夏の肌トラブル、今年も…と憂鬱なあなたへ
楽しいはずの夏。しかし、子どもの肌には過酷な季節です。
朝、子どもの首筋にびっしりと広がる赤いポツポツ(あせも)。
掻きむしった虫刺されが、あっという間にジュクジュクの水ぶくれ(とびひ)に…。
「清潔にしているつもりなのに、どうして?」
「このホームケア、本当に合ってる?」
そんな風に、夏の肌トラブルに頭を悩ませ、心を痛めている親御さんは、決して少なくありません。
こんにちは!3人の娘を育てる現役ママナースの皐月です。
何を隠そう、私自身も毎年、娘たちの肌トラブルと格闘してきました。看護師として知識はあっても、我が子のこととなると不安になるものです。
だからこそ、今回はあなたの不安に徹底的に寄り添います。**夏の三大皮膚トラブルである「あせも」「とびひ」「虫刺され」について、その原因から、最も重要な「予防法」、そして悪化させないための「ホームケア」**まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。
この記事を読めば、もう夏の肌トラブルに振り回されることはありません。正しい知識を武器に、お子さんのすべすべ肌を守り抜きましょう!
Part 1:あせも(汗疹)― 基本の「き」は清潔と保湿
夏の皮膚トラブル、代表格の「あせも」。正式には「汗疹(かんしん)」と言います。
- 原因: 大量の汗で、汗を出す管(汗管)が詰まってしまうことが原因。汗が皮膚の内側に溜まり、炎症を起こしてポツポツや水ぶくれになります。
- できやすい場所: 首の周り、ひじや膝の裏、おむつで蒸れるお尻など、汗が溜まりやすい場所。
【予防が何より大事!】あせもを作らない3つの鉄則
- 汗をかいたら、すぐに流す・拭く: これが最も重要です。シャワーをこまめに浴びるのが理想ですが、難しければ濡らしたタオルで優しく拭くだけでも効果があります。
- 涼しい環境をキープ: エアコンや扇風機を適切に使い、快適な室温・湿度を保ちましょう。寝ている間も、汗をかきすぎていないかチェックを。
- 通気性の良い服を選ぶ: 吸湿性・速乾性に優れた綿やメッシュ素材の肌着がおすすめです。汗をかいたら、こまめに着替えさせてあげましょう。
【できてしまったら…】悪化させないホームケア
- 優しく洗う: 汗や汚れを洗い流すことが第一。石鹸をよく泡立て、手で優しくなでるように洗い、しっかりとすすぎましょう。
- しっかり保湿: 洗った後は、肌が乾燥しないように、すぐに保湿剤(ローションやクリーム)を塗ってあげましょう。肌のバリア機能が整い、新たな刺激から肌を守ります。
- ベビーパウダーは要注意: 昔はよく使われましたが、汗や皮脂と混ざって毛穴を塞ぎ、かえって悪化させることも。基本的には保湿ケアを優先しましょう。
<ママナースの視点>
あせもを掻き壊してしまうと、そこから細菌が入り込み、次に解説する「とびひ」の原因になります。痒みが強そうな場合は、早めに小児科や皮膚科を受診し、適切な塗り薬を処方してもらいましょう。
Part 2:とびひ(伝染性膿痂疹)― 見つけたら、すぐに病院へ!
「とびひ」は、火事の飛び火のようにあっという間に広がることから、その名がついています。正式名称は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」という、細菌による皮膚の感染症です。
- 原因: 虫刺されやあせも、湿疹などを掻き壊した傷口に、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌が入り込んで感染します。
- 特徴: 水ぶくれ(水疱)ができ、それが破れてジュクジュクした状態になります。その滲出液に触れると、体の他の場所や、他の人にもうつります。
【予防がカギ】とびひにさせないために
- 掻かせない工夫: 虫刺されやあせもで痒がっていたら、冷やしたり、早めに薬を塗ったりして、掻き壊しを防ぎましょう。
- 爪を短く切る: 爪が長いと、掻いた時に皮膚を傷つけやすくなります。常に短く、清潔に保ちましょう。
【ホームケアの注意点】自己判断はNG!
とびひが疑われる場合、市販薬で様子を見るのは絶対にやめてください。
とびひの治療には、抗菌薬(抗生物質)の飲み薬や塗り薬が必要です。必ず小児科か皮膚科を受診しましょう。
医師の指示のもと、家庭では以下の点に注意して「感染を広げない」ケアを徹底します。
- 患部を清潔に: 石鹸をよく泡立てて、優しく洗い、滲出液をしっかり洗い流します。
- 患部を覆う: 医師の指示に従い、ガーゼなどで患部を保護し、他の場所に触れないようにします。
- タオルの共用は避ける: 兄弟間などでうつるのを防ぐため、タオルやバスタオルは必ず分けましょう。
- プールは禁止: 完全に治るまでは、プールに入ることはできません。
Part 3:虫刺され ― 掻き壊しが二次被害を招く
夏は蚊やブヨ、ダニなど、様々な虫が活発になる季節。子どもの柔らかい肌は、虫にとっても格好の的なのです。
- 子どもの特徴: 子どもは大人よりアレルギー反応が強く出やすいため、赤く大きく腫れたり、硬くなったりすることがあります。
【刺される前の対策】徹底予防4か条
- 服装の工夫: 外出時は、なるべく長袖・長ズボンで肌の露出を減らしましょう。白など、明るい色の服は虫が寄りにくいと言われています。
- 虫除け剤を上手に使う: 子ども用の虫除けスプレーなどを活用しましょう。近年では、年齢制限のない「イカリジン」という成分のものが人気です。
- 虫が多い場所・時間を避ける: 公園の草むらや水辺、夕方などは特に注意が必要です。
- 網戸や蚊帳を活用: 家の中への侵入を防ぐことも大切です。
【刺された後のケア】悪化させない3ステップ
- まずは洗う: 刺された場所を、まずは水道水で綺麗に洗い流します。
- 次に冷やす: 濡れたタオルや、ハンカチで包んだ保冷剤などで冷やすと、痒みや腫れが和らぎます。
- 薬を塗る: 子ども用の虫刺され薬を塗りましょう。痒みが強い場合は、ステロイド入りの塗り薬が有効なこともありますが、強さのランクがあるので、薬剤師に相談するか、皮膚科で処方してもらうのが安心です。
<ママナースの視点>
一番の敵は「掻き壊し」です。ここから「とびひ」に繋がるケースが後を絶ちません。痒みをいかにコントロールするかが、ホームケアの最重要ポイントです。
また、ハチに刺された後などに、ぐったりする、呼吸が苦しそう、全身に蕁麻疹が出るなどの症状が見られた場合は、命に関わるアナフィラキシーショックの可能性があります。ためらわずに救急車を呼んでください。
まとめ:夏の肌トラブルは「予防」が8割!
これまで見てきたように、夏の三大皮膚トラブルは、それぞれ関連しあっています。
あせも・虫刺されを掻き壊す → とびひになる
この悪循環を断ち切るために最も大切なのは、日々の予防です。
- 肌は常に清潔に。
- 掻き壊させない工夫を。
この2つを徹底するだけで、多くの肌トラブルは防ぐことができます。
そして、もし悪化してしまったら、決して一人で悩まず、早めに専門家を頼ってください。
正しい知識でしっかり予防して、親子で楽しい夏を過ごしてくださいね!