「汚いからやめて!」「触らないで!」その言葉、今日、何回言いましたか?
公園の砂場。
雨上がりの水たまり。
庭の土いじり。
子どもが、泥んこになって、夢中で遊ぶ姿を見て、あなたは、つい、こう言ってしまっていませんか?
「汚いからやめて!」
「触らないで!」
「早く手洗いしなさい!」
そのたびに、子どもの、不満そうな顔を見て、「あーあ、またやっちゃった…」と、自己嫌悪に陥る。
「でも、病気になったら困るし…」
「清潔にしておかないと…」
そんな不安に、押しつぶされそうになる日もありました。
3姉妹の母である私も、かつては、この「清潔問題」に、頭を悩ませてきました。
でも、ナースとして、たくさんの子どもたちと接してきた経験から、
そして、母として、子育てをしてきた中で、私は、あることに気づいたんです。
それは、ナースですが、多少の泥んこは気にしません、ということ。
むしろ、「菌に触れない」清潔すぎる環境のほうが心配なのだ、と。
今日は、そんな、子どもの免疫力について悩むママへ。
子どもの免疫力を高めるための、3つのヒントについて、お話しさせてください。
なぜ「泥んこ遊び」が子どもの免疫力を高めるのか?それは「衛生仮説」
まず、知っておいてほしいこと。
それは、泥んこ遊びや、自然との触れ合いは、決して「汚い」だけではありません。
それは、子どもが、様々な細菌や微生物に触れる、大切な機会なのです。
これらが、子どもの免疫システムを刺激し、アレルギーや自己免疫疾患のリスクを減らす、という考え方を**「衛生仮説」**と言います。
- 免疫システムの訓練:様々な細菌や微生物に触れることで、子どもの免疫システムは、それらを「敵」と「味方」に区別することを学び、適切に反応する能力を高めます。
- 腸内環境の改善:土の中には、様々な良い菌が含まれています。これらが、子どもの腸内環境を整え、免疫力を高めることに繋がります。
つまり、泥んこ遊びは、子どもが、病気に負けない体を作るための、大切な「免疫トレーニング」なのです。
清潔すぎる環境が、かえって子どもの免疫力を低下させる理由
では、逆に、清潔すぎる環境は、なぜ子どもの免疫力を低下させてしまうのでしょうか。
過度な除菌や抗菌は、良い菌も悪い菌も区別なく排除してしまいます。
結果として、子どもの免疫システムが十分に発達せず、
- アレルギー:花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかりやすくなる。
- 自己免疫疾患:免疫システムが、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患のリスクが高まる。
- 感染症:免疫システムが未熟なため、かえって感染症にかかりやすくなる。
といった問題を引き起こす可能性があります。
もちろん、基本的な衛生習慣は大切ですが、「清潔すぎる」ことは、かえって子どもの健康を損ねる可能性があるのです。
子どもの免疫力を高める!親の3つのヒント
では、どうすれば、私たちは、子どもの免疫力を高め、病気に負けない体を作ってあげられるのでしょうか。
ヒント1:「泥んこ遊び」を推奨する。自然との触れ合いを大切に
公園や庭で、思いっきり泥んこになって遊ばせることを推奨しましょう。
- 土を触る。
- 草花を摘む。
- 虫を観察する。
自然との触れ合いは、子どもの五感を刺激し、心身の発達を促すだけでなく、様々な細菌や微生物に触れることで、免疫力を高めます。
汚れても、後で洗えば大丈夫!という気持ちで、温かく見守ってあげましょう。
ヒント2:「過度な除菌」をやめる。基本的な衛生習慣を大切に
日常生活での過度な除菌や抗菌をやめましょう。
- 手洗いやうがいなど、基本的な衛生習慣を大切にする。
- 食中毒予防など、本当に必要な場面でのみ、除菌剤を使用する。
「菌」を全て排除するのではなく、「良い菌」と「悪い菌」を区別し、共存する意識を持つことが大切です。
ヒント3:「バランスの取れた食事」を心がける。腸内環境を整える
腸は「第二の脳」と言われるほど、免疫システムと密接に関わっています。
腸内環境を整えるために、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 発酵食品:ヨーグルト、納豆、味噌など、腸内環境を整える食品を積極的に摂る。
- 食物繊維:野菜、果物、きのこ類など、腸内細菌のエサとなる食物繊維を豊富に摂る。
<h2>親も「完璧な清潔」を手放す勇気を持つ</h2>
ナースですが、多少の泥んこは気にしません。
それより「菌に触れない」清潔すぎる環境のほうが心配です。
子どもの免疫力を高めるためには、自然との触れ合いを大切にし、過度な除菌をやめること。
そして、バランスの取れた食事を心がけること。
親自身も、「完璧な清潔」を手放し、多少の汚れは気にしない心の余裕を持つこと。
その姿勢が、子どもの健やかな成長を促し、病気に負けない体を作るための、何よりの力になります。
どうか、あなたの目の前で、泥んこになって遊ぶ我が子を、
「汚い子」だと、決めつけないでください。
その泥んこは、あなたへの、そして、自分自身への、大切なメッセージなのですから。
