「宿題やったの?」「…あとでやる!」
「おもちゃ片付けてね」「…あとでやる!」
毎日毎日、飽きもせず繰り返される、この「あとでやる!」攻撃。聞くたびに、ママの額に青筋が一本、また一本と増えていく…。そんなご家庭、多いのではないでしょうか(笑)。
こんにちは!3人の娘たちに、これまで通算1万回は「あとでやる!」と言われてきた、現役ママナースの皐月です。
つい、「今やりなさーい!」と声を荒らげたくなるその気持ち、痛いほど分かります。でも、頭ごなしに叱っても、子どもはさらに心を閉ざすだけ。実は、この「あとでやる!」という言葉には、子どもなりの、ちゃんとした理由が隠れているんです。
今日は、そんな子どもの心理を紐解きながら、親のイライラを減らし、子どもの「自分でやる力」を育てる、とっておきの声かけ術をお伝えします。
この記事でわかること
- 「あとでやる!」に隠された、子どもなりの5つの本音
- ついやりがち!子どものやる気を奪う「NG対応」
- 子どもの「今やろう!」を引き出す、5つの魔法の声かけ
- 「あとでやる」が続く場合に、考えられること
なぜ?「あとでやる」に隠された子どもの本音【ママナース視点】
頭ごなしに叱る前に、少しだけ、子どもの心の中をのぞいてみませんか?
結論から言うと、「あとでやる」は、単なる反抗ではなく、子どもの発達段階や心理状態が複雑に絡み合った「SOSサイン」でもあるのです。
- 時間の感覚が、まだ未熟だから
特に幼児~小学校低学年にとって、「あとで」は「今すぐじゃなければいつでもOK」くらいの意味。「5分後」の長さも、まだよく分かっていません。 - やるべきことが「巨大な山」に見えているから
「部屋の片付け」と言われても、どこから手をつけていいか分からず、途方に暮れてしまう。これは大人でも同じですよね。 - 「自分で決めたい!」という自立心の芽生えだから
「〇〇しなさい!」と命令されると、無性に反発したくなるのが子ども。「親の言う通りには動かないぞ」という、小さな独立宣言でもあるんです。 - 「楽しい今」を中断されたくないから
夢中になっている遊びやテレビを中断して、面倒なことに取り掛かるのは、大人だって嫌なもの。単純に「今はやめられない!」という正直な気持ちです。 - 心や体が「エネルギー切れ」だから
眠い、お腹が空いた、疲れている。そんな時は、大人だってやる気が出ませんよね。子どもの「あとでやる」は、純粋なエネルギー不足のサインかもしれません。
実は逆効果!ついやりがちな「NG対応」
良かれと思って言っているその一言が、子どもの「先延ばし癖」を悪化させているかも…?
- 「早くやりなさい!」とガミガミ言う → 子どもは聞き流すスキルだけが上達します。
- 「やらないなら、おやつ抜き!」と脅す → 恐怖で動くだけで、自発性は育ちません。
- 「もういい!ママがやる!」と手を出してしまう → 「待っていれば、やってもらえる」と学習してしまいます。
- 「〇〇ちゃんは、もう終わってるのに」と比べる → 自己肯定感を著しく傷つけます。
これらの対応は、その場しのぎにしかならず、根本的な解決からは遠ざかってしまいます。
子どもの「今やろう!」を引き出す5つの魔法
では、どうすればいいのでしょうか?ポイントは、**「行動のハードルを下げて、本人のやる気を引き出す」**ことです。
魔法①:「あとで」を「いつ?」に具体化する
漠然とした「あとで」を、具体的な「約束」に変える魔法です。
【声かけ例】
「わかった。じゃあ、あとでっていつにする?時計の長い針が6になったら始めるのはどう?」
「OK!じゃあ、このテレビが終わったらお片付けね。指切りげんまん!」
魔法②:やることを「一口サイズ」に小さくする
大きすぎる課題は、大人でもやる気が起きません。最初の「一口」を、親が切り分けてあげましょう。
【声かけ例】
「お部屋の片付け、大変だよね。じゃあまず、絵本だけ本棚に戻すことからやってみない?」
「宿題、全部は大変だもんね。算数のプリント1枚だけ、まずやってみようか!」
魔法③:「命令」を「質問(選択肢)」に変える
「やりなさい!」という命令を、「どっちがいい?」という質問に変えるだけで、子どもは「自分で決めた」と感じ、主体的に動きやすくなります。
【声かけ例】
「宿題、算数と漢字、どっちから先にやる?」
「お風呂掃除、浴槽を洗う係と、床を流す係、どっちがいい?」
魔法④:「終わった後の楽しい未来」を想像させる
「〇〇したら、罰として△△させない」ではなく、「〇〇したら、もっと楽しいことが待ってるよ!」と、ポジティブな見通しを持たせてあげましょう。
【声かけ例】
「この宿題がサッと終わったら、寝るまで好きなゲームしていいよ!」
「お片付けが終わったら、気持ちいいお部屋で、とっておきのおやつにしようか!」
魔法⑤:「結果」だけでなく「過程」を褒める
子どもが重い腰を上げ、少しでも行動を始めたら、その瞬間を見逃さずに褒めましょう。
【声かけ例】
「お、宿題始めたんだね!集中してる顔、かっこいいね!」
「ぬいぐるみ、お片付けできたんだ!ありがとう、すごく助かるよ!」
完璧に終わらせることだけがゴールではありません。「やろう」と机に向かったその一歩を認めてもらえることが、次の一歩に繋がります。
まとめ:「あとでやる」は「自分でできるようになる」ための練習期間
子どもの「あとでやる!」は、親のイライラ製造機。でも、見方を変えれば、子どもが自分で計画を立て、責任を持って行動するための、大切な練習期間なんです。
頭ごなしに叱りつけるのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながら、自律への道をサポートしてあげる。それは、親にしかできない、重要な役割なのかもしれません。
もちろん、毎日うまくいくわけではありません。私も、まだまだ娘たちと「あとでやる!」の攻防を繰り広げる毎日です(笑)。お互い、完璧を目指さず、気長にやっていきましょうね。
