「急に体がガクガク震え出して、白目をむいて…!」
子どもが突然、熱性けいれんを起こしたら、ママ・パパはパニックになってしまいますよね。私も3姉妹の母として、長女が初めて熱性けいれんを起こした時は、目の前が真っ白になり、どうしていいか分からず、ただただ震える娘を見ていることしかできませんでした。「このまま死んでしまうんじゃないか」「脳に障害が残るのでは」と、不安でいっぱいになるのは当然のことです。
熱性けいれんは、乳幼児期に比較的よく見られる症状ですが、初めて経験するとその衝撃は計り知れません。しかし、熱性けいれんのほとんどは、脳に後遺症を残すことなく治まります。大切なのは、慌てずに適切な応急手当を行い、冷静に子どもの様子を観察することです。今回は、現役ママナースの私が、熱性けいれんが起きた時の応急手当、観察ポイント、そして医療機関を受診する目安について、私の経験も交えながら分かりやすく解説します。いざという時に、落ち着いて対応できる知識を身につけておきましょう。
熱性けいれんって何?なぜ起こるの?
熱性けいれんは、主に生後6ヶ月から5歳くらいまでの乳幼児が、急な発熱に伴って起こすけいれんです。脳が未熟なため、急激な体温の上昇に脳が過剰に反応して起こると考えられています。
熱性けいれんの特徴
- 発熱に伴う: 38℃以上の発熱時に起こることがほとんどです。
- 全身性: 体全体がガクガクと震えたり、硬直したりします。
- 意識障害: 呼びかけに反応しない、目が一点を見つめる、白目をむくなどの意識障害が見られます。
- 持続時間: ほとんどの場合、数分以内(5分以内)に治まります。長くても15分以内です。
- 後遺症: ほとんどの場合、脳に後遺症を残すことはありません。
- 再発: 約30~40%の子どもが、一度熱性けいれんを起こすと、再び起こす可能性があります。
熱性けいれんが起きたら、慌てないための応急手当
子どもがけいれんを起こしているのを見ると、パニックになってしまうのは当然です。しかし、以下のポイントを覚えておけば、冷静に対応できます。
1. まずは落ち着いて、安全を確保する
- 安全な場所に移動: 周囲に危険なものがないか確認し、頭をぶつけないように、平らで安全な場所に移動させましょう。硬い床であれば、タオルやクッションなどを頭の下に敷いてあげてください。
- 体を揺らさない: けいれん中に体を揺らしたり、抱きしめたりすると、かえってけいれんを悪化させる可能性があります。優しく見守りましょう。
- 口の中に物を入れない: 舌を噛むのを防ごうと、口の中に指やタオルなどを入れるのは絶対にやめましょう。窒息や、指を噛まれる危険があります。
2. けいれんの様子を観察する
- 時間を計る: けいれんが始まった時間と終わった時間を正確に計りましょう。持続時間は、医療機関を受診する際の重要な情報になります。
- けいれんの様子: けいれんの始まり方(全身か、体の一部か)、体の震え方、目の動き、顔色、呼吸の状態などをよく観察しましょう。可能であれば、動画で撮影しておくと、医師に正確な情報を伝えられます。
- 熱を測る: けいれんが治まったら、熱を測りましょう。
3. けいれんが治まったら
- 横向きに寝かせる: けいれんが治まったら、吐いたものが喉に詰まらないように、顔を横向きにして寝かせましょう。衣服を緩めて、呼吸を楽にしてあげてください。
- 呼びかけに反応するか確認: 意識が戻り、呼びかけに反応するか確認しましょう。けいれん後は、眠ってしまったり、ぼーっとしたりすることが多いですが、徐々に意識が回復します。
- 水分補給: 意識がはっきりしたら、少量ずつ水分を摂らせましょう。
医療機関を受診する目安
熱性けいれんのほとんどは、緊急性が低いものですが、中にはすぐに医療機関を受診すべきケースもあります。以下の場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。
救急車を呼ぶべきケース
- けいれんが15分以上続く場合: 長時間続くけいれんは、他の病気の可能性も考えられます。
- けいれんが止まっても、意識が戻らない、または意識レベルが低下している場合: 呼びかけに全く反応しない、ぐったりしているなど。
- けいれんが左右対称ではない、または体の一部だけがけいれんしている場合:
- けいれんを繰り返す場合: 短時間のうちに何度もけいれんを起こす場合。
- 生後6ヶ月未満の乳児の場合: 熱性けいれんの可能性もありますが、他の病気の可能性も考慮されます。
- けいれん後、麻痺などの症状が見られる場合:
- 頭を強く打った後など、けいれんの原因が明らかな場合:
医療機関を受診すべきケース(救急車を呼ぶほどではないが、早めに受診)
- 初めての熱性けいれんの場合: 診断を確定し、今後の対応について医師から説明を受けるためにも、一度は受診しましょう。
- けいれんが治まったが、いつもと様子が違う場合: ぐったりしている、元気がない、食欲がないなど。
- けいれんの持続時間が5分以上15分未満の場合:
- 熱性けいれんの既往があるが、今回のけいれんの様子がいつもと違う場合:
ママナースからのメッセージ:不安な時は、いつでも頼って
子どもがけいれんを起こす姿を見るのは、親にとって本当に辛い経験です。私も、あの時の娘の姿は今でも鮮明に覚えています。しかし、熱性けいれんのほとんどは、適切な対応をすれば心配いりません。
大切なのは、一人で抱え込まず、不安な時はいつでも医療機関や地域の相談窓口に頼ることです。かかりつけ医に、熱性けいれんを起こした時の対応について事前に相談しておくのも良いでしょう。私たちママナースも、皆さんの子育てを心から応援しています。いざという時に、落ち着いて対応できる知識を身につけて、安心して子育てを楽しみましょう!