「私の育て方、これでいいのかな…」褒め方・叱り方に悩む、あなたへ
「また感情的に怒っちゃった…ごめんね」
子どもが寝た後、涙を浮かべながら自己嫌悪。
「すごいね!」と褒めても、なんだか子どもの心に響いていない気がする。
子育て中のあなたは、こんな風に「褒め方」や「叱り方」に悩み、自信をなくしてしまうことはありませんか?
良かれと思って言った言葉が、かえって子どものやる気を削いでしまったり、自己肯定感を傷つけてしまったりしているとしたら…。そう考えると、不安になりますよね。
こんにちは。3人の娘を育てる現役ママナースの皐月です。医療現場で多くの親子と接し、また自身の経験からも、そのお気持ちは痛いほど分かります。
この記事では、そんなあなたの悩みに寄り添い、子どもの自己肯定感をグングン育み、親子の信頼関係を深めるための、具体的で実践的なコミュニケーション術を、ママナースとしての視点も交えながら、余すところなくお伝えします。
もう一人で悩まなくて大丈夫。この記事を読み終える頃には、きっとあなたも自信を持って、子どもと笑顔で向き合えるようになっているはずです。
なぜ、今「自己肯定感」がこんなに大切なの?
最近よく聞く「自己肯定感」という言葉。でも、なぜそんなに重要なのでしょうか?
自己肯定感とは、シンプルに言えば「ありのままの自分を、良いところも悪いところも丸ごと含めてOK!」と思える気持ちのことです。
この「心の土台」がしっかりしている子どもは、
- 失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる
- 困難なことがあっても、乗り越えようと努力できる
- 自分のことを大切にできるから、周りの人のことも大切にできる
- 自分の意見を、自信を持って伝えられる
など、変化の激しいこれからの時代を「生き抜く力」の源になります。
そして、この自己肯定感の土台が作られる最も重要な時期が、幼児期なのです。日々の親子のコミュニケーション、特に「褒め方」と「叱り方」が、子どもの心の土台を大きく左右します。
【要注意】良かれと思ってやってない?子どもの自己肯定感を下げるNG言動
まずは、私たちがついやってしまいがちな、子どもの自己肯定感を下げてしまう可能性のあるNGな褒め方・叱り方を見ていきましょう。
NGな褒め方:「すごい!」「天才!」だけでは危険信号
- 結果だけを褒める:「100点なんてすごいね!」
- →子どもは「結果を出さないと自分には価値がない」と感じてしまう。
- 他人と比較する:「お兄ちゃんより上手だね!」
- →常に他人と自分を比べ、勝ち負けでしか自分を評価できなくなる。
- 大げさに褒めすぎる:「天才じゃない!?」
- →プレッシャーを感じたり、褒められることに慣れてしまい、心に響かなくなる。
- ご褒美で釣る:「これができたらお菓子を買ってあげる」
- →褒められることや物自体が目的になり、自発的なやる気が育たない。
NGな叱り方:「なんでできないの!」は心を傷つける言葉
- 感情的に怒鳴る:「いい加減にしなさい!」
- →子どもは恐怖を感じるだけで、なぜ叱られているのか理解できない。
- 人格を否定する:「本当にダメな子ね!」
- →「自分はダメな人間なんだ」と、存在そのものを否定された気持ちになる。
- 過去のことを持ち出す:「この前も同じこと言ったでしょ!」
- →子どもを追い詰めるだけで、反省や次への行動に繋がらない。
- 子どもの言い分を一切聞かない:「言い訳しないの!」
- →「どうせ分かってもらえない」と、心を閉ざしてしまう。
ドキッとした方もいるかもしれません。でも、大丈夫。今日から意識すれば、必ず変われます。
【褒め方編】子どもの心に響く!自己肯定感を育む3つの黄金ルール
では、具体的にどう褒めれば良いのでしょうか?ポイントは3つです。
ルール1:結果より「過程」を具体的に褒める(Iメッセージ)
子どもが何かを達成した時、結果だけを評価するのではなく、そこに至るまでの努力や工夫、気持ちに目を向けて、具体的に言葉にしてあげましょう。
この時、主語を「私(ママ・パパ)」にする「I(アイ)メッセージ」で伝えると、より気持ちが伝わります。
- (✕)「絵が上手だね」(Youメッセージ)
- (〇)「最後まで諦めずに、色々な色を使って描いたんだね。ママ、その集中力にびっくりしたよ。素敵な絵を見せてくれて嬉しいな」(Iメッセージ)
