を守る行動がとれるでしょうか。

こんにちは!現役看護師で、3姉妹の母でもある皐月です。

東日本大震災の時、私はまだ学生でしたが、医療現場の壮絶な状況を目の当たりにしました。そして母になった今、「あの日、もし自分の子どもがいたら…」と考えると、防災への意識は全く変わりました。

「備えあれば憂いなし」ということわざがありますが、子育て中の防災は、まさに「備えなければ憂いだらけ」です。

この記事では、「準備編」として、災害が起こる前に家庭で絶対にやっておくべき「モノの備え」と「環境の備え」を、ママナースの視点から具体的かつ徹底的に解説します。この記事をチェックリスト代わりに、ぜひ今日から行動を始めてみてください。


【モノの備え】子連れ防災の必需品リスト完全版

まずは、非常時に持ち出す「防災リュック」の準備から。大人用とは別に、子どもの年齢に合わせた備えが不可欠です。特に、ライフラインが止まった時のことを具体的に想像するのがポイントです。

絶対に必要!年齢別「子ども用防災グッズ」

【乳児(0歳〜1歳)】

  • 液体ミルク・使い捨て哺乳瓶: 哺乳瓶の消毒が不要な液体ミルクは、災害時の神アイテム。最低でも3日分、できれば1週間分あると安心です。
  • おむつ・おしりふき: いつもより多めに。おむつはサイズアウトしても、怪我の際の圧迫止血などに使え、汎用性が高いです。
  • 粉ミルク・水: 液体ミルクがない場合。必ず「軟水」のペットボトルを一緒に備蓄しましょう。
  • 抱っこ紐: 両手が空く抱っこ紐は、瓦礫などが散乱した道を安全に避難するために必須です。

【幼児(1歳〜6歳)】

  • お菓子・ジュース: 子どもの精神安定剤。普段食べ慣れている、保存期間の長いものを選びましょう。ラムネやグミは、糖分補給にもなります。
  • 携帯トイレ・おむつ: 環境の変化でトイレに行けなくなる子も。慣れたおむつや携帯トイレがあると安心です。
  • おもちゃ・絵本: 避難所など、退屈な環境で子どもが落ち着くためのアイテム。音が出ない、コンパクトなものがおすすめです。
  • 子どもの靴: 枕元に置いて寝る習慣を。ガラス片などから足を守るため、避難の第一歩として重要です。

共通で必要な衛生・医療グッズ(ママナース視点)

  • 母子手帳のコピー・おくすり手帳: アレルギーや持病の情報は命綱。スマホの充電が切れても見られるよう、紙のコピーを必ずリュックに。
  • 常備薬: 子ども用の解熱剤、保湿剤、絆創膏、消毒液など。普段から使い慣れたものを。
  • 除菌シート・ウェットティッシュ: 水が使えない状況での衛生管理に。体や手を拭くだけでなく、身の回りの清掃にも使えます。
  • ビニール袋(大小さまざま): 使用済みおむつを入れたり、体を保温したり、簡易的な雨具にしたりと、用途は無限大。多めに用意しましょう。

【環境の備え】今日すぐできる!家庭内の安全対策

モノの備えと同時に進めたいのが、家の中を安全な空間にしておくこと。地震が起きた瞬間、家が凶器にならないための対策です。

① 家具の配置と固定を見直す

  • 寝室には背の高い家具を置かない: 睡眠中に家具が倒れてきたら、逃げることができません。これが最も重要です。
  • 子どもの遊びスペースの周りも同様に: 子どもが多くの時間を過ごす場所の安全を最優先に考えましょう。
  • L字金具や突っ張り棒で固定: ホームセンターで手軽に購入できます。面倒くさがらず、必ず設置してください。

② 避難経路の確保と家族での共有

  • 玄関や廊下にモノを置かない: 避難の妨げになるものは、今すぐ片付けましょう。
  • ハザードマップの確認: 自治体が発行しているハザードマップで、自宅周辺の危険箇所(浸水エリア、土砂災害警戒区域など)を確認します。
  • 避難場所と避難所の違いを理解する:
    • 避難場所: まず身の安全を確保するために逃げる場所(公園、広場など)。
    • 避難所: 自宅で生活できなくなった人が、一定期間滞在する場所(学校の体育館など)。
  • 家族で避難ルートを歩いてみる: 「ここの道は狭いね」「このブロック塀は危ないかも」と、実際に歩くことで見える危険があります。子どもと一緒に、ゲーム感覚でやってみるのがおすすめです。

まとめ:備えは最高の「お守り」。今日が一番若い日です

防災対策に「やりすぎ」はありません。そして、「明日やろう」は通用しません。災害は、私たちの準備が整うのを待ってはくれないのです。

今回ご紹介したリストを参考に、まずは一つでも二つでも、できることから始めてみてください。その小さな一歩が、いざという時にあなたとあなたの大切な家族の命を守る、最高の「お守り」になります。

次回の記事では、「行動編」として、実際に災害が起こってしまった後、子どもと一緒にどう安全に避難し、避難所生活を乗り切るかについて、具体的な行動マニュアルをお届けします。

