「うちの子、人見知りで…」その一言で、子どもの才能に蓋をしていませんか?
公園や児童館で、他のママ友に会った時。
私の後ろに、ピタッと隠れて、決して顔を出そうとしない我が子。
「〇〇ちゃん、こんにちはは?」
そう促しても、さらに強く、私の服をギュッと握りしめるだけ。
「すみません、この子、人見知りで…」
私は、何度、この言葉を、謝るように口にしてきたでしょう。
周りの子たちが、元気よく挨拶したり、すぐに輪に入って遊んだりするのを見るたびに、
「うちの子、このままで大丈夫かしら…」
「社会に出て、やっていけるのかな…」
と、胸の奥が、チクリと痛みました。
でも、3姉妹を育て、ナースとして多くの子どもたちと接する中で、私はある確信を持つようになりました。
それは、親が「短所」だと思い込んでいる「人見知り」は、実は、とんでもない「才能」の原石かもしれない、ということです。
「人見知り」は「短所」ではなく、素晴らしい「個性」
私たちは、いつの間にか「活発で、社交的で、誰とでもすぐに打ち解けられる子が良い子だ」という、ぼんやりとした理想像に縛られてしまっています。
だから、その理想像から外れる我が子を見ると、不安になり、「直さなければ」と思ってしまう。
でも、ちょっと待ってください。
「人見知り」という言葉で、お子さんの素晴らしい個性を、ネガティブなものとして決めつけてしまってはいませんか?
「人見知り」は、見方を変えれば、
- 慎重で、軽率な行動をしない
- 周りをよく観察し、深く考えることができる
- 一度、心を許した相手とは、深く、誠実な関係を築ける
という、素晴らしい長所でもあるのです。
人見知りな子が、その内に秘めている「3つのすごい才能」
すぐに輪に入っていかない、その静かな時間の中で、人見知りな子は、実は、とてつもない能力を、グングンと伸ばしています。
才能①:鋭い「観察力」と「分析力」
すぐに輪に入っていかない分、人見知りな子は、周りの状況を、ものすごくよく観察しています。
「あの子は、ちょっと乱暴だな」
「あの子は、優しそうだな」
「先生は今、忙しそうだな」
誰がグループのリーダーで、誰がどんな性格で、今、この場がどんな空気なのか。
その場の力関係や雰囲気を、まるで探偵のように、冷静に分析しているのです。
これは、空気を読み、危険を回避する、非常に高度な社会的能力です。
才能②:深く、誠実な「人間関係構築力」
誰とでも広く浅く付き合うのではなく、自分が「この人だ」と心に決めた相手とだけ、じっくりと時間をかけて、信頼関係を築いていく。
それが、人見知りな子の特徴です。
友達の数は、多くないかもしれません。
でも、その一人ひとりと、深く、誠実に、長く付き合うことができます。
うわべだけではない、本物の友情を育むことができる、素晴らしい才能です。
才能③:一つのことに没頭できる「集中力」と「探求心」
人との交流に、過剰なエネルギーを使わない分、人見知りな子は、自分の内なる世界や、興味のある物事に、深く、深く、没頭することができます。
一人で黙々と、ブロックで壮大な作品を作り上げる。
図鑑の隅から隅まで読み込み、恐竜博士になる。
この、一つのことを深く掘り下げていく「探求心」と「集中力」は、将来、その子の専門性や、誰にも真似できないユニークな強みとなって、花開く可能性を秘めています。
親がすべきは「矯正」ではなく、才能を伸ばす「環境づくり」
では、この素晴らしい才能の芽を伸ばすために、親として何ができるのでしょうか。
それは、人見知りを無理に「直そう」とすることではありません。
1. 「あなたのペースでいいんだよ」という安全基地になる
「ほら、ご挨拶は!」「みんなの輪に入りなさい!」
と、子どもの背中を押すのは、逆効果。子どもは「今のままの自分はダメなんだ」と、自己肯定感を下げてしまいます。
「大丈夫、ママがそばにいるよ」「慣れるまで、ここにいようね」と、お子さんの気持ちに寄り添い、安心できる「安全基地」でいてあげましょう。
2. 小さな「できた!」を、一緒に喜ぶ
いきなり「みんなと遊んできなさい」ではなく、まずは「ママと一緒に、バイバイって手を振ってみようか」など、ほんの小さなスモールステップを用意してあげます。
そして、それができたら、「うわー!バイバイできたね!すごい!」と、満面の笑みで褒めてあげる。この「できた!」の積み重ねが、子どもの次の一歩を踏み出す勇気になります。
3. その子の「好き」な世界を、尊重し、応援する
一人で何かに没頭している時間は、その子の才能が、まさに伸びている「ゴールデンタイム」。
その時間を「一人でいて、かわいそう」などと思わず、最大限、尊重してあげてください。
そして、その子が好きなこと、得意なことを、さらに深く探求できるような、図鑑や材料を用意してあげるなど、そっと応援してあげましょう。
「人見知り」は、神様からのギフト
「うちの子、人見知りで…」
と、下を向くのは、もう今日でおしまいにしませんか?
これからは、こう、胸を張って言うのです。
**「うちの子、とっても慎重で、物事を深く考えるのが得意なんです」**と。
人見知りは、決して欠点ではありません。
それは、お子さんが持って生まれた、素晴らしい個性であり、才能の裏返し。
その神様からのギフトを、親の不安で摘み取ってしまわないように。
私たちは、その子のありのままを信じ、温かく見守ってあげたいですね。
