育児ストレス

子どもの急な発熱で仕事を休む罪悪感…。職場への”神”連絡術と、気まずくならないための普段の立ち回り術

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません…」電話口で、何度頭を下げましたか?

保育園からの着信。その画面を見ただけで、心臓がドキッと音を立てる。

「〇〇ちゃん、38.5℃のお熱で…」

その言葉を聞いた瞬間、頭の中は真っ白。ぐるぐると渦巻くのは、子どもの心配と、それと同じくらい大きな、職場への申し訳なさ。

「またか…って、思われてるだろうな」
「あの仕事、今日中に終わらせなきゃいけなかったのに…」

電話口でひたすら謝罪し、周りの同僚の視線を感じながら、心の中で自分を責める。ワーキングマザーなら、誰もが経験する、あの針のむしろに座るような罪悪感。

私も、ナースとして復帰したばかりの頃は、娘たちの急な発熱のたびに、職場に電話するのが本当に苦痛でした。「休んで当然」という権利だと頭では分かっていても、心がついていかないんですよね。

でも、ある時気づいたんです。

伝え方一つで、相手の受け取り方は全く変わる。そして、普段のちょっとした立ち回りで、いざという時の「休みやすさ」は、自分で作ることができるのだと。

この記事では、あなたがもうこれ以上、子どもの発熱のたびに罪悪感で潰れそうにならなくて済むように、私が実践してきた職場への「神」連絡術と、気まずくならないための普段の立ち回り術を、具体的にお伝えします。

その伝え方、損してるかも?「申し訳ない」が逆効果になる理由

まず、一番やってはいけないのが、「ひたすら謝罪し続ける」ことです。

もちろん、迷惑をかけることへの謝意は必要です。でも、「申し訳ありません」を連発し、過度に自分を卑下する態度は、かえって周りを困らせ、あなた自身の評価を下げてしまうことにも繋がりかねません。

なぜなら、それは「私は仕事への責任感より、罪悪感でいっぱいです」と宣言しているようなものだからです。周りが本当に知りたいのは、あなたの謝罪の言葉ではなく、**「仕事の状況はどうなっていて、何をすればカバーできるのか」**という具体的な情報なのです。

罪悪感が感謝に変わる!ママナース流「神」連絡術3ステップ

では、どう伝えればいいのか。私が実践している、3つのステップをご紹介します。電話やチャットで連絡する際に、この順番を意識するだけでOKです。

Step 1: 結論ファーストで「事実」を簡潔に伝える

まず、言い訳や感情は抜きにして、事実だけを簡潔に伝えます。

NG例: 「本当に申し訳ないんですけど、朝から子どもの熱がすごくて、ぐったりしてて…保育園からも電話があって、どうしようもなくて…本日、お休みをいただくことは可能でしょうか…?」

OK例: 「おはようございます。子どもの発熱のため、本日は急遽お休みをいただくことになりました。」

最初に「休む」という結論を明確に伝えることで、相手は「では、仕事の調整をどうしようか」と、すぐに次の思考に移ることができます。

Step 2: 「仕事の状況」と「引き継ぎ」を具体的に提示する

次に、相手の「仕事は大丈夫?」という不安を解消するための情報を伝えます。これが最も重要です。

OK例:
「担当しているA案件の資料ですが、昨日のうちに作成を終え、共有フォルダのBというファイルに保存済みです。」
「もし本日、C社から連絡がありましたら、『担当の皐月は本日不在にしておりますので、明日改めてご連絡します』とお伝えいただけますでしょうか。」
「急ぎの要件については、メールを確認できますので、何かあればご連絡ください。」

ポイントは、**「私は休みますが、仕事が滞らないように、できる限りの手は打ちました」**という姿勢を見せることです。これにより、あなたのプロ意識と責任感の強さが伝わります。

Step 3: 謝罪+感謝の「合わせ技」で締めくくる

最後に、謝罪と感謝をセットで伝えます。

NG例: 「本当にご迷惑ばかりおかけして、申し訳ありません…」

OK例: 「急なことでご迷惑をおかけし、申し訳ありません。皆様のサポートに、心から感謝いたします。 明日には出社できるよう、しっかり子どもの看護にあたります。」

「申し訳ない」という気持ちを、「助けてくれてありがとう」という感謝の気持ちに転換するのです。感謝を伝えられて、嫌な気持ちになる人はいません。むしろ、「大変な時はお互い様だから、気にしないで」という温かい空気が生まれます。

「休みやすい自分」は作れる!普段からの立ち回り術

いざという時に休みやすくするためには、普段からの「信頼の貯金」が欠かせません。

  • 自分の仕事は、常に前倒しで進める癖をつける。
  • 仕事の進捗状況や情報を、普段からチーム内でオープンに共有しておく。(「あの人にしか分からない仕事」をなくす)
  • 同僚が困っている時は、積極的に「何か手伝うことある?」と声をかける。
  • 「いつも子どものことで助けていただき、ありがとうございます」と、普段から感謝を口に出して伝える。

「情けは人の為ならず」です。普段から周りを助け、感謝を伝えている人に対して、いざという時に冷たく当たる人はいません。

まとめ

ワーキングマザーにとって、子どもの急な発熱は避けて通れない道です。そして、そのたびに感じる罪悪感は、私たちの心を少しずつ蝕んでいきます。

でも、もう自分を責める必要はありません。

あなたは、母親としても、一人の働くプロとしても、何も間違っていないのですから。

今回お伝えした連絡術と立ち回り術が、あなたの「申し訳ない」を「ありがとう」に変え、あなたがもっと心穏やかに、自信を持って働き続けるための、力強い味方になることを、心から願っています。

「#完璧なママやめました」宣言!ママナースが実践する”頑張らない”家事育児。心の余裕を生む手抜き術リスト

「今日もちゃんとできなかった…」自己採点、毎日ゼロ点ですか?

ピカピカに磨かれた床、栄養バランスの取れた手作りの食事、そして、常に笑顔で子どもに接する、穏やかな私…。

そんな「理想の母親像」に、自分を当てはめては、ため息をついていませんか?

現実は、朝から晩までノンストップ。気づけば家の中はぐちゃぐちゃ、夕飯は冷凍うどん、そして子どもには「早くしなさい!」と怒鳴ってばかり。

そんな一日の終わりに、「今日も、ちゃんとできなかった…」と自分を責め、心の中で自分に大きなバツをつけてしまう。

もし、あなたがそんな風に苦しんでいるのなら、今、ここで、私と一緒に宣言しませんか?

