ホームケア

【2025年最新版】子どもの発熱、慌てないで!ママナースが教える家庭での対処法と受診の全知識

苦しそうな寝息、触れると火のように熱い体…「どうしよう!」の前に、まず読んでください

静かな夜、隣で眠る我が子の寝息が、いつもより少し荒いことに気づく。

そっとおでこに手をやると、火のように熱い。

慌てて体温計を挟むと、表示される「39.2℃」の数字。その瞬間、サーッと血の気が引いて、心臓がバクバク鳴り響く…。

「ぐったりしてるけど、大丈夫?」
「このまま朝まで様子を見ていいの?それとも、今すぐ夜間救急に走るべき?」
「解熱剤、使っちゃっていいのかな…」

次から次へと押し寄せる不安に、パニックになりそうになりますよね。痛いほど、その気持ちがわかります。私もナースでありながら、我が子のこととなると、冷静ではいられませんでしたから。

でも、大丈夫。

子どもの発熱は、体がウイルスや細菌と闘っている、大切な「防御反応」です。慌てて熱を下げることが、必ずしも最善の策とは限りません。

この記事では、そんなママやパパの不安を安心に変えるために、現役ママナースの私が、子どもの発熱時に本当に大切なことを、最新の知識と経験に基づいて、一つひとつ丁寧にお伝えします。

正しい知識は、あなたと子どもを守る最強の武器になります。さあ、一緒に確認していきましょう。

Step1:まずは観察!熱の高さより「機嫌」と「顔色」

熱が高いと、つい焦ってしまいますが、本当に見るべきは体温計の数字ではありません。一番大切なのは、子どもの全体的な様子です。

  • 機嫌はどうか? … 熱があっても、比較的ご機嫌で、少し遊べているなら、重症である可能性は低いです。
  • 顔色はどうか? … 顔色が悪く、唇が紫色になっている場合は、注意が必要です。
  • 水分は摂れているか? … これが最も重要です。少量でも水分が摂れているかを確認しましょう。

熱が高くても、これらの点がクリアできていれば、ひとまずは落ち着いてホームケアを始めるサインです。

Step2:ママナースが実践する「発熱時ホームケア」の鉄則

おうちでのケアは、子どもが自分の力でウイルスと闘うのを、快適にサポートしてあげるのが目的です。

鉄則1:とにかく水分補給!

発熱時は、汗や速い呼吸によって、体からどんどん水分が失われていきます。子どもの脱水は、大人が思うよりずっと早く進むため、水分補給は何よりも優先してください。

  • 何を飲ませる?
    • ベストは「経口補水液」: OS-1などが有名ですね。体液に近い成分で、効率よく水分と電解質を吸収できます。
    • その他: 麦茶、湯冷まし、薄めたりんごジュースなど、子どもが飲んでくれるものならOK。
  • どう飲ませる?
    • スプーンやスポイトで、少量ずつ、5~10分おきに根気よく与えましょう。

鉄則2:快適な環境作り

子どもが体力を消耗せず、心地よく過ごせる環境を整えましょう。

  • 服装: 「熱があるから」と厚着をさせるのは逆効果。熱がこもってしまいます。汗をかいたらこまめに着替えさせ、手足が冷たくなければ、普段より一枚薄いくらいでOKです。
  • 室温・湿度: 室温は20~22℃、湿度は50~60%が快適です。乾燥は、のどや鼻の粘膜を傷つけ、ウイルスがさらに侵入しやすくなるので、加湿を忘れずに。
  • 体を冷やす場合: 子どもが熱くてつらそうにしているなら、冷やしてあげましょう。首の付け根、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている場所を、タオルで包んだ保冷剤などで冷やすと効果的です。(嫌がる場合は無理にしなくてOK!)

鉄則3:食事は無理させない

熱がある時は、胃腸の働きも弱っています。無理に食べさせる必要はありません。

  • おかゆ、うどん、ゼリー、プリン、アイスクリーム、すりおろしりんごなど、子どもが欲しがる、消化の良いものを少しでも食べられれば十分です。

Step3:「病院へ行くべきか?」迷った時の判断基準

「このまま家で見ていていいの?」この判断が一番難しいですよね。以下のチェックリストを参考にしてください。一つでも当てはまれば、かかりつけ医に相談、または夜間・休日診療所の受診を検討しましょう。

【超重要】すぐに救急車(119番)を呼ぶべきサイン

  • 意識がおかしい(呼びかけに反応しない、視線が合わない)
  • けいれんを起こした、またはけいれんが5分以上続く
  • 呼吸が異常に速い、または息が苦しそう、肩で息をしている
  • 顔色や唇の色が明らかに悪い(土色、紫色)
  • 激しい頭痛や嘔吐を繰り返す

時間内に病院を受診すべきサイン

  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの38℃以上の発熱
  • 水分を全く受け付けず、半日以上おしっこが出ていない
  • ぐったりして、まったく元気がない
  • 理由のわからない発疹が出ている
  • 耳をしきりに気にする(中耳炎の可能性)

判断に迷った時は、**子ども医療電話相談(#8000)**に電話するのも良い方法です。看護師や医師が、専門的なアドバイスをくれます。

Step4:解熱剤との賢い付き合い方

解熱剤は、病気を治す薬ではなく、あくまで「つらさを和らげる」ためのものです。

  • 使うタイミング: 熱の高さではなく、**「熱のせいで、子どもがつらそうか」**で判断します。39℃あってもケロッとしているなら不要ですし、38℃でもぐったりして眠れないなら、使ってあげた方が楽になります。
  • 目的: 熱を無理やり下げるのが目的ではありません。少し熱を下げて、つらさを和らげ、その間に水分を摂ったり、少し眠ったりできるように手助けするのが目的です。

解熱剤の種類や、坐薬とシロップの使い分けについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【解熱剤のギモン】坐薬とシロップ、どっちがいい?年齢・症状別の賢い使い分け

まとめ:正しい知識が、ママと子どもを笑顔にする

子どもの発熱は、親であれば誰もが経験する道です。そして、その経験を乗り越えるたびに、私たちは親として、少しずつ強くなっていきます。

もう、闇雲に不安がる必要はありません。あなたには、この記事で得た「正しい知識」という武器があります。

お子さんの様子をしっかり観察し、適切なケアをしてあげてください。そして、何より大切なのは、看病しているママ自身が、一人で抱え込まず、無理をしないことです。

この「こそだて部」には、他にもあなたを助ける記事がたくさんあります。ぜひ、**【完全版】ママナースが作った「子どもの病気・ケガ」お悩み解決マップ】**も、合わせてブックマークしてくださいね。

【小児科医が回答】子どもの咳、病院に行く目安とホームケア

「ゴホゴホ…」子どもの咳、病院に行くべき?小児科医が教える見極めポイントと自宅ケア

「夜中に咳き込んで、眠れない…」「この咳、病院に行った方がいいのかな?」

子どもの咳は、親にとって心配の種ですよね。特に、初めての育児では、どんな咳が危険で、どんな時に病院に行くべきなのか、判断に迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、小児科医である私が、子どもの咳のタイプ別の見極め方、病院に行く目安、そして自宅でできる効果的なケア方法について、分かりやすく解説します。

これを読めば、あなたも安心して、お子さんの咳に対応できるようになりますよ。

咳は、体の防御反応

まず知っておいてほしいのは、咳は、気道に入り込んだ異物やウイルス、細菌などを体外に排出するための、体の防御反応だということです。

むやみに咳を止めようとするのではなく、咳のタイプや、お子さんの全身状態を観察することが大切です。

咳のタイプ別、見極めポイント

1.コンコン、乾いた咳

  • 特徴:痰が絡まない、乾いた音の咳。風邪のひき始めや、アレルギー性の咳に多いです。
  • 注意点:犬が吠えるような「ケンケン」という咳の場合は、クループの可能性も。呼吸が苦しそうなら、すぐに受診しましょう。

2.ゴホゴホ、湿った咳

  • 特徴:痰が絡む、湿った音の咳。風邪がこじれた時や、気管支炎、肺炎などの場合に多いです。
  • 注意点:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を伴う場合は、喘息や細気管支炎の可能性も。呼吸が苦しそうなら、すぐに受診しましょう。

病院に行く目安

以下の様な症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 呼吸が苦しそう:肩で息をしている、陥没呼吸(肋骨の間がへこむ)が見られる、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする。
  • 顔色が悪く、唇が紫色になっている
  • ぐったりしている、意識がはっきりしない
  • 水分が全く取れない
  • 発熱が続き、解熱剤を使っても熱が下がらない
  • 咳がひどく、眠れない
  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの咳

自宅でできる効果的なホームケア

病院に行く必要がないと判断した場合でも、自宅でできるケアで、お子さんの咳を楽にしてあげることができます。

  • 加湿:部屋の湿度を50〜60%に保ちましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルを干したり、お風呂の湯気を吸わせたりするのも効果的です。
  • 水分補給:こまめに水分を摂らせましょう。温かい飲み物は、喉を潤し、痰を出しやすくする効果があります。
  • 体を起こして寝かせる:寝る時に、上半身を少し高くしてあげると、咳が楽になることがあります。
  • 背中をさする:痰が絡んでいる場合は、背中を優しくさすってあげると、痰が出やすくなることがあります。

まとめ

子どもの咳は、親にとって心配なものですが、正しい知識と適切なケアで、乗り越えることができます。

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、お子さんの健やかな成長をサポートする、手助けになれば幸いです。

【保存版】子どもの急な発熱、慌てない!ママナース直伝ホームケアと受診の目安

「夜中に急に熱が出た!」子どもの発熱、どうする?

「体が熱い…もしかして熱?」
「ぐったりしてるけど、病院に行くべき?」
「解熱剤、いつ使えばいいの?」

子どもの急な発熱は、ママ・パパにとって最も心配なことの一つですよね。特に夜間や休日だと、どう対応したら良いのか分からず、不安でいっぱいになることもあるでしょう。

私もかつては、子どもの発熱に慌てふためき、夜通し看病しながら不安で眠れない日々を過ごした経験があります。しかし、小児科での勤務経験と、自身の育児経験から、発熱時の正しい知識と対処法を身につけることで、今では落ち着いて対応できるようになりました。

この記事では、現役ママナースである私が、子どもの発熱時の正しいホームケアから、病院を受診する目安、解熱剤の正しい使い方まで、あなたの不安を解消し、冷静に対応するための情報を分かりやすく解説します。

この記事を読めば、もう子どもの発熱で慌てることはありません。正しい知識を身につけて、大切な子どもの健康を守りましょう!

子どもの発熱、まずは落ち着いて!

