胃腸炎

子どもの腹痛、その原因は?便秘から危険な病気まで、見分け方のポイント

はじめに:「お腹が痛い」その一言に隠されたサイン

子どもが「お腹が痛い」とうずくまっていると、親としてはとても心配になりますよね。ただの食べ過ぎ?それとも便秘?もしかして、何か大変な病気だったら…と、様々な可能性が頭をよぎると思います。

こんにちは、ママナースのさとみです。子どもの腹痛は、日常的によくある症状ですが、その原因は多岐にわたります。そのほとんどは心配のないものですが、中には緊急を要する「危険な腹痛」も存在します。

この記事では、子どもの腹痛の主な原因と、家庭で様子を見ても良い腹痛すぐに病院へ行くべき危険な腹痛の見分け方について、ママナースの視点から解説します。


子どもの腹痛、よくある3つの原因

まず、子どもの腹痛で最も多い原因を3つご紹介します。

1. 便秘

実は、子どもの腹痛で最も多い原因の一つが「便秘」です。数日間うんちが出ていない、出てもコロコロと硬いうんち、という場合は便秘による腹痛を疑いましょう。お腹が張って苦しそうな様子が見られます。

2. 感染性胃腸炎

ウイルスや細菌に感染することで起こります。腹痛に加えて、嘔吐や下痢、発熱を伴うことが特徴です。いわゆる「お腹の風邪」と呼ばれるものです。

3. 食べ過ぎ・飲み過ぎ

消化の良いものを少し食べ過ぎた程度では腹痛は起こりにくいですが、脂っこいものや冷たいものを一度にたくさん摂取すると、胃腸に負担がかかり、腹痛を引き起こすことがあります。


緊急!すぐに病院へ行くべき「危険な腹痛」のサイン

以下の症状が一つでも見られる場合は、自己判断せず、夜間や休日でもすぐに医療機関を受診してください。

  • だんだん痛みが強くなる、痛がる場所が移動する
  • お腹を触られるのを極端に嫌がる、お腹が硬く張っている
  • 歩くとお腹に響いて痛がる
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 嘔吐や下痢が止まらない、吐いたものや便に血が混じっている
  • (特に男の子で)お股(陰嚢)を痛がる
  • 泣き叫ぶほどの激しい痛みが、波のように繰り返しやってくる

これらのサインは、虫垂炎(盲腸)や腸重積症など、緊急手術が必要な病気の可能性があります。一刻も早く専門医の診察を受けさせてあげてください。


家庭でできる腹痛のケア

危険な腹痛のサインがなく、比較的元気な場合は、お家でケアをしながら様子を見ることができます。

  • 楽な姿勢で休ませる: 横になって膝を曲げるなど、本人が一番楽だと感じる姿勢で休ませてあげましょう。
  • お腹を温める: 便秘や胃腸の冷えによる腹痛の場合、お腹を「の」の字に優しくマッサージしたり、腹巻や温かいタオルで温めたりすると、痛みが和らぐことがあります。ただし、痛みが強まる場合はすぐに中止してください。
  • 食事は消化の良いものを: 痛みが落ち着いて食欲が出てきたら、おかゆやうどんなど、胃腸に負担のかからないものから少しずつ始めましょう。
  • 水分補給は忘れずに: 特に下痢や嘔吐がある場合は、脱水症状を防ぐために、経口補水液や麦茶などでこまめな水分補給を心がけてください。

まとめ:腹痛は子どもからの重要なメッセージ

子どもの「お腹が痛い」という訴えは、様々な原因から発せられる重要なメッセージです。

まずは慌てずに、腹痛以外の症状(熱、嘔吐、下痢、便の状態など)や、子どもの全身状態をよく観察することが大切です。そして、「いつもと違う」「これはおかしい」と感じたら、迷わずにかかりつけ医に相談しましょう。

親の冷静な判断が、子どもの健康を守ることに繋がります。


【ママナースが解説】子どもの風邪・胃腸炎、どう乗り切る?ホームケアと受診の目安

「また熱…」「吐いちゃった…」子どもの病気に、心が折れそうなあなたへ

保育園から帰ってきたら、なんだかぐったりしている我が子。

夜中に突然、マーライオンのように吐いてしまう。

「また風邪…?」「胃腸炎かな…?」

子どもの体調不良は、親にとって最も心配で、そして最も疲れることの一つですよね。

「病院に行った方がいいのかな?」「家でできることって、他にないかな?」

そんな不安と疑問で、頭がいっぱいになっていませんか?

