この記事でわかること
- 子どもの誤飲時の緊急対応「背部叩打法」の正しいやり方
- いざという時にためらわない心の準備
- 誤飲予防の具体的な対策
目の前でわが子が窒息寸前…その時、あなたは動けますか?
「あっ!」その一瞬、子どもが口に入れたものが喉に詰まり、苦しそうな顔をしている。そんな時、あなたは冷静に、そして迅速に行動できますか?
ママナースとして、そして3姉妹の母として、私自身もヒヤリとした経験は数えきれません。子どもの誤飲は、本当に一刻を争う緊急事態。窒息は、数分で命に関わる深刻な結果を招く可能性があります。
大切なのは、いざという時に「知っている」だけでなく、「体が動く」こと。そして、ためらわずに「背部叩打法」という応急処置を施す勇気です。この記事では、わが子の命を守るために、ママナースの私が最も伝えたい「背部叩打法」の正しい知識と、心の準備についてお話しします。
【結論】誤飲時の最優先事項は「背部叩打法」!ためらわずに実行を
背部叩打法とは?
背部叩打法(はいぶこうだほう)は、乳幼児が異物を誤って飲み込み、窒息しかけている場合に、背中を叩くことで異物を吐き出させるための応急処置です。
誤飲による窒息は、救急車を待っている時間すら惜しい状況です。そばにいる大人がすぐに適切な応急処置を行うことが、子どもの命を救う最善の方法なのです。
正しい「背部叩打法」のやり方(動画での確認を推奨します)
動画で確認していただくのが最も分かりやすいのですが、ここでは基本的な手順をご紹介します。
乳児(1歳未満)の場合
- 体位: 自分の腕にうつ伏せに乗せ、頭が体より低くなるように顎を支えます。太ももの上に乗せても良いでしょう。
- 叩く位置: 肩甲骨の間を、手のひらの付け根で強く、早く5回叩きます。
- 確認: 異物が出たか、呼吸はしているか確認します。出ない場合は、胸部圧迫(心臓マッサージの位置で指2本で5回圧迫)と交互に繰り返します。
幼児(1歳以上)の場合
- 体位: 自分の膝の上にうつ伏せに乗せるか、立たせて前にかがませ、頭が体より低くなるようにします。
- 叩く位置: 肩甲骨の間を、手のひらの付け根で強く、早く5回叩きます。
- 確認: 異物が出たか、呼吸はしているか確認します。出ない場合は、腹部突き上げ法(ハイムリック法)と交互に繰り返します(ただし、乳幼児には腹部突き上げ法は推奨されません)。
なぜ「動画で見ておく」ことが大切なのか
文字や絵で理解するのと、実際に動画で動きを見るのとでは、緊急時の対応力が全く違います。いざという時にパニックにならず、体が自然と動くように、普段から繰り返し動画を見てイメージトレーニングをしておくことを強くお勧めします。
(例)「乳児 誤飲 背部叩打法」などで検索すると、正しい方法を紹介している動画がたくさんあります。
「ためらう気持ち」は捨てて!わが子の命を最優先に
「強く叩いて大丈夫かな?」「もし骨が折れたらどうしよう…」
そんなためらう気持ちが生まれるかもしれません。でも、考えてみてください。目の前でわが子が息ができなくなっているとしたら、どちらがより危険でしょうか?
強く叩くことで骨折するリスクよりも、窒息で命を落とすリスクの方がはるかに高いのです。看護師として、子どもの命が最優先であることを痛感しています。
誤飲を予防するために、今すぐできること
「備えあれば憂いなし」です。誤飲は予防できる事故です。
- 床に物を置かない: 子どもが口に入れてしまうような小さなものは、床や低い場所に置かない。
- 子どもの手の届かない場所に保管: 薬、電池、たばこ、硬貨、おもちゃの小さな部品などは、鍵のかかる場所や高い場所に保管する。
- サイズ確認: おもちゃを選ぶ際は、対象年齢と合わせて「誤飲しないサイズか」を確認する。
- 食べ物の与え方に注意: ピーナッツ、飴、こんにゃくゼリーなど、喉に詰まりやすい食べ物は、小さく切る、見守る、与えないなどの工夫が必要です。
まとめ:あなたは一人じゃない。頼れるプロもいます
子育て中の「もしも」は、本当に不安なものですよね。でも、あなたは一人ではありません。私を含め、多くのママナースや医療従事者が、あなたと子どもたちの安全を願っています。
背部叩打法は、いざという時の「お守り」のようなもの。知っているだけでも心の余裕が生まれます。そして、もし不安なことや疑問があれば、地域の保健センターや小児科の看護師に相談してみてください。きっと力になってくれますよ。
一緒に、子どもたちが安全にすくすく育つ環境を作っていきましょう。
