「私が、頑張らなきゃ」
「夫は仕事で疲れてるから、これ以上迷惑はかけられない」
「『助けて』なんて言ったら、ダメな母親だと思われる…」
本当はもう、心も体も限界なのに。SOSの声をぐっと飲み込んで、笑顔の仮面を被って、今日をなんとか乗り切っている。そんなママたちに、この記事を書いています。
こんにちは。3人の娘を育てながら、看護師として働く皐月です。
看護師の仕事は、チームプレーです。どんなにベテランの看護師でも、一人でできることには限界がある。ヤバい、と思ったら、すぐに「助けてください!」と叫ぶ。それが、患者さんの命を守るための、最もプロフェッショナルな行動です。
育児も、全く同じ。
ママが一人で全てを抱え込むことは、「責任感」ではなく、時に「危険な状態」ですらあると、私は思います。
この記事では、かつて「助けて」が言えずに一人で泣いていた私が、どうやってその呪いを解いたのか。パートナーや社会を「最高のチームメイト」に変えるための、具体的な考え方と方法をお伝えします。
この記事でわかること
- なぜ、ママは「助けて」が言えなくなってしまうのか?
- 「頼ること」は、母親失格ではなく「最強のスキル」である理由
- 夫を最高の「戦友」に変える、魔法の「SOSの伝え方」
- あなたが頼っていい、社会のサービス一覧
なぜ「助けて」が言えないの?ママを縛る「完璧な母親」の呪い
そもそも、どうして私たちは、こんなにも「助けて」と言うのが苦手なのでしょうか。
結論から言うと、私たちは知らず知らずのうちに、「母親とは、無償の愛で、自己犠牲を厭わず、子どものために24時間尽くすものだ」という、非現実的な「完璧な母親像」の呪いにかかっているからです。
その呪いは、「私が我慢すれば丸く収まる」という思考停止を生み、あなたをどんどん孤独にしていきます。
でも、考えてみてください。飛行機に乗ると、必ず「酸素マスクは、まず大人がつけてから、お子様につけてください」とアナウンスがありますよね。なぜだか分かりますか?
そう、ママが倒れたら、子どもを守る人は誰もいなくなってしまうからです。
自分を後回しにすることが、子どものためではない。ママが心身ともに健康でいることこそが、子どもにとって最高の環境なのです。
パートナーを「最高の戦友」にする、具体的な「助けて」の伝え方
一番身近なチームメイトであるはずの、夫。でも、「『手伝おうか?』待ち」だったり、頼んでも「今忙しい」と返されたりすると、頼る気力も失せてしまいますよね。
ポイントは、**夫を「私の気持ちを察する超能力者」だと思うのをやめること。**そして、「やってほしいこと」を、具体的に、明確に伝える「技術」を身につけることです。
【NGな伝え方】
「疲れた…」(察して…!)
「なんで私ばっかり!」(感情的な爆発)
【OKな伝え方】:「私」を主語にして、具体的にリクエスト!
「私、今日はもうヘトヘトで、夕飯作る気力が残ってなくて…。悪いんだけど、何かお惣菜を買ってきてもらえると、私がすごく助かるな」
**「今の私の状態」+「やってほしい具体的な行動」**をセットで伝えることで、夫も「なるほど、それならできる!」と、ミッションとして行動しやすくなります。「ありがとう、助かった!」の一言を添えれば、次も気持ちよく動いてくれるはずですよ。
あなたは一人じゃない!ママを助ける「社会の仕組み」を知っておこう
パートナーに頼るのが難しい状況だって、もちろんあります。そんな時は、ためらわずに社会のサポートを頼りましょう。これらは、あなたが税金を納めている国民として、堂々と利用していい権利です。
- ファミリー・サポート・センター(ファミサポ):
地域で「子育てを手伝いたい人」と「手伝ってほしい人」を繋いでくれる、自治体の事業です。1時間数百円~と非常に安価で、保育園の送迎や、数時間の子どもの預かりなどをお願いできます。 - 一時保育:
保育園や認定こども園などが、普段は園に通っていない子どもを、一時的に預かってくれる制度です。「美容院に行きたい」「一人でゆっくり買い物したい」…どんな理由でも大丈夫!リフレッシュのために使うことに、罪悪感を感じる必要は全くありません。 - 家事代行・ベビーシッター:
お金はかかりますが、「お金で時間と心の平穏を買う」という、非常に賢い選択肢です。月に一度、2時間だけ掃除をお願いするだけでも、心に驚くほどの余裕が生まれます。 - 地域の保健センター・子育て支援センター:
「誰かに話を聞いてほしい」と思ったら、まずはここに電話してみてください。保健師さんや助産師さんなど、育児のプロが、無料であなたの話に耳を傾けてくれます。
まとめ:「頼る勇気」は、あなたと家族を守る最強のスキル
「助けて」と言うことは、決してあなたが母親として劣っていることの証明ではありません。
それは、**自分と家族が今、どんな状況にあり、どうすればこの危機を乗り越えられるかを冷静に判断し、必要なリソース(夫や社会の力)を確保するための、極めて高度な「危機管理能力」**です。
あなたは、一人で戦う孤独な兵士ではありません。家族というチームを率いる、賢い司令塔なのです。
どうか、その勇気ある一歩を踏み出してください。あなたの「助けて」の一言が、あなた自身を、そしてあなたの大切な家族を、必ず守ってくれますから。