子どもが発熱した時、まず大切なのは「慌てないこと」です。熱の高さだけで病気の重症度は判断できません。子どもの様子をよく観察し、冷静に対応しましょう。

発熱の定義

一般的に、37.5℃以上を微熱、38.0℃以上を発熱と判断します。ただし、平熱には個人差があるため、普段から子どもの平熱を把握しておくことが大切です。

熱の測り方

  • 脇の下: 最も一般的で手軽な方法です。体温計を脇の下にしっかり挟み、動かないように固定しましょう。
  • 耳: 耳式体温計を使用します。鼓膜の温度を測るため、正確性が高いとされていますが、正しく測るにはコツが必要です。
  • おでこ: 非接触型体温計を使用します。手軽ですが、外気温の影響を受けやすく、正確性に欠ける場合があります。

ママナース直伝!発熱時の正しいホームケア

1. 水分補給をこまめに!

発熱時は汗をかきやすく、脱水になりやすいので、こまめな水分補給が最も重要です。少量ずつ、頻繁に与えましょう。

  • おすすめの飲み物: 経口補水液、麦茶、薄めたイオン飲料、りんごジュースなど。
  • ポイント: 冷たすぎない、常温に近いものが良いでしょう。食欲がなくても水分だけはしっかり摂らせましょう。

2. 快適な環境を整える

  • 室温・湿度: 室温は20〜22℃、湿度は50〜60%を目安に。エアコンや加湿器を適切に使い、快適な環境を保ちましょう。
  • 服装: 汗をかいたらすぐに着替えさせ、薄着にしましょう。厚着をさせると熱がこもり、体温が上がってしまいます。
  • 寝具: 汗を吸いやすい素材のパジャマやシーツを選び、こまめに交換しましょう。

3. 嫌がらなければ体を冷やす

熱が高くてつらそうな場合は、体を冷やしてあげると楽になります。ただし、嫌がる場合は無理に冷やさないでください。

  • 冷やす場所: 首の付け根、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている場所を冷やすと効果的です。冷えピタなどを使用する場合は、おでこだけでなく、これらの場所にも貼ってあげましょう。
  • ポイント: 氷枕や冷たいタオルを使用する場合は、直接肌に当てず、タオルで包んで使用しましょう。

4. 食事は消化の良いものを少量ずつ

食欲がない場合は無理に食べさせる必要はありません。食べられるものを少量ずつ与えましょう。

  • おすすめの食事: おかゆ、うどん、ゼリー、プリン、スープ、すりおろしりんごなど。
  • ポイント: 脂っこいものや、消化に悪いものは避けましょう。

病院を受診する目安

子どもの発熱は、ほとんどの場合、自宅でのケアで様子を見ることができますが、以下のような場合はすぐに病院を受診しましょう。

  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した時
  • 38℃以上の熱が3日以上続く時
  • 水分が全く摂れない、おしっこが出ないなど、脱水の症状がある時
  • ぐったりしている、意識が朦朧としている、呼びかけに反応しない時
  • けいれんを起こした時
  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている時
  • 顔色が悪い、唇が紫色になっている時
  • 発疹が出ている時
  • 嘔吐や下痢がひどい時
  • その他、いつもと様子が明らかに違うと感じた時

解熱剤の正しい使い方

解熱剤は、熱を下げるための薬ではなく、熱によって子どもがつらそうな時に、一時的に症状を和らげるためのものです。熱が高いからといって、必ずしも使う必要はありません。

  • 使用の目安: 熱が高くてぐったりしている、眠れない、水分が摂れないなど、子どもがつらそうな時。
  • 種類: アセトアミノフェン(アンヒバ、カロナールなど)、イブプロフェン(ブルフェンなど)などがあります。医師の指示に従って、適切なものを使用しましょう。
  • 使用量・間隔: 医師から指示された量と間隔を必ず守りましょう。自己判断で量を増やしたり、間隔を短くしたりしないでください。
  • ポイント: 解熱剤を使用しても、熱が完全に下がるわけではありません。あくまで一時的な症状緩和であることを理解しておきましょう。

まとめ:子どもの発熱は、親の成長の機会

子どもの発熱は、親にとって不安なものですが、正しい知識と冷静な対応で乗り越えることができます。そして、この経験は、親としての自信と成長につながるはずです。

この記事でご紹介したホームケアと受診の目安を参考に、子どもの発熱に落ち着いて対応できるようになりましょう。そして、何か不安なことがあれば、迷わずかかりつけ医や地域の相談窓口に相談してくださいね。

大切な子どもの健康を守るために、一緒に頑張りましょう!

子どものアトピー性皮膚炎、ステロイドは怖い?ママナースが教える正しい塗り方とスキンケア

「ステロイドは怖い」その誤解が、子どもの肌を悪化させていませんか?

「うちの子、アトピーって言われたんです…」「ステロイドって、副作用が怖いって聞くし…」

子どもの肌に赤みやかゆみが出ると、親としては心配でたまらないですよね。特に「アトピー性皮膚炎」と診断されると、ステロイド外用薬の使用に抵抗を感じるママ・パパは少なくありません。インターネット上には「脱ステロイド」を謳う情報も多く、何が正しいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。

しかし、ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために非常に有効な薬であり、医師の指示通りに正しく使えば、決して怖い薬ではありません。むしろ、炎症を放置することの方が、子どもの肌に大きなダメージを与え、アトピーを悪化させてしまう原因になります。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、アトピー性皮膚炎の正しい知識と、ステロイド外用薬の正しい塗り方、そして日々のスキンケアの重要性について、詳しく解説します。誤解を解き、子どもの肌を健やかに保つための第一歩を踏み出しましょう。

アトピー性皮膚炎とは?なぜステロイドが必要なの?

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすくなることで、慢性的な炎症とかゆみを繰り返す病気です。かゆみで掻き壊すことで、さらにバリア機能が破壊され、炎症が悪化するという悪循環に陥ります。

ステロイド外用薬の役割

ステロイド外用薬は、この「炎症」を強力に抑える働きがあります。炎症を早期に鎮めることで、かゆみを抑え、掻き壊しを防ぎ、皮膚のバリア機能の回復を助けます。炎症が長引くと、皮膚が厚く硬くなったり、色素沈着を起こしたりする原因にもなるため、適切な時期に適切な強さのステロイドを使うことが非常に重要です。

ステロイドの副作用について

「ステロイドは怖い」というイメージは、過去に不適切な使用法(自己判断での長期使用や、強すぎるステロイドの顔への使用など)によって副作用が出た事例が広まったためと考えられます。しかし、医師の指示通りに、適切な強さのステロイドを、適切な期間使用すれば、全身性の副作用が出ることはほとんどありません。皮膚が薄くなるなどの局所的な副作用も、正しい使い方をすれば最小限に抑えられます。

ママナース直伝!ステロイド外用薬の正しい塗り方とスキンケア

1. 塗る前に手を清潔に

薬を塗る前には、石鹸で手をきれいに洗いましょう。清潔な手で塗ることで、患部に細菌が侵入するのを防ぎます。

2. 適量を守る「FTU(フィンガーチップユニット)」

薬の量は、チューブから人差し指の先端から第一関節まで出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の広さに塗るのが目安です。これを「FTU(フィンガーチップユニット)」と呼びます。患部の広さに合わせて、このFTUを参考に量を調整しましょう。少なすぎると効果が薄く、多すぎると副作用のリスクが高まります。

3. 患部に「すり込む」ように塗る

薬は、患部に点々と置いてから、指の腹を使って優しく、しかししっかりと「すり込む」ように塗り広げましょう。皮膚の表面に薬が残っていると、効果が十分に発揮されません。テカテカするくらいが目安です。

4. 炎症が治まっても「保湿」は続ける

炎症が治まり、皮膚がきれいになっても、アトピー性皮膚炎の肌はバリア機能が低下しています。そのため、保湿剤によるスキンケアは、毎日欠かさず続けることが非常に重要です。保湿剤は、お風呂上がりなど、肌が清潔で潤っているうちに、たっぷりと塗りましょう。

5. 掻き壊しを防ぐ工夫

かゆみが強い時は、冷たいタオルで冷やしたり、掻き壊し防止のために爪を短く切ったり、ミトンや手袋を着用させたりするのも有効です。かゆみ止めの飲み薬を併用することも検討しましょう。

6. 医師の指示を厳守する

ステロイド外用薬の強さや塗る回数、期間は、医師が子どもの症状や年齢、患部の状態に合わせて慎重に判断しています。自己判断で中断したり、量を減らしたりせず、必ず医師の指示通りに使いましょう。疑問や不安があれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。

まとめ|正しい知識とケアで、アトピーと上手に付き合おう

アトピー性皮膚炎は、根気強い治療と日々のスキンケアが非常に重要な病気です。「ステロイドは怖い」という誤解にとらわれず、正しい知識を持って、適切な治療を行うことが、子どもの肌を健やかに保ち、かゆみから解放してあげるための第一歩です。

ママやパパが正しい知識を持ち、自信を持ってケアすることで、子どもも安心して治療に取り組むことができます。もし、一人で悩んでいるなら、皮膚科や小児科のアレルギー専門医に相談し、適切なアドバイスを受けてくださいね。

子どもの便秘、放置は危険?ママナースが教える食事・運動・マッサージ解消法

「たかが便秘」と侮らないで!子どもの便秘が引き起こす悪循環

「うちの子、もう3日も出ていない…」子どもの便秘は、多くの親が経験する悩みの一つです。しかし、「そのうち出るだろう」と軽く考えてはいませんか?実は、子どもの便秘を放置すると、様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

便秘が続くと、硬くなった便を出す時に痛みや出血を伴うため、子どもは排便を我慢するようになります。すると、さらに便が腸内に溜まって硬くなり、ますます排便が困難になる…という「便秘の悪循環」に陥ってしまうのです。

さらに、慢性的な便秘は、食欲不振や腹痛、イライラ、集中力の低下など、心と体の両方に影響を与えることもあります。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、子どもの便秘を根本から解消するための「食事」「運動」「マッサージ」という3つのアプローチと、病院を受診すべき目安について、詳しく解説します。

まずは食生活の見直しから!便秘解消に効く3つの要素

1. 食物繊維を味方につける

食物繊維には、「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、バランス良く摂ることが大切です。

  • 水溶性食物繊維: 便を柔らかくする働きがあります。(例:海藻類、果物、こんにゃく、オートミールなど)
  • 不溶性食物繊維: 便のかさを増やし、腸を刺激して排便を促します。(例:きのこ類、豆類、芋類、玄米など)

2. 十分な水分補給

便を柔らかくするためには、十分な水分が不可欠です。食事以外にも、こまめに水やお茶を飲む習慣をつけましょう。朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むのも、腸を刺激するのに効果的です。

3. 腸内環境を整える発酵食品

ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品に含まれる善玉菌は、腸内環境を整え、便秘の改善を助けてくれます。

運動&マッサージで腸を動かそう!

1. 楽しく体を動かす

特別な運動は必要ありません。公園で走り回ったり、ジャンプしたり、ダンスをしたりと、日常生活の中で楽しく体を動かす機会を増やしましょう。腹筋を使う運動は、腸の動きを活発にするのに役立ちます。

2. 「の」の字マッサージ

おへその周りを、ひらがなの「の」の字を描くように、優しくマッサージしてあげましょう。腸の動きに沿って刺激することで、排便を促す効果が期待できます。お風呂上がりなど、リラックスしている時に行うのがおすすめです。

3. 綿棒浣腸

赤ちゃんの場合、綿棒の先にベビーオイルやワセリンを塗り、肛門から1〜2cmほど入れて優しく刺激する「綿棒浣腸」が効果的なことがあります。ただし、やり過ぎは禁物。あくまでも、どうしても出なくて苦しそうな時の最終手段と考えましょう。

病院を受診すべき目安は?

