夜中に、悪寒で目が覚める。全身がゾクゾクして、関節が痛い。そして、胸の一部が、まるで石のようにカチカチに張って、触れるだけで激痛が走る…。
「まさか、乳腺炎…?」
高熱でフラフラになりながら、それでも泣き叫ぶ赤ちゃんに、必死でおっぱいを差し出す。その時、心の中で「もう、授乳をやめたい…」と、そっと呟いてしまったあなた。
こんにちは!3人の娘を育てながら、看護師として働く皐月です。その気持ち、痛いほどわかります。私も、乳腺炎の激痛と高熱に、何度も何度も苦しめられてきました。あの時は、本当に「もう無理…」と、心が折れそうになりました。
乳腺炎は、ただの胸の痛みではありません。全身を襲うインフルエンザのような症状と、授乳への不安、そして赤ちゃんへの申し訳なさ…。ママの心と体を、容赦なく蝕んでいく、本当に辛い病気です。
でも、大丈夫。あなたは一人ではありません。この記事では、そんな乳腺炎のつらい症状を乗り切り、二度と繰り返さないための「緊急対応マニュアル」を、私の経験と看護師としての知識を総動員してお伝えします。
この記事でわかること
- 乳腺炎の「敵のサイン」を見逃さない!初期症状と原因
- 今すぐできる!つらい痛みを和らげる「応急処置」
- 「助けを呼ぶ」タイミングはいつ?病院に行く目安
- 二度と繰り返さないための「鉄壁の予防策」
🚨 敵のサインを見逃さない!乳腺炎の初期症状と原因
乳腺炎は、初期のサインを見逃さず、早めに対処することが何よりも大切です。
主な症状
- 胸の痛み・しこり:乳房の一部が赤く腫れて熱を持ち、触ると強い痛みを感じます。しこりができることも。
- 発熱・悪寒:38℃以上の高熱が出ることが多く、インフルエンザのように悪寒や関節痛を伴います。
- 全身倦怠感:体がだるく、起き上がるのも辛いほど。
主な原因
- 乳汁うっ滞:母乳が乳腺に溜まってしまうこと。授乳間隔が空きすぎたり、赤ちゃんがうまく吸えていなかったり、乳房が圧迫されたりすることが原因です。
- 細菌感染:乳頭の傷などから細菌が侵入し、炎症を起こすことがあります。
🧊 今すぐできる!つらい痛みを和らげる「応急処置」
乳腺炎の初期症状を感じたら、まずはこのセルフケアを試してみましょう。痛くて辛い時こそ、冷静に!
① 頻回授乳&授乳姿勢の工夫
- とにかく飲ませる!:赤ちゃんに頻繁に授乳し、母乳をしっかり出しましょう。痛い側から授乳することで、乳汁の排出を促します。
- 赤ちゃんの顎をしこりの方向へ:赤ちゃんの顎がしこりのある方向に向くように授乳すると、しこりが解消されやすいです。
② 乳房のマッサージ&冷却
- 優しくマッサージ:授乳中や授乳後に、しこりのある部分から乳頭に向かって優しくマッサージ。強く揉みすぎると悪化するので注意!
- 授乳後はしっかり冷やす:炎症を抑えるために、冷湿布や冷やしたタオルなどで乳房を冷やしましょう。キャベツの葉を冷やして貼るのも効果的です。
③ 休息と水分補給
- とにかく休む!:乳腺炎は体力を消耗します。家事や育児は家族に頼り、ママは横になって休みましょう。
- 温かい飲み物:脱水にならないよう、温かい飲み物でこまめに水分補給を。
《皐月の秘密兵器》
授乳後の冷却に、冷やしたキャベツの葉を試してみてください。キャベツには炎症を抑える成分が含まれており、ひんやり感が痛みを和らげてくれます。清潔な葉を軽く揉んで、乳房に直接貼るだけ。病院でも使われる、昔ながらの知恵ですよ。
📞 助けを呼ぶタイミングはいつ?病院に行く目安
セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、以下の症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
- 高熱(38.5℃以上)が続く、悪寒がひどい
- 乳房の痛みや腫れがひどくなる、赤みが広がる
- 乳房に膿が溜まっている、または乳頭から膿が出る
- 全身倦怠感が強く、日常生活に支障が出る
🛡️ 二度と繰り返さないための「鉄壁の予防策」
乳腺炎は、日頃のちょっとした心がけで予防できることが多いです。
- 規則正しい授乳:赤ちゃんが欲しがる時に欲しがるだけ授乳し、乳房が張りすぎないようにしましょう。
- 乳房を圧迫しない:締め付けのきつい下着や洋服は避け、特に寝る時はゆったりとしたものを選びましょう。
- バランスの取れた食事:脂っこいものや甘いものの摂りすぎは、乳腺炎のリスクを高めると言われています。
- 十分な休息:疲労やストレスは免疫力を低下させます。ママ自身の心と体を大切にしましょう。
まとめ:一人で抱え込まないで。あなたは、強い。
乳腺炎は、授乳中のママにとって本当に辛い経験です。痛みや高熱だけでなく、授乳への不安や、赤ちゃんへの申し訳なさなど、精神的な負担も大きいでしょう。
でも、あなたは一人ではありません。辛い時は、家族や友人、そして助産師さんや病院など、頼れる人に頼ることをためらわないでください。
「無理をしないこと」と「自分を大切にすること」。これが、ママナースとして、私があなたに一番伝えたいことです。
あなたの健康と笑顔が、赤ちゃんの健やかな成長に繋がる、何よりの栄養なのですから。
