「もう!どっちも悪い!」…その一言が、子どもの信頼を失うかもしれません
「ママ!お兄ちゃんが、僕のおもちゃ取った!」
「だって、僕が先に使ってたもん!」
リビングに響き渡る、きょうだいの怒鳴り声。
毎日、毎日、繰り返される、些細な喧嘩。
もう、うんざり。
いい加減にしてほしい。
そんな時、あなたは、つい、こう言ってしまっていませんか?
「もう!どっちも悪い!いい加減にしなさい!」
その気持ち、痛いほど、わかります。
3姉妹の母である私も、毎日、この「きょうだい喧嘩」という名の「社会性の練習試合」に、審判として駆り出され、疲弊してきました。
でも、ナースとして、そして、母として、たくさんの子どもたちと接してきた中で、私は、あることに気づいたんです。
それは、この「どっちも悪い!」という言葉が、子どもの信頼を失い、自己肯定感を傷つける可能性がある、ということ。
そして、喧嘩の根本的な解決には、全く繋がらない、と。
今日は、そんな、きょうだい喧嘩に悩むママへ。
親の信頼を失わず、子どもの自己肯定感を育むための、**「両者を立てる仲裁術」**について、お話しさせてください。
きょうだい喧嘩は「社会性の練習試合」。大切な学びの場です
まず、知っておいてほしいこと。
それは、きょうだい喧嘩は、決して「悪いこと」ではありません。
むしろ、子どもが、社会性を学ぶための、**非常に大切な「練習試合」**なのです。
きょうだい喧嘩を通して、子どもは、
- 感情のコントロール:自分の怒りや悲しみを、どう表現すればいいのか。
- 交渉術:自分の要求を伝え、相手の要求を聞き入れること。
- 共感力:相手の気持ちを想像し、理解すること。
- 問題解決能力:どうすれば、みんなが納得できる解決策を見つけられるのか。
など、生きていく上で必要な、様々なスキルを、身につけていきます。
だからこそ、親は、喧嘩を「止めさせる」ことばかりに注力するのではなく、
喧嘩を通して、子どもたちが、何を学んでいるのか、という視点を持つことが大切です。
「どっちも悪い!」が、なぜNGなのか?それは「親への不信感」に繋がるから
では、なぜ「どっちも悪い!」という言葉が、NGなのでしょうか。
この言葉は、親にとっては、「公平に判断している」つもりかもしれません。
しかし、子どもにとっては、
- 「ママは、私の気持ちをわかってくれない」
- 「ママは、私のことを信じてくれない」
- 「ママは、公平じゃない」
というメッセージとして、伝わってしまいます。
結果として、子どもは、親への不信感を抱き、
「どうせ、ママに言っても、わかってもらえない」
と、自分の気持ちを話すことを諦めてしまいます。
また、自分の気持ちを否定されたと感じ、自己肯定感が低下してしまう可能性もあります。
そして、何よりも、この言葉は、喧嘩の根本的な解決には繋がりません。
子どもたちは、「なぜ喧嘩になったのか」「どうすればよかったのか」を学ぶ機会を失ってしまうのです。
親の信頼を失わない!"両者を立てる"仲裁術3つのステップ
では、どうすれば、親の信頼を失わず、子どもの自己肯定感を育みながら、きょうだい喧嘩を仲裁できるのでしょうか。
ステップ1:まずは、それぞれの言い分を、最後まで聞く
どちらか一方の肩を持つのではなく、まずは、それぞれの言い分を、遮らずに、最後まで聞くことを意識しましょう。
「〇〇ちゃんは、どうしたの?」「△△ちゃんは、どう思ったの?」
と、一人ひとりに、丁寧に、耳を傾けます。
子どもは、自分の話を、親が真剣に聞いてくれている、と感じることで、安心し、自分の気持ちを、素直に話せるようになります。
ステップ2:それぞれの気持ちに共感する
それぞれの言い分を聞いたら、それぞれの気持ちを言葉にして、共感することが大切です。
「〇〇ちゃんは、おもちゃを取られて、悲しかったんだね」
「△△ちゃんは、先に使っていたのに、取られて、怒りたかったんだね」
と、子どもの感情を、親が、言葉にして、受け止めてあげるのです。
この共感が、子どもにとって、「ママは、私の気持ちをわかってくれる」という、大きな安心感に繋がります。
ステップ3:「どうすれば、みんなが納得できるかな?」と、解決策を一緒に考える
親が一方的に解決策を提示するのではなく、子どもたち自身に、解決策を考えさせることが重要です。
「どうすれば、みんなが納得できるかな?」
「次からは、どうしたら、喧嘩にならないかな?」
と、問いかけ、子どもたち自身に、話し合いを促します。
親は、あくまでファシリテーターとして、子どもたちが、自ら解決策を見つけられるように、サポートするのです。
このプロセスを通して、子どもたちは、問題解決能力や、交渉術を身につけていきます。
喧嘩の後の「フォロー」も大切
喧嘩が終わった後も、親の役割は終わりではありません。
「仲直りできてよかったね」
「お互いの気持ちを伝えられて、偉かったね」
と、子どもたちの努力を褒め、**「喧嘩を通して、成長できたこと」**を、言葉にして伝えてあげましょう。
きょうだい喧嘩は、親子の絆を深めるチャンス
きょうだい喧嘩は、親にとって、頭の痛い問題かもしれません。
しかし、それは、子どもたちが成長するための、大切なプロセスであり、親子の絆を深めるチャンスでもあります。
親は、審判ではなく、ファシリテーターとして、子どもたちが自ら解決策を見つけられるように、サポートすること。
その姿勢が、子どもの自己肯定感を育み、親子の信頼関係を深めるのだと、私は信じています。
