40℃の体温計に、心臓が凍り付くママたちへ
ピピピッ…!
夜中にふと、子どもの体の熱さに気づいて測った体温計。
そこに表示された「40.0℃」の数字に、血の気が引くような思いをした経験はありませんか?
「え、40℃!?どうしよう!」
「こんな高熱、脳がおかしくなっちゃうんじゃ…」
「救急車?いや、でも、夜中に連れて行くべきなの?」
頭の中はパニック。心臓はバクバク。
大丈夫、その気持ち、3姉妹の母であり、現役ナースの私でも、痛いほどわかります。我が子の苦しそうな姿を前に、冷静でいられる親なんていません。
でも、そんなパニック寸前のママにこそ、知っておいてほしいことがあるんです。
それは、子どもの場合、必ずしも「熱の高さ」と「病気の重さ」は比例しないということ。
今日は、慌てて救急外来に駆け込む前に、お家で冷静にチェックしてほしい「3つの観察ポイント」について、ママナースの視点から詳しくお話しします。
そもそも、なぜ熱が出るの?熱は「敵」ではなく「味方」です
まず、大前提として知っておいてほしいこと。
それは、発熱は体にとって「悪いもの」ではない、ということです。
熱が出るのは、体の中に侵入してきたウイルスや細菌と、体の免疫機能が一生懸命戦ってくれている証拠。体温を上げることで、免疫細胞を活性化させ、ウイルスたちの増殖を抑えている、いわば「体の防御反応」なのです。
ですから、むやみやたらに解熱剤で熱を下げてしまうと、かえって体の抵抗力を弱め、病気の回復を遅らせてしまうこともあります。
熱が高いからと焦るのではなく、「お、今、戦ってるんだな!」と、お子さんの体の頑張りを応援する気持ちでいてあげてください。
熱の高さより100倍大事!本当に見るべき「3つの観察ポイント」
では、熱の数字以外に、どこを見ればいいのか?
ポイントは、**「機嫌」「水分」「他の症状」**の3つです。
① 機嫌はどうか?(ぐったりしていないか)
これが最も大切なポイントです。
熱が40℃あっても、ケロッとしていて、笑ったり、おもちゃで遊んだり、おしゃべりしたりする元気があれば、ひとまずは安心。脳への影響などを過度に心配する必要はほとんどありません。
一方で、注意が必要なのは**「ぐったりしていて、活気がない」**場合です。
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 目がトロンとしていて、視線が合わない
- まったく遊ぼうとせず、横になってばかりいる
- 顔色が明らかに悪い(土気色、真っ青など)
このような場合は、熱の原因がただの風邪ではない可能性や、重度の脱水症状を起こしている可能性も考えられます。
② 水分はとれているか?(おしっこは出ているか)
子ども、特に赤ちゃんは、あっという間に脱水症状を起こします。発熱時に一番怖いのは、実は高熱そのものよりも「脱水」なのです。
水分が足りているかどうかの最もわかりやすいサインは**「おしっこ」**です。
- おしっこの回数:いつもより極端に少ない(半日以上出ていないなど)
- おしっこの色:色が濃い(オレンジ色に近いなど)
- 口の中や唇:カサカサに乾いている
- 泣いているのに涙が出ない
これらのサインが見られたら、脱水が進んでいる証拠。
イオン飲料や子ども用の経口補水液などを活用し、「少しずつ、こまめに」水分補給をさせてあげてください。母乳やミルクでも大丈夫です。
一度にたくさん飲ませようとすると吐いてしまうこともあるので、スプーンやスポイトで少量ずつ与えるのがおすすめです。
③ 他に症状はないか?(咳、嘔吐、発疹など)
熱以外の症状は、病気の原因を見極めるための重要な手がかりになります。
- 咳や鼻水:ひどい咳、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音はないか?
- 嘔吐や下痢:何度も繰り返し吐いていないか?下痢の回数や便の状態は?
- 発疹:体にブツブツは出ていないか?
- けいれん:白目をむいて、手足をガクガクさせていないか?
- 耳や頭、お腹など:どこか特定の場所を痛がっていないか?
特に、**「けいれん」「呼吸が苦しそう(肩で息をしている、顔色が悪い)」「嘔吐を繰り返し、水分が全く取れない」**といった症状がある場合は、夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診してください。
ママの「直感」を信じて
子どもの発熱は、親にとって本当に不安なものです。
でも、慌ててパニックになる前に、まずはこの3つのポイントを冷静に観察してみてください。
そして、何よりも大切にしてほしいのが、ママ自身の「なんだか、いつもと違う」という直感です。
毎日一番近くでお子さんを見ているママのその感覚は、どんな医学書よりも、どんなベテランの医師の診察よりも、鋭いことがあります。
「ポイントは当てはまらないけど、でも、なんだかおかしい…」
そう感じたら、どうか一人で抱え込まず、ためらわずに医療機関に相談してくださいね。
電話相談窓口(#8000など)を活用するのも良い方法です。
ママが少しでも安心して、お子さんの看病ができますように。心から応援しています。
