「ママ、鼻血でたー!」

遊びに夢中だった我が子が、ポタポタと赤い血を垂らしながら駆け寄ってくる…。
そんな時、あなたはドキッとして、つい焦ってしまいませんか?

「早く止めなきゃ!」と、ティッシュを丸めて鼻に詰めたり、「上を向いて!」と声をかけたり…。
実はそれ、良かれと思ってやっている、よくあるNG対応なんです。

こんにちは!3人の娘を育てながら、救急外来での勤務経験もある現役看護師の皐月です。

子どもの鼻血は、ほとんどの場合、心配いりません。
でも、正しい止め方を知らないと、なかなか止まらなかったり、子どもに余計な不快感を与えてしまったりすることも。

この記事では、子どもの鼻血の「本当に正しい止め方」と、ついやってしまいがちなNG対応、そして病院を受診すべき危険な鼻血の見分け方を、誰でもできるように分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • そもそも、なぜ子どもは鼻血を出しやすいの?
  • 【完全版】ママナースが教える!鼻血の正しい止め方4ステップ
  • 上を向くのはダメ!絶対やってはいけない3つのNG対応
  • ただの鼻血じゃないかも?病院を受診すべき危険なサイン

この記事を読めば、もう大丈夫。いざという時に慌てず、冷静に対処できる「頼れるママ」になりましょう!

なぜ?子どもは鼻血を出しやすいの?

結論:鼻の入り口の血管が、弱くて傷つきやすいから。

子どもが鼻血を出しやすいのには、ちゃんと理由があります。

  • 鼻の粘膜がデリケート: 子どもの鼻の入り口付近には、「キーゼルバッハ部位」という、細い血管がたくさん集まっている場所があります。この部分の粘膜が大人より薄く、とてもデリケートなんです。
  • 物理的な刺激: 鼻をほじる、強く鼻をかむ、どこかにぶつける、といったちょっとした刺激で、このキーゼルバッハ部位の血管が簡単に傷ついてしまいます。
  • 乾燥やアレルギー: 空気が乾燥する冬や、アレルギー性鼻炎で鼻の粘膜が荒れている時も、出血しやすくなります。

つまり、子どもの鼻血のほとんどは、病気ではなく、鼻の入り口からの「ケガ」のようなもの。だから、慌てなくて大丈夫なんですよ。

【決定版】鼻血の正しい止め方4ステップ

結論:座って、うつむいて、小鼻をつまんで、10分待つ!

さあ、ここが一番大切なポイントです。呪文のように覚えてくださいね。

ステップ1:座って、少し下を向かせる

まず、お子さんを座らせて落ち着かせ、「大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげましょう。
そして、顔を少し下向きにさせます。こうすることで、血液が喉に流れ込むのを防ぎ、飲み込んで気持ち悪くなるのを防ぎます。

ステップ2:小鼻を、親指と人差し指でつまむ

鼻の硬い骨の部分ではなく、**翼のように広がっている柔らかい部分(小鼻)を、親指と人差し指で「ぎゅーっ」**と強くつまみます。洗濯ばさみで挟むようなイメージです。ここが出血しているキーゼルバッハ部位なので、しっかり圧迫することが重要です。

ステップ3:そのまま10分間、圧迫し続ける

ここが我慢のしどころ!
「止まったかな?」と途中で手を離したくなりますが、最低でも10分間は、つまんだままにしてください。途中で圧迫をやめると、固まりかけた血の塊(かさぶたの赤ちゃん)が剥がれて、また出血してしまいます。

ステップ4:口で呼吸するように伝える

鼻をつまんでいる間は苦しいので、「お口でハーって息をしてね」と、口呼吸を促してあげましょう。

絶対にダメ!やりがちな3つのNG対応

❌ 上を向かせる

昔からよく言われますが、これは完全に間違いです。血液が喉に流れ込み、それを飲み込んでしまうと、吐き気の原因になります。

❌ ティッシュを奥まで詰める

ティッシュを詰めると、取り出す時にせっかく固まった血の塊を剥がしてしまい、再出血の原因になります。垂れてくる血を鼻の入り口で軽く拭う程度にしましょう。

❌ 首の後ろをトントン叩く

「叩くと止まる」というのも、医学的根拠のない迷信です。刺激になるだけなので、やめましょう。

こんな時は病院へ!受診を考えるべき鼻血のサイン

ほとんどの鼻血は心配いりませんが、以下のような場合は、耳鼻咽喉科や小児科を受診してください。

  • 20分以上、正しく圧迫しても血が止まらない
  • 鼻血が頻繁に(週に何度も)起こる
  • 顔を強くぶつけるなど、明らかな大怪我の後に鼻血が出た
  • 鼻血以外の場所からも出血しやすい(歯茎など)、あざができやすい

特に、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合や、血が止まりにくい病気がある場合は、早めに医師に相談しましょう。

まとめ:正しい知識が、ママと子どものお守りになる

突然の鼻血は、見た目も派手でびっくりしますが、正しい対処法を知っていれば、何も怖いことはありません。

「座って、うつむいて、小鼻をつまむ」

この3つを覚えておくだけで、あなたはもう、いざという時に慌てない「頼れるママ」です。
正しい知識は、不安な気持ちを安心に変えてくれる、最強のお守りになりますよ。