「ごめんね」…その言葉、今日、何回言いましたか?
「お迎え、遅くなってごめんね」
「今、忙しいから後でね、ごめんね」
「ママ、疲れちゃってて遊んであげられなくて、ごめんね」
真面目で、優しくて、いつも一生懸命なママほど、この「ごめんね」が口癖になってしまっているように感じます。
子どもの期待に応えてあげられない罪悪感。
もっと時間を作ってあげたいのに、できないもどかしさ。
その気持ち、痛いほどわかります。
私も、仕事と育児に追われる中で、何度、娘たちに「ごめんね」と繰り返してきたかわかりません。
でも、ある時、ふと気づいたのです。
良かれと思って使っていたこの「ごめんね」という言葉が、実は、子どもの自己肯定感を、静かに、でも確実に、削り取ってしまっているかもしれない、ということに。
なぜ、ママの「ごめんね」は逆効果なのか?
私たちが「ごめんね」と言う時。
その心の中は、「あなたの期待に応えられなくて、申し訳ない」という気持ちでいっぱいです。
でも、子どもは、その言葉をどう受け取っているのでしょうか。
親から「ごめんね」と謝られ続けると、子どもは、無意識のうちに、こう感じてしまうことがあります。
「僕(私)がいるから、ママは困っているんだ」
「僕(私)のせいで、ママは謝っているんだ」
自分の存在が、大好きなママを困らせる原因になっている、という、小さな罪悪感。
そして、「どうせ僕が何かをお願いしても、ママは『ごめんね』って言うだけだ」と、自分の要求を口にすることを、諦めてしまうようになるのです。
ママの「ごめんね」は、子どもの心に、「自分は我慢すべき存在なんだ」という、悲しいレッテルを貼ってしまう危険性を、はらんでいるのです。
子どもが本当に求めているのは「謝罪」ではなく「感謝」と「承認」
では、「ごめんね」の代わりに、どんな言葉をかければいいのでしょうか。
子どもが本当に求めているのは、親からの謝罪ではありません。
「自分の気持ちをわかってほしい」
「自分の存在を認めてほしい」
という、**「共感」と「承認」**です。
その気持ちを満たしてあげる、最強の魔法の言葉。
それが、**「ありがとう」**です。
今すぐ使える!「ごめんね」を「ありがとう」に変換する魔法
具体的な場面で見ていきましょう。
【お迎えが遅くなってしまった時】
- NG:「お迎え、遅くなって本当にごめんね!」
- OK:「一人で、おりこうに待っててくれたんだね。ありがとう! ママ、すっごく助かったよ!」
【子どもを待たせてしまった時】
- NG:「(電話が終わって)待たせてごめんね」
- OK:「静かに待っててくれて、ありがとう。 おかげでママ、大事なお話ができたよ。えらかったね!」
【子どもが何かを手伝ってくれた時】
- NG:「(大したことじゃないのに)あ、ごめんね、手伝ってもらって」
- OK:「わ、手伝ってくれるの?ありがとう! ママ、すごく嬉しいな!」
【疲れて遊んであげられない時】
- NG:「ママ疲れちゃって遊べなくて、ごめんね」
- OK:「ママね、今お休み中なんだ。静かにしててくれて、ありがとう。 〇〇ちゃんの優しさで、ママ、元気が出てきたよ」
「ありがとう」が、子どもの心に起こす奇跡
「ごめんね」を「ありがとう」に変える。
たったそれだけのことで、子どもの心には、驚くような奇跡が起こります。
「ごめんね」と言われた時、子どもは「自分は迷惑な存在だ」と感じます。
でも、「ありがとう」と言われた時、子どもは**「自分は、ママの役に立ったんだ!」「自分は、価値のある存在なんだ!」**と感じることができます。
この、誰かの役に立てたという「貢献感」こそが、子どもの自己肯定感を育む、最高の栄養になるのです。
もちろん、親が本当に悪いことをしてしまった時、例えば、約束を破ってしまった時や、感情的に怒鳴りつけてしまった時などは、誠心誠意、心を込めて「ごめんね」と謝る必要があります。
でも、日常の些細な場面で、つい口から出てしまう「ごめんね」は、もしかしたら、必要ないのかもしれません。
その「ごめんね」を、意識して「ありがとう」に変えてみませんか?
「ごめんね」が「ありがとう」に変わる時、親子の間に流れる空気は、罪悪感から、温かい感謝の気持ちへと変わっていきます。
その温かい空気の中で、お子さんの自己肯定感は、太陽の光を浴びるように、すくすくと育っていくはずです。