こんにちは!3人の娘たちが、数えきれないほどの風邪や胃腸炎を経験し、その度に看病に明け暮れてきた、現役ママナースの皐月です。

看護師として、多くの病気の子どもたちと接してきました。そして、一人の母親として、夜中に吐き続ける我が子を前に、途方に暮れた経験も何度もあります。

この記事では、そんなあなたの不安を少しでも和らげるために、**子どもがよくかかる「風邪」と「胃腸炎」に焦点を当て、家庭でできる具体的なホームケアと、すぐに病院に行くべき「危険なサイン」、そして「受診の目安」**を、専門家の視点から分かりやすく解説します。

正しい知識と準備があれば、きっとあなたは、お子さんの「最初の看護師」として、冷静に対応できるはずです。


Part 1:子どもの「風邪」― 鼻水・咳・発熱のホームケア

子どもが最もよくかかる病気の一つが「風邪」です。ウイルス感染が原因で、鼻水、咳、発熱などの症状が出ます。

【ホームケアの基本】

  1. 水分補給をこまめに: 発熱や鼻水で脱水になりやすいので、湯冷まし、麦茶、経口補水液などを少量ずつ、頻繁に与えましょう。
  2. 安静にする: 無理に遊ばせず、ゆっくり休ませましょう。睡眠は、回復を促す最高の薬です。
  3. 室温・湿度を快適に: 室温は20〜25℃、湿度は50〜60%を目安に。加湿器を使うと、鼻や喉の乾燥を防ぎ、咳を和らげる効果も期待できます。
  4. 鼻水対策:
    • 鼻吸い器: 鼻水がひどい場合は、鼻吸い器でこまめに吸い取ってあげましょう。鼻が詰まっていると、呼吸が苦しくなったり、中耳炎の原因になったりすることもあります。
    • 蒸しタオル: 温かい蒸しタオルを鼻に当てると、鼻の通りが良くなります。
  5. 咳対策:
    • 体を起こす: 寝る時に、上半身を少し起こしてあげると、咳が楽になることがあります。枕の下にタオルなどを敷いて、少し高くしてあげましょう。
    • 加湿: 部屋の加湿を心がけましょう。

【発熱時のホームケア】

  • 薄着にする: 熱が上がりきって手足が温かくなってきたら、薄着にして熱がこもらないようにしましょう。
  • 体を冷やす: 脇の下、首の付け根、足の付け根など、太い血管が通っている場所を冷やすと効果的です。嫌がる場合は無理に冷やさなくても大丈夫です。
  • 解熱剤: ぐったりしている、つらそうにしている、眠れないなどの場合に、医師から処方された子ども用の解熱剤を使いましょう。熱を下げること自体が目的ではなく、つらさを和らげるためです。

Part 2:子どもの「胃腸炎」― 嘔吐・下痢のホームケア

ウイルスや細菌が原因で、嘔吐や下痢を繰り返すのが「胃腸炎」です。脱水になりやすいので、特に注意が必要です。

【ホームケアの基本】

  1. 水分補給を最優先:
    • 少量ずつ、頻繁に: 嘔吐がある場合は、一度にたくさん飲ませるとまた吐いてしまうので、スプーン1杯ずつなど、ごく少量から始めましょう。
    • 与えるもの: 経口補水液が最もおすすめです。なければ、薄めた麦茶やリンゴジュース(薄める)、野菜スープなどでも良いでしょう。
    • 吐き気が強い時: 吐き気が強い時は、無理に飲ませず、30分〜1時間ほど胃を休ませてから、また少量ずつ試しましょう。
  2. 食事は無理に与えない:
    • 嘔吐や下痢がひどい時は、無理に食べさせる必要はありません。水分補給を優先しましょう。
    • 食べられるようになったら、おかゆ、うどん、食パン、すりおろしリンゴなど、消化の良いものから少量ずつ始めましょう。
  3. おむつかぶれ対策: 下痢が続くと、おむつかぶれになりやすいので、こまめにおむつを替え、お尻を優しく洗い、ワセリンなどで保護しましょう。

【ママナースの視点】すぐに病院へ!危険なサインと受診の目安

子どもの病気で最も大切なのは、「いつもと違う」という親の直感です。以下のサインが見られたら、迷わず病院を受診しましょう。

すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン

  • 意識がない、呼びかけに反応しない、ぐったりしている
  • けいれんが5分以上続く、けいれんを繰り返す
  • 呼吸が苦しそう(肩で息をしている、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする、陥没呼吸)
  • 顔色や唇の色が真っ青、紫色になっている
  • 激しい頭痛や嘔吐を繰り返す
  • 生後3ヶ月未満の38℃以上の発熱

夜間・休日でも受診を検討すべきサイン

  • 熱が下がってもぐったりしている、元気がない。
  • 機嫌が悪い、あやしても泣き止まない。
  • 発疹を伴う発熱。
  • 特定の部位の痛みが強い(耳を痛がる、お腹を痛がるなど)。
  • 血便、粘液便が出る。
  • 持病がある場合の発熱(喘息、心臓病など)。

<ママナースの重要メモ>
熱の高さよりも、**子どもの全身状態(元気があるか、水分が摂れているか、呼吸はどうかなど)**を重視してください。親の「何かおかしい」という感覚は、非常に重要です。迷ったら、地域の小児救急電話相談(#8000)や、かかりつけ医に相談しましょう。


まとめ:親の笑顔が、子どもの一番の薬

子どもの病気は、親にとって本当に大変なことです。でも、どうか一人で抱え込まないでください。

正しい知識を持って冷静に対応すること。そして、何よりも、あなたが笑顔でいることが、病気と闘うお子さんにとって、一番の安心であり、最高の薬になります。

この大変な時期を乗り越えれば、きっと親子の絆は、より一層深まるはずです。