「#完璧なママ、やめました」 と。

この記事は、かつて「ちゃんと病」に苦しんだママナースである私が、心と体の健康を取り戻すために実践してきた、罪悪感ゼロの「頑張らない」家事育児リストです。

これは、単なる「時短術」ではありません。あなたの心を縛り付ける「~べき」という呪いから、あなた自身を解放するための、具体的な処方箋です。

なぜ頑張りすぎてしまうの?ナースが使う「トリアージ思考」で育児をハック!

そもそも、なぜ私たちは「ちゃんとやらなきゃ」と自分を追い詰めてしまうのでしょうか。それは、育児も家事も、やろうと思えば無限にやることがあるからです。終わりなきタスクの山を前に、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」とパニックになってしまうのです。

そこで、私がナース時代に叩き込まれた**「トリアージ思考」**を、育児と家事に応用してみましょう!

トリアージとは、災害医療の現場などで、多くの患者さんの中から、治療の優先順位を決めることです。これを家庭に応用すると、こうなります。

「今、本当にやらなければ死活問題になることは何か?」

この視点で、すべてのタスクを見直してみるのです。

  • 命に関わる(最優先): 子どもの食事、安全確保、病気のケア
  • 生活に必要(優先度・中): 最低限の着替えの洗濯、食事の片付け
  • やれたらラッキー(優先度・低): 部屋の掃除、手の込んだ料理、アイロンがけ

どうでしょう?こう考えると、「床にホコリが落ちていること」は、子どもの命には関わらない、優先度の低いタスクだと思えませんか?

【罪悪感ゼロ】ママナースが実践する「頑張らない」家事育児リスト

トリアージ思考をベースに、私が実際にやっている「手抜き術」を具体的にご紹介します。罪悪感を感じる必要は一切ありません。これは、あなたの心の余裕時間を生み出すための、賢い戦略です。

食事編

  • 週1日は「完全手抜きデー」: レトルト、冷凍食品、デリバリー、お惣菜、なんでもOK!「ご飯を作らない日」を意図的に作る。
  • 献立はパターン化: 「月曜はカレー、火曜は麺類…」のように、考える手間を徹底的に省く。
  • 一汁一菜で十分: 栄養バランスは、1日単位ではなく、1週間単位でゆるく考える。
  • 便利な調理家電に頼る: 電気圧力鍋、ホットクック、食洗機は、もはや「三種の神器」。文明の利器は、どんどん使いましょう。

掃除・洗濯編

  • 掃除は「週末にまとめて」と決めつけない: 汚れが気になった時に、その場所だけサッと拭く「ついで掃除」で十分。
  • ロボット掃除機は最強の相棒: あなたが子どもと遊んでいる間に、床は勝手にキレイになります。
  • 洗濯物はたたまない: 子ども用も大人用も、乾いたら各自のボックスに放り込むだけ。どうせまたすぐに着ます!
  • 乾燥機付き洗濯機を導入する: 「干す」という工程がなくなるだけで、革命的に時間が生まれます。

育児編

  • 全力で遊ぶのは1日15分でOK: 大切なのは時間の長さより密度。スマホを置いて、本気で子どもと向き合う時間を15分作れば、子どもは十分に満たされます。
  • テレビや動画は「頼れる戦友」: 「テレビに子守をさせて…」なんて罪悪感は不要です。ママが笑顔を取り戻すための、大切な休息時間を作ってくれる戦友です。
  • 寝かしつけは無理しない: どうしても寝ない日は、「今日は寝ない日なんだな」と諦めて、一緒にゴロゴロする。イライラしながら格闘するより、よっぽど平和です。

「ちゃんとしない」ことで手に入る、本当に大切なもの

「ちゃんとしない」ことは、決して「母親としての責任を放棄する」ことではありません。

むしろ、やらなくてもいいタスクを手放すことで、本当に大切なことに時間と心のエネルギーを注ぐための、積極的な選択なのです。

完璧な家事よりも、ママの笑顔。
手の込んだ料理よりも、親子で笑い合う時間。

あなたが「頑張らない」ことで生まれる心の余裕こそが、子どもにとって最高の栄養になることを、どうか忘れないでください。

まとめ

「ちゃんとママ」の呪いは、知らず知らずのうちに、あなたを孤独にし、追い詰めていきます。

今日から、一つでもいい。「やらなくてもいいこと」を見つけて、手放してみてください。そして、そうやって生まれた数分、数十分を、ただボーっとしたり、好きな紅茶を飲んだりする、あなただけの時間に使ってあげてください。

完璧じゃない、ちょっとくらいダメなところがあるママ。それでいいんです。それが、人間味あふれる、あなたらしい、最高のママの姿なのですから。

「助けて」が言えないママたちへ。実は知らないと損する「公的サポート」と「民間サービス」完全ガイド

「すみません、今ちょっと手が離せなくて…」電話一本できずに、涙したことありませんか?

高熱でぐったりしている子どもを抱え、鳴り響く電話をただ見つめるだけ。本当は病院に電話して、予約を取りたい。でも、子どもが泣き叫んでいて、それすらままならない。

「誰か、この電話一本だけでも代わってくれたら…」

そんな、あまりにも些細で、しかし切実な願いを胸に、一人で涙したことはありませんか?

「人に頼るのは、迷惑をかけること」
「母親なんだから、これくらい自分で乗り越えなきゃ」

真面目で、責任感の強いあなただからこそ、そうやって自分を追い詰めてしまうんですよね。痛いほど、その気持ちがわかります。

でも、もし、あなたのその「しんどさ」を、ほんの少し肩代わりしてくれるサービスがあるとしたら? しかも、それが意外と身近で、あなたが思っているよりもずっと気軽に使えるものだとしたら…?

