その瞬間、頭が真っ白に…あなたは、冷静でいられますか?
ぐったりと熱に浮かされる我が子。
その体が、突然、ビクンッと硬直し、白目をむいて、ガタガタと震えだす。
呼びかけても、反応はない。
時間は、まるで永遠のように感じられる…。
こんにちは。救命の現場も経験した、3児の母で現役ナースの皐月です。
何を隠そう、私自身、長女が1歳の時、この「熱性けいれん」を経験しました。
看護師として、知識はあったはずなのに。いざ我が子が目の前でけいれんを起こした瞬間、私の頭は完全に真っ白になり、救急車を呼ぶ手が、震えて止まりませんでした。
だから、あなたがパニックになるのは、当たり前。
でも、この記事を読めば、大丈夫。
結論:熱性けいれんは、その瞬間の「数分間」の親の行動が、子どもの予後を左右します。そして、その行動は、誰でも練習できます。
この記事は、あなたを怖がらせるためのものではありません。いざという時に、パニックにならず、お子さんのために最善の行動がとれるようになるための、**“心の防災訓練”**です。
- 【発作発生!】最初の1分で、絶対にやるべき事3つ
- 【絶対NG!】良かれと思って…やってはいけない危険な行動3つ
- 【運命の5分】救急車を呼ぶかどうかの判断基準フローチャート
- 【ママナースの視点】なぜ「時間を計る」のが、そんなに重要なのか?
この記事をブックマークしておけば、万が一の時、あなたと、あなたの大切な子どもを守る「お守り」になります。
そもそも「熱性けいれん」って何?怖いの?
熱性けいれんとは、**発熱(通常は38℃以上)が引き金となって起こる「けいれん発作」**のこと。脳がまだ未熟な、生後6ヶ月〜5歳くらいの子どもに起こりやすい現象です。
親にとっては、人生で最も恐ろしい光景の一つですが、まずこれだけは知っておいてください。
ほとんどの熱性けいれんは、後遺症もなく、命にも関わりません。
まずは、この事実を知っておくだけで、少しだけ冷静になれるはずです。
【発作発生!】その時、親がやるべき3つのこと
もし、お子さんがけいれんを起こしたら。パニックになりそうな気持ちをぐっとこらえて、以下の3つを、呪文のように唱えながら実行してください。
✅ 1:安全な場所に、体を「横向き」に
- まず、周囲の危険なもの(机の角、硬いおもちゃなど)から遠ざけます。
- そして、**体を「横向き」**にして寝かせてください。これは、嘔吐した時に、吐いたものが喉に詰まる(窒息)のを防ぐためです。これが最も重要です。
✅ 2:時間を計る
- スマホのタイマー機能を開き、けいれんが始まった瞬間から、ストップウォッチを開始してください。この「持続時間」が、後で医師が診断を下す上で、命を左右するほど重要な情報になります。
✅ 3:様子を観察する(動画を撮る)
- どんなけいれんか、冷静に観察します。「白目をむいているか」「手足は突っ張っているか、ガクガクしているか」「左右対称か」など。スマホで動画を撮る余裕があれば、それが何よりの医療情報になります。
【絶対NG!】良かれと思って…やってはいけない危険な行動3つ
パニックになると、ついやってしまいがちな行動。しかし、これらは子どもの状態を悪化させる危険があります。
❌ 1:大声で呼びかける、体を揺さぶる
- 意識を取り戻させようと、体を揺さぶったり、大声で名前を呼んだりするのは逆効果。強い刺激が、けいれんを長引かせてしまう可能性があります。静かに見守ってください。
❌ 2:口の中に指や物を入れる
- 昔は「舌を噛まないように」と、タオルなどを口に入れることがありましたが、これは**絶対にやってはいけません。**口の中を傷つけたり、呼吸を妨げたりする危険があります。熱性けいれんで舌を噛み切ることは、まずありません。
❌ 3:慌てて抱きしめる
- 抱きしめたい気持ちは痛いほど分かります。でも、けいれん中は、まず安全な場所に寝かせることが最優先です。発作が収まってから、優しく、たくさん抱きしめてあげてください。
【運命の5分】救急車を呼ぶかどうかの判断基準
けいれんが始まったら、時間を計りながら、以下のフローチャートに従って行動してください。
【けいれんが5分以内におさまった場合】
- 初めてのけいれんか?
- YES → 落ち着いて、かかりつけの小児科、または#8000(子ども医療電話相談)に電話して、指示を仰ぎましょう。(夜間であれば、救急外来の受診を指示されることが多いです)
- NO(2回目以降)→ 事前に主治医から指示されている対応(「けいれんが収まれば様子見でOK」など)に従いましょう。
【けいれんが5分以上続く場合】
- ためらわずに、すぐに救急車(119番)を呼んでください!
【その他、すぐに救急車を呼ぶべき状況】
- けいれんが左右非対称(体の片側だけなど)。
- けいれんが収まった後も、意識がはっきりしない。
- 短い間隔で、けいれんを繰り返す。
まとめ:正しい知識が、あなたと子どもを守る“お守り”になる
長女がけいれんを起こした後、私は自分を責めました。「看護師なのに、何もできなかった」と。
でも、後から思えば、あの時、私が無意識にやっていた「体を横向きにする」「時間を計る」という行動は、教科書通りの正しい対応でした。
パニックの中でも、体が動いた。それは、頭の片隅に「正しい知識」があったからです。
この記事を読んだあなたも、もう大丈夫。万が一の時、きっと冷静に行動できるはずです。
この「緊急対応マニュアル」を、スマホのブックマークやホーム画面に登録し、あなたとあなたの大切な家族を守る、「最高のお守り」にしてください。