以下の症状が見られる場合は、家庭でのケアに固執せず、小児科を受診しましょう。

  • 5日以上排便がない
  • 排便時に強い痛みや出血を伴う
  • 嘔吐や強い腹痛がある
  • 食欲がなく、体重が増えない
  • 便秘薬を使わないと排便できない状態が続いている

まとめ|毎日の生活習慣が、快便への近道

子どもの便秘は、薬で一時的に解消しても、根本的な生活習慣を見直さなければ、すぐに再発してしまいます。「食事」「運動」「規則正しい排便習慣」この3つを柱に、親子で気長に取り組むことが大切です。

「たかが便秘」と放置せず、お子さんの「出ない」サインに気づいたら、早めに対処してあげてくださいね。

子どもの発熱、どうする?:慌てないための受診目安とホームケア

子どもの急な発熱!その時、あなたはどうしますか?

子どもの体温計が38℃を超えると、親としては一気に不安になりますよね。「すぐに病院へ行くべき?」「家でできることは何?」「解熱剤は使っていいの?」など、次から次へと疑問が浮かんでくるものです。

特に、夜間や休日に突然発熱すると、どう対応すれば良いか分からず、パニックになってしまうこともあるでしょう。しかし、慌てて行動する前に、まずは子どもの状態を冷静に観察することが大切です。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、子どもの発熱時に慌てないための「受診の目安」と、お家でできる「正しいホームケア」について、分かりやすく解説します。

熱の高さだけで判断しないで!本当に見るべきは「子どもの機嫌と全身状態」

熱が39℃、40℃と高くても、子どもが比較的元気に遊び、水分も取れているようなら、緊急性は低いことが多いです。逆に、熱はそれほど高くなくても、ぐったりして元気がない、顔色が悪い、水分を全く受け付けないといった場合は、注意が必要です。

すぐに受診すべき危険なサイン

以下の症状が見られる場合は、夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診してください。

  • 意識がおかしい(呼びかけに反応が鈍い、ぐったりしている)
  • けいれんを起こした(特に初めての場合)
  • 呼吸が苦しそう(肩で息をしている、顔色が悪い)
  • 水分が全く取れず、半日以上おしっこが出ていない
  • 嘔吐を繰り返し、ぐったりしている
  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの38℃以上の発熱

診療時間内に受診を検討するケース

  • 熱が2〜3日以上続いている
  • 機嫌が悪く、ぐずり続ける
  • 咳や鼻水、下痢など、他の症状も伴う
  • 耳を頻繁に気にする(中耳炎の可能性)

ママナース直伝!発熱時のホームケア3つのポイント

1. 水分補給が最優先!

発熱時は、汗や呼吸によって体から水分が失われやすくなっています。脱水を防ぐために、こまめな水分補給を心がけましょう。麦茶、湯冷まし、子ども用のイオン飲料などを、少量ずつ頻繁に与えるのがポイントです。

2. 楽な体勢で、しっかり休ませる

無理に寝かせつける必要はありませんが、静かな環境でゆっくり休ませてあげましょう。衣類は、汗を吸いやすい綿素材のものを1枚薄めに着せ、汗をかいたらこまめに着替えさせてください。寒気がある場合は、布団を1枚足して温かくしてあげましょう。

3. 食事は無理強いしない

熱がある時は、食欲が落ちるのが普通です。無理に食べさせる必要はありません。子どもが食べたがるものを、消化の良いもの(おかゆ、うどん、ゼリー、果物など)を中心に与えましょう。

解熱剤、使う?使わない?

解熱剤は、病気を治す薬ではなく、一時的に熱を下げて体を楽にするためのものです。熱が高くても、子どもが元気そうであれば、必ずしも使う必要はありません。

使用を検討する目安は、38.5℃以上で、かつ**子どもが熱のせいでつらそうにしている(ぐったりしている、眠れないなど)**場合です。使用する際は、必ず子ども用の解熱剤を、用法・用量を守って使いましょう。

まとめ|正しい知識が、あなたと子どもを救う

子どもの発熱は、親にとって心配なものですが、正しい知識があれば、慌てず冷静に対応することができます。今回ご紹介した「受診の目安」と「ホームケア」を参考に、お子さんの看病にあたってください。

そして、何よりも大切なのは、看病するママやパパ自身が倒れないこと。一人で抱え込まず、パートナーや周りのサポートも得ながら、乗り切っていきましょう。

子どもの中耳炎、繰り返すのはなぜ?ママナースが教える家庭での予防法と受診サイン

「また中耳炎…」繰り返す耳のトラブル、どうして?

風邪をひくたびに中耳炎になり、耳鼻科通いが終わらない…。そんな悩みを抱えるママ・パパは少なくありません。特に、まだ自分で症状をうまく伝えられない小さな子どもを持つ親にとって、中耳炎は非常に厄介な病気です。

なぜ、子どもはこんなにも中耳炎を繰り返すのでしょうか?その理由は、子どもの耳と鼻の構造に隠されています。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、子どもが中耳炎を繰り返すメカニズムから、家庭でできる効果的な予防法、そして「これは!」という時に見逃さないための受診サインまで、詳しく解説します。

子どもが中耳炎になりやすい3つの理由

  1. 耳管(じかん)が未熟:
    • 耳と鼻をつなぐ「耳管」という管が、大人に比べて短く、太く、傾きが水平に近いため、鼻や喉の細菌・ウイルスが耳に入りやすい構造になっています。
  2. 鼻をすする癖:
    • 子どもは鼻を上手にかけないため、つい鼻をすすってしまいがちです。この「すする」という行為が、鼻の奥にいる細菌を耳に送り込んでしまう原因になります。
  3. 免疫力が低い:
    • 保育園や幼稚園などの集団生活では、様々なウイルスや細菌にさらされる機会が多く、免疫力がまだ発達していない子どもは頻繁に風邪をひき、それが中耳炎の引き金となります。

ママナース直伝!家庭でできる中耳炎予防法

1. 「鼻水は、こまめに吸う」が鉄則!

中耳炎予防で最も大切なのは、鼻の中を清潔に保つことです。鼻水が出始めたら、家庭用の鼻吸い器を使って、こまめに吸引してあげましょう。特に、お風呂上がりや寝る前は、鼻が通りやすくなる絶好のタイミングです。

2. 正しい「鼻のかみ方」を教える

自分で鼻をかめるようになったら、正しい方法を教えてあげましょう。ポイントは、「片方ずつ、ゆっくり、優しく」です。両方の鼻を一度に強くかむと、耳に負担がかかり、かえって中耳炎のリスクを高めてしまいます。

3. 授乳・ミルクの姿勢に気をつける

寝かせたまま授乳したり、ミルクを飲ませたりすると、ミルクが耳管に流れ込み、炎症を起こす原因になることがあります。少し頭を高くした姿勢で飲ませてあげるようにしましょう。

見逃さないで!中耳炎の受診サイン

小さな子どもは「耳が痛い」と訴えることができません。以下のサインに注意し、当てはまる場合は早めに耳鼻科を受診しましょう。

  • 機嫌が悪い、ぐずりが続く
  • 頻繁に耳を触る、気にする
  • 発熱(特に風邪の症状が落ち着いた後の再発熱)
  • 夜中に何度も目を覚ます(夜泣き)
  • 耳から液体(耳だれ)が出ている

まとめ|鼻水ケアが、子どもの耳を守る鍵

繰り返す中耳炎は、親にとっても子どもにとっても辛いものです。しかし、その原因の多くは「鼻水」にあります。日頃から鼻のケアを徹底することが、中耳炎を予防し、耳鼻科通いを減らすための最も効果的な方法です。

もし中耳炎になってしまっても、医師の指示通りに治療すれば、きちんと治る病気です。慌てず、焦らず、お子さんのサインを見逃さないようにしてあげてくださいね。

とびひ(伝染性膿痂疹)の正しいケア|広げない・悪化させないための消毒・保護方法

その虫刺され、本当にただの虫刺され?夏の肌トラブル「とびひ」に要注意!

夏になると、あせもや虫刺されなど、子どもの肌トラブルが増えますよね。しかし、ただの虫刺されだと思ってかき壊してしまった傷が、あっという間に全身に広がってしまう恐ろしい病気、それが「とびひ(伝染性膿痂疹)」です。

とびひは、主に黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌が、皮膚の傷口から感染することで起こります。水ぶくれやかさぶたを触った手で他の場所を掻くと、火事の飛び火のように次々と症状が広がっていくことから、この名前で呼ばれています。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、とびひを広げず、悪化させずに治すための正しいホームケアと、保育園・幼稚園の登園の目安について、詳しく解説します。

とびひのサインはこれ!2つのタイプ

とびひには、原因となる細菌によって大きく2つのタイプがあります。

  1. 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
    • 主に黄色ブドウ球菌が原因。
    • 赤みのある水ぶくれ(水疱)ができ、それが簡単に破れて皮膚がめくれます。
    • かゆみが強いのが特徴で、乳幼児に多く見られます。
  2. 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
    • 主にレンサ球菌が原因。
    • 厚いかさぶた(痂皮)ができ、その下に膿がたまります。
    • 炎症が強く、痛みや発熱を伴うこともあります。

ママナース直伝!とびひを広げないためのホームケア4原則

1. 患部を清潔に保つ

とびひの治療で最も大切なのは、患部を清潔に保つことです。医師の指示に従い、石鹸をよく泡立てて、優しく洗いましょう。シャワーでしっかりと洗い流すことで、原因菌を減らし、治りを早めることができます。

2. 掻き壊しを防ぐ

かゆみが強いとびひでは、掻き壊しを防ぐことが悪化させないための鍵です。爪は短く切り、患部はガーゼや包帯で保護して、直接触れないように工夫しましょう。かゆみが強い場合は、医師に相談し、かゆみ止めの薬を処方してもらうことも重要です。

3. 薬は正しく、最後まで

処方された抗菌薬の塗り薬は、医師の指示通りに塗りましょう。症状が良くなったように見えても、自己判断で中断すると、再発の原因になります。飲み薬が処方された場合も、必ず最後まで飲み切ることが大切です。

4. タオルや衣類の共有は避ける

とびひは接触によって感染します。家族間での感染を防ぐため、タオルやバスタオル、衣類の共有は避けましょう。また、洗濯は他の家族と分けて行う必要はありませんが、日光でしっかりと乾かすことをお勧めします。

保育園・幼稚園はいつから行ける?

