【ナースが解説】子どもの熱、おでこを冷やすのは間違い?本当に冷やすべき場所とは

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子どもの熱!とりあえず「熱さまシート」をおでこに…ちょっと待って!

お子さんが、急に熱を出した時。
真っ赤な顔で、ハァハァと、苦しそうな息をしている我が子を前に、ママやパパは、居ても立ってもいられませんよね。

「とにかく、少しでも楽にしてあげたい!」

その一心で、冷凍庫に常備してある「熱さまシート」を取り出し、ピタッと、おでこに貼ってあげる。
子育て家庭では、もう、おなじみの光景だと思います。

でも、3姉妹の母であり、現役ナースでもある私から、今日、皆さんに、少しだけ、衝撃的な事実を、お伝えしなければなりません。

実は、その**「おでこに貼る」という行為、熱を下げる、という点においては、ほとんど、意味がない**かもしれません…。

なぜ「おでこ」を冷やしても、熱は下がらないのか?

「え、だって、気持ちよさそうにしてるじゃない!」
そう思いますよね。

確かに、冷たいシートがおでこに触れることで、お子さんは、一時的に「気持ちいい」と感じるかもしれません。
でも、それは、あくまで「気休め」の効果。
体全体の熱(深部体温)を下げる効果は、残念ながら、ほとんど期待できないのです。

考えてみてください。
発熱は、体の中に侵入してきたウイルスや細菌と戦うために、脳にある「体温調節中枢」が、「体温を上げろ!」と、指令を出している状態です。

お風呂のお湯を、一生懸命、洗面器でかき出しても、蛇口が閉まらない限り、お湯が減らないのと同じで、体の表面である「おでこ」を、部分的に冷やしたところで、脳からの指令が変わらない限り、全身の熱は、下がらないのです。

本当に冷やすべきは、ここ!「太い血管」が通っている場所

では、どうすれば、効率的に、体の熱を、外に逃がしてあげることができるのでしょうか。
答えは、体の中を、ぐるぐると循環している「血液」そのものを、冷やしてあげること。

そのためには、皮膚の表面近くを、**「太い動脈」**が通っている場所を、集中的に冷やすのが、最も効果的なのです。

ナースが実践する!本当に効果的な「クーリング」3つのポイント

私が、病院の現場でも、そして、我が家でも、実践している、本当に効果的な「クーfing」のポイントは、3つです。

ポイント①:首のうしろ、そして、両脇の下

首のうしろや、両脇の下には、**頸動脈(けいどうみゃく)**や、**腋窩動脈(えきかどうみゃく)**といった、太い血管が、皮膚のすぐ下を走っています。
ここに、タオルで包んだ小さな保冷剤や、冷たいペットボトルなどを、そっと、当ててあげましょう。
冷やされた血液が、全身を巡ることで、体全体の熱を、効率的に、下げることができます。

ポイント②:足の付け根(そけい部)

足の付け根(股関節のあたり)にも、**大腿動脈(だいたいどうみゃく)**という、非常に太い血管が通っています。
ここも、絶好のクーリングポイント。
お子さんが、嫌がらない範囲で、優しく、冷やしてあげてください。

ポイント③:本人が「気持ちいい」と感じることが、大前提

ただし、何よりも大切なのは、お子さん本人が、冷やされることを、嫌がらないこと。
無理やり押さえつけて、冷やそうとすると、お子さんは、不快感から、泣き叫び、余計に体力を消耗してしまいます。
それでは、本末転倒。

「冷たくて、気持ちいいね」
「もし、嫌だったら、すぐに、言ってね」
と、優しく声をかけながら、本人が「気持ちいい」と感じる範囲で、行ってあげてください。

じゃあ、「熱さまシート」は、いつ使うの?

では、熱さまシートは、全くの無意味なのでしょうか?
そんなことは、ありません。

解熱効果は期待できなくても、お子さん自身が、おでこを冷やされることで、「気持ちいい」「楽になる」と感じているのであれば、気分転換として、使ってあげるのは、大いにアリです。

ただし、注意点が一つ。
特に、乳幼児に使用する際は、シートが、ずれて、鼻や口を塞いでしまい、窒息する危険性も、ゼロではありません。
使用する際は、絶対に、お子さんから、目を離さないように、くれぐれも、ご注意ください。

正しい知識が、親子の安心に繋がる

子どもの、突然の発熱。
親としては、本当に、心配で、不安ですよね。
でも、そんな時だからこそ、正しい知識が、親子の「お守り」になります。

熱を下げるなら、おでこ、ではなく、「首、脇の下、足の付け根」

この知識が、少しでも、熱と戦うお子さんと、必死で看病する、ママやパパの、助けになることを、心から、願っています。

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