ナースの知恵

【ナースの知恵】子どもの鼻血、慌てないで!下を向かせて小鼻をギュッ。上を向かせるのはNGです

子どもが突然鼻血を出した時、あなたは、どう対応していますか?

「ママ!鼻血が出たー!」
突然、子どもが鼻から血を流しながら、泣きながら駆け寄ってきた。

  • 慌てて、上を向かせる。
  • ティッシュを丸めて、鼻の穴に詰める。
  • 首の後ろを叩く。

そんな対応を、していませんか?
その気持ち、痛いほど、わかります。
私も3姉妹の母として、何度も、その状況に直面し、どうしていいかわからず、慌てていました。

でも、ナースとして、たくさんの子どもたちと接してきた経験から、
そして、母として、子育てをしてきた中で、私は、あることに気づいたんです。

それは、慌てて上を向かせたり、ティッシュを詰めたりするのは、実はNG行為だということ。
そして、子どもの鼻血には、正しい止血法があるのだ、と。

今日は、そんな、子どもの鼻血に慌てないための、正しい止め方と、絶対にやってはいけないNG行為、そして、病院に行くタイミングについて、ナースの視点から、お話しさせてください。

子どもの鼻血、なぜ起こる?原因とメカニズム

子どもの鼻の粘膜は、大人に比べて非常にデリケートで、毛細血管が豊富に走っています。
そのため、ちょっとした刺激で、簡単に鼻血が出てしまいます。

主な原因としては、

  • 鼻いじり:指で鼻をいじることで、粘膜が傷つく。
  • 乾燥:空気が乾燥していると、粘膜が乾燥し、傷つきやすくなる。
  • アレルギー性鼻炎:鼻炎で鼻をかんだり、こすったりすることで、粘膜が傷つく。
  • 風邪:鼻炎や鼻詰まりで、鼻をかむ回数が増えたり、粘膜が炎症を起こしたりする。
  • 打撲:鼻をぶつけたり、転んだりすることで、鼻の粘膜が傷つく。

などが挙げられます。
ほとんどの場合、これらの原因によるもので、心配のない鼻血がほとんどです。

慌てないで!正しい鼻血の止め方3つのステップ

子どもが鼻血を出した時、慌てずに、以下の3つのステップで対応しましょう。

ステップ1:下を向かせる

まず、子どもを座らせて、少し下を向かせましょう。
これは、血液が喉に流れ込むのを防ぎ、誤嚥(ごえん)や吐き気を予防するためです。
上を向かせると、血液が喉に流れ込み、吐き気を催したり、気管に入ってむせたりする危険があります。

ステップ2:小鼻をギュッと押さえる

鼻の骨の柔らかい部分(小鼻)を、親指と人差し指で、しっかりと押さえましょう。
鼻の付け根の硬い部分ではなく、鼻の穴のすぐ上の、柔らかい部分です。
ここには、鼻血の原因となる血管が集まっています。

ステップ3:5分〜10分間、押さえ続ける

途中で離さず、5分〜10分間、しっかりと押さえ続けましょう。
子どもが嫌がっても、「あと少しだよ」「頑張ろうね」と励ましながら、押さえ続けることが大切です。
途中で離してしまうと、血が止まりにくくなります。
この間、子どもには、口で呼吸するように促しましょう。

絶対にやってはいけないNG行為

子どもの鼻血が出た時に、ついやってしまいがちなNG行為があります。

NG行為1:上を向かせる

前述の通り、血液が喉に流れ込み、誤嚥や吐き気を引き起こす危険があります。

NG行為2:ティッシュを詰める

ティッシュを鼻の穴に詰めても、止血効果は薄いです。
また、抜く時に、固まった血の塊と一緒に、粘膜を傷つけてしまい、再び出血する原因になることがあります。

NG行為3:首を叩く

これは、昔から言われている迷信であり、止血効果は全くありません。
むしろ、子どもを驚かせたり、不安にさせたりするだけです。

病院に行くタイミングと、予防策

ほとんどの鼻血は、家庭での正しい止血法で止まりますが、以下のような場合は、医療機関を受診しましょう。

病院に行くタイミング

  • 20分以上、止血を続けても血が止まらない場合。
  • 頻繁に鼻血が出る場合。
  • 大量に出血している場合。
  • 顔色が悪い、ぐったりしているなど、子どもの様子がおかしい場合。
  • 鼻血と一緒に、他の症状(発熱、頭痛など)がある場合。

予防策

  • 鼻いじりをやめさせる:子どもの癖になっている場合は、優しく注意し、鼻をいじらないように促しましょう。
  • 加湿する:空気が乾燥している時期は、加湿器を使ったり、濡れタオルを吊るしたりして、部屋の湿度を保ちましょう。
  • 鼻の保湿をする:ワセリンなどを綿棒で鼻の入り口に塗ることで、粘膜の乾燥を防ぐことができます。
  • アレルギー対策をする:アレルギー性鼻炎がある場合は、適切な治療を行いましょう。

正しい知識が、子どもの安全を守る

子どもの鼻血は、ママにとって、心配の種です。
しかし、正しい止血法を知っていれば、慌てずに対応できます。

下を向かせて、小鼻をギュッと押さえる。
この正しい知識が、子どもの安全を守り、ママの不安を和らげる、何よりの力になります。
不安な時は、一人で抱え込まず、いつでも、医療機関や、専門家を頼ってくださいね。

【ナースが解説】子どもの熱、おでこを冷やすのは間違い?本当に冷やすべき場所とは

子どもの熱!とりあえず「熱さまシート」をおでこに…ちょっと待って!

