はじめに:「あれ?なんか体が大きくなってきた…」その変化に、あなたは気づいていますか?
「なんか、胸が大きくなってきた気がする…」
「声が低くなってきたって、友達に言われた…」
小学校高学年になると、子どもたちの体は、思春期に向けて少しずつ、でも確実に変化し始めます。それは、大人になるための大切なステップですが、子どもたちにとっては、戸惑いや不安、そして羞恥心を伴うものです。
親としては、「いつ話せばいいんだろう?」「何をどう伝えればいいんだろう?」と、悩んでしまうかもしれません。特に、性に関する具体的な質問になると、言葉に詰まってしまうこともあるでしょう。
こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。
私自身も、娘たちが小学校高学年になった頃、体の変化に関する質問が増え、どう答えるべきか悩んだ経験があります。でも、子どもたちが安心して自分の体の変化を受け入れ、健やかに成長していくためには、親が正しい知識を伝え、心の準備をさせてあげることが何よりも重要だと痛感しています。
この記事では、そんなあなたの不安に寄り添い、学童期(小学校高学年)の子どもに、思春期に起こる体の変化や心の変化について、どう伝えるか、性に関する具体的な質問にどう答えるかなど、親が知っておくべきポイントをママナースの視点から分かりやすく解説します。
さあ、お子さんの「自分を大切にする心」と「健やかな成長」をサポートするための一歩を、一緒に踏み出しましょう。
なぜ学童期(小学校高学年)に性教育が必要なの?~「心の準備」を促す時期~
小学校高学年になると、子どもたちは思春期に差し掛かり、心と体に大きな変化が訪れます。この時期に性教育を行うことには、以下のような重要な意味があります。
1.体の変化への心の準備を促す
思春期に起こる体の変化(第二次性徴)は、子どもたちにとって大きな戸惑いを伴います。事前に正しい知識を伝えることで、子どもたちは自分の体に起こる変化を自然なこととして受け入れ、心の準備ができます。
2.性に関する正しい知識を深める
インターネットや友人からの情報だけでなく、親から正しい知識を伝えることで、性に関する誤解や偏見を防ぎ、健全な性の認識を育むことができます。性感染症や避妊など、より具体的な知識の土台を作る時期でもあります。
3.性に関する悩みを相談できる関係を築く
この時期の子どもたちは、性に関する悩みを抱えやすくなります。親が性に関する話題をオープンに話す姿勢を見せることで、子どもは安心して親に相談できる関係を築くことができます。
<ママナースの視点>
この時期の子どもたちは、抽象的な思考ができるようになり、より具体的な情報や理由を求めるようになります。親は、子どもの知的好奇心に応えつつ、デリケートな話題には配慮しながら、オープンな対話を心がけることが大切です。
思春期の体の変化と心の準備の伝え方
小学校高学年の子どもに、思春期の体の変化と心の準備を伝える際のポイントです。
1.「みんなに起こる自然な変化だよ」~第二次性徴を伝える~
思春期に起こる体の変化(第二次性徴)は、個人差が大きいものです。子どもが不安を感じないよう、「みんなに起こる自然な変化だよ」「個人差があるから、早く始まる子もいれば、ゆっくり始まる子もいるよ」と伝えましょう。
- 女の子:
- 胸の膨らみ: 「女の子は、大きくなると胸が少しずつ膨らんでくるんだよ。赤ちゃんを育てるための準備なんだ」
- 初潮(生理): 「女の子は、大きくなると月に一度、体から血が出るようになるんだ。これは、赤ちゃんを産むための体の準備なんだよ。生理が始まったら、ママに教えてね。生理用品の使い方や、体のケアについて一緒に考えようね」
- 陰毛・脇毛の発生: 「お股や脇の周りに、毛が生えてくる子もいるよ。大人になるための体の変化なんだ」
- 男の子:
- 声変わり:: 「男の子は、大きくなると声が少し低くなるんだよ。喉仏も出てくるよ」
- 陰毛・脇毛の発生: 「おちんちんの周りや脇に、毛が生えてくる子もいるよ。大人になるための体の変化なんだ」
- 精通(夢精): 「男の子は、寝ている間に精子というものが体から出てくることがあるんだ。これは、赤ちゃんを作るための体の準備なんだよ」
- ポイント: 絵本や図鑑、性教育の動画などを活用し、視覚的に分かりやすく説明するのも効果的です。
2.「心の変化」にも寄り添う
思春期は、体だけでなく心も大きく変化する時期です。感情の起伏が激しくなったり、親に反抗的な態度をとったりすることもあります。
- ポイント: 「イライラしたり、悲しくなったり、感情が不安定になることもあるかもしれないね。それは、体が大人になる準備をしているからだよ。もし、つらいことがあったら、いつでもママやパパに話してね」と、子どもの感情に寄り添い、安心できる場所であることを伝えましょう。
