「おやつ、食べてないよ!」
口の周りについたクリームを隠そうともせず、ぷいっと横を向くわが子。
「僕じゃない、〇〇くんがやったんだ!」
明らかに自分が壊したおもちゃを前に、お友達の名前を出すわが子。
その小さな嘘に、あなたはどんな顔をしていますか?
「どうして嘘なんかつくの!」と感情的に問い詰めたり、「このまま嘘つきな子になったらどうしよう…」と、一人で暗い気持ちを抱えたりしていませんか?
こんにちは!現役看護師で、3姉妹の母でもある皐月です。子どもの嘘って、本当に親の心をざわつかせますよね。私も、娘たちの可愛らしい嘘から、胸がチクリと痛むような嘘まで、たくさん経験してきました。
でも、今だからこそ、悩んでいるあなたに伝えたいことがあります。
子どもの嘘は、あなたの子育てのせいではありません。そして、嘘の多くは、子どもの心が健やかに成長している証でもあるのです。
この記事では、子どもの嘘に悩むあなたの心をそっと解きほぐし、嘘の裏に隠された子どもの心理、年齢に合わせた具体的な対応、そして何より「正直でいることは、自分を大切にすること」だと子どもが学べるような、親の関わり方について、私の体験談も交えながらお話しします。
この記事でわかること
- 子どもの嘘に隠された、意外な5つの本音
- 【年齢別】「嘘つき」にさせないための正しい対応法
- ついやってしまいがちだけど、実は逆効果なNG対応
- 親子の信頼を深め、正直な心を育む関わり方のコツ
子どもの嘘は、親子の絆を深めるチャンスです。もう一人で悩まず、一緒に考えていきましょう。
なぜ?どうして?子どもの嘘に隠された5つの本音
大人のように、人を陥れるために嘘をつく子どもは、ほとんどいません。その嘘の裏には、子どもなりの切実な「本音」が隠されています。
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【結論】「怒られたくない」「ママに見てほしい」という気持ちが、嘘の正体です。
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【怒られたくない!】(自己防衛の嘘)
これが最も多い理由です。失敗やイタズラを隠し、叱られることから自分を守るために、とっさに嘘をついてしまいます。「怖い」「嫌われたくない」という気持ちの表れです。 -
【ママ、見て!】(注目を引くための嘘)
「今日、鉄棒で逆上がりができたんだよ!(本当はできていない)」など、自分を大きく見せて、親や周りの人に褒めてもらいたい、注目してほしいという気持ちからくる嘘です。 -
【夢の中では…】(願望や空想の嘘)
特に幼児期に多いのが、現実と空想の区別が曖昧なための嘘。「昨日、空を飛んだんだ!」なんていう可愛らしい嘘は、想像力が豊かに育っている証拠です。 -
【〇〇ちゃんを守らなきゃ!】(誰かをかばう嘘)
お友達や兄弟をかばうために、「自分がやった」と嘘をつくことがあります。社会性が育ち、仲間意識が芽生えてきた証拠とも言えます。 -
【ママをがっかりさせたくない】(期待に応える嘘)
「テストで100点取ったよ」など、親の期待に応えたい、喜ばせたいという気持ちがプレッシャーになり、嘘をついてしまうケースです。
<皐月の視点>
子どもの嘘の理由を探ると、その子の優しさや、健気な 마음(マウム:心)が見えてきませんか?頭ごなしに「嘘つき!」と断罪する前に、「この子はどうして嘘をつく必要があったんだろう?」と、その背景にある気持ちに寄り添ってあげることが、問題解決の第一歩になります。
【年齢別】もう「嘘つき!」と叱らない。正直な心を育む対応法
子どもの発達段階によって、嘘の意味も、適切な対応も変わってきます。感情的に叱るのではなく、その子の成長に合わせた関わり方を心がけましょう。
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【結論】嘘を責めるより、「正直に話せた勇気」を褒める。これが鉄則です。
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【2〜3歳頃】空想の世界を否定せず、共感する
この時期の嘘は、ほとんどが悪意のない「空想」の産物です。
- 【OK対応】
「へぇ、そうなんだ!空を飛んだらどんな気持ちだった?」と、まずはお子さんの空想の世界を一緒に楽しんであげましょう。その上で、「それは、絵本の中のお話かな?」と、そっと現実との違いを教えてあげるだけで十分です。 - 【NG対応】
「そんなわけないでしょ!」「嘘ついちゃダメ!」と頭ごなしに否定すること。豊かな想像力の芽を摘んでしまいます。
【4〜6歳頃】正直に言えたことを褒め、安心させる
善悪の区別がつき始め、「怒られたくない」という理由で嘘をつき始める時期です。
- 【OK対応】
嘘に気づいても、まずは問い詰めずに「何か言うことないかな?」と、子どもが自分で話すチャンスを与えます。そして、正直に打ち明けてくれたら、「嘘をついたことは悲しいけど、正直に話してくれて、すごく嬉しい。ありがとう」と、その勇気を具体的に褒めてあげましょう。その上で、「どうして嘘をついちゃったのかな?」と一緒に原因を探り、「これからは、失敗しても正直に教えてね。ママ、怒らないから」と安心させることが大切です。 - 【NG対応】
「嘘つきは泥棒の始まりよ!」などと、強い言葉で脅したり、問い詰めたりすること。子どもはさらに嘘を重ねるようになります。
【小学生以降】信頼を伝え、一緒に解決策を考える
友達関係など、嘘の背景が複雑になってくる時期。親子の信頼関係が何より重要になります。
- 【OK対応】
「あなたのことを信じているから、本当のことを話してほしいな」と、親の信頼を伝えます。嘘の理由を聞いた上で、「その嘘で、誰がどんな気持ちになったかな?」「どうすればよかったと思う?」と、子ども自身に考えさせ、一緒に解決策を探すパートナーになりましょう。親自身が失敗した時に「ごめんね」と謝る姿を見せることも、最高の教育になります。 - 【NG対応】
子どもの言い分を聞かずに、一方的に決めつけること。親子の信頼関係が崩れてしまいます。
まとめ:子どもの嘘は、親子の信頼関係を見直すサイン
わが子の嘘に気づいた時、それは親にとって、とてもショックな出来事です。
でも、それは「嘘つきな子」というレッテルを貼るためのものではなく、「この子の心の中で、今、何が起きているんだろう?」と、わが子の内面と向き合うための、大切なサインなのかもしれません。
嘘の背景にある子どもの不安や恐れ、願望を受け止め、「正直に話してくれてありがとう」と伝える。
その安心感の積み重ねが、親子の揺るぎない信頼関係を築き、困難なことがあっても、子どもが正直でいられる強さを育んでいきます。
子どもの嘘は、親子の絆を試す、神様からの小さな宿題のようなもの。
焦らず、愛情を持って、その宿題に一緒に取り組んでいきましょう。