お子さんが、急に熱を出した時。
真っ赤な顔で、ハァハァと、苦しそうな息をしている我が子を前に、ママやパパは、居ても立ってもいられませんよね。

「とにかく、少しでも楽にしてあげたい!」

その一心で、冷凍庫に常備してある「熱さまシート」を取り出し、ピタッと、おでこに貼ってあげる。
子育て家庭では、もう、おなじみの光景だと思います。

でも、3姉妹の母であり、現役ナースでもある私から、今日、皆さんに、少しだけ、衝撃的な事実を、お伝えしなければなりません。

実は、その**「おでこに貼る」という行為、熱を下げる、という点においては、ほとんど、意味がない**かもしれません…。

なぜ「おでこ」を冷やしても、熱は下がらないのか?

「え、だって、気持ちよさそうにしてるじゃない!」
そう思いますよね。

確かに、冷たいシートがおでこに触れることで、お子さんは、一時的に「気持ちいい」と感じるかもしれません。
でも、それは、あくまで「気休め」の効果。
体全体の熱(深部体温)を下げる効果は、残念ながら、ほとんど期待できないのです。

考えてみてください。
発熱は、体の中に侵入してきたウイルスや細菌と戦うために、脳にある「体温調節中枢」が、「体温を上げろ!」と、指令を出している状態です。

お風呂のお湯を、一生懸命、洗面器でかき出しても、蛇口が閉まらない限り、お湯が減らないのと同じで、体の表面である「おでこ」を、部分的に冷やしたところで、脳からの指令が変わらない限り、全身の熱は、下がらないのです。

本当に冷やすべきは、ここ!「太い血管」が通っている場所

では、どうすれば、効率的に、体の熱を、外に逃がしてあげることができるのでしょうか。
答えは、体の中を、ぐるぐると循環している「血液」そのものを、冷やしてあげること。

そのためには、皮膚の表面近くを、**「太い動脈」**が通っている場所を、集中的に冷やすのが、最も効果的なのです。

ナースが実践する!本当に効果的な「クーリング」3つのポイント

私が、病院の現場でも、そして、我が家でも、実践している、本当に効果的な「クーfing」のポイントは、3つです。

ポイント①:首のうしろ、そして、両脇の下

首のうしろや、両脇の下には、**頸動脈(けいどうみゃく)**や、**腋窩動脈(えきかどうみゃく)**といった、太い血管が、皮膚のすぐ下を走っています。
ここに、タオルで包んだ小さな保冷剤や、冷たいペットボトルなどを、そっと、当ててあげましょう。
冷やされた血液が、全身を巡ることで、体全体の熱を、効率的に、下げることができます。

ポイント②:足の付け根(そけい部)

足の付け根(股関節のあたり)にも、**大腿動脈(だいたいどうみゃく)**という、非常に太い血管が通っています。
ここも、絶好のクーリングポイント。
お子さんが、嫌がらない範囲で、優しく、冷やしてあげてください。

ポイント③:本人が「気持ちいい」と感じることが、大前提

ただし、何よりも大切なのは、お子さん本人が、冷やされることを、嫌がらないこと。
無理やり押さえつけて、冷やそうとすると、お子さんは、不快感から、泣き叫び、余計に体力を消耗してしまいます。
それでは、本末転倒。

「冷たくて、気持ちいいね」
「もし、嫌だったら、すぐに、言ってね」
と、優しく声をかけながら、本人が「気持ちいい」と感じる範囲で、行ってあげてください。

じゃあ、「熱さまシート」は、いつ使うの?

では、熱さまシートは、全くの無意味なのでしょうか?
そんなことは、ありません。

解熱効果は期待できなくても、お子さん自身が、おでこを冷やされることで、「気持ちいい」「楽になる」と感じているのであれば、気分転換として、使ってあげるのは、大いにアリです。

ただし、注意点が一つ。
特に、乳幼児に使用する際は、シートが、ずれて、鼻や口を塞いでしまい、窒息する危険性も、ゼロではありません。
使用する際は、絶対に、お子さんから、目を離さないように、くれぐれも、ご注意ください。

正しい知識が、親子の安心に繋がる

子どもの、突然の発熱。
親としては、本当に、心配で、不安ですよね。
でも、そんな時だからこそ、正しい知識が、親子の「お守り」になります。

熱を下げるなら、おでこ、ではなく、「首、脇の下、足の付け根」

この知識が、少しでも、熱と戦うお子さんと、必死で看病する、ママやパパの、助けになることを、心から、願っています。