夏になると子どもが高熱を出して、「夏風邪だね」なんて言われること、ありますよね。その代表格である「ヘルパンギーナ」。
もちろん高熱も心配ですが、この病気の本当の地獄は、熱が下がった後にやってくる**無数の「口内炎」**との戦いです。
「お腹すいた、でも食べると痛い!」
そう泣き叫ぶ子どもの姿を見るのは、親として本当に辛いもの。
3姉妹の母であり、現役ナースでもある私が、この辛い時期を乗り切るための「命綱」となる食事の工夫について、具体的にお伝えします。
なぜヘルパンギーナの口内炎は、あんなに痛いのか
ヘルパンギーナは、ウイルスによって喉の奥や上顎にたくさんの小さな水ぶくれ(口内炎)ができる病気です。
大人の口内炎とは比べ物にならないくらい数が多く、一つ一つが鋭い痛みを伴います。想像してみてください。口の中に、画鋲が何十個も刺さっているような状態です。
そんな状態では、何かを飲み込むこと自体が激痛に。特に、酸っぱいものや塩辛いもの、熱いものは、傷口に塩を塗り込むようなもの。絶対に避けなければなりません。
「食べられた!」を増やすための命綱リスト
食事がとれないと、脱水症状も心配になりますよね。でも、安心してください。こんな時でも、子どもが「これなら食べられる!」となりやすい「神フード」があります。
喉ごしが良く、しみないものを選ぼう
ポイントは**「冷たくて」「柔らかく」「味が薄い」**こと。
- 冷ましたうどん・そうめん: 麺つゆは薄めるか、だし汁だけでもOK。
- プリン・ゼリー: 柑橘系は避け、ミルクやぶどう味など、酸味のないものを選びましょう。
- アイスクリーム・シャーベット: バニラやミルク味がおすすめ。体を冷やす効果も期待できます。
- 冷たいコーンスープ・かぼちゃスープ: 栄養も摂れて一石二鳥。
- 豆腐: そのまま冷奴で。醤油は数滴たらす程度に。
- 茶碗蒸し: 具なしで、しっかり冷ましたものを。
水分補給は「麦茶」か「牛乳」で
オレンジジュースやイオン飲料は、酸や糖分が口内炎にしみて痛みを増強させることがあります。
水分補給は、麦茶や牛乳、冷たいお水が基本です。
「食べないこと」を責めないで
この時期、一番大切なのは、**「食べないことを責めない」**ことです。
子どもは、お腹が空いているのに食べられない、という非常につらい状況にいます。そこに親からのプレッシャーが加わると、食事がさらに苦痛な時間になってしまいます。
「痛いよね、辛いよね」
その気持ちに寄り添い、食べられそうなものを少しずつ試してみる。数日間は、栄養バランスのことは忘れて大丈夫。
痛みのピークは2〜3日です。必ず終わりは来ますから、焦らず、お子さんのペースで乗り切ってくださいね。
