大きな揺れが収まった後、しがみついて泣きじゃくる我が子を抱きしめながら、自分の心臓の音を聞いたことがありますか?
「怖かったね、大丈夫だよ」
そう声をかけながらも、親である私たち自身が、恐怖と不安で押しつぶされそうになっている。それが、災害のリアルですよね。
こんにちは!3人の娘を育てながら、看護師として働く皐月です。
看護師として、災害派遣の現場で目にしたのは、ケガや病気だけでなく、大好きなおもちゃや日常を奪われ、心を閉ざしてしまった子どもたちの姿でした。子どもの心は、大人が思う以上に繊細で、見えない傷を負っています。
この記事では、そんな極限状態でも、子どもの心を守り、笑顔を取り戻すための「心のケア」について、今すぐできる具体的な方法を、私の経験を元にお伝えします。
この記事でわかること
- 子どもが発している「心のSOS」を見抜くためのチェックリスト
- 道具がなくてもできる!子どもの心を安心で包む3つの魔法
- ママナースが厳選!防災リュックに入れるべき「心の非常食」
- 親の「大丈夫」が、子どもにとって最強のお守りになる理由
これってSOS?見逃さないでほしい「心のサイン」
災害後、お子さんにこんな変化はありませんか?これらは、子どもが「つらいよ」「不安だよ」と発している、言葉にならない心の叫びかもしれません。
- □ 赤ちゃん返り:急に指しゃぶりを始めたり、お漏らしをしたりする。
- □ 睡眠の変化:夜中に何度も起きたり、悪夢にうなされたり、寝つきが悪くなる。
- □ 感情の変化:ささいなことで激しく怒ったり、逆に全く感情を出さなくなったりする。
- □ 体の不調:頭痛やお腹の痛みを、頻繁に訴えるようになる。
- □ 過剰な甘え・執着:ママやパパから一瞬も離れようとしない。
一つでも当てはまったら、「おかしいな」ではなく、「サインを送ってくれているんだな」と受け止めて、いつも以上に寄り添ってあげてください。
【実践編】道具がなくても大丈夫!心を安心で包む3つの魔法
避難所には、おもちゃも絵本もないかもしれません。でも、あなた自身が、最強のケアグッズになります。
魔法①:とにかく、触れる(スキンシップ)
「手当て」という言葉があるように、人の手には、痛みを和らげ、心を落ち着かせる力があります。**抱きしめる、頭をなでる、背中をさする、手をつなぐ。**ただそれだけで、安心ホルモン「オキシトシン」が分泌され、子どもの心は「自分は守られている」と感じることができます。看護師としても、患者さんの手を握ることの大切さを日々実感しています。
魔法②:ひたすら、聞く(傾聴)
子どもが災害のことを話始めたら、決して遮らずに、ただ「うん、うん」「そうだったんだね」「怖かったね」と、相槌を打ちながら、最後まで聞いてあげてください。アドバイスや正論は、ここでは必要ありません。**「自分の気持ちを、ママは全部わかってくれた」**と感じることが、子どもの心を救います。
魔法③:「いつも通り」を、一つでも多く(ルーティン)
非日常の中で、一つでも「いつも通り」のことがあると、子どもは驚くほど安心します。可能であれば、食事の時間や、寝る時間を普段と同じにする、寝る前に必ず絵本を読む、など、おうちでのルーティンを一つでも再現してあげましょう。
【準備編】ママナース厳選!防災リュックに入れるべき「心の非常食」
ほんの少しの備えが、子どもの心を大きく救います。防災リュックの片隅に、ぜひ加えてください。
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✅ 折り紙・チラシ
かさばらず、無限の創造性を引き出せる最強のアイテム。何かを作ることに集中する時間は、不安を忘れさせてくれます。 -
✅ 小さなスケッチブックと丸いクレヨン
言葉にできない気持ちを、絵に描いて表現させてあげることも、大切な心のケア。「ぐるぐるーって描けたね」と、ただ受け止めてあげましょう。 -
✅ お気に入りの絵本一冊
何度も読んで、ボロボロになった絵本こそ、子どもにとって「日常」の象徴。最高の安心材料になります。 -
✅ 小さなぬいぐるみやお人形
いつも一緒に寝ている「相棒」の存在は、計り知れない安心感を子どもに与えてくれます。
まとめ:ママの「大丈夫」が、最強の防災グッズ
災害時、子どもが一番見ているのは、おもちゃの数でも、食事の内容でもありません。一番身近な、大好きなママやパパの表情です。
親が不安でいっぱいだと、子どもはもっと不安になります。もちろん、怖くて当たり前。でも、そんな時だからこそ、深呼吸して、意識して口角を上げてみてください。
あなたが笑顔で「大丈夫だよ」と抱きしめてくれること。それが、どんな防災グッズよりも、子どもの心を守る、最強の“お守り”になるのですから。