この記事では、「助けて」が言えずに一人で抱え込んでしまうあなたのために、知っているだけで心が軽くなる**「公的サポート」「民間サービス」**について、具体的な使い方や料金、そして「こんな時でも頼っていいんだ!」という実例を交えながら、ママナースの視点で徹底的に解説します。

もう、一人で頑張らなくていいんです。この記事は、あなたのための「頼れる先リスト」です。

あなたは一人じゃない!知っておきたい「育児サポート」の種類と特徴

育児をサポートしてくれるサービスは、大きく分けて「公的」と「民間」の2種類があります。まずはそれぞれの特徴を知って、自分に合ったサービスを見つけることから始めましょう。

サービスの種類 特徴
公的サポート 自治体が主体。料金が安価なことが多いが、利用条件や手続きが必要な場合も。
民間サービス 企業が提供。料金は比較的高めだが、柔軟性が高く、多様なニーズに対応。

「料金が高いのは無理…」と諦めるのはまだ早いです!それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に応じて賢く使い分けるのがポイントです。

【安価で安心】まず登録したい!公的サポートサービス

「困った時の最初の砦」として、まずは自治体が提供するサービスに登録しておくことを強くお勧めします。お住まいの市区町村のウェブサイトで「子育て支援」と検索してみてくださいね。

ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)

  • どんなサービス?
    • 「子育てを手伝ってほしい人(依頼会員)」と「手伝いたい人(提供会員)」を繋いでくれる、地域住民による相互援助活動です。
  • こんな時に頼れる!
    • 保育園や習い事の送迎
    • 親の通院やリフレッシュの間の預かり
    • 冠婚葬祭時の預かり
  • 料金の目安: 1時間あたり700円~1,000円程度(自治体による)
  • ママナース的ポイント: 提供会員さんは、講習を受けた地域の方々。プロではありませんが、だからこその温かいサポートが魅力です。「ご近所さん」にお願いするような感覚で頼れますよ。利用には事前登録と説明会への参加が必要なことが多いので、元気なうちに登録を!

子育て支援センター・児童館

  • どんなサービス?
    • 親子が自由に訪れて遊んだり、他の親子と交流したりできる施設です。育児相談に乗ってくれる専門スタッフが常駐していることも。
  • こんな時に頼れる!
    • 「今日は誰かと話したい…」と感じた時
    • 育児に関するささいな疑問や不安を聞いてほしい時
    • 子どもの遊び場に困った時
  • 料金の目安: 無料
  • ママナース的ポイント: ここは「預ける」場所ではありませんが、あなたの「孤立」を防いでくれる、何より大切な場所です。スタッフの方は育児支援のプロ。ただ話を聞いてもらうだけで、心がスーッと軽くなることもあります。お散歩のついでに、ぜひ一度覗いてみてください。

【柔軟で便利】いざという時の切り札!民間サービス

「今すぐ来てほしい!」「病気の子どもを見てほしい!」そんな公的サポートでは対応しきれない緊急事態には、民間サービスが大きな力を発揮します。

ベビーシッターサービス

  • どんなサービス?
    • 自宅にシッターが来て、子どものお世話をしてくれるサービスです。
  • こんな時に頼れる!
    • 親の急な体調不良や残業
    • 夫婦二人だけの時間を作りたい時
    • 病児保育に対応しているシッターもいる
  • 料金の目安: 1時間あたり1,500円~3,000円程度+交通費・手数料
  • ママナース的ポイント: 「知らない人を家に上げるのは不安…」と感じますよね。だからこそ、信頼できる会社を選ぶことが重要です。口コミをチェックしたり、初回は短時間で試したりするのがおすすめ。福利厚生や自治体の補助で安くなる場合もあるので、必ずチェックを!

家事代行サービス

  • どんなサービス?
    • 掃除、洗濯、料理など、日常的な家事を代行してくれます。
  • こんな時に頼れる!
    • 産後で体が辛い時
    • 育児に追われて家がめちゃくちゃ…でもう無理!な時
    • 自分の体調不良時
  • 料金の目安: 1時間あたり2,500円~4,500円程度
  • ママナース的ポイント: 育児の負担は、実は家事の負担と直結しています。「散らかった部屋を見るだけで疲れる…」という経験はありませんか?週に1回、水回りだけでも掃除してもらうだけで、心の余裕が劇的に生まれます。育児そのものを頼むより、ハードルが低いと感じる方も多いですよ。

「助けて」は、あなたと家族を守る言葉

様々なサービスを紹介しましたが、一番大切なのは、あなたが「これくらいで頼っていいんだ」と自分に許可を出してあげることです。

リフレッシュのために子どもを預けて、一人でカフェに行く。
疲れたから、夕飯は家事代行サービスに作ってもらう。

これらは、決して「贅沢」や「サボり」ではありません。

ママが笑顔でいるための、必要経費です。ママが心穏やかでいること以上に、子どもの健やかな成長に繋がるものはありません。

まとめ

かつては、ご近所や親族が当たり前に担っていた子育てのサポート。核家族化が進んだ現代では、その役割を社会全体で担う必要があります。今回ご紹介したサービスは、そのための大切な社会資源です。

「知っている」というだけで、心の余裕は大きく変わります。

どうか、一人で抱え込まないでください。あなたの周りには、手を差し伸べてくれる人やサービスが、あなたが思っている以上にたくさん存在します。

この記事が、あなたの「助けて」の一言を後押しする、心強い味方になることを願っています。

「育児、もう無理…」心が壊れる前に。ママナースが教える”育児バーンアウト”の初期サインと今すぐできるセルフケア

「今日も怒鳴っちゃった…」子どもの寝顔に謝る夜、過ごしていませんか?

静まり返った部屋の中、すやすやと眠る子どものあどけない寝顔を見つめながら、ぽつりと呟く「ごめんね」。

今日も、ささいなことでカッとなり、感情的に怒鳴ってしまった…。
本当は、もっと優しくしたいのに。
もっと笑顔で接してあげたいのに。

そんな自己嫌悪と罪悪感で、胸が張り裂けそうになる夜を過ごしていませんか?

「母親なんだから、しっかりしなきゃ」
「みんなもっと大変なんだから、これくらいで弱音を吐いちゃダメだ」

そうやって自分を奮い立たせて、すり減っていく心に気づかないふりをしていませんか?

