子どもが転んで擦りむいた時、あなたは、どう対応していますか?
公園で、元気に遊んでいた子どもが、突然、転んで、膝を擦りむいてしまった。
血が滲む傷口を見て、あなたは、慌てて、
- 「痛かったね、大丈夫?」と声をかけながら、
- 持っていた消毒液を、シュッシュッと吹きかけ、
- 絆創膏を貼る。
そんな対応を、していませんか?
その気持ち、痛いほど、わかります。
私も3姉妹の母として、何度も、その状況に直面し、どうしていいかわからず、慌てていました。
でも、ナースとして、たくさんの子どもたちと接してきた経験から、
そして、母として、子育てをしてきた中で、私は、あることに気づいたんです。
それは、消毒液よりも「水道水」でしっかり洗うことが、傷の治りを早め、感染を防ぐ上で、最も大切だ、ということ。
そして、消毒液は、基本的には使わない方が良いのだ、と。
今日は、そんな、子どもの傷の手当てに慌てないための、正しい知識と注意点について、ナースの視点から、お話しさせてください。
子どもの傷の手当て、なぜ「水道水」が最重要なのか?
まず、知っておいてほしいこと。
それは、傷口には、砂や土、細菌などが付着している可能性がある、ということです。
これらを、洗い流すことが、感染を防ぎ、傷の治りを早める上で、最も大切なのです。
消毒液は、確かに細菌を殺す効果がありますが、同時に、傷口の細胞も傷つけてしまいます。
傷口の細胞が傷つくと、傷の治りが遅くなったり、かえって悪化したりする可能性があります。
だからこそ、子どもの傷の手当てでは、「洗浄」が最優先なのです。
慌てないで!正しい傷の手当て3つのステップ
子どもが転んで擦りむいた時、慌てずに、以下の3つのステップで対応しましょう。
ステップ1:水道水でしっかり洗う
傷口を、流水で5分〜10分間、優しく洗い流しましょう。
石鹸を使っても構いませんが、ゴシゴシこすらず、優しく洗い流すことが大切です。
砂や土などの異物が残っていないか、よく確認しましょう。
ステップ2:清潔なガーゼやタオルで水分を拭き取る
傷口の周りの水分を、清潔なガーゼやタオルで、優しく拭き取りましょう。
傷口を直接こすらないように注意してください。
ステップ3:絆創膏やガーゼで保護する
傷口を乾燥させないように、絆創膏やガーゼで保護しましょう。
最近では、「湿潤療法」といって、傷口を乾燥させずに、潤った状態を保つことで、傷の治りを早める方法が主流になっています。
市販の湿潤療法用の絆創膏(キズパワーパッドなど)も有効です。
消毒液はNG?その理由と、正しい使い方
「消毒液は、使わない方が良い」と聞くと、驚くママもいるかもしれません。
しかし、前述の通り、消毒液は、傷口の細胞を傷つけ、治りを遅らせる可能性があります。
基本的には、水道水でしっかり洗うだけで十分です。
もし、消毒液を使う場合は、医師の指示に従い、適切な種類と濃度で使用するようにしましょう。
特に、アルコール消毒液は、刺激が強く、傷口には不向きです。
病院に行くタイミングと、予防策
ほとんどの傷は、家庭での正しい手当てで治りますが、以下のような場合は、医療機関を受診しましょう。
病院に行くタイミング
- 出血が止まらない場合。
- 傷が深い、または広範囲の場合。
- 異物が刺さっている場合。
- 傷口が化膿している(赤く腫れている、膿が出ている)場合。
- 広範囲のやけどの場合。
- 破傷風の予防接種を受けていない場合。
予防策
- 外で遊ぶ時は、長袖・長ズボンを着用する:特に、草むらや、虫が多い場所では、肌の露出を避ける。
- ヘルメットを着用する:自転車に乗る時や、遊具で遊ぶ時など。
- 滑りにくい靴を履く:子どもの足に合った、動きやすい靴を選びましょう。
正しい知識が、子どもの安全を守る
子どもの傷の手当ては、ママにとって、心配の種です。
しかし、正しい知識があれば、慌てずに対応できます。
消毒液より、まず「水道水」でしっかり洗うこと。
この正しい知識が、子どもの安全を守り、ママの不安を和らげる、何よりの力になります。
不安な時は、一人で抱え込まず、いつでも、医療機関や、専門家を頼ってくださいね。
