朝、シーツの冷たさに、ため息をついていませんか?
朝の光の中、シーツに広がったおねしょの跡を発見した時の、あの、がっかりした気持ち…。
「またか…」
つい、そんな言葉が口から漏れてしまう。濡れたシーツやパジャマを片付けながら、イライラと自己嫌悪の波が押し寄せてくる。そんな経験、ありませんか?
子どものおねしょは、親にとっても、そして何より、子ども自身にとっても、デリケートで辛い問題です。
でも、まずこれだけは知ってください。おねしょは、しつけの問題ではありません。本人のやる気がないわけでも、親の育て方が悪いわけでも、決してないのです。
こんにちは。3人の娘を育てながら、ナースとして働く皐月です。
今日は、おねしょの本当の原因と、親子で笑顔で「卒業」を目指すための、具体的なサポート方法についてお話しします。
なぜ?おねしょの「3つの原因」を知れば、ママはもっと優しくなれる
おねしょの主な原因は、体の機能がまだ成長の途中だから。大きく分けて、3つの理由があります。
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夜間の尿量が多い
夜間に作られる尿の量を減らす「抗利尿ホルモン」というホルモンの分泌が、まだ不安定なため、夜間もたくさんのおしっこが作られてしまいます。 -
膀胱がまだ小さい
作られたおしっこを、朝まで溜めておけるだけの膀胱の大きさが、まだ十分にないのです。 -
尿意で目覚められない
膀胱がいっぱいになっても、「おしっこがしたい!」という信号で目を覚ます脳の機能が、まだ未熟なのです。
つまり、おねしょは「わざと」ではなく、「体の仕組み」の問題。そう理解するだけで、親の心はぐっと楽になりませんか?
【ママナースの処方箋】今日からできる、おねしょサポート術
おねしょ卒業のために、親ができることは「トレーニング」ではなく「サポート」です。
処方箋①:【最重要】焦らない、叱らない、比べない
これが、おねしょサポートの鉄則です。
おねしょをしてしまった朝は、淡々と後片付けをしましょう。そして、「大丈夫だよ」「気にしないで」と、お子さんを安心させてあげてください。
他の子と比べるのも絶対にNG。「〇〇ちゃんはもうしないのに」という言葉は、子どもの自尊心を深く傷つけます。
処方箋②:夜の「お約束」を習慣にする
無理のない範囲で、生活習慣を見直してみましょう。
- 夕食後の水分はコップ1杯まで。 ただし、喉が渇いているのを我慢させる必要はありません。
- 寝る前に、必ずトイレに行くことを、毎日の習慣にしましょう。
- 体を冷やさない。 寝る前にお風呂でしっかり温まる、腹巻をするなど、体が冷えると尿意を感じやすくなるのを防ぎます。
処方箋③:ママの「イライラ」を減らす環境づくり
おねしょの後片付けは、本当に大変ですよね。親のストレスを減らす工夫も、大切なサポートの一環です。
- 防水シーツ(おねしょシーツ)を活用する。 これがあるだけで、「布団まで濡れたらどうしよう…」というストレスが激減します。
- 替えのパジャマや下着を、枕元に置いておく。 夜中に濡れても、すぐに着替えられるように準備しておくとスムーズです。
これはNG!おねしょを悪化させる「やってはいけない行動」
良かれと思ってやっていることが、逆効果になることもあります。
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夜中に無理やり起こしてトイレに行かせる
深い睡眠を妨げ、成長ホルモンの分泌や、尿意で目覚める脳の成長を邪魔してしまいます。 -
叱る・罰を与える
「おねしょしたら、ゲーム禁止!」などは最悪の対応です。子どもに過度なストレスを与え、症状を悪化させる原因になります。 -
プレッシャーをかける言葉
「もう小学生なんだから」「明日はお泊まり会だから、絶対しないでね」といった言葉は、子どもを追い詰めるだけです。
もしかして?病院に相談した方が良いケース
基本的には、成長とともに自然となくなっていくおねしょですが、以下のような場合は、一度かかりつけの小児科や泌尿器科に相談してみることをお勧めします。
- 小学生になっても、週に数回以上おねしょが続く
- 一度おねしょがなくなったのに、また始まってしまった(二次性夜尿症)
- 昼間にも、おもらしをすることがある
- おしっこをする時に痛がるなど、他の症状がある
専門的な治療(内服薬やアラーム療法など)で、改善することもあります。
最後に。ゴールは「親子で笑える朝」
おねしょの卒業は、身長が伸びるのと同じで、一人ひとりペースが違います。
親が焦らず、「大丈夫、大丈夫」とどーんと構えていることが、子どもにとって何よりの安心材料になります。
シーツが濡れていない朝、「できたね!」と親子でハイタッチできる日が来るのを、笑顔で待ってあげましょう。
その日は、あなたが思っているより、きっとすぐそこまで来ていますよ。