かつての私も、そうでした。ナースとして人の心と体のケアをするプロでありながら、自分のこととなると全くダメ。完璧な母であろうとするあまり、気づけば心は燃え尽きる寸前でした。

もし、あなたが同じような苦しさを感じているなら、どうかこの記事を読んでください。

それは、あなたの心が弱いからでも、母親失格だからでもありません。

誰にでも起こりうる**「育児バーンアウト(燃え尽き症候群)」**のサインなのかもしれないのです。

この記事では、あなたの心が壊れてしまう前に、その危険なサインに気づき、自分自身を救うための具体的なセルフケアの方法を、ママナースの視点からお伝えします。

それ、ただの疲れじゃないかも?育児バーンアウトの危険なサイン

「育児って、そもそも疲れるものだよね?」

はい、その通りです。でも、「健全な疲れ」と「心が悲鳴を上げている危険な疲れ」には、明確な違いがあります。以下のサインに、もし3つ以上当てはまるなら、それは心がSOSを出している証拠かもしれません。

【体のサイン】

  • 朝、目が覚めても全く疲れが取れていない
  • 常に頭痛や肩こり、めまいがする
  • 食欲が全くない、または過食に走ってしまう
  • 夜、寝付けない、または何度も目が覚める
  • 理由もなく涙が出てくる

【心のサイン】

  • 以前は楽しかったことに、全く興味が湧かない
  • 常にイライラしていて、子どものささいな言動にカッとなる
  • 強い孤独感や、社会から取り残されたような感覚がある
  • 「自分はダメな母親だ」と、常に自分を責めてしまう
  • 何もかもがどうでもいいと感じる、無気力状態

【行動のサイン】

  • 子どもを可愛いと思えない瞬間がある
  • 最低限のお世話(食事、おむつ替えなど)以外、子どもと関わるのが億劫
  • 家事が全く手につかず、家の中が荒れ放題
  • 誰とも話したくなくて、友人からの連絡も無視してしまう

特に「子どもを可愛いと思えない」という感情は、多くのママが口に出せずに苦しんでいます。でも、それはあなたが冷たい人間だからではありません。心がエネルギー切れを起こしている、何より雄弁なサインなのです。

なぜ私だけ?育児バーンアウトに陥りやすい人の特徴と原因

「どうして、私ばっかりこんなに辛いのかな…」

そう感じてしまうかもしれませんが、あなたは一人ではありません。実は、育児バーンアウトは、真面目で責任感が強く、頑張り屋さんなママほど陥りやすいのです。

  • 完璧主義: 「育児も家事も、きちんとこなさなければ」と自分に高いハードルを課してしまう。
  • 責任感が強い: 「母親なのだから、すべて自分でやるべき」と一人で抱え込んでしまう。
  • 頼るのが苦手: 人に迷惑をかけることを恐れ、「助けて」が言えない。
  • 社会からの孤立: パートナーの協力が得にくい、近くに頼れる親族がいないなど、物理的に孤立している。

これらの特徴に、心当たりはありませんか?

原因は、あなたの性格だけの問題ではありません。ワンオペ育児が常態化し、母親に過度な負担がかかる社会的な構造も、私たちを追い詰める大きな要因なのです。だから、決して自分だけを責めないでください。

心が壊れる前に。今日からできる、ママナース流セルフケア処方箋

心が完全に燃え尽きてしまう前に、自分自身をケアするための具体的なステップをご紹介します。難しいことは一つもありません。今日から、いえ、今この瞬間から始められることばかりです。

Step 0: 「何もしない」をする勇気(5分でOK)

まず、5分だけ、意識的に「何もしない」時間を作りましょう。
子どもが昼寝したら、一緒に横になる。テレビを見ていたら、スマホを置いて、ただ温かいお茶を飲む。それだけでいいんです。
「この間に家事を…」と考えるのは、今日だけお休みです。意識的に「何もしない」ことは、心の余白を作るための大切なトレーニングです。

Step 1: 小さな「できた」で自己肯定感をチャージする

バーンアウト状態の時、自己肯定感は底辺まで落ちています。だからこそ、どんなに小さなことでもいいので、自分で自分を褒めてあげましょう。

「今日も、子どもにご飯を食べさせられた。えらい!」
「子どもの着替えができた。私、すごい!」

ハードルは、極限まで低く。一つ一つの「できた」を噛みしめることが、失った自信を取り戻す第一歩です。

Step 2: 「助けて」の練習。具体的なSOSの出し方

これが一番難しいかもしれません。でも、一番効果があります。
いきなり誰かに頼るのが難しければ、まずは「言葉に出す」練習から。

  • 夫やパートナーに: 「ごめん、今日本当にしんどくて。帰りに何かお弁当買ってきてくれると、すごく助かるな」と具体的に伝える。
  • 公的サービスに電話してみる: 地域の保健センターや子育て支援センターに電話して、「最近ちょっと育児が辛くて…」と話してみるだけでも、心が軽くなります。

「助けて」は、決して迷惑をかける言葉ではありません。あなたと家族を守るための、勇気ある一言です。

Step 3: 専門家への相談は「最終手段」じゃない

もし、どうしても気持ちが晴れない、体の不調が続くという場合は、専門家の力を借りることをためらわないでください。
心療内科やカウンセリングは、「特別な人が行く場所」ではありません。風邪をひいたら内科に行くように、心が疲れたら心の専門家に行く。ただそれだけのことです。

まとめ

育児は、時に私たちの心を容赦なくすり減らしていきます。でも、あなたが今感じている辛さは、決してあなたがダメな母親だからではありません。

完璧なママを目指さなくていいんです。
100点満点の育児なんて、どこにも存在しません。

どうか、自分を責める時間を、ほんの少しでも自分をいたわる時間に変えてあげてください。

この記事が、あなたの心の重荷を少しでも軽くし、「私、一人じゃなかったんだ」と感じるきっかけになれたら、心から嬉しく思います。

「もう限界…」ワンオペ育児に疲れたあなたへ。孤独と戦うためのSOSガイド

「つらい」と叫べないあなたへ。ワンオペ育児は決して一人で抱え込むものではない

「今日も一日、誰とも話さなかった…」
「自分の時間なんて、トイレの時間すらままならない」
「熱が出ても、子どもの世話は休めない」

パートナーの仕事が忙しい、実家が遠いなど、様々な理由で一人で育児の大部分を担う「ワンオペ育児」。その現実は、想像を絶するほどの孤独とプレッシャーとの戦いです。

この記事では、かつてワンオペ育児で涙した経験を持つ私が、今まさに奮闘しているあなたのために、具体的なSOSの出し方と、少しでも心を軽くするための実践的な方法をまとめました。

これは根性論ではありません。あなたの心と体を守るための、具体的な「処方箋」です。

なぜワンオペ育児はこんなにもつらいのか?