- プライバシーの尊重: 子どものプライバシーを尊重し、一人の人間として扱う姿勢を見せましょう。部屋にノックしてから入る、日記やスマホを勝手に見ないなど、基本的なルールを守ることが信頼関係を築く上で重要ですし、子どもが性に関する悩みを相談しやすくなります。
性に関する具体的な質問にどう答える?~オープンな対話の継続~
小学校高学年になると、性に関する質問もより具体的になります。親が戸惑うような質問にも、オープンな姿勢で答えましょう。
1.「セックスって何?」~生命の営みとして伝える~
「セックスって何?」と聞かれたら、それは「命がどうやって生まれるのか」という、生命の営みについて知りたいという好奇心の表れです。
- ポイント: 「パパとママが大好きって気持ちで、体を寄せ合って、赤ちゃんが生まれるための大切な行為だよ」と、愛情を込めて伝えましょう。
- 具体的な説明: 「パパの体の中にある『精子』と、ママの体の中にある『卵子』が、ママの体の中で出会って、赤ちゃんになるんだよ。その精子と卵子が出会うために、パパとママが体を触れ合わせることをセックスというんだ」と、絵本や図鑑などを使いながら、具体的に説明しても良いでしょう。
- 「命の誕生」を強調: セックスは、単なる快楽ではなく、命を育むための大切な行為であることを伝えましょう。
2.「ポルノって何?」~正しい情報と危険性を伝える~
インターネットなどでポルノに触れる機会が増える時期でもあります。親が正しい情報と危険性を伝えることが重要です。
- ポイント: 「ポルノは、本当の性とは違うんだよ。人を傷つけたり、利用したりするような表現が含まれていることもあるから、見ない方がいいんだよ」と、明確に伝えましょう。
- 「嫌なものは見なくていい」: 「もし、嫌なものを見てしまったら、すぐにママやパパに教えてね。一人で抱え込まなくていいんだよ」と、子どもが安心して相談できる環境であることを伝えましょう。
- インターネットリテラシー: インターネット上の情報が全て正しいわけではないこと、不適切な情報から身を守る方法についても教えましょう。
3.「同性愛って何?」~多様な性を尊重する心を育む~
性には多様性があることを伝え、様々な性を尊重する心を育みましょう。
- ポイント: 「男の子が男の子を好きになったり、女の子が女の子を好きになったりすることもあるんだよ。人を好きになる気持ちは、誰にとっても大切な気持ちなんだ」と、多様な性を肯定的に伝えましょう。
- 「みんな違って、みんないい」: 人それぞれ、体の特徴も、好きな人も、感じ方も違うことを伝え、多様性を尊重する心を育みましょう。
日常生活でできる性教育~オープンな対話の習慣を継続~
性教育は、特別な時間や場所を設けて行うものではありません。日常生活の中で、オープンな対話の習慣を継続することが大切です。
1.絵本や図鑑、性教育の動画の活用
命の始まりや体の変化、性に関する多様性などを扱った絵本や図鑑、動画は、子どもに分かりやすく、親も伝えやすいツールです。
- ポイント: 親子で一緒に見て、疑問に思ったことや感じたことを話し合う時間を作りましょう。
2.ニュースや社会問題などをきっかけに
テレビ番組やニュースなどで性に関する話題が出た際に、それをきっかけに子どもと話す機会を作りましょう。
- ポイント: 「今、ニュースでこんなこと言ってたけど、どう思う?」「もし、〇〇ちゃんが同じ状況になったら、どうする?」などと、子どもの意見を聞き、一緒に考える時間を作りましょう。
3.親自身のオープンな姿勢と学びの継続
親が性に関する話題をタブー視せず、オープンに話す姿勢を見せることが、子どもが安心して質問できる環境を作ります。
- ポイント: 親自身も性に関する知識を学び続け、子どもからの質問に自信を持って答えられるように準備しましょう。性教育に関するセミナーや書籍などを活用するのも良いでしょう。
まとめ:思春期を乗り越えるための「心の羅針盤」としての性教育
学童期(小学校高学年)の性教育は、子どもが思春期という大きな変化の波を乗り越え、自分らしく生きていくための「心の羅針盤」となるものです。
完璧な性教育を目指す必要はありません。大切なのは、親が性に関する話題をオープンに話す姿勢を見せ、子どもの純粋な好奇心に応え、正しい知識を伝えることです。
子どもが安心して性に関する疑問や悩みを相談できる、そして、自分で考えて健康的な食生活を送れるような、揺るぎない信頼関係を築いてあげてください。
あなたのその愛情と、正しい知識が、お子さんの健やかな成長と、安全な未来を育む、何よりの力になります。