「学校、行きたくない…」その一言で、ママの朝は凍り付く
「おはよう」と声をかけても、布団から出てこない我が子。
やっと起きてきたかと思えば、食卓でポツリと、
「…今日、学校行きたくない…」
その一言で、朝の慌ただしい空気が、一瞬にして凍り付く。
「え?どうして?」
「昨日まで普通だったじゃない」
「わがまま言わないの!早く準備しなさい!」
頭の中では、「行かせなきゃ」という焦りと、「でも、もし何かあったら…」という不安が、グルグルと渦を巻く。
その気持ち、3姉妹の母として、私も何度も経験してきました。
でも、そんな時こそ、親である私たちが、一度、深呼吸をしなくてはいけません。
その「行きたくない」は、単なる「怠け」や「わがまま」ではなく、お子さんから発せられた、精一杯の「SOS」かもしれないのですから。
今日は、無理やり子どもの腕を引っ張って玄関を出る前に、お家で冷静に確認してほしい「心のSOSサイン」について、ママナースの視点からお話しします。
「行きたくない」は、言葉にできない「助けて」のサイン
大人の私たちだって、「会社に行きたくないな」と思う日はありますよね。
でも、子どもの「行きたくない」は、それとは少し重みが違うことがあります。
特に、まだ自分の気持ちをうまく言葉にできない小学生にとって、「学校に行きたくない」という言葉は、
- 友達関係の悩み
- 勉強についていけない不安
- 先生が怖い
- クラスの雰囲気が苦手
- 理由はわからないけど、とにかく心が疲れている
など、様々な「しんどい気持ち」をすべて含んだ、たった一言で表現できる、精一杯のSOSサインなのです。
このサインを「わがまま」の一言で片付けてしまうのは、あまりにも危険です。
無理に行かせる前に…ナースの私が必ず確認する「心のSOSサイン」3選
では、お子さんが「行きたくない」と言い出したら、どこを見ればいいのでしょうか。
私は、ナースとして、そして母として、必ず**「体」「感情」「行動」**の3つの変化を確認します。
① 体のサイン:睡眠と食事の変化は、心のバロメーター
言葉にできないストレスは、正直な体に現れます。
- 睡眠の変化:「夜、なかなか寝付けない」「夜中に何度も起きる」「怖い夢を見る」など。
- 食事の変化:「食欲がなくなった」「大好きだったものが食べられない」「食べると吐いてしまう」など。
- 原因不明の体調不良:「頭が痛い」「お腹が痛い」と頻繁に訴えるが、病院では「異常なし」と言われる。
これらは、心が悲鳴を上げているサインかもしれません。
② 感情のサイン:笑顔が消え、イライラが増えていないか
お子さんの「感情の天気」はどうでしょうか。
- 表情の変化:笑顔が明らかに減った。ぼーっとしていることが増えた。
- 感情の起伏:ささいなことで激しく怒ったり、急に泣き出したりする。
- 興味の喪失:今まで大好きだったゲームや遊びに、興味を示さなくなった。
普段と比べて、感情の振れ幅が大きくなっている時は、心に余裕がなくなっている証拠です。
③ 行動のサイン:見過ごしがちな、小さな変化
何気ない行動にも、子どものSOSは隠れています。
- 会話の変化:学校での出来事や、友達の話を全くしなくなった。
- 持ち物の変化:教科書や文房具を「なくした」と言うことが増える。(隠している可能性も)
- 癖の出現:爪を噛む、指を吸う、髪の毛を抜くなど、以前はなかった癖が始まる。
これらのサインは、一つひとつは小さなことかもしれません。
でも、複数当てはまる場合は、お子さんが一人で抱えきれないほどのストレスを抱えている可能性があります。
親として、まず、できること
もし、これらのSOSサインに気づいたら。
親として、まず何ができるのでしょうか。
1.「行きたくないんだね」と、気持ちを丸ごと受け止める
「何言ってるの!」と否定したり、「どうして?」と質問攻めにしたりするのは、ぐっとこらえて。
まずは、「そっか、学校に行きたくないんだね」と、お子さんの気持ちを、ただ、そのまま受け止めてあげてください。
「この家は、学校に行けなくても、自分の気持ちをわかってくれる安全な場所だ」
そう感じさせてあげること(心理的安全性)が、何よりも大切です。
2.「いつでも聞くよ」と、待つ姿勢を見せる
親としては、すぐにでも原因を知りたいですよね。
でも、焦って問い詰めるのは逆効果。子どもはますます心を閉ざしてしまいます。
「もし、何か話したくなったら、いつでも聞くからね」
そう伝えて、あとは、お子さんが自ら話したくなるまで、どっしりと待つ姿勢を見せてあげましょう。
3.学校と連携し、情報を共有する
家庭だけで抱え込まず、必ず担任の先生に連絡を取りましょう。
「最近、家でこういう様子なのですが、学校ではどうですか?」と、客観的な情報を共有することが、問題解決の第一歩になります。
「休む」ことは「逃げ」じゃない
私たち親は、つい「学校は、毎日行かなければならない場所」と思い込んでしまいがちです。
でも、時には「休む」という選択肢も、お子さんの心を守るためには、絶対に必要です。
それは「逃げ」ではなく、次に進むためのエネルギーを充電するための、大切な「戦略的休息」。
学校に行くことよりも、お子さんが安心して「ただいま」と言える家庭を守ることの方が、100倍大切です。
焦らないで。
お子さんのペースに、とことん寄り添ってあげてください。
あなたのその姿勢が、お子さんにとって、何よりの心の栄養になるのですから。