【行動編】その時どうする?ママナースが教える、子どもと安全に避難するための行動マニュアル

はじめに:その瞬間、親の冷静さが子どもの命を救う

前回の「準備編」では、災害が起こる前に家庭でできる「モノの備え」と「環境の備え」についてお話ししました。

▼前回の記事はこちら
【準備編】今日から始める!子連れ防災の必需品リストと家庭でできる安全対策

防災グッズを揃え、家具を固定し、避難経路も確認した。でも、本当に怖いのは、災害が**「起きたその瞬間」**です。激しい揺れや、鳴り響く警報音。そんな極限状態で、私たちは冷静に行動できるのでしょうか。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

医療現場では、常に冷静な判断が求められますが、それでも我が子のこととなると、冷静でいられる自信は正直ありません。だからこそ、「もしも」の時の動きを、頭の中で何度もシミュレーションしておくことが、何よりも大切だと感じています。

この記事では、「行動編」として、実際に災害が発生した直後から、避難所での生活に至るまで、子どもを守るための具体的なアクションを時系列で解説します。いざという時に、体が自然に動くように、ぜひ最後まで読んで、イメージトレーニングをしてみてください。


発災直後:まず、その場で命を守る「3つのアクション」

激しい揺れを感じたら、動きたくなる気持ちを抑えて、まずはその場で命を守る行動が最優先です。

  1. 「ダンゴムシのポーズ」を合言葉に: 子どもに覆いかぶさるようにして、親子で頭を守り、体を小さく丸めます。「ダンゴムシのポーズだよ!」と、日頃から練習しておくと、子どももパニックにならずに行動できます。
  2. 机の下など安全な場所へ: 周囲に机があれば、その下へ。なければ、倒れてくる家具がない部屋の中央付近で、頭をクッションなどで守りましょう。
  3. 慌てて外に飛び出さない: 瓦やガラスが落ちてくる可能性があり、非常に危険です。揺れが収まるまでは、屋外に出ないのが原則です。

揺れが収まったら:避難を開始する前のチェックリスト

揺れが収まっても、すぐに飛び出してはいけません。まずは冷静に状況を確認しましょう。

  • 自分と子どもの怪我の確認: 出血や、痛がる場所はないか、落ち着いて確認します。
  • 火の元の確認と初期消火: もし火を使っていたら、すぐに消します。小さな火であれば、消火器や濡れタオルで初期消火を試みます。
  • ドアや窓を開けて、避難経路を確保: 家が歪んで、ドアが開かなくなることがあります。揺れが収まったら、まず玄関のドアを開けて、逃げ道を確保することが重要です。
  • 靴を履く: 室内でも、ガラスなどが散乱している可能性があります。必ず親子で靴を履いてから行動しましょう。

避難所へ:子どもと安全に移動するための鉄則

自宅での安全確保が難しいと判断したら、避難場所・避難所へ移動します。しかし、その道中にも危険が潜んでいます。

  • 抱っこ紐やヘルメットを活用: 小さな子どもは抱っこ紐で。少し大きい子でも、必ず手をつなぎ、絶対に離さないこと。防災頭巾やヘルメットで頭を守りましょう。
  • 狭い道、ブロック塀、自動販売機には近づかない: 余震で倒壊する危険があります。できるだけ広い道を選んで避難します。
  • 「おはしも」の原則を再確認: 「おさない・はしらない・しゃべらない・もどらない」。これは、パニックを防ぎ、集団で安全に避難するための基本です。子どもにも、その意味を改めて伝えましょう。

避難所生活:子どもの心と体を守るために親ができること

慣れない避難所での集団生活は、大人にとっても大きなストレスですが、子どもにとっては尚更です。ここでは、親が子どもの「安全基地」であり続けることが何よりも大切になります。

① 子どもの心のケア:「いつも通り」を意識する

災害という非日常の中で、できるだけ**「日常」に近い環境**を作ってあげることが、子どもの心の安定に繋がります。

  • スキンシップを増やす: 抱きしめる、手をつなぐ、背中をさする。肌と肌の触れ合いは、子どもに絶大な安心感を与えます。「大丈夫だよ」と、何度も声をかけてあげてください。
  • 子どもの話をじっくり聞く: 怖かったこと、不安なこと。どんな些細なことでも、否定せずに「そうだったんだね、怖かったね」と受け止めてあげましょう。
  • 小さな「楽しい」を見つける: 絵本を読んだり、絵を描いたり。避難所の中でも、親子で一緒にできる遊びの時間を作りましょう。笑顔は、心の栄養になります。

② プライバシーと衛生環境の確保

  • 段ボールや毛布で空間を仕切る: 周囲の視線が気にならない、家族だけの小さな空間を作るだけで、子どものストレスは大きく軽減されます。
  • 衛生管理を徹底する: 水が貴重な状況でも、除菌シートでこまめに手を拭く、マスクを着用するなど、感染症から子どもを守る工夫をしましょう。これについては、次回の「衛生・医療編」でさらに詳しく解説します。

まとめ:パニックの中でも「我が子を守る」という強い意志を

災害時、親がパニックになるのは当然です。でも、そんな時でも、「この子を守れるのは自分だけだ」という強い意志が、あなたを冷静な行動へと導いてくれるはずです。

今回お伝えした行動マニュアルは、あくまで基本的な指針です。実際の状況は、もっと混乱しているかもしれません。だからこそ、何度も頭の中でシミュレーションし、「いざという時」に備えることが、あなたと子どもの未来を守ることに繋がります。

次回の最終回は、「衛生・医療編」。避難生活で子どもの健康を守るための、ママナースならではの専門的な知識をお伝えします。ぜひ、最後までお付き合いください。