「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません…」電話口で、何度頭を下げましたか?
保育園からの着信。その画面を見ただけで、心臓がドキッと音を立てる。
「〇〇ちゃん、38.5℃のお熱で…」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中は真っ白。ぐるぐると渦巻くのは、子どもの心配と、それと同じくらい大きな、職場への申し訳なさ。
「またか…って、思われてるだろうな」
「あの仕事、今日中に終わらせなきゃいけなかったのに…」
電話口でひたすら謝罪し、周りの同僚の視線を感じながら、心の中で自分を責める。ワーキングマザーなら、誰もが経験する、あの針のむしろに座るような罪悪感。
私も、ナースとして復帰したばかりの頃は、娘たちの急な発熱のたびに、職場に電話するのが本当に苦痛でした。「休んで当然」という権利だと頭では分かっていても、心がついていかないんですよね。
でも、ある時気づいたんです。
伝え方一つで、相手の受け取り方は全く変わる。そして、普段のちょっとした立ち回りで、いざという時の「休みやすさ」は、自分で作ることができるのだと。
この記事では、あなたがもうこれ以上、子どもの発熱のたびに罪悪感で潰れそうにならなくて済むように、私が実践してきた職場への「神」連絡術と、気まずくならないための普段の立ち回り術を、具体的にお伝えします。
その伝え方、損してるかも?「申し訳ない」が逆効果になる理由
まず、一番やってはいけないのが、「ひたすら謝罪し続ける」ことです。
もちろん、迷惑をかけることへの謝意は必要です。でも、「申し訳ありません」を連発し、過度に自分を卑下する態度は、かえって周りを困らせ、あなた自身の評価を下げてしまうことにも繋がりかねません。
なぜなら、それは「私は仕事への責任感より、罪悪感でいっぱいです」と宣言しているようなものだからです。周りが本当に知りたいのは、あなたの謝罪の言葉ではなく、**「仕事の状況はどうなっていて、何をすればカバーできるのか」**という具体的な情報なのです。
罪悪感が感謝に変わる!ママナース流「神」連絡術3ステップ
では、どう伝えればいいのか。私が実践している、3つのステップをご紹介します。電話やチャットで連絡する際に