ルール2:「存在そのもの」を肯定する(Beingを認める)
何か特別なことができた時だけでなく、日常の何気ない瞬間に、子どもの存在そのものを肯定する言葉を伝えてあげましょう。これを心理学では「Being(存在)」を認めると言います。
- 「〇〇ちゃんがいてくれるだけで、ママは毎日幸せだよ」
- 「おはよう!朝、元気な顔が見られて嬉しいな」
- 「大好きだよ、ぎゅーっ!」
このような言葉のシャワーが、子どもの心の根っこに「自分は愛されている」「そのままでいいんだ」という絶対的な安心感を育てます。
ルール3:子どもの「できた!」に心から共感し、一緒に喜ぶ
子どもが「見て見て!できたよ!」と駆け寄ってきた時、それは共感してほしいサインです。
- (✕)「はいはい、すごいね(スマホを見ながら)」
- (〇)「わー、本当だ!ここまで一人でできたの!?すごい!どんなところが難しかった?」
たとえ大人から見れば些細なことでも、子どもにとっては大きな一歩。その気持ちに寄り添い、一緒に心から喜んであげることで、子どもの達成感と自己肯定感はさらに高まります。
【叱り方編】子どもに伝わる!自己肯定感を守る3つのステップ
「叱る」の目的は、子どもを罰することではなく、社会のルールや望ましい行動を教え、自分で考える力を育むことです。感情的に「怒る」のではなく、冷静に「叱る」ための3ステップをご紹介します。
ステップ1:まずは気持ちを受け止める(共感)
どんな行動にも、子どもなりの理由や気持ちがあります。まずは、その気持ちに共感し、受け止めてあげましょう。
- (✕)「ダメでしょ!なんで叩くの!」
- (〇)「そっか、あのおもちゃで遊びたかったんだね。取られちゃって、悲しかったんだね」
最初に共感することで、子どもは「ママは分かってくれる」と感じ、親の言葉に耳を傾ける準備ができます。
ステップ2:短い言葉で「行動」を注意する(人格は否定しない)
次に、なぜその行動がダメなのかを、人格を否定せず、具体的な「行動」に焦点を当てて、短く簡潔に伝えます。
- (✕)「意地悪な子は嫌いだよ」
- (〇)「でも、だからといって、お友達を叩くのは違うかな。叩かれたら痛いし、悲しい気持ちになるよね」
ステップ3:どうすれば良かったかを「一緒に」考える
最後に、罰を与えて終わりにするのではなく、「じゃあ、どうすれば良かったんだろうね?」と、子ども自身が考えられるように問いかけ、一緒に解決策を探しましょう。
- 「次、おもちゃを貸してほしくなったら、なんて言ってみる?」
- 「『かーしーて』って、一緒に練習してみようか」
このプロセスが、子どもの社会性と問題解決能力を育みます。
ママナースの視点:叱る前に、まず子どもの「全体」を見て
医療現場では、患者さんの訴えだけでなく、顔色、呼吸、食欲など、様々な情報を統合して状態を判断する「アセスメント」という考え方を大切にします。
これは子育てでも全く同じです。
子どもが問題行動を起こした時、その行動だけを切り取って叱る前に、「今日の体調はどうかな?」「園で何か嫌なことはなかったかな?」「お腹は空いていないかな?」と、子どもの心と体の状態を観察してみてください。
特に、普段よりぐずったり、癇癪を起こしたりする時は、体調不良のサインであることも少なくありません。
感情的に叱りそうになったら、一度深呼吸。「この子の”今”はどういう状態だろう?」と、看護師のように冷静に観察する視点を持つだけで、あなたの対応はきっと変わってくるはずです。
まとめ:完璧な親じゃなくていい。あなたの「味方だよ」が伝われば、それで100点!
褒め方・叱り方に、たった一つの正解はありません。子どもの個性や状況によって、対応は変わって当然です。
大切なのは、テクニックの上手さよりも、子どもを一人の人間として尊重し、「何があっても、私はあなたの絶対的な味方だよ」というメッセージを、日々のコミュニケーションを通して伝え続けること。
今日お伝えしたことも、一度に全部やろうとしなくて大丈夫です。
まずは、寝る前に「大好きだよ」と伝えることから。
次は、叱る前に一度深呼吸してみることから。
その小さな一歩が、子どもの自己肯定感という、一生の宝物を育んでいきます。そしてそれは、あなた自身の「親としての自信」にも繋がっていくはずです。