「周りの子に比べて、言葉が少しゆっくりかも…」
「公園に行っても、一人でずっと同じ遊びをしている…」
「保育園の先生から、集団での行動が少し苦手みたいです、と言われた…」
我が子を愛おしく思うからこそ、周りの子とのちょっとした違いに気づいた時、「もしかして…」という不安が心をよぎりますよね。
スマホで検索すればするほど、専門用語の海におぼれて、ますます孤独を感じてしまったり。「私の育て方が悪いのかな…」なんて、自分を責めてしまったり…。
その気持ち、痛いほどわかります。私も看護師として、そして3人の子を育てる母として、たくさんの親子と出会ってきました。まず、一番に伝えたいこと。それは、あなたは決して一人じゃないし、あなたのせいでは絶対にない、ということです。
この記事では、そんな不安な気持ちにそっと寄り添いながら、「じゃあ、何から始めればいいの?」という最初のギモンに、具体的にお答えしていきます。
この記事でわかること
- 「発達障害」って、そもそも何?
- もしかして?と感じるサインの例(ASD・ADHD・LD)
- 一人で抱え込まないための「最初の相談先」リスト
- 今日から家庭でできる、親のサポートと心構え
- 子どもの可能性を信じるための、大切な視点
「うちの子、ちょっと違うかも」その正体とは?
「発達障害」という言葉だけが一人歩きして、なんだかとても怖いもののように感じてしまうかもしれません。
でも、まずはシンプルに捉えてみましょう。
結論:発達障害は「病気」ではなく、生まれ持った脳の働きの「個性」です。
育て方が原因なのではなく、脳の機能に少しだけ凸凹(でこぼこ)がある状態、とイメージしてみてください。すごく得意なことがある一方で、すごく苦手なこともある。その差が大きいのが、発達障害の特性なんです。
代表的な3つのタイプと、ママたちが「あれ?」と感じやすいサインの例を見てみましょう。
1. 自閉スペクトラム症(ASD)
一言でいうと:「人との関わり」や「コミュニケーション」がちょっぴり苦手な個性
真面目で、ルールをきちんと守るのが得意な子が多いです。
▼こんなサイン、ありませんか?
- なかなか目が合わない、名前を呼んでも振り向きにくい
- 言葉は話すけど、オウム返しが多かったり、会話が一方通行になりがち
- ごっこ遊びより、ミニカーを一列に並べるなど、一人で黙々と特定の遊びに集中する
- いつも同じ道順じゃないと嫌がるなど、変化や予定変更が苦手で、パニックになることがある
- 特定の音や光、服のタグなどを極端に嫌がる、または好む
2. 注意欠如・多動症(ADHD)
一言でいうと:「うっかりさん」な不注意、「じっとしていられない」多動性、「待つのが苦手」な衝動性の個性
好奇心旺盛で、エネルギッシュな子が多いです。
▼こんなサイン、ありませんか?
- 忘れ物や失くしものが、他の子よりずっと多い
- 食事中や授業中など、座っているべき場面で立ち歩いてしまう
- お友達との会話や遊びに、順番を待てずに割り込んでしまう
- 話を聞いているようで、聞いていない(ように見える)ことがある
- 思いついたら、危ないことでもすぐに行動してしまう
3. 学習障害(LD)
一言でいうと:全体的な発達に遅れはないのに、「読む」「書く」「計算する」など特定の学習だけが極端に苦手な個性
話すのは得意なのに、なぜか教科書の音読だけはつっかえる、といった様子が見られます。
▼こんなサイン、ありませんか?