ワンオペ育児のつらさは、単に「忙しい」という言葉だけでは片付けられません。

  • 逃げ場のない24時間体制の責任感: 子どもの命と安全を守る責任が、24時間365日、すべて自分一人にのしかかります。
  • 社会からの孤立感: 大人と話す機会が極端に減り、社会から取り残されたような孤独を感じやすくなります。
  • 自分のことは全て後回し: 食事、睡眠、トイレ、お風呂…すべてが子ども優先。自分の心と体のケアは後回しになりがちです。
  • 誰にも理解されないという絶望感: パートナーに大変さを訴えても、「みんなやっていること」「俺だって仕事で疲れている」と返され、絶望的な気持ちになることも少なくありません。

このつらさは、あなたのせいではありません。ワンオペ育"児という「状況」が過酷なのです。

【状況別】今すぐできる!ワンオペ育児を乗り切る実践ハック

完璧な育児を目指さなくて大丈夫。少しでも楽になるための、具体的な方法を取り入れてみましょう。

食事の準備がしんどい…

  • ミールキット・宅配サービスを導入する: 週に数回でも、買い物や調理の手間から解放される日を作りましょう。罪悪感は不要です。
  • 「具沢山おにぎり・味噌汁」を最強の味方に: 栄養バランスも取れ、子どもも食べやすい。冷凍おにぎりも活用しましょう。
  • 週末に「だけ」頑張る: 平日の自分を楽にするために、週末に野菜を切っておく、下味冷凍を作るなど、簡単な仕込みをするだけで気持ちが楽になります。

お風呂の時間が戦争…

  • ベビーバスチェアやバスローブを活用: 脱衣所で待たせる間のヒヤヒヤを解消。親子でバスローブを使えば、湯冷めの心配も減ります。
  • 「洗うだけ」でOK: 温かい湯船に浸かるのが理想ですが、シャワーでサッと体を洗うだけでも十分。完璧を目指さないことが大切です。
  • 動画や音楽の力を借りる: 子どもが好きな歌をかけたり、短い動画を見せたりして、楽しい時間に変える工夫も有効です。

寝かしつけが終わらない…

  • 寝る前のルーティンを作る: 「絵本を読む→部屋を暗くする→子守唄」など、毎日同じ流れを作ることで、子どもも眠る準備がしやすくなります。
  • 思い切って一緒に寝落ちする: 家事が残っていても、子どもの寝息を聞きながら一緒に眠ってしまいましょう。睡眠不足は心の余裕を奪います。
  • ネントレ(ねんねトレーニング)を検討する: 専門家の情報を参考に、親子に合った方法で試してみる価値はあります。

勇気を出してSOS!あなたを助けてくれるサービス・場所

一人で抱え込まないでください。周りを頼ることは、母親失格でも、父親失格でもありません。

  • ファミリー・サポート・センター: 地域住民が育児を助け合う制度。送迎や短時間の預かりなど、比較的安価で利用できます。
  • 一時保育・託児所: 数時間だけでも子どもを預けて、美容院に行ったり、一人でカフェで過ごしたりする時間を作りましょう。心のリフレッシュは何より大切です。
  • ベビーシッターサービス: 費用はかかりますが、自宅で安心して預けられるのが魅力。緊急時のお守りとして登録しておくだけでも安心材料になります。
  • 自治体の子育て支援窓口: 保健師や専門の相談員が、あなたの悩みを親身に聞いてくれます。利用できるサービスを教えてもらうこともできます。
  • オンラインカウンセリング: 家から出られなくても、スマホ一つで専門家と話せます。匿名で利用できるサービスも多いです。

まとめ:完璧なママ(パパ)より、笑顔のあなたを子どもは待っている

ワンオペ育児の渦中にいると、視野が狭くなりがちです。しかし、あなたは決して一人ではありません。

完璧な食事、完璧な生活リズム、完璧な教育…そんなものよりも、子どもが一番嬉しいのは、あなたの笑顔です。

今日、この記事を読んだあなたが、ほんの少しでも肩の力を抜き、「まあ、いっか」と思える瞬間が増えることを、心から願っています。

イヤイヤ期の乗り越え方:ママナースが教える、子どもの自立を促す魔法の言葉

イヤイヤ期は「自分でやりたい」気持ちの芽生え

「魔の2歳児」とも呼ばれるイヤイヤ期。何を言っても「イヤ!」と返され、道端で寝転がって抵抗されたりすると、ママもパパも本当に疲れてしまいますよね。でも、このイヤイヤは、子どもの「自分でやりたい」という気持ち、つまり自立心が芽生え始めた大切なサインなのです。

この時期の子どもは、大人の真似をしたい、自分で物事をコントロールしたいという欲求が高まっています。しかし、まだ言葉でうまく気持ちを伝えられなかったり、やりたいことがうまくできなかったりするため、それが「イヤ!」という行動になって現れるのです。

この記事では、看護師であり、二児の母でもある私が、イヤイヤ期の子どもの気持ちに寄り添いながら、自立心を育むための具体的な声かけや接し方のコツを、実体験を交えてご紹介します。

子どもの「イヤ!」に隠された本当の気持ち

子どもが「イヤ!」と言うとき、その裏には様々な気持ちが隠されています。

  • 「自分でやりたい!」という気持ち
    • 大人が手を貸そうとすると、「自分でできるのに!」と怒ってしまうことがあります。
  • 「今はやりたくない」という気持ち
    • 眠かったり、お腹が空いていたり、他にやりたいことがあったりすると、気分が乗らずに「イヤ!」となります。
  • 「ママ(パパ)の気を引きたい」という気持ち
    • わざと困らせるようなことをして、大人の反応を見ていることもあります。
  • 言葉でうまく表現できないもどかしさ
    • 自分の気持ちをうまく言葉にできず、かんしゃくを起こしてしまうこともあります。

ママナース直伝!イヤイヤ期を乗り切る魔法の言葉&対応術

1. まずは共感!「そっか、イヤなんだね」

子どもが「イヤ!」と言ったら、まずはその気持ちを否定せずに受け止めてあげましょう。「そっか、今はやりたくないんだね」「これがイヤだったんだね」と共感の言葉をかけることで、子どもは「自分の気持ちを分かってくれた」と安心し、落ち着きを取り戻しやすくなります。

2. 子どもに選ばせる!「どっちがいい?」作戦

「お着替えするよ」と一方的に指示するのではなく、「こっちの服と、あっちの服、どっちがいい?」と子どもに選択肢を与えてみましょう。自分で選ぶことで、子どもは満足感を得られ、次の行動にスムーズに移りやすくなります。

3. 遊びに変える!「よーいドン!」で競争

なかなか動いてくれない時は、「公園まで競争だよ、よーいドン!」などと、遊びの要素を取り入れてみるのがおすすめです。楽しい雰囲気を作ることで、子どものやる気を引き出すことができます。