とびひは、学校保健安全法で「学校感染症」に定められています。登園・登校の目安は、**「患部をガーゼなどで覆い、他の子どもにうつす心配がなくなれば可能」**とされています。

しかし、園によっては独自のルールを設けている場合もあるため、必ず事前に確認し、必要であれば医師に「登園許可証」を書いてもらいましょう。

まとめ|早期発見・早期治療が鍵

あせもや虫刺されが増える夏は、とびひになりやすい季節です。普段から子どもの肌をよく観察し、傷や湿疹ができていないかチェックする習慣をつけましょう。

「もしかして、とびひかも?」と思ったら、自己判断で市販薬を使わず、早めに皮膚科や小児科を受診することが、早期治癒への一番の近道です。正しいケアで、つらいとびひを早く治してあげましょう。

子どもの便秘薬、クセになる?種類と選び方、頼らないための生活習慣改善

「便秘薬、使い続けて大丈夫?」子どもの便秘に悩むママの不安

「うちの子、便秘がひどくて、もう何ヶ月も便秘薬を使っているんです…」「薬に頼りっぱなしで、クセにならないか心配…」

子どもの便秘は、多くの親が抱える悩みの一つです。特に、薬を使わないと排便できない状態が続くと、「このまま薬に依存してしまうのでは?」と不安になりますよね。インターネット上には「便秘薬は体に悪い」「クセになる」といった情報も多く、何が正しいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。

しかし、子どもの便秘を放置することは、薬を使うこと以上に、心身に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。大切なのは、便秘薬の正しい知識を持ち、適切に活用しながら、根本的な生活習慣の改善を目指すことです。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、子どもの便秘薬の種類と選び方、そして薬に頼らないための「生活習慣改善のポイント」について、詳しく解説します。不安を解消し、子どものお腹の悩みを解決してあげましょう。

子どもの便秘薬、主な種類と選び方

子どもの便秘薬は、大きく分けて「便を柔らかくする薬」と「腸の動きを促す薬」があります。医師は、子どもの年齢や便秘のタイプ、重症度に合わせて、適切な薬を処方します。

1. 便を柔らかくする薬(浸透圧性下剤)

  • 代表的な薬: ラクツロース(モニラック)、酸化マグネシウム(マグミット)など
  • 作用: 腸内の水分を増やし、便を柔らかくして排便しやすくします。腸を直接刺激しないため、比較的安全性が高く、長期的に使用されることが多いです。
  • 特徴: クセになりにくいと言われています。効果が出るまでに時間がかかることがあります。

2. 腸の動きを促す薬(刺激性下剤)

  • 代表的な薬: ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)、センノシドなど
  • 作用: 腸の粘膜を刺激し、腸の動きを活発にして排便を促します。
  • 特徴: 即効性がありますが、連用すると腸の動きが悪くなる「耐性」が生じたり、腹痛を伴ったりすることがあります。そのため、頓服薬として使用されることが多いです。

3. 浣腸

  • 代表的な薬: グリセリン浣腸など
  • 作用: 肛門から直接薬液を注入し、直腸を刺激して排便を促します。
  • 特徴: 即効性がありますが、あくまで一時的な対処法です。頻繁な使用は、自力で排便する力を弱める可能性があります。

「薬に頼らない」ための生活習慣改善3つのポイント

便秘薬は、あくまで便秘を解消するための「補助」です。根本的な解決には、日々の生活習慣の改善が不可欠です。

1. 食事の見直し

  • 食物繊維を積極的に:
    • 水溶性食物繊維(海藻、果物、こんにゃくなど)と不溶性食物繊維(きのこ、豆類、芋類、玄米など)をバランス良く摂りましょう。
  • 十分な水分補給:
    • 便を柔らかくするためには、水やお茶をこまめに飲むことが大切です。特に、朝起きてすぐのコップ1杯の水は、腸を刺激するのに効果的です。
  • 発酵食品を摂る:
    • ヨーグルト、味噌、納豆などの発酵食品は、腸内環境を整え、便秘の改善を助けてくれます。

2. 運動習慣

  • 体を動かす遊び:
    • 公園で走り回る、縄跳び、ダンスなど、体を動かす遊びは、腸の動きを活発にします。腹筋を使う運動は特に効果的です。
  • 「の」の字マッサージ:
    • おへその周りを、ひらがなの「の」の字を描くように優しくマッサージしてあげましょう。お風呂上がりなど、リラックスしている時に行うのがおすすめです。

3. 規則正しい排便習慣

  • 決まった時間にトイレに行く:
    • 朝食後など、毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつけましょう。便意がなくても、座るだけでもOKです。
  • トイレの環境を整える:
    • 足がブラブラしないように、足台を置くなど、子どもが安心して排便できる環境を整えましょう。

まとめ|便秘薬は「敵」じゃない、上手に付き合おう

子どもの便秘薬は、決して「悪いもの」ではありません。適切に使うことで、便秘による苦痛を和らげ、便秘の悪循環を断ち切るための大切なツールです。

「薬に頼りたくない」という気持ちも分かりますが、無理に我慢させることで、かえって便秘を悪化させてしまうこともあります。医師の指示通りに薬を使いながら、日々の生活習慣を改善していくことが、子どもの便秘を根本から解決するための最も効果的な方法です。

もし、お子さんの便秘で悩んでいるなら、一人で抱え込まずに、かかりつけの小児科医に相談し、適切なアドバイスを受けてくださいね。

RSウイルスと普通の風邪、どう見分ける?赤ちゃんが重症化しないための観察ポイント

その咳、ただの風邪じゃないかも?冬に流行る「RSウイルス」の脅威

「コンコン」という軽い咳から始まり、鼻水、発熱…。一見すると、ただの風邪のようでも、実は「RSウイルス感染症」かもしれません。RSウイルスは、乳幼児、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると、重い呼吸器疾患を引き起こす可能性がある、注意すべきウイルスです。

多くの人が生涯で一度は感染すると言われていますが、初めて感染する赤ちゃんの重症化リスクは高く、時に細気管支炎や肺炎を引き起こし、入院が必要になることもあります。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、普通の風邪とRSウイルスの違い、家庭で注意すべき観察ポイント、そして重症化を防ぐためのホームケアについて、詳しく解説します。

RSウイルスと風邪、症状の違いは?

初期症状は、発熱、鼻水、咳など、普通の風邪と非常によく似ており、見分けるのは困難です。しかし、RSウイルスの特徴は、上気道(鼻や喉)から下気道(気管支や肺)へと炎症が広がりやすい点にあります。

こんな症状が出たら要注意!

  • 咳がだんだんひどくなる: 乾いた咳から、痰が絡んだような「ゼロゼロ」「ゴホゴホ」という湿った咳に変わってきたら注意が必要です。
  • 呼吸が苦しそう:
    • ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が聞こえる。
    • 呼吸が速い(1分間に50回以上)。
    • 息を吸う時に、胸やお腹がペコペコとへこむ(陥没呼吸)。
    • 肩で息をしている。
  • 顔色が悪い: 唇や顔色が悪く、土色や紫色になっている場合は、酸素が足りていない危険なサインです。
  • 元気がない: 母乳やミルクの飲みが悪い、ぐったりしている、あやしても笑わないなど、普段と様子が違う場合も注意が必要です。

ママナース直伝!重症化を防ぐためのホームケア

1. 鼻水の吸引

RSウイルスでは、粘り気の強い鼻水が出ることが多く、これが鼻詰まりや咳の原因となります。家庭用の鼻吸い器で、こまめに鼻水を吸ってあげましょう。鼻呼吸が楽になると、睡眠や授乳もスムーズになります。

2. 水分補給

発熱や速い呼吸によって、体から水分が失われやすくなります。脱水を防ぐため、母乳やミルク、湯冷ましなどを少量ずつ、頻繁に与えましょう。

3. 部屋の加湿

空気が乾燥すると、喉や気管支の粘膜が傷つきやすくなり、咳が悪化します。加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に干したりして、湿度を50〜60%に保ちましょう。

4. 楽な姿勢での休息

呼吸が苦しい時は、横になるよりも、少し上半身を起こした姿勢の方が楽になります。縦抱きにしたり、背中にクッションやタオルを当てて、少し角度をつけて寝かせてあげましょう。

受診のタイミングは?

先に挙げた「こんな症状が出たら要注意!」の項目が1つでも当てはまる場合は、速やかに小児科を受診してください。特に、呼吸困難のサインが見られる場合は、夜間や休日であっても救急外来を受診することを強くお勧めします。

まとめ|「いつもと違う」が受診のサイン

RSウイルス感染症は、初期の段階では風邪との区別がつきにくい病気です。だからこそ、日頃からお子さんの様子をよく観察し、「いつもより咳がひどいな」「呼吸がなんだか苦しそうだな」といった、親の「いつもと違う」という直感が、重症化を見抜くための最も重要なサインとなります。

正しい知識を持って、冷静に、そして迅速に対応することが、赤ちゃんの健康を守ることに繋がります。心配な症状があれば、ためらわずに医療機関に相談してくださいね。

手足口病、ヘルパンギーナ…夏風邪ウイルスの見分け方と、ホームケア【ママナースが解説】

「夏なのに、なんで風邪!?」その疑問、解決します

暑い夏、子どもが急に熱を出したり、発疹が出たりすると、「夏なのに、なんで風邪!?」と驚くママ・パパも多いのではないでしょうか。

実は、夏には夏特有の「夏風邪ウイルス」が流行します。手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱など、聞き慣れない病名に不安を感じるかもしれません。

「うちの子、何の病気だろう?」
「病院に行くべき?それとも家で様子を見るべき?」
「どうやって看病すればいいんだろう?」

そんな風に、夏風邪について、漠然とした不安や疑問を抱えているママ・パパも多いのではないでしょうか。

何を隠そう、現役看護師として働きながら3人の娘を育ててきた私も、毎年夏になると、子どもの夏風邪に悩まされてきました。

「どうすれば、この子の辛い症状を和らげてあげられるんだろう?」
「他の子にうつさないためには?」

この記事では、ママナースである私が、代表的な夏風邪ウイルスの見分け方から、家庭でできるホームケア、そして、病院を受診する目安まで、私の知識と経験を交えながら分かりやすく解説します。

もう、夏風邪で一人で悩む必要はありません。この記事を読めば、お子さんの夏風邪について正しく理解し、安心して看病できるようになるはずです!


