【ママナースが解説】子どもの窒息・やけど!命を守る応急処置と受診の目安

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「うっ…!」
さっきまで笑っていたわが子が、急に顔を真っ赤にして喉を押さえている。

「熱いっ!!」
手を伸ばした先には、倒れたマグカップと、泣き叫ぶわが子。

子育ての中で、親が最も血の気が引く瞬間。それは、窒息やけどといった、一刻を争う「家庭内の事故」ではないでしょうか。
パニックで頭が真っ白になり、「どうしよう、どうしよう」と、ただただ我が子を抱きしめることしかできなかった…そんな経験はありませんか?

こんにちは!小児科や救命救急の現場で、数えきれないほどのヒヤリハットを経験してきた、現役ママナースの皐月です。

断言します。子どもの事故は、どれだけ気をつけていても、100%は防げません。大切なのは、予防策を知っておくこと。そして、万が一事故が起こってしまった時に、親であるあなたが、冷静に、正しい応急処置を行えるかどうか。 その数分間の行動が、お子さんの一生を左右することもあるのです。

この記事は、あなたと、あなたの大切なお子さんのための「お守り」です。いざという時に、自信を持って行動できるよう、窒息とやけどの正しい応急処置と、救急車を呼ぶべきかどうかの判断基準を、どこよりも分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 【窒息】命を救うための「背部叩打法」と「腹部突き上げ法」
  • 【やけど】跡を残さないための「とにかく冷やす」という鉄則
  • 救急車を呼ぶべきか?病院に行くべきか?の明確な判断基準
  • 今日からできる、家庭内の事故を未然に防ぐための予防策

この記事を読めば、もう「どうしよう」と立ち尽くすことはありません。お子さんの命を守る知識を、今、身につけましょう。

Part 1:窒息 ― 1分1秒が命を分ける

ミニトマト、パン、おもちゃの部品…子どもの周りには、窒息の原因となるものがたくさん潜んでいます。窒息は、脳に酸素が届かなくなり、数分で命に関わる、最も緊急性の高い事故の一つです。

これって窒息?見逃してはいけない危険なサイン

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【結論】「声が出せない」「咳ができない」「顔色が悪い」は、非常に危険なサインです。

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  • 共通のサイン(チョークサイン): 両手で喉をつかむようなしぐさ
  • 急に声が出せなくなる、泣き声も出ない
  • 激しく咳き込む、または弱い咳しかできない
  • 呼吸が苦しそう(ゼーゼー、ヒューヒューという音)
  • 顔色が悪くなる(真っ青、紫色になる)
  • 意識を失い、ぐったりする

【窒息の応急処置】ためらわず、すぐに実行!

上記のサインが見られたら、大声で助けを呼びながら、すぐに以下の処置を開始してください。

① 背部叩打法(はいぶこうだほう)

【1歳未満の乳児の場合】

  1. 片腕に赤ちゃんをうつ伏せに乗せ、手のひらで赤ちゃんのあごを支えます。
  2. 頭が体より低くなるように傾け、もう片方の手の付け根で、肩甲骨の間を力強く5回叩きます。

【1歳以上の幼児の場合】

  1. 子どもの後ろから片腕を回して胸を支え、体を前屈みにさせます。
  2. もう片方の手の付け根で、肩甲骨の間を力強く5回叩きます。

② 胸部突き上げ法(1歳未満) or 腹部突き上げ法(1歳以上)

【1歳未満の乳児の場合(胸部突き上げ法)】

  1. 背部叩打法で異物が出なければ、赤ちゃんを仰向けにし、頭を低く保ちます。
  2. 乳首と乳首を結んだ線の少し下を、指2本で力強く5回圧迫します。

【1歳以上の幼児の場合(腹部突き上げ法/ハイムリック法)】

  1. 子どもの後ろに回り、ウエストに両腕を回します。
  2. 片手で握りこぶしを作り、おへその少し上に当てます。
  3. もう片方の手でそのこぶしを握り、自分の体に向かって、素早く上方向に圧迫します。

<皐月の最重要メモ>

  • ①と②を、異物が出るか、意識がなくなるまで、繰り返し行ってください。
  • 意識がなくなったら、すぐに心肺蘇生(心臓マッサージと人工呼吸)を開始し、119番通報!
  • 口の中に指を入れて異物をかき出そうとするのは、さらに奥に押し込む危険があるので絶対にやめましょう。

Part 2:やけど ― 跡を残さない鍵は「すぐ冷やす」

熱いお味噌汁、炊飯器の蒸気、ヘアアイロン…家庭内にはやけどの危険がいっぱいです。子どもの皮膚は大人より薄く、重症化しやすい特徴があります。

やけどの重症度、どう見分ける?

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【結論】水ぶくれができたら「中等症(Ⅱ度)」。すぐに病院へ!

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  • 軽症(Ⅰ度): 皮膚が赤くなり、ヒリヒリ痛む。
  • 中等症(Ⅱ度): 水ぶくれ(水疱)ができる。 強い痛みがある。
  • 重症(Ⅲ度): 皮膚が白くなったり、黒く焦げたりする。神経が壊死し、痛みを感じないこともある。最も危険な状態。

【やけどの応急処置】とにかく冷やす!これ一択!

やけどをしたら、何よりもまず「冷やす」こと。これにより、やけどの進行を止め、痛みを和らげ、跡が残るリスクを減らすことができます。

  1. すぐに流水で冷やす
    服を着ているなら、服の上からでOK! とにかくすぐに、水道の流水で最低15分〜20分は冷やし続けてください。
  2. 清潔なもので覆う
    冷やした後は、清潔なガーゼやタオル、ラップなどで優しく覆い、乾燥と細菌感染を防ぎます。
  3. 病院を受診する
    冷やしながら、すぐに病院へ向かう準備を。

<皐月の最重要メモ>

  • 水ぶくれは、絶対に潰さないで! 細菌感染の原因になります。
  • アロエ、味噌、油などを塗るのは絶対にNG! 感染のリスクを高め、治療の妨げになります。
  • 氷や保冷剤を直接当てるのは、凍傷のリスクがあるので避け、タオルなどで包んでから使いましょう。
  • 子どもの手のひら以上の広範囲のやけど、Ⅲ度のやけど、顔や関節、陰部のやけどは、すぐに救急車を呼んでください!

まとめ:知っているだけで、救える命がある

子どもの事故は、親にとって何よりも怖いものです。
しかし、今日あなたが学んだ応急処置は、いざという時にわが子の命と未来を守るための、何よりの武器になります。

日頃から危険なものを子どもの手の届く場所に置かない、食事中は目を離さないといった予防を徹底すること。そして、万が一の時には、この記事を思い出して、冷静に行動してください。

あなたの正しい知識と、迅速な判断が、お子さんの笑顔を守ります。この知識が、あなたとご家族の「お守り」となることを、心から願っています。

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