4. 具体的に褒める!「できた!」を自信に繋げる

「自分で靴を履けたね、すごい!」「上手にボタンが留められたね」など、できたことを具体的に褒めてあげましょう。成功体験を積み重ねることで、子どもの自己肯定感を育むことができます。

5. 時には見守る!安全な場所でクールダウン

どうしてもかんしゃくが収まらない時は、無理に言うことを聞かせようとせず、安全な場所で少し距離を置いて見守ることも大切です。子どもが自分で気持ちを落ち着かせる時間を与えましょう。

まとめ|イヤイヤ期は成長の証!親子で一緒に乗り越えよう

イヤイヤ期は、子どもの心が大きく成長している証です。大変な時期ではありますが、今回ご紹介したような関わり方を意識することで、子どもの自立心を育み、親子の絆を深めることができます。

完璧を目指さなくても大丈夫。ママもパパも、時には息抜きをしながら、温かい目でお子さんの成長を見守ってあげてくださいね。

【親のメンタル編】もう限界!子どものイヤイヤにイライラしないための、親の感情コントロール術

はじめに:怒鳴った後の自己嫌悪、もう終わりにしませんか?

これまでの2回の記事で、イヤイヤ期の「メカニズム」と「具体的な対処法」についてお話してきました。

▼これまでの記事

  1. 【メカニズム編】なぜ「イヤ」しか言わないの?子どもの脳の発達から読み解く正体
  2. 【シーン別対処法編】食事、着替え、歯磨き…魔法の対応フレーズ集

頭では、わかっている。子どもの成長の証だってことも、上手な対応フレーズも、全部わかっている。でも、時間がない朝、疲れて帰ってきた夕方、公共の場で大声で泣き叫ばれた時…。どうしても、カッとなって、感情的に怒鳴りつけてしまう。

そして、寝静まった子どもの天使のような寝顔を見て、「どうして、あんなにひどいことを言ってしまったんだろう…」と、涙を流しながら自己嫌悪に陥る。

そんな毎日を、繰り返していませんか?

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

何を隠そう、私自身がそうでした。イヤイヤ期の長女を前に、何度も感情を爆発させ、その度に「母親失格だ」と自分を責め続けました。でも、今ならわかります。親だって、人間です。聖人君子じゃありません。イライラするのは、当たり前なんです。

この最終回では、『魔の2歳児・悪魔の3歳児「イヤイヤ期」』シリーズの締めくくりとして、子どもではなく、親自身に焦点を当てます。日々、すり減っていくあなたの心を、どうすれば守れるのか。イライラと上手に付き合い、穏やかな心を取り戻すための、具体的な感情コントロール術をお伝えします。


なぜ、私たちはイライラしてしまうのか?

まず、知っておいてほしいのは、イヤイヤ期の対応でイライラするのは、あなたの心が狭いからでも、愛情が足りないからでもない、ということです。そこには、ちゃんとした理由があります。

  • 睡眠不足と疲労: 24時間体制の育児で、心身ともに常にギリギリの状態。
  • 思い通りに進まない焦り: 「早くしなきゃ」と思えば思うほど、子どもの「イヤ!」が、行く手を阻む壁のように感じてしまう。
  • 孤独感と社会からのプレッシャー: 「ちゃんとした親でいなきゃ」という見えない圧力が、自分を追い詰める。

こんな状況で、イライラするな、という方が無理な話だと思いませんか?だから、まずは**「ああ、私、今イライラしてるな。疲れてるんだな」と、自分の感情を認めてあげる**ことから始めましょう。

イライラ爆発を防ぐ!アンガーマネジメント3つのステップ

怒りの感情のピークは、長くて6秒と言われています。この6秒を、どう乗り切るか。それが、爆発を防ぐための鍵になります。

ステップ1:とにかく、その場を離れる

カッとなったら、まずやるべきこと。それは、物理的に、子どもと距離をとることです。

  • トイレに駆け込む、ベランダに出る、別の部屋に行く。
  • 子どもが安全な場所にいることを確認した上で、「ママ、ちょっと頭を冷やしてくるね」と、一言伝えて、その場を離れましょう。

これは、子どもにとっても、「ママは、怒るといなくなっちゃう」という学習ではなく、「感情的になった時は、一度クールダウンすればいいんだ」という、大切な感情コントロールの見本になります。

ステップ2:クールダウンするための「お守り」を持つ

その場で6秒やり過ごすための、自分なりのクールダウン方法を、いくつか持っておくと安心です。

  • 深呼吸をする: 怒りを感じたら、ゆっくりと息を吐き切ることに集中します。
  • 冷たい水で、手を洗う、顔を洗う: 冷たい刺激で、我に返ることができます。
  • 心の中で、魔法の言葉を唱える: 「これは成長の証」「まあ、いっか」「大丈夫、大したことじゃない」など、自分を落ち着かせるための呪文を決めておきましょう。
  • 好きなものの香りをかぐ: アロマオイルや、ハンドクリームなど、瞬時にリラックスできる香りを持ち歩くのもおすすめです。

ステップ3:自分の感情を「実況中継」する

クールダウンしたら、自分の感情を、客観的に言葉にしてみましょう。これは、パートナーに聞いてもらってもいいし、一人でブツブツ呟くだけでも効果があります。

「さっき、牛乳をわざとこぼされて、本当に腹が立った。なんでかって言うと、こっちは急いでるのに、また仕事を増やされた気がして、悲しくなったんだと思う」

こうして、自分の感情を分析することで、「ああ、私は牛乳をこぼされたこと自体より、自分の時間を奪われたことに腹が立ったんだな」と、怒りの根本原因に気づくことができます。原因がわかれば、次からの対策も立てやすくなります。


頑張る自分を、徹底的に甘やかす許可を出そう

イヤイヤ期の長いトンネルを抜けるために、何より大切なのは、親が、自分自身に優しくなることです。

  • ハードルを、極限まで下げる: 食事は、週の半分がベビーフードやレトルトだっていい。掃除が行き届いていなくたって、死にはしない。家事の完璧主義は、今すぐ捨てましょう。
  • 一人時間を、意地でも確保する: 1週間に1時間でもいい。パートナーや、一時保育、ファミリーサポートなどを活用して、意識的に子どもと離れる時間を作ってください。「子どもが可哀想」ではありません。ママが笑顔でいるために、必要な時間なのです。
  • 同じ立場の仲間と、愚痴を言い合う: ママ友や、SNSのコミュニティなど、同じようにイヤイヤ期と戦う仲間と、「わかる!うちもだよ!」と愚痴を言い合う時間は、最高のカウンセリングになります。