代表的な夏風邪ウイルス:見分け方と症状

夏風邪ウイルスは、それぞれ特徴的な症状があります。主な夏風邪ウイルスの見分け方と症状を知っておきましょう。

1. 手足口病

  • 原因ウイルス: コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなど
  • 主な症状: 口の中、手、足に水疱性の発疹が現れます。発熱は軽度か、ないこともあります。口の中の発疹が痛むため、食欲不振になることがあります。
  • 感染経路: 飛沫感染、接触感染、糞口感染

2. ヘルパンギーナ

  • 原因ウイルス: コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなど
  • 主な症状: 突然の高熱(38℃以上)と、口の中(喉の奥)に水疱や潰瘍が現れます。発熱は2〜3日で下がることが多いですが、口の中の痛みで食欲不振になることがあります。
  • 感染経路: 飛沫感染、接触感染、糞口感染

3. プール熱(咽頭結膜熱)

  • 原因ウイルス: アデノウイルス
  • 主な症状: 突然の高熱(38℃以上)、喉の痛み、目の充血や目やにが特徴です。発熱は3〜5日続くことが多いです。
  • 感染経路: 飛沫感染、接触感染、プールを介した感染

夏風邪のホームケア:辛い症状を和らげるために

夏風邪は、特効薬がないため、症状を和らげるためのホームケアが中心となります。辛い症状を和らげるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 水分補給をこまめに

  • 脱水症状に注意: 発熱や口の中の痛みで、水分が摂りにくくなることがあります。脱水症状にならないように、こまめに水分補給をしましょう。
  • 飲ませやすいものを: 経口補水液、麦茶、薄めたイオン飲料、冷ましたスープなど、子どもが飲めるものを少量ずつ頻繁に与えましょう。

2. 食事は食べやすいものを

  • 口の中が痛い場合: 口の中の発疹や潰瘍が痛む場合は、刺激の少ない、柔らかいものを与えましょう。プリン、ゼリー、ヨーグルト、冷ましたお粥、豆腐などがおすすめです。
  • 無理に食べさせない: 食欲がない場合は、無理に食べさせる必要はありません。水分が摂れていれば大丈夫です。

3. 熱の管理

  • 体を冷やす: 熱が高い場合は、脇の下や首の付け根、足の付け根など、太い血管が通っている場所を冷やしましょう。冷えピタや、濡らしたタオルなどが有効です。
  • 薄着にする: 熱がこもらないように、薄着にしましょう。汗をかいたら、こまめに着替えさせましょう。
  • 解熱剤の使用: 辛そうであれば、医師の指示に従って解熱剤を使用しましょう。ただし、解熱剤は熱を下げるだけで、病気を治すものではありません。

4. 安静にする

  • 十分な睡眠: 体力を消耗しないように、十分な睡眠をとりましょう。子どもが眠れる環境を整えてあげましょう。
  • 無理に遊ばせない: 熱が下がっても、すぐに元気になったように見えても、無理に遊ばせないようにしましょう。体力が回復するまで、ゆっくりと過ごさせましょう。

病院を受診する目安と、感染対策

夏風邪は、多くの場合、自宅でのケアで回復しますが、中には病院を受診すべきケースや、感染対策が必要な場合もあります。

病院を受診する目安

以下のような場合は、すぐに病院を受診しましょう。

  • 水分が全く摂れない
  • ぐったりしている、意識が朦朧としている
  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている
  • けいれんを起こした
  • 発熱が5日以上続く
  • 症状が悪化している
  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した

感染対策

  • 手洗い・うがい: 家族みんなでこまめに手洗い・うがいをしましょう。特に、排泄物の処理後や、食事の前には念入りに。
  • タオルの共有を避ける: 家族間でのタオルの共有は避けましょう。
  • おもちゃの消毒: 子どもが触れるおもちゃは、こまめに消毒しましょう。
  • 便の処理に注意: 夏風邪ウイルスは、便の中に長く排出されることがあります。おむつ交換の際は、手袋を使用し、処理後は念入りに手洗いしましょう。

まとめ:夏風邪は、正しく理解して乗り切ろう!

夏風邪は、子どもにとって辛いものですが、正しく理解し、適切なホームケアを行うことで、症状を和らげ、回復を早めることができます。また、感染対策をしっかり行うことで、家族への感染を防ぐことも可能です。

この記事が、あなたの不安を少しでも軽減し、自信を持って子どもの夏風邪を看病できるようになる一助となれば幸いです。今年の夏も、家族みんなで元気に過ごしてくださいね!

「熱さまシート」は、解熱効果なし?子どもの発熱時、クーリングの正しい知識

その「冷えピタ」、気休めかもしれません。子どもの発熱時、クーリングの正しい知識

子どもが、熱を出すと、多くの親が、まず、冷蔵庫から、取り出すのが、「熱さまシート」や、「冷えピタ」といった、冷却ジェルシートではないでしょうか。「熱を、吸い取ってくれる」「気持ちよさそう」そんな、イメージがあるかもしれません。しかし、医学的には、これらの、冷却シートに、解熱効果(体温を下げる効果)は、ないとされています。

こんにちは、ママナースのさとみです。良かれと思って、やっている、そのケアが、実は、あまり意味がなかったり、場合によっては、逆効果だったりすることも。子どもの発熱は、親にとって、一大事。だからこそ、正しい知識を、持っておきたいですよね。

この記事では、子どもの発熱時の、「クーリング(体を冷やすこと)」に関する、正しい知識と、本当に、効果のある、体の冷やし方について、解説します。


なぜ、「熱さまシート」に、解熱効果はないの?

熱さまシートは、その、ジェルの水分が、蒸発する時の、気化熱によって、おでこなどの、「貼った部分」の、皮膚表面の温度を、一時的に、下げているだけです。体の、中心部の体温(深部体温)を、下げる力は、ありません。

もちろん、子どもが、「冷たくて、気持ちいい」と感じているのであれば、精神的な、安楽のために、使ってあげるのは、良いでしょう。しかし、「熱を下げるため」の、医療的な効果は、期待できない、ということを、知っておきましょう。

使用する際の、注意点

  • 窒息のリスク: 乳幼児に、使用する場合、寝ている間に、シートがずれて、口や鼻を、塞いでしまい、窒息する危険性があります。絶対に、目を離さないでください。
  • 皮膚トラブル: 肌が弱い子は、かぶれてしまうこともあります。

発熱のメカニズム:体を、冷やすべき時と、温めるべき時

効果的な、クーリングを行うためには、発熱の、フェーズを、理解することが、重要です。

フェーズ1:熱の「上がり際」(悪寒期)

  • 症状: 手足が冷たく、ブルブルと、震え(悪寒)がある。顔色が、青白い。
  • 体の状態: 体が、熱を、作り出そうと、頑張っている時期。
  • 対応: この時期に、体を冷やすのは、逆効果です。本人が、寒さを訴えるなら、布団を一枚、足してあげるなど、保温に努めましょう。

フェーズ2:熱が「上がりきった」後(熱感期)

  • 症状: 全身が、熱く、顔が赤い。汗をかき始める。
  • 体の状態: 体が、熱を、外に逃がそうと、している時期。
  • 対応: このタイミングで、初めて、クーリングが、有効になります。本人が、暑がるようなら、薄着にさせ、体を、冷ましてあげましょう。

本当に、効果のある、体の冷やし方

体を、効率的に、冷やすためのポイントは、**「太い血管が、通っている場所」**を、狙うことです。

  • 首の、両脇
  • 脇の下
  • 足の付け根(そけい部)

これらの場所を、保冷剤を、タオルで包んだものや、冷たい、濡れタオルなどで、冷やしてあげると、そこを流れる、血液が冷やされ、全身の体温が、効率的に、下がります。

おでこを、冷やすのは、本人が、気持ち良いと感じるなら、良いですが、解熱効果としては、あまり、期待できません。


まとめ:クーリングは、あくまで、補助的なケア

子どもの発熱で、最も、大切なこと。それは、クーリングや、解熱剤で、無理に、熱を下げることでは、ありません。

**水分補給を、しっかり行い、ゆっくりと、体を休ませてあげること。そして、熱の高さだけでなく、「機嫌はどうか」「ぐったりしていないか」**といった、子どもの、全身状態を、よく観察することです。

熱さまシートは、「お守り」のようなもの。その、効果を、過信せず、正しい知識を持って、発熱の、つらい時期を、乗り切ってあげてくださいね。


ものもらい、結膜炎…子どもの目のトラブル、受診の目安とホームケア

はじめに:その目の充血、ただの疲れじゃないかも?

子どもが目を真っ赤に充血させていたり、しきりに目をこすっていたり、まぶたが腫れていたり…。目のトラブルは、見た目にも痛々しく、親としてはとても心配になりますよね。「様子を見ていていいの?」「眼科?小児科?どっちに行けばいいの?」と、対応に迷うことも多いのではないでしょうか。

こんにちは、ママナースのさとみです。子どもの目のトラブルは、原因によって対処法が異なります。特に、感染力が強い結膜炎などは、家庭内や園での集団感染を防ぐためにも、早期の適切な対応が重要です。

この記事では、子どもに多い目のトラブル「ものもらい」と「結膜炎」の違いや、それぞれの受診の目安、家庭でできるホームケアについて、分かりやすく解説します。


「ものもらい」と「結膜炎」、何が違うの?

まず、よく混同されがちな二つの病気の違いを知っておきましょう。

ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)

  • どんな病気? まぶたにある、汗や脂を出す腺が細菌に感染したり、詰まったりして炎症を起こす病気です。
  • 主な症状: まぶたの一部が赤く腫れる、痛みやかゆみ、ゴロゴロ感がある。めやには、あまり出ないことが多いです。
  • うつる? 他の人にはうつりません。

結膜炎

  • どんな病気? 白目とまぶたの裏側を覆っている「結膜」が、ウイルスや細菌、アレルギーなどによって炎症を起こす病気です。
  • 主な症状: 白目が真っ赤に充血する、黄色や白色のドロっとしためやにがたくさん出る、涙が出る、目をかゆがる・痛がる。
  • うつる? ウイルス性や細菌性の結膜炎は、非常に感染力が強いものがあります。

**一番の大きな違いは、「めやにの量」と「白目の充血の範囲」**です。まぶたの腫れがメインなら「ものもらい」、白目全体の充血とめやにがひどい場合は「結膜炎」を疑います。


受診の目安と、何科に行けばいい?

基本的には、眼科の受診がおすすめです。専門医が、専用の機械で目の状態を詳しく診察してくれます。ただし、かかりつけの小児科でも、初期対応や診断は可能です。夜間などで眼科が開いていない場合は、まず小児科に相談しましょう。

すぐに受診すべきサイン

  • 白目が真っ赤で、めやにがひどい(特に、感染力の強いウイルス性結膜炎の可能性があるため)
  • 目の痛みが強い、光をまぶしがる
  • 視力がおかしい、物が見えにくそうにしている
  • 目に何か異物が入った可能性がある
  • まぶたが大きく腫れあがり、目が開けられない

家庭でできるホームケアと注意点

医師の診察を受け、薬を処方された上で、家庭では以下のことに注意しましょう。

  • 目をこすらせない: かゆみがあっても、目をこすると症状が悪化します。冷たいタオルで冷やしてあげたり、子どもの爪を短く切っておいたりしましょう。
  • 点眼薬は、正しく使う: 医師の指示通り、回数と期間を守って点眼しましょう。嫌がる子どもの点眼は大変ですが、寝ている時や、好きなテレビに集中している時などを狙うと、うまくいくことがあります。
  • めやには、優しく拭き取る: 湿らせた清潔なガーゼやコットンで、目頭から目尻に向かって、優しく拭き取ります。左右の目で、それぞれ別のガーゼを使いましょう。
  • タオルの共用は絶対にNG: 感染性の結膜炎の場合、タオルや枕カバーなどを介して家族に感染します。患者本人専用のタオルを用意し、洗濯物も分けるのが理想です。
  • 登園・登校は、医師の許可を得てから: 特に、はやり目(流行性角結膜炎)やプール熱(咽頭結膜熱)は、学校保健安全法で出席停止期間が定められています。自己判断せず、必ず医師の許可を得てから登園・登校させましょう。

まとめ:目のトラブルは、自己判断せずに専門医へ

子どもの目のトラブルは、似たような症状でも、原因によって治療法が全く異なります。「そのうち治るだろう」と自己判断せず、気になる症状があれば、早めに専門医に相談することが、子どもの目の健康を守るために最も大切なことです。


【慌てないで!】子どもの鼻血、正しい止め方と再発を防ぐホームケア

はじめに:突然の鼻血!ティッシュを詰めるのは間違いだった?

