「また喧嘩してる…」そのイライラ、親の対応が火に油を注いでいるかも?
「キーッ!」「ギャーッ!」
おもちゃの取り合い、些細な一言…。毎日のように繰り返される、きょうだい喧嘩。
そのたびに、「いい加減にしなさい!」「お兄ちゃんなんだから、我慢しなさい!」と、つい感情的に怒鳴ってしまって、後から自己嫌悪…なんてことはありませんか?
実は、きょうだい喧嘩は、子どもたちが**社会性を学び、自分の感情をコントロールする練習をしている、大切な「成長の機会」**なのです。
しかし、親の仲裁の仕方を間違えると、子どもたちの不満を増幅させ、自己肯定感を傷つけ、歪んだ関係性を築いてしまう危険性も孕んでいます。
この記事では、心理カウンセラーの視点から、きょうだい喧嘩が起きた時に、親がやってはいけないNG対応と、子どもたちの心を育む「正しい仲裁のステップ」を具体的にお伝えします。
今すぐやめて!子どもの心を傷つける「NG仲裁」ワースト3
NG1:「どっちもどっちでしょ!」と、両成敗する
一見、公平に見えるこの対応。しかし、子どもたちからすれば、「僕の気持ちは聞いてもらえなかった」「どうせ分かってくれない」という不満と諦めしか残りません。それぞれの言い分を無視することは、子どもの心を無視することと同じです。
NG2:「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と、年長者を責める
これは、きょうだい育児で最もやってしまいがちな間違いです。この言葉は、上の子に「いつも僕(私)ばかり我慢しなきゃいけない」という理不尽な思いを抱かせ、下の子には「泣けば、お兄ちゃん(お姉ちゃん)のせいにできる」という悪知恵をつけさせてしまいます。年齢は、決して我慢の理由にはなりません。
NG3:親が「裁判官」になって、白黒つける
「先に手を出した方が悪い」「原因はあなたでしょ」と、親が善悪をジャッジしてしまうと、負けた方はもちろん、勝った方にも「親に言いつければ勝てる」という依存心が芽生えます。子どもたちが自分たちで解決する力を奪ってしまいます。
子どもの心を育む!正しい仲裁の4ステップ
では、どのように関わるのが正解なのでしょうか。親の役割は「裁判官」ではなく、子どもたちの気持ちを整理し、解決へと導く「通訳」や「ファシリテーター」です。
ステップ1:まずは物理的に引き離し、クールダウンさせる
喧嘩がヒートアップしている時は、何を言っても耳に入りません。まずは、「はい、ストップ!」「ちょっと離れよう」と、二人を物理的に引き離し、それぞれの気持ちが落ち着くのを待ちましょう。別の部屋に行かせるなど、場所を変えるのも有効です。
ステップ2:「一人ずつ」じっくり話を聞く(共感の姿勢で)
ここが最も重要なステップです。必ず、一人ずつ、マンツーマンで話を聞きます。
「そうか、あのブロックで遊びたかったんだね。取られて悲しかったんだね」(弟)
「そっか、一生懸命作っていたのに、壊されて悔しかったんだね」(兄)
ポイントは、**意見やアドバイスはせず、ただひたすら「そうだったんだね」と、子どもの気持ちに寄り添い、代弁してあげること(傾聴・共感)**です。自分の気持ちを親に受け止めてもらえた、と感じるだけで、子どもの興奮は半分以上収まります。
ステップ3:お互いの気持ちを「通訳」して伝える
それぞれの気持ちが落ち着いたら、今度は親が「通訳」になります。
「〇〇(弟)はね、あのおもちゃが使いたくて、貸してって言えなくて、取っちゃったんだって。悲しい気持ちにさせて、ごめんねって思ってるみたいだよ」
「〇〇(兄)はね、せっかく作ったのを壊されて、すごく悔しかったんだって」
親が間に入ることで、お互いを責めるのではなく、相手の気持ちを客観的に知ることができます。
ステップ4:どうすれば解決できるか、本人たちに考えさせる
「じゃあ、どうしたら、二人とも仲良く遊べるかな?」と、解決策を子どもたち自身に考えさせます。
「順番で使う?」「一緒に作る?」など、子どもたちなりの解決策が出てくるはずです。親は、そのアイデアを尊重し、もしうまく実行できたら、「二人で考えられて、えらかったね!」と、解決できたプロセスを褒めてあげましょう。
まとめ:きょうだい喧嘩は、最高の「心のトレーニング」
きょうだい喧嘩の仲裁は、時間も手間もかかり、親にとっては骨の折れる仕事です。
しかし、このプロセスを通じて、子どもたちは、
- 自分の感情を言葉にする力
- 相手の気持ちを想像する力
- 問題解決能力
といった、社会で生きていくために不可欠なスキルを学んでいきます。
感情的に怒鳴りつけるのではなく、子どもたちの「心のトレーニング」に付き合うような気持ちで、根気強く関わってみてください。その積み重ねが、きょうだいの強い絆と、自己肯定感の高い心を育んでいくのです。