まとめ:嵐は、必ず過ぎ去る。そして、あなたはもっと強くなる

イヤイヤ期は、嵐のようなものです。でも、どんな嵐も、必ずいつかは過ぎ去ります。そして、嵐が去った後には、驚くほどおしゃべりが上手になり、自分でできることが増えた、頼もしい我が子の姿と、数々の戦いを乗り越えて、親として、人として、一回りも二回りも大きく成長した、あなた自身がいるはずです。

今、この瞬間は、本当につらくて、永遠に続くように感じるかもしれません。でも、大丈夫。あなたは、一人じゃありません。完璧な母親なんて、どこにもいないのですから。

これで、『魔の2歳児・悪魔の3歳児「イヤイヤ期」』シリーズは終わりです。この3つの記事が、あなたの心を少しでも軽くする、お守りのような存在になれたなら、心から嬉しく思います。

【実践編】頑張るママに贈る。今日からできる、心を軽くする簡単セルフケア大全

はじめに:自分のための「処方箋」、持っていますか?

前回の「気づき編」では、育児中のママが陥りやすい心の不調の種類と、そのサインについてお話ししました。

▼前回の記事はこちら
【気づき編】「私だけがおかしいの?」育児中にママが陥る心の不調、その種類とサイン

「これ、私のことかも…」と、ご自身の心の疲れに気づいた方もいるかもしれません。自分の状態を客観的に知ることは、回復への大きな一歩です。でも、次に思うのは「じゃあ、どうすればいいの?」ということですよね。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

看護師は、患者さんのケアをするのが仕事ですが、自分自身のケア、つまり「セルフケア」も、同じくらい大切だと教わります。なぜなら、自分が健やかでなければ、人を思いやる余裕なんて生まれないからです。これは、育児をするママにこそ、当てはまる言葉だと思っています。

この記事では、「実践編」として、頑張り屋さんで、つい自分のことを後回しにしてしまうママにこそ試してほしい、心を軽くするための具体的なセルフケア術を「処方箋」としてたくさんご紹介します。難しいことは一つもありません。ぜひ、今日から一つでも試してみてくださいね。


処方箋1:まずは5分から。すきま時間でできる「心のリセット術」

「自分の時間なんて、1分もない!」そんなママにこそ、試してほしいのが「すきま時間」の活用です。子どもがお昼寝した5分、トイレに立った1分でも、意識的に自分をケアする時間に変えられます。

① 深呼吸で、自律神経を整える

イライラや不安を感じた時、私たちの呼吸は浅くなっています。意識的に深い呼吸をすることで、心と体をリラックスさせる副交感神経が優位になります。

  1. 鼻から4秒かけて、ゆっくり息を吸い込む(お腹が膨らむのを意識して)
  2. 7秒間、息を止める
  3. 口から8秒かけて、ゆっくり息を吐き出す(お腹がへこむのを意識して)

これを3回繰り返すだけ。場所を選ばず、いつでもできる最強のリセット術です。

② 五感を研ぎ澄ます「グラウンディング」

不安で頭がいっぱいになった時、意識を「今、ここ」に戻すテクニックです。

  • 目に見えるものを5つ、声に出して言う(例:「天井、カーテン、時計…」)
  • 肌で感じるものを4つ、意識する(例:「床のひんやり感、服の肌触り…」)
  • 聞こえる音を3つ、耳を澄ませて聞く(例:「冷蔵庫の音、遠くの車の音…」)
  • 今ある匂いを2つ、嗅いでみる(例:「コーヒーの香り、赤ちゃんの匂い…」)
  • 味わえるものを1つ、想像する(例:「好きなチョコレートの味」)

ぐるぐる思考から抜け出し、心を落ち着かせることができます。

③ 好きな香りをかぐ

アロマオイルをティッシュに1滴たらして香りを嗅いだり、好きな香りのハンドクリームを塗ったり。嗅覚は、脳に直接働きかけるため、瞬時に気分を変える効果があります。


処方箋2:「〜べき」を手放す、心の負担軽減術

育児中のママを苦しめる「〜べき」という呪いの言葉。これを、少しだけ緩めてみませんか?

① 「まあ、いっか」を口癖にする

「離乳食は、絶対に手作りするべき」→「**まあ、いっか。**今日はベビーフードに頼ろう」
「部屋は、いつも綺麗にしておくべき」→「**まあ、いっか。**掃除は明日やろう」

声に出して言うのがポイントです。完璧じゃない自分を、自分で許してあげましょう。ママが笑顔でいること以上に、大切なことなんてありません。

② 家事のハードルを極限まで下げる

  • 便利な家電に頼る: 食洗機、乾燥機付き洗濯機、ロボット掃除機は、もはや贅沢品ではなく、ママの心の平穏を守る必需品です。
  • ネットスーパーや宅配サービスをフル活用: 買い物に行く時間と労力を、自分を休ませる時間に変えましょう。
  • 「ついで掃除」を習慣に: 「歯を磨くついでに、洗面台をさっと拭く」など、大きな掃除の時間をとるのではなく、小さな「ついで」を積み重ねる方が、気持ちが楽になります。

③ SNSと上手に距離を置く

キラキラした育児の投稿を見て、落ち込んでしまうなら、それは心が疲れているサイン。思い切って、デジタルデトックスする日を作ってみましょう。見たくない情報は、ミュート機能などを活用して、自分の心を守る工夫も大切です。


処方箋3:自分を「予約」する、セルフケアの時間術

「時間ができたらやろう」では、ママのセルフケア時間は永遠にやってきません。スケジュール帳に、「自分をケアする時間」を、他の予定と同じように書き込んでしまうのがおすすめです。

  • 週に1回、30分でもOK: 「〇曜日の21時からは、好きなドラマを見る時間」と決めて、家族にも宣言してしまいましょう。
  • 自分だけの「ご褒美リスト」を作る: 「ゆっくりお風呂に入る」「好きな音楽を聴きながら、雑誌を読む」「コンビニで一番高いアイスを買う」など、ハードルの低いご褒美をたくさん用意しておくと、実践しやすくなります。