子どもって、本当によく鼻血を出しますよね。遊んでいる時、寝ている時、何の前触れもなく突然タラーッと…。シーツや服が真っ赤に染まっているのを見ると、親としてはドキッとしてしまうものです。

こんにちは、ママナースのさとみです。子どもの鼻血は、そのほとんどが心配のないもの。でも、いざという時に慌ててしまい、ティッシュを奥まで詰め込んだり、首をトントン叩いたり…といった、実は間違った対処法をしていませんか?

この記事では、ママナースが教える**「子どもの鼻血の正しい止め方」**と、繰り返す鼻血を防ぐためのホームケアについて、分かりやすく解説します。


なぜ子どもは鼻血を出しやすいの?

子どもの鼻の粘膜は、大人に比べてとても薄くてデリケート。そして、鼻の入り口近くにある「キーゼルバッハ部位」という場所に、細い血管がたくさん集まっています。

そのため、

  • 鼻をいじる、鼻を強くかむ
  • くしゃみや咳
  • のぼせ、興奮
  • アレルギー性鼻炎などによる粘膜の炎症
  • 空気の乾燥

といった、ほんの少しの刺激で血管が傷つき、簡単に出血してしまうのです。子どもの鼻血の9割以上は、このキーゼルバッハ部位からの出血で、心配のないケースがほとんどです。


これが正解!鼻血の正しい止め方4ステップ

いざ鼻血が出たら、慌てずこの4ステップで対処しましょう。

ステップ1:座って、少しうつむかせる

まず、お子さんを座らせて、顔を少し下に向けさせます。上を向かせると、鼻血が喉に流れ込み、気持ち悪くなって吐いてしまうことがあるのでNGです。

ステップ2:小鼻をしっかりつまむ

親指と人差し指で、**小鼻(鼻のふくらんだ柔らかい部分)**を、少し強めにギュッとつまみます。鼻の骨のある硬い部分をつまんでも効果はありません。

ステップ3:そのまま5〜10分間、圧迫し続ける

つまんだまま、最低でも5分間は圧迫を続けます。「止まったかな?」と途中で手を離したくなりますが、しっかり血が固まるまで我慢。お子さんには「一緒に時計の針を見ながら、長い針が〇に来るまで頑張ろうね」などと声をかけてあげると良いでしょう。

ステップ4:喉に流れた血は、吐き出させる

もし喉に血が流れてしまったら、飲み込まずに、そっと吐き出させてあげてください。

【NGな対処法】

  • 首の後ろをトントン叩く: 全く効果はありません。
  • ティッシュを奥まで詰める: 粘膜を傷つけ、かさぶたを剥がす原因になり、再出血しやすくなります。
  • 横になる、上を向く: 血液を飲み込んでしまい、気分が悪くなる原因になります。

こんな鼻血は要注意!病院へ行くべきサイン

ほとんどの鼻血は家庭で対処できますが、以下のような場合は耳鼻咽喉科や小児科を受診しましょう。

  • 正しい方法で15分以上圧迫しても、血が止まらない
  • 鼻血が頻繁に(週に何度も)起こる
  • 鼻血以外の場所からも出血がある(歯茎など)
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 頭を強くぶつけた後に出血した

まとめ:正しい知識が、親子の安心につながる

子どもの突然の鼻血は、親を不安にさせます。でも、正しい止め方を知っていれば、もう慌てることはありません。

今回お伝えした方法を覚えておけば、いざという時に冷静にお子さんを手当てし、安心させてあげることができます。ぜひ、今日から実践してみてくださいね。


長引く子どもの咳、ただの風邪?病院へ行くべき危険な咳の見分け方

はじめに:その咳、本当にただの風邪ですか?

「コンコン」「ゼーゼー」…子どもの咳が続くと、聞いている親もつらくなりますよね。「ただの風邪だろう」と思っていても、あまりに咳が長引いたり、いつもと違う咳が出たりすると、「もしかして、ただの風邪じゃないのかも?」と不安になるものです。

こんにちは、ママナースのさとみです。咳は、気道に入った異物やウイルスを外に出すための大切な防御反応ですが、中には注意すべき「危険な咳」も隠れています。

この記事では、家庭で様子を見ても良い咳と、すぐに病院を受診すべき危険な咳の見分け方、そして咳を和らげるためのホームケアについて、ママナースの視点から詳しく解説します。


まずは咳の音をよく聞いて!咳の種類と特徴

咳と一言で言っても、その音や特徴は様々です。咳の音は、原因を探るための重要な手がかりになります。

  • 乾いた咳「コン、コン」: 喉の炎症や、気管支炎の初期に見られます。風邪のひき始めに多い咳です。
  • 湿った咳「ゴホッ、ゴホッ、ゼロゼロ」: 痰が絡んだ咳です。気管支炎や肺炎の可能性があります。痰が切れるようになれば、快方に向かっているサインでもあります。
  • 犬の遠吠えのような咳「ケン!ケン!」: 声帯が腫れている時に出る特徴的な咳です。クループ症候群の可能性があり、夜間に悪化しやすい傾向があります。
  • 発作のように激しく続く咳: 咳き込みすぎて顔が赤くなったり、吐いてしまったりします。百日咳やマイコプラズマ肺炎などの可能性も考えられます。

これは危険!すぐ病院へ行くべき咳のサイン

以下のような症状が見られる場合は、夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診してください。

緊急受診の目安

  • 呼吸が苦しそう(ゼーゼー、ヒューヒューしている)
  • 肩で息をしている、呼吸に合わせて小鼻がピクピクしている
  • 顔色や唇の色が悪い(青白い、紫色)
  • 咳き込んで眠れない、水分がとれない
  • 犬の遠吠えのような咳をしている
  • 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの咳

これらのサインは、呼吸困難に陥る危険性を示しています。迷わず救急外来を受診するか、判断に迷う場合は「#8000」(子ども医療電話相談)に電話して指示を仰ぎましょう。


お家でできる!咳を和らげるホームケア

病院へ行くほどではないけれど、咳がつらそうな時に試してほしいホームケアをご紹介します。

  1. 部屋の湿度を保つ: 空気が乾燥すると、喉が刺激されて咳が出やすくなります。加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に干したりして、湿度を50〜60%に保ちましょう。
  2. 水分補給をこまめに: 喉を潤すことで、咳が和らぎます。麦茶や湯冷ましなど、刺激の少ないものを少しずつ飲ませてあげましょう。
  3. 上半身を少し高くして寝かせる: 仰向けに寝ると、鼻水が喉に垂れ込んで咳が出やすくなります。バスタオルなどを背中の下に入れ、上半身が少し高くなるように調整してあげると、呼吸が楽になります。
  4. はちみつをあげる(1歳以上限定): はちみつには喉の炎症を和らげる効果があると言われています。スプーン1杯をそのまま、またはお湯に溶かして飲ませてあげましょう。※1歳未満の赤ちゃんには、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対にあげないでください。

まとめ:冷静な観察が、子どもの健康を守る鍵

子どもの咳は、ありふれた症状だからこそ、その裏に隠れたサインを見逃さないことが大切です。

「いつもと違うな」と感じたら、それはお子さんからの大事なメッセージかもしれません。咳の音や子どもの様子をよく観察し、冷静に対応することが、子どもの健康を守る一番の鍵となります。

この記事を参考に、適切な判断とホームケアで、つらい咳の時期を乗り切ってくださいね。


熱が出た!ママナースが教える解熱剤の正しい使い方とタイミング

はじめに:子どもの発熱、解熱剤を使うべきか迷っていませんか?

子どもの体が急に熱くなると、親としては本当に心配になりますよね。「すぐにでも熱を下げてあげたい!」と焦る気持ちと、「解熱剤って、むやみに使っていいの?」という不安な気持ちの間で、どうすべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

こんにちは、ママナースのさとみです。私自身も、我が子が発熱するたびに同じように悩み、医療現場でも多くの親御さんから相談を受けてきました。

解熱剤は、子どものつらさを和らげる心強い味方ですが、使い方を間違えると逆効果になることも。この記事では、解熱剤を使うべき本当のタイミングと、安全な使い方について、ママナースの視点から分かりやすく解説します。


大前提:熱は「悪者」ではない!体がウイルスと戦っているサイン

まず知っておいてほしいのは、発熱は体が病原体と戦うための大切な防御反応だということです。体温を上げることで、ウイルスの増殖を抑え、免疫を活性化させています。

ですから、「熱が高いから」という理由だけで、慌てて解熱剤を使う必要はありません。

一番大切なのは、**熱の高さではなく、子どもの「全身状態」**です。


解熱剤を使うべき本当のタイミングは「子どもがつらそうな時」

では、具体的にどんな時に解熱剤を使えば良いのでしょうか。答えはシンプルです。

子どもが熱のせいでつらそうにしている時、それが使うべきタイミングです。

こういう時は、使ってOK!

  • ぐったりしていて元気がない
  • つらくて水分や食事がとれない
  • 眠れない、何度も起きてしまう
  • 機嫌が非常に悪く、ぐずり続けている

解熱剤の目的は、病気を治すことではなく、熱によるつらさを一時的に和らげ、体力を消耗するのを防ぐこと。少しでも楽にしてあげて、その間に水分補給をしたり、少し眠らせてあげたりするために使う、と覚えておきましょう。

こういう時は、使わずに様子見でOK!