- 文字を一つ一つ拾って読むので、文章を読むのにとても時間がかかる
- 鏡文字(左右反転した文字)をよく書く
- 簡単な計算でも、指を使わないと難しい
- 黒板の文字をノートに書き写すのが、とても苦手
独りで悩まないで。相談は「次の一歩」への希望です
「相談に行く」=「障害だと認めること」ではありません。
結論:子どものことをもっと深く知って、もっと楽にしてあげるための「最初のステップ」です。
ママが一人で抱え込むのが一番辛い。専門家という「子育ての仲間」を増やすつもりで、気軽にドアを叩いてみてください。
▼身近な相談窓口リスト
- まずはココから:市区町村の保健センター、子育て支援センター
- 乳幼児健診でおなじみの場所です。常駐している保健師さんや心理士さんは、子育ての悩みのプロ。「最近、ちょっと気になることがあって…」と切り出すだけで、親身に話を聞いてくれます。
- かかりつけの小児科
- いつも診てくれている先生だからこそ、成長の過程を踏まえて相談に乗ってくれることも。発達に詳しい先生を紹介してくれる場合もあります。
- 専門的な相談なら:発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に必ず設置されています。発達障害に関する専門的な相談や、どんな支援があるかといった情報提供、具体的な支援計画の作成まで、幅広くサポートしてくれます。
- 通いながら支援を受ける:児童発達支援センター・放課後等デイサービス
- 発達が気になるお子さんが、日常生活や集団生活のスキルを楽しく学べる場所です。専門の先生たちが、一人ひとりの特性に合わせたプログラムを提供してくれます。
不安な今だからこそ。ママ・パパにできるサポート
専門家につながるまでの間も、お家でお子さんのためにできることはたくさんあります。
結論:子どもの「苦手」を責めるのではなく、「安心できる環境」を作ってあげること。
▼今日からできる「ポジティブ」サポート
- 子どもの「好き」や「得意」をたくさん見つける: 苦手なことばかりに目が行きがちですが、その子の「すごい!」を見つけて、たくさん褒めてあげましょう。それが自信のタネになります。
- 刺激を減らして、シンプルな環境を: テレビがつけっぱなし、おもちゃが散らかりっぱなし…だと、集中するのが苦手な子は疲れてしまいます。静かで、片付いた環境を意識するだけで、子どもが落ち着くことがあります。
- 「できた!」を積み重ねる: 高い目標は設定せず、「靴を揃えられた」「挨拶ができた」など、小さな成功体験を一緒に喜びましょう。「できたね!」のハイタッチは、魔法の言葉です。
- ママ自身が、思いっきり息抜きをする!: 一番大事なことです。ママが笑顔でいることが、子どもの一番の安心材料。一時保育を利用したり、パパに預けたり、罪悪感なく自分の時間を作ってくださいね。
▼ついやりがち…でも避けたい「NG」行動
- 他の子と比べる: 「〇〇ちゃんはできるのに、なんであなたは…」この言葉は、子どもの自己肯定感を深く傷つけます。
- 「頑張ればできる」と励ます: 本人は、もう精一杯頑張っているのかもしれません。精神論ではなく、どうすればやりやすくなるか、具体的な工夫を一緒に考えてあげましょう。
- 一人で全部抱え込む: パパ、おじいちゃんおばあちゃん、そして専門家。頼れる先はたくさんあります。ママが一人で完璧なサポートをする必要は全くありません。
まとめ:診断名は「終わり」じゃない。「理解の始まり」です
もし、将来的に何らかの診断名がついたとしても、それは決して悲観的な「終わり」ではありません。
むしろ、**その子の「取扱説明書」を手に入れて、子育てがもっと楽になる「始まり」**だと、私は思っています。
「この子は、音に敏感だから、イヤーマフをしてみようかな」
「言葉で説明するより、絵に描いて伝えた方が分かりやすいんだな」
そうやって、その子の個性を正しく理解することで、不要な叱責が減り、親子の笑顔はきっと増えていきます。
「うちの子、ちょっと違うかも…」その気づきは、お子さんからの大切なSOSであり、ママの愛情の証です。一人で抱え込まず、まずは信頼できる誰かにその気持ちを話すことから、始めてみませんか?
