その「ごめんなさい」、心から言えていますか?
お友達のおもちゃを、思わず取ってしまった我が子。
泣き出した相手の子と、周りのママたちの視線に焦り、あなたはつい、強い口調でこう言っていませんか?
「ほら!ごめんなさいは!?」
こんにちは、3姉妹の母で現役ナースの皐月です。
私も、かつてはそうでした。
その場を丸く収めるために、とにかく早く謝らせることばかりを考えていました。
でも、子どもが、少しも悪いと思っていない顔で、棒読みの「ごめんなさい」を口にするのを見て、ハッとしたのです。
この関わり方は、子どもの心を置き去りにしている、と。
今回は、形だけの謝罪を強要することの危険性と、言葉より先に育てるべき「大切な感情」についてお話しします。
なぜ「ごめんなさい」の強要は、NGなのか
親に叱られ、無理やり言わされた「ごめんなさい」。
そこに、心からの反省はあるでしょうか?
子どもは、その場を収めるための「魔法の呪文」として、「ごめんなさい」という言葉を覚えるだけ。
なぜ謝る必要があるのか、自分の行動が相手をどんな気持ちにさせたのかを、全く理解していません。
それどころか、「僕の気持ちは、聞いてもらえなかった」という不満や、「悪いことをしても、謝れば許される」という誤った学習に繋がってしまう危険性すらあるのです。
謝罪より先に育てるべき、2つの大切な感情
では、親はどうすればいいのでしょうか。
大切なのは、謝罪という「言葉」を教える前に、その土台となる2つの感情を、丁寧に育んであげることです。
① 相手の気持ちを想像する力(共感性)
まずは、子どもの行動と、その結果を結びつけてあげましょう。
「おもちゃを取っちゃったんだね。でも、見て。〇〇ちゃん、悲しい顔して泣いているよ」
「もし、〇〇(自分の子の名前)が、大事にしていたものを急に取られたら、どんな気持ちがするかな?」
自分の行動が、相手にどんな影響を与えたのか。
相手の立場に立って、その痛みを想像する手助けをしてあげるのです。
② 自分の非を、自分で認める気持ち(内省)
相手の気持ちを想像できたら、次にこう問いかけます。
「悲しい顔をしている〇〇ちゃんに、なんて言ってあげたら、また仲良く遊べるかな?」
親が「謝りなさい」と命令するのではなく、子ども自身に、どうすべきかを考えさせます。
子どもが自分の心の中から「あ、謝った方がいいんだ」と感じ、自らの意志で「ごめんなさい」という言葉を選択すること。
このプロセスこそが、本当の意味での反省と成長に繋がるのです。
◇
形だけの「ごめんなさい」に、意味はありません。
時間はかかるし、根気もいります。
でも、自分の行動を振り返り、相手の痛みを想像し、自分の言葉で謝ることができる。
その力は、お子さんがこれから社会で生きていく上で、何より大切な「お守り」になるはずです。
私たち親の役目は、その心の根っこを、じっくりと育ててあげることなのかもしれませんね。