まとめ:セルフケアは、わがままじゃない。ママの「仕事」です

セルフケアは、決して「楽をすること」や「わがまま」ではありません。車がガソリンなしで走れないように、ママも、心と体のエネルギーがなければ、笑顔で子どもと向き合うことはできません。

自分自身を大切にケアすることは、家族を大切にすることに直結する、ママの重要な「仕事」の一つなのです。

とはいえ、「一人では、どうしても心が晴れない」「誰かに話を聞いてほしい」と感じることもありますよね。

次回の最終回では、そんな時にどうすればいいのか。「助けて」の声をあげることの大切さと、パートナーや社会を味方につける方法について、具体的にお話しします。

【気づき編】「私だけがおかしいの?」育児中にママが陥る心の不調、その種類とサイン

はじめに:その涙、そのイライラ、あなたのせいじゃありません

赤ちゃんは、泣くのが仕事。わかっているはずなのに、鳴り止まない泣き声に、どうしようもなくイライラしてしまう。
可愛い我が子を目の前にして、なぜか涙が止まらなくなる。
SNSで見るキラキラしたママ友と比べて、自分はなんてダメな母親なんだろうと落ち込んでしまう…。

もし、あなたが今、そんな風に自分を責めているのなら、伝えたいことがあります。

その感情は、決してあなたのせいではありません。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

私自身、長女を出産した後、理由もなく涙が溢れてきたり、社会から取り残されたような孤独感に苛まれたりした経験があります。「母親になったんだから、しっかりしなきゃ」と思えば思うほど、心が苦しくなっていきました。

育児中のママの心は、ホルモンバランスの急激な変化と、24時間体制の育児という過酷な状況によって、知らず知らずのうちに悲鳴を上げています。それは、あなたが弱いからでも、母親失格だからでもないのです。

この記事では、「気づき編」として、多くのママが経験する可能性のある心の不調の種類と、その具体的なサインについてお話しします。まずは「これって、私だけじゃなかったんだ」と知ることから。それが、回復への大切な第一歩になります。


あなたはどれに当てはまる?ママが陥りやすい心の不調の種類

「産後うつ」という言葉はよく知られていますが、実はママが経験する心の不調はそれだけではありません。まずは、それぞれの違いを正しく理解しましょう。

① マタニティブルーズ:産後すぐの「ホルモンの嵐」

  • 時期: 産後数日〜2週間程度
  • 特徴: 「涙もろくなる」「気分が落ち込む」「不安になる」といった症状が、ジェットコースターのように現れては消えます。
  • 原因: 出産による急激なホルモンバランスの変化が主な原因です。ほとんどのママが経験する、いわば生理的な現象。
  • ポイント: 通常は特別な治療をしなくても、自然と落ち着いていきます。大切なのは「今だけ、ホルモンのせい!」と割り切り、周りに甘えて体を休めることです。

② 産後うつ:長引く気分の落ち込みは「病気」のサイン

  • 時期: 産後1ヶ月頃から発症することが多いが、1年以内ならいつでも起こりうる
  • 特徴: マタニティブルーズと違い、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続きます。「赤ちゃんを可愛いと思えない」「食欲がない、または過食」「眠れない」「死にたいと考えてしまう」などの症状があれば要注意。
  • 原因: ホルモンバランスに加え、育児のストレス、孤独感、睡眠不足などが複雑に絡み合って発症します。
  • ポイント: これは**治療が必要な「病気」**です。「気合が足りない」などと精神論で片付けず、必ず専門機関に相談してください。

③ 育児ノイローゼ:「〜べき」に縛られていませんか?

  • 時期: 産後だけでなく、育児期間中いつでも起こりうる
  • 特徴: 「ちゃんとした母親であるべき」「離乳食は手作りするべき」といった、強い完璧主義や責任感から、心身ともに追い詰められてしまう状態。不安やイライラが強く、子どもに当たってしまうことも。
  • 原因: 周囲に頼れる人がいない、真面目で責任感の強い性格などが背景にあります。
  • ポイント: 「〜べき」という考え方を、一度手放してみましょう。「まあ、いっか」を合言葉に、意識的に手を抜くことが大切です。

④ バーンアウト(燃え尽き症候群):頑張りすぎた結果…

  • 時期: 育児に少し慣れてきた頃にも起こりやすい
  • 特徴: ある日突然、糸が切れたように無気力になるのが特徴。「何もしたくない」「子どもと関わるのが億劫」と感じ、心身ともにエネルギーが枯渇してしまいます。
  • 原因: 長期間、自分のことを後回しにして、育児に全力投球してきた結果、心身が燃え尽きてしまうのです。
  • ポイント: エネルギーを再充電する時間が必要です。意識的に「何もしない時間」を作ることが、何よりの薬になります。

もしかして…?心のSOSに気づくためのセルフチェック

以下の項目に、最近のあなたがどれくらい当てはまるか、チェックしてみてください。

  • □ 理由もないのに涙が出ることがある
  • □ ささいなことでイライラして、子どもや夫に当たってしまう
  • □ 以前は楽しめていたことに、興味がわかなくなった
  • □ 何をするのも億劫で、気力がない
  • □ 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • □ 夜、なかなか寝付けない、または途中で何度も目が覚める
  • □ 自分はダメな母親だと、いつも自分を責めている
  • □ 赤ちゃんのお世話が、楽しいと思えない
  • □ 社会から孤立しているような、強い孤独を感じる
  • □ 消えてしまいたい、と思うことがある

もし、複数(特に5個以上)の項目が、2週間以上続いているなら、それはあなたの心が助けを求めているサインかもしれません。


まとめ:「気づくこと」が、あなたと家族を守る第一歩

育児中の心の不調は、目に見えないだけに、本人ですら気づきにくいものです。そして、「母親なんだから、これくらい当たり前」と、無理をしてしまいがちです。

でも、ママの笑顔は、家族にとっての太陽です。あなたが無理を続ければ、その曇り空は、やがて家族みんなを覆ってしまいます。

まずは、「私、ちょっと疲れてるかも」と自分の状態に気づいてあげること。そして、「これは自分のせいじゃないんだ」と認めてあげること。それが、あなた自身と、あなたの大切な家族を守るための、最も重要で、最も勇気ある一歩です。

次回の「実践編」では、気づいた不調を少しでも和らげるために、今日からお家で簡単にできるセルフケアの方法をたくさんご紹介します。ぜひ、そちらも読んで、ご自身をいたわってあげてくださいね。