  • 熱は高い(38.5℃以上)けれど、比較的元気がある
  • 水分も取れていて、遊んだりもできる
  • すやすや眠れている

こんな時は、体がしっかりウイルスと戦えている証拠。無理に熱を下げる必要はありません。涼しい環境を整え、水分補給をしながら、ゆっくり見守ってあげましょう。


ママナースが教える!解熱剤の安全な使い方3つのルール

解熱剤を使うと決めたら、次はこの3つのルールを必ず守ってください。

1. 用法・用量を必ず守る

当たり前のことですが、これが最も重要です。子どもの解熱剤は、年齢や体重によって厳密に量が決められています。必ず説明書を読み、正しい量を使いましょう。迷ったら、薬剤師やかかりつけ医に確認してください。

2. 使う間隔はしっかり空ける

一度使って熱が下がっても、また上がってくることはよくあります。しかし、焦って次の薬を使ってはいけません。ほとんどの解熱剤は、6〜8時間程度の間隔を空ける必要があります。決められた使用間隔より短い時間で使うのは絶対にやめましょう。

3. 坐薬と飲み薬の併用は自己判断しない

「坐薬を入れたけど、飲み薬も使っていい?」。これはよくある質問ですが、自己判断での併用は危険です。成分が重複し、薬が効きすぎてしまう可能性があります。必ず医師や薬剤師に相談してください。


まとめ:解熱剤は「お守り」。上手に使って親子で乗り切ろう

子どもの発熱は、親にとって試練の時です。でも、正しい知識があれば、慌てず冷静に対応できます。

解熱剤は、病気を治す魔法の薬ではありません。子どもがつらい時に少しだけ手助けをしてくれる「お守り」のような存在です。その役割を正しく理解し、上手に活用して、つらい発熱の時期を親子で乗り切っていきましょう。


「耳が痛い」と言えない赤ちゃんも!繰り返す中耳炎のサインと家庭でのケア

はじめに:その不機嫌、もしかして中耳炎かも?

急に機嫌が悪くなったり、夜中に突然火がついたように泣き出したり…。言葉で「耳が痛い」と伝えられない小さな子どもにとって、中耳炎は親が気づきにくい病気の一つです。

こんにちは、ママナースのさとみです。子ども、特に0歳から3歳くらいまでの乳幼児は、風邪をひくと中耳炎を併発しやすく、一度なると繰り返しやすいという特徴があります。

この記事では、**言葉を話せない赤ちゃんの「中耳炎のサイン」**の見つけ方、そして家庭でできるケアについて、ママナースの視点から詳しく解説します。


なぜ子どもは中耳炎になりやすいの?

子どもの耳管(耳と鼻をつなぐ管)は、大人に比べて太くて短く、傾きが水平に近いという特徴があります。そのため、風邪などで鼻や喉にいるウイルスや細菌が、耳管を通って中耳(鼓膜の奥の空間)に侵入しやすく、炎症を起こしてしまうのです。

特に、まだ自分で鼻をかめない赤ちゃんや、仰向けでミルクを飲むことが多い乳児は、鼻水が耳に流れ込みやすいため、中耳炎のリスクが高くなります。


見逃さないで!言葉を話せない子の「中耳炎」サイン

「耳が痛い」と言えないお子さんが出す、中耳炎のサインは以下の通りです。複数当てはまる場合は、中耳炎を疑って早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

  • 理由もなく、急に機嫌が悪くなる
  • 夜中に突然、激しく泣き出す(夜泣き)
  • 頻繁に耳を触る、気にするそぶりを見せる
  • 頭を振る、壁や床に頭をこすりつける
  • ミルクや母乳の飲みが悪くなる(吸うと耳に圧力がかかり痛むため)
  • 耳から液体(耳だれ)が出てくる
  • 発熱(特に風邪の後期に熱がぶり返した場合)

特に「風邪をひいた後の不機嫌」は、中耳炎のサインであることが非常に多いです。ただの風邪の症状と決めつけず、耳の様子も気にかけてあげてください。


中耳炎かも?と思ったら家庭でできること

中耳炎の治療は医師に任せるのが基本ですが、病院へ行くまでの間や、治療と並行して家庭でできるケアもあります。

痛みを和らげるケア

  • 耳の周りを冷やす: 痛みが強い場合は、冷たいタオルや保冷剤を布で包んだもので耳の周りを冷やしてあげると、痛みが和らぐことがあります。
  • 鼻水をこまめに吸い取る: 鼻づまりは中耳炎を悪化させる大きな原因です。家庭用の鼻水吸引器などを使って、こまめに鼻水を吸い取ってあげましょう。
  • 上半身を高くして寝かせる: 咳のケアと同様に、頭を少し高くして寝かせると、耳への圧力が軽減され、痛みが和らぐことがあります。

医師に処方された薬は、必ず最後まで

中耳炎の治療では、抗生剤が処方されることがよくあります。症状が良くなったからといって、自己判断で薬をやめてしまうと、治りきらずに再発したり、耐性菌ができてしまったりする原因になります。医師に指示された期間、必ず最後まで薬を飲ませ切りましょう。


まとめ:赤ちゃんの「不機嫌」は大切なサイン

言葉で痛みを伝えられない赤ちゃんにとって、「不機嫌」や「夜泣き」は、体調不良を訴える唯一の手段かもしれません。

「また機嫌が悪いな」で済ませてしまわずに、「どこか痛いのかな?」と一歩踏み込んで観察してあげることが、中耳炎のような病気の早期発見に繋がります。

風邪の後の長引く不機嫌は、中耳炎のサインかも。ぜひ、この記事を参考にお子さんの様子をチェックしてみてくださいね。


【解熱剤の基本編】子どもの熱、何度から座薬を使う?種類、間隔、タイミングの全て

はじめに:その解熱剤、本当に「今」必要ですか?

ピピピッ!体温計が示した「38.5℃」の数字に、ドキッとする。ぐったりと赤い顔で眠る我が子を前に、多くの親が頭をよぎるのは、「解熱剤、使った方がいいのかな?」という迷いだと思います。

「熱が高いと、頭がおかしくなるって本当?」
「座薬と飲み薬、どっちがいいの?」
「一度使ったら、何時間あければいい?」

子どもの急な発熱は、親にとって一大事。解熱剤は、そんな時の心強い味方ですが、その一方で、使い方を間違えると、かえって子どもの回復を妨げてしまう可能性もある、いわば“諸刃の剣”なのです。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

小児科で働いていると、「熱が出たので、すぐに解熱剤を使いました」という親御さんに、本当によく会います。その気持ち、痛いほどわかります。でも、ちょっと待って!熱を出すこと自体は、子どもがウイルスや細菌と戦っている、大切な証拠でもあるのです。

この記事では、『ママナースが教える「解熱剤」の正しい使い方』シリーズの「基本編」として、そもそも解熱剤は何のために使うのか、そして、いつ、どの薬を、どう使えばいいのか、という基本のキを、徹底的に解説していきます。もう、不要な解熱剤で、子どもの戦いを邪魔するのはやめにしましょう!


大原則:解熱剤は「熱を下げる」ためではなく「楽にする」ために使う

まず、最も大切なことをお伝えします。解熱剤は、病気を治す薬ではありません。あくまで、高熱によるつらい症状を一時的に和らげ、子どもが少しでも楽に過ごせるように手助けするための薬です。

熱が高いこと自体で、脳に障害が残るようなことは、基本的にはありません。(※ただし、41℃を超える高熱が続く場合や、熱性けいれんを繰り返す場合は別です)

無理に熱を下げると、体がウイルスと戦う力を弱めてしまい、かえって回復が遅れることもあります。解熱剤を使うかどうかの判断基準は、**「熱の高さ」ではなく、「子どもの機嫌や全身の状態」**です。

じゃあ、何度から使うの?答えは「子どもの状態次第」

一般的に、医療機関では**「38.5℃」**が解熱剤を使い始める一つの目安とされています。しかし、これはあくまで目安。

  • 39℃あっても、ケロッとしていて水分も摂れている使う必要なし
  • 38.2℃だけど、ぐったりして水分も摂れない、眠れない使うことを検討

このように、熱の数字だけで判断するのではなく、**「つらそうかどうか」**を一番の基準にしてください。


座薬?飲み薬?シロップ?どれを選べばいいの?

小児科で処方される解熱剤には、主に「アセトアミノフェン」という成分のものが使われます。形状にはいくつか種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

① 座薬(アンヒバ、アルピニーなど)

  • メリット:
    • 吐き気がある時や、薬を飲むのを嫌がる時でも使える。
    • 吸収が比較的早く、効果も確実。
  • デメリット:
    • うんちと一緒に出てしまうことがある。(入れてから10分以内に出てしまったら、もう一度入れ直してもOK)
    • 子どもが嫌がることがある。

② 飲み薬(カロナール、アセトアミノフェンなど)

  • メリット:
    • 持ち運びが楽で、外出先でも使いやすい。
    • 体重に合わせて、量を細かく調整しやすい。
  • デメリット:
    • 味が苦手で、吐き出してしまうことがある。
    • 嘔吐している時には使えない。

③ シロップ・ドライシロップ

  • メリット:
    • 甘い味がついているものが多く、小さな子どもでも飲みやすい。
  • デメリット:
    • 飲み薬と同様、嘔吐時には使えない。
    • 開封後の保存期間が短い場合がある。

【ママナースの結論】
どれが良い・悪い、ということはありません。子どもの年齢や、その時の状況(吐き気の有無など)に合わせて、医師と相談して処方してもらいましょう。個人的には、吐いてしまうことも想定して、「座薬」と「飲み薬」の両方を処方してもらい、お守りとして持っておくと、いざという時に安心だと思います。


ここが重要!解熱剤の正しい使い方と注意点

解熱剤を使うと決めたら、次は正しい使い方です。ここを間違えると、効果がなかったり、危険な状態を招いたりすることもあります。

  • 使う間隔は?
    • アセトアミノフェン製剤の場合、最低でも6〜8時間はあけてください。熱が下がりきらないからといって、時間をあけずに追加で使うのは絶対にNGです。
  • いつ使う?
    • 熱が上がりきったタイミングで使いましょう。手足が冷たく、ガタガタ震えている時は、まだ熱が上がっている最中です。この時に使うと、熱の上がり方をさらに急にしてしまい、体に負担をかけます。手足が温かくなり、汗をかき始めたら、熱が上がりきったサインです。
  • 量は?
    • 必ず、医師から指示された体重あたりの量を守ってください。「早く効かせたいから」と多く使うのは非常に危険です。兄弟で使い回すのもやめましょう。

まとめ:解熱剤は「お守り」。主役は子どもの“治る力”

解熱剤は、あくまで子どものつらさを和らげるための「サポーター」であり、お守りのような存在です。病気を治す主役は、あくまで子ども自身が持つ「免疫力」

熱の数字に一喜一憂せず、ぐったりしていないか、水分は摂れているか、など、子どもの全身の状態をしっかりと観察すること。そして、本当に必要な時に、正しく薬を使うこと。

それが、子どもの“治る力”を最大限に引き出す、親にできる一番のサポートです。

次回の「疑問解消編」では、「解熱剤を使っても熱が下がらない!」「座薬がうんちと一緒に出てきちゃった!」など、解熱剤を使う上でよくある“困った!”にお答えしていきます。

【RSウイルス編】ただの鼻風邪とどう違う?重症化のサインと入院を避けるためのポイント

はじめに:そのしつこい鼻水、RSウイルスかも

「鼻水と咳が、もう1週間も続いている…」
「熱はないけど、なんだか呼吸がゼーゼーして苦しそう…」

特に、秋から冬にかけて流行のピークを迎える、子どもの呼吸器感染症。その中でも、多くの親御さんを悩ませ、小児科医が特に警戒するのが**「RSウイルス感染症」**です。

大人がかかっても、軽い鼻風邪程度で済むことがほとんど。しかし、このウイルス、実は初めて感染する赤ちゃんと、体力の弱い高齢者にとっては、時に命に関わるほど重症化するリスクを秘めた、非常に厄介な相手なのです。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

『季節の感染症、完全攻略』シリーズの第2弾。今回は、特に0歳〜1歳のお子さんを持つ親御さんに、ぜひ知っておいてほしい「RSウイルス」についてです。ただの風邪だと油断していたら、いつの間にか肺炎や細気管支炎に進行し、入院…なんてことにならないために、**RSウイルスの特徴と、家庭で注意深く観察すべき「重症化のサイン」**を、ママナースの視点から詳しく解説していきます。


RSウイルス感染症、その正体とは?

RSウイルスは、2歳になるまでに、ほぼ100%の子どもが一度は感染すると言われている、非常にありふれたウイルスです。一度かかっても、何度も感染を繰り返します。

  • 主な症状: 発熱、鼻水、咳など、初期症状は普通の風邪とほとんど見分けがつきません。
  • 特徴:
    • とにかく、鼻水が多い! しかも、ネバネバとしていて、詰まりやすいのが特徴です。
    • 咳がだんだんひどくなり、**「ゼーゼー」「ヒューヒュー」**といった喘鳴(ぜんめい)が出やすい。
  • 流行る時期: 以前は秋〜冬が中心でしたが、近年は夏頃から流行が始まるなど、通年で見られます。
  • 潜伏期間: 感染してから2〜8日(多くは4〜6日)

なぜ、小さな赤ちゃんは重症化しやすいの?

大人は、気管支が太く、体力もあるため、RSウイルスに感染しても軽い症状で済みます。しかし、生後6ヶ月未満の赤ちゃん、特に、生まれつき心臓や肺に病気がある子や、早産で生まれた子は、重症化のリスクが非常に高くなります(ハイリスク群と呼ばれます)。

その理由は、

  1. 気管支が非常に細い: ウイルスの炎症で気管支が少し腫れただけでも、空気の通り道が簡単に塞がれてしまいます。
  2. 鼻呼吸が中心: 赤ちゃんは、まだ口で呼吸するのが上手ではありません。そのため、大量の鼻水で鼻が詰まってしまうと、呼吸をすること自体が困難になります。
  3. 体力がなく、免疫も未熟: ウイルスと戦う力が、まだ十分に備わっていません。

これらの理由から、RSウイルスは、小さな赤ちゃんにとって「ただの風邪」では済まないことが多いのです。


見逃さないで!入院を避けるための「重症化のサイン」

RSウイルスには、特効薬がありません。そのため、家庭でのケアと、悪化のサインを見逃さないことが何よりも重要です。以下の症状が見られたら、すぐに小児科を受診してください。

【呼吸状態のチェックポイント】

  • 呼吸が速く、苦しそう(肩で息をしている、息をするたびに小鼻がヒクヒクする)
  • 息を吸う時に、胸やお腹がペコペコとへこむ(陥没呼吸)
  • 呼吸に合わせて「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえる
  • 咳き込んで、顔色が悪くなることがある
  • 唇や爪の色が、白っぽかったり、紫色っぽかったりする(チアノーゼ)

【全身状態のチェックポイント】

  • 母乳やミルクの飲みが、いつもの半分以下
  • ぐったりしていて、元気がない
  • おしっこの量が、明らかに減っている
  • 眠れていない

これらのサインは、細気管支炎や肺炎に進行している可能性を示しています。特に、呼吸の異常は、緊急性が高いサインです。夜間であっても、ためらわずに救急外来を受診しましょう。


家庭でできること:とにかく「鼻水との戦い」

RSウイルスとの戦いは、すなわち**「鼻水との戦い」**と言っても過言ではありません。鼻詰まりを解消し、呼吸を楽にしてあげることが、家庭でできる最も重要なケアです。

  1. こまめな鼻水吸引: これが一番大切です。市販の**鼻水吸引器(電動タイプがおすすめ)**を使い、こまめに鼻水を吸ってあげましょう。特に、ミルクを飲む前や、寝る前に行うと効果的です。
  2. 加湿: 空気が乾燥すると、鼻水が固まりやすくなります。加湿器などで、部屋の湿度を50%〜60%に保ちましょう。
  3. 水分補給: 鼻水や咳で、体内の水分はどんどん失われます。脱水を防ぐため、少量ずつ、こまめに水分を与えましょう。
  4. 上半身を高くして寝かせる: 鼻水が喉に流れ込むのを防ぎ、呼吸を楽にするために、バスタオルなどを背中の下に入れて、少し傾斜をつけてあげましょう。

まとめ:正しい知識が、赤ちゃんの命を守る

RSウイルスは、多くの親、特に初めての育児に奮闘するママやパパを不安にさせる病気です。しかし、その特徴と、注意すべきサインを正しく知っておけば、過度に恐れる必要はありません。

「いつもと、ちょっと違うな」

その親の直感が、何よりの早期発見のセンサーになります。赤ちゃんの様子を注意深く観察し、心配なことがあれば、ためらわずに、かかりつけの小児科医に相談してくださいね。

次回は、『季節の感染症、完全攻略』シリーズの最終回。夏に流行のピークを迎え、「プール熱」とも呼ばれる**「アデノウイルス感染症」**について、詳しく解説します。

【手足口病編】登園の目安は?口の痛みを和らげる食事と、大人がうつらないための予防策

はじめに:そのポツポツ、もしかして…?

「あれ?なんだか手のひらに赤いポツポツが…」
「口の中が痛いって、ご飯を全然食べてくれない…」

特に、夏の保育園や幼稚園で、じわじわと流行りだす感染症。その名も**「手足口病」**。子育て中の親なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

熱はそれほど高くないことが多いけれど、手や足、そして口の中にできる痛々しい水ぶくれ(水疱)に、「これ、本当に治るの?」と不安になってしまいますよね。特に、口の中の痛みが強いと、子どもは何も食べたり飲んだりできなくなり、親としては心配でたまりません。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

手足口病は、いわゆる「夏風邪」の代表格の一つ。多くの場合は自然に治る病気ですが、実は、いくつかの注意すべき点があります。そして、何よりつらいのが、痛みのために不機嫌になった子どものケアと、「これ、いつまで休めばいいの?」という登園の悩み。さらには、「パパやママにも、うつるの?」という恐怖…。

この記事では、そんな手足口病の気になるポイントを網羅した**『季節の感染症、完全攻略』シリーズ**の第1弾として、手足口病の症状から、登園の目安、家庭でのケア、そして家族への感染予防策まで、ママナースの視点で徹底的に解説します。


手足口病って、どんな病気?

手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどのウイルスによって引き起こされる感染症です。その名の通り、主な症状は**「手」「足」「口」**に現れます。

  • 潜伏期間: 感染してから3〜5日ほど
  • 主な症状:
    • 口の中: 舌や頬の粘膜、唇の裏などに、痛みを伴う米粒くらいの水ぶくれや口内炎ができます。
    • 手足: 手のひら、足の裏、足の甲などに、赤いポツポツとした発疹や、少し膨らんだ水ぶくれができます。お尻や膝、肘などに出ることもあります。
    • 発熱: 3人に1人くらいの割合で、37〜38℃程度の熱が出ますが、高熱になることは稀です。
  • 流行る時期: 主に夏(7月〜8月がピーク)ですが、秋や冬にも見られます。

一番知りたい!登園・登校の目安は?

手足口病は、インフルエンザのように「解熱後〇日」といった明確な出席停止期間が法律で定められている病気ではありません。では、いつから登園・登校していいのでしょうか。

答えは、**「全身状態が良く、普段通りに集団生活が送れること」**です。

具体的には、以下の2つの条件がクリアできていれば、登園・登校を再開して良いと判断されることがほとんどです。

  1. 熱が下がっていること
  2. 口の痛みや体のだるさがなく、普段通りに食事がとれ、元気に遊べること

【ポイント】

  • 発疹が残っていても、登園は可能です。 手足の発疹は、治る過程でかさぶたにならず、皮がむけてきれいに消えていきます。この発疹自体に、感染力はほとんどありません。
  • ただし、園や学校によっては独自のルールがある場合も。 必ず、事前に園や学校に確認しましょう。

【最も注意すべきこと】
症状が回復した後も、実は、2〜4週間にわたって、便の中からウイルスが排出され続けます。 そのため、おむつ替えの後の手洗いや、タオルの共用を避けるなどの感染対策は、しばらくの間、続ける必要があります。


口が痛くて食べられない…そんな時の食事の工夫

手足口病で、子どもが一番つらいのは、口の中の痛みです。何を口に入れても染みて痛いので、食欲がなくなってしまいます。脱水を防ぐためにも、水分補給を第一に、以下のような食事を試してみてください。

  • OKなもの(喉越しがよく、刺激の少ないもの)
    • 冷たいもの: プリン、ゼリー、アイスクリーム、冷たいスープ、冷奴など。
    • 柔らかいもの: お粥、うどん、茶碗蒸し、ヨーグルト、バナナなど。
    • 水分: 麦茶、イオン飲料、牛乳など。
  • NGなもの(染みたり、刺激になったりするもの)
    • 熱いもの: 温かいスープやうどんも、人肌以下に冷ましてから。
    • 酸っぱいもの: オレンジジュースなどの柑橘系、酢の物など。
    • 味の濃いもの、しょっぱいもの: ケチャップ味のものや、醤油味のものなど。
    • 硬いもの: せんべいやクッキーなど。

ストローで飲むのも痛がるときは、スプーンで少しずつ流し込んであげると良いでしょう。


実は、大人もかかる!家族内感染を防ぐために

「手足口病は、子どもの病気」と思われがちですが、実は、大人にもうつります。 そして、大人がかかると、子どもよりも症状が重くなることが多く、高熱や関節痛、全身の倦怠感に苦しめられることも…。

看病する親が倒れてしまっては、元も子もありません。感染経路は、**「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染」**です。以下の対策を、家族全員で徹底しましょう。

  1. 手洗いの徹底: これが最も重要です。特に、おむつ替えの後や、食事の前は、石鹸と流水で、30秒以上かけて丁寧に洗いましょう。
  2. タオルの共用はしない: 手を拭くタオル、お風呂のタオルは、必ず別々のものを使います。
  3. おむつは密閉して捨てる: 使用済みのおむつは、ビニール袋などに入れて、しっかりと口を縛ってから捨てましょう。ウイルスの拡散を防ぎます。

まとめ:つらい口内炎との戦い。ゴールはもうすぐ!

手足口病は、特効薬がなく、基本的には自然に治るのを待つしかありません。特に、口の痛みがピークの数日間は、子どもも不機嫌になり、親も心身ともに疲弊してしまう、まさに“戦い”です。

でも、その痛みのピークは、必ず越えられます。この記事で紹介した食事の工夫やケアを試しながら、なんとか乗り切ってください。

次回は、『季節の感染症、完全攻略』シリーズの第2弾として、冬に大流行し、特に小さな赤ちゃんが重症化しやすい**「RSウイルス感染症」**について、詳しく解説していきます。