「二人目が生まれたら、上の子が赤ちゃん返りしないか心配…」
「お兄ちゃん・お姉ちゃんになることを、喜んでくれるかな?」

二人目の妊娠は、家族が増える大きな喜びであると同時に、上の子の心に、大きな変化をもたらすきっかけにもなります。これまで一身に受けてきたパパとママの愛情が、新しく生まれてくる赤ちゃんに奪われてしまうのではないか…。そんな、子どもなりの切実な不安が、「赤ちゃん返り」として現れるのです。

その不安、とてもよくわかります。私も、二人目、三人目を妊娠するたびに、「上の子たちに、寂しい思いをさせてしまうのではないか」と、胸が締め付けられる思いでした。

でも、大丈夫。妊娠中からの、ほんの少しの心の準備と、愛情深い関わりで、上の子の赤ちゃん返りを最小限に抑え、むしろ、弟や妹の誕生を心待ちにする、頼もしいお兄ちゃん・お姉ちゃんへと導いてあげることができるのです。

この記事では、現役ママナースであり、3姉妹の母である私が、

  • 赤ちゃん返りの裏に隠された、上の子の本当の気持ち
  • 妊娠中から始められる、上の子の心を安定させるための具体的なアクション
  • 「あなたが一番大切」というメッセージが伝わる、魔法の言葉と習慣

を、詳しくお伝えします。

この記事を読めば、二人目を迎えることへの漠然とした不安が、具体的な愛情表現の方法へと変わります。そして、家族みんなで、新しい命の誕生を、心からの笑顔で迎えられるようになりますよ。

赤ちゃん返りは「ママ、大好き!」のSOSサイン

まず、理解しておきたいのは、赤ちゃん返りは、決して「困らせてやろう」という意地悪な行動ではない、ということです。それは、「ママの愛情を、もう一度独り占めしたい」「自分のことだけを見てほしい」という、子どもなりの必死の愛情表現であり、SOSサインなのです。

  • 急におっぱいを欲しがる
  • 抱っこをせがむ
  • わざと、お漏らしをする
  • 乱暴な言葉を使ったり、物を投げたりする

これらの行動はすべて、「赤ちゃんのように振る舞えば、また昔みたいに、ママは私のことだけを見てくれるかもしれない」という、切ない期待の表れなのです。その健気な心を、まずはしっかりと受け止めてあげてください。

妊娠中からスタート!上の子の「お兄ちゃん・お姉ちゃん準備」

赤ちゃん返りを予防する鍵は、赤ちゃんが生まれる前、ママのお腹の中にいるうちからの関わりにあります。

1. 赤ちゃんの存在を、ポジティブに伝える

妊娠が安定したら、上の子にも、赤ちゃんの存在を伝えてあげましょう。その際、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)になるんだから、しっかりしなさい」というプレッシャーを与えるような言い方は禁物です。

「〇〇(上の子の名前)のことが大好きだから、パパとママ、もう一人、家族が増えたらもっと楽しいねって思ったんだ」
「お腹の赤ちゃん、〇〇に会えるのを、すごく楽しみにしてるんだって」

このように、あなた(上の子)が主役であり、赤ちゃんは、あなたの仲間としてやってくる、というポジティブな伝え方を心がけましょう。

2. 「二人だけの特別な時間」を意識して作る

つわりや体の変化で、思うように動けない日もあるでしょう。そんな中でも、「一日10分でも良い」と決めて、ママと上の子、二人きりで見つめ合う時間を、意識的に作りましょう。

一緒に絵本を読んだり、ぎゅーっと抱きしめながら、その日あったことを聞いたり…。スマホは置いて、テレビも消して、ただ、その子のことだけを考える時間。この「あなたは、ママにとって、今も一番特別な存在だよ」というメッセージが、子どもの心を何よりも安定させます。

3. 赤ちゃん準備に、上の子を巻き込む

ベビー服を選んだり、おもちゃを準備したりする時、「赤ちゃん、どっちの色が似合うと思う?」「このおもちゃ、きっと喜ぶよね?」と、上の子に意見を聞いてみましょう。自分が、赤ちゃんの誕生を「準備する側」に参加することで、「自分は、赤ちゃんを迎える、頼もしいお兄ちゃん・お姉ちゃんなんだ」という自覚と、責任感が芽生えます。

産後に実践したい!「あなたが一番」が伝わる魔法の習慣

いよいよ、赤ちゃんが家族の一員に。ここからの関わりが、とても重要です。

魔法の習慣1:再会の瞬間は、上の子を最優先

退院して、家で再会するその瞬間。つい、赤ちゃんを抱っこしたまま「ただいま」と言ってしまいがちですが、ぐっとこらえて。可能であれば、赤ちゃんはパパや他の家族に預け、ママは両手を広げて、まずは上の子を思いっきり抱きしめてあげてください。

「会いたかったよー!お留守番、ありがとう。大好きだよ!」

この数秒間のハグが、「ママは、帰ってきて一番に、私のことを見てくれた」という、強烈な安心感を上の子に与えます。

魔法の習慣2:「赤ちゃんのお世話」を、上の子にお願いする

「おむつ、取ってくれるかな?」「ミルク、一緒に運んでくれる?」など、簡単な赤ちゃんのお世話を、「お願い」してみましょう。「ありがとう、〇〇お兄ちゃん(お姉ちゃん)が手伝ってくれたから、ママ、すっごく助かっちゃった!」と、大げさなくらいに感謝を伝えるのがポイントです。

誰かの役に立つ喜びを知ることで、上の子は、赤ちゃんを「ライバル」ではなく、「自分が守るべき存在」として認識するようになります。

魔法の習慣3:授乳タイムを、上の子とのコミュニケーションタイムに

赤ちゃんに授乳している時間は、上の子にとっては「ママを取られている」と感じやすい時間です。この時間を、逆転の発想で、上の子との特別なコミュニケーションタイムにしてしまいましょう。

隣に座らせて、背中を撫でながら、一緒に絵本を読んだり、しりとりをしたり。「赤ちゃんにおっぱいをあげているこの時間も、ママの心は、あなたのことを見ているよ」というメッセージを、送り続けるのです。

まとめ:愛情は、分け合うものではなく、増えていくもの

二人目を迎えることは、親の愛情が半分になることではありません。

  • 赤ちゃん返りは、上の子の愛情を求めるSOSサインだと理解する。
  • 妊娠中から、上の子を主役にしたポジティブな伝え方をし、「二人だけの時間」を大切にする。
  • 産後は、再会の瞬間を大切にし、お世話に参加させ、授乳タイムをコミュニケーションの機会にする。

愛情は、分け合うものではなく、家族が増えるたびに、どんどん大きく、豊かに、増えていくものです。

そのことを、親であるあなたが、自信を持って、上の子に伝え続けてあげてください。あなたのその温かい眼差しと工夫が、世界で一番素敵な、お兄ちゃん・お姉ちゃんを育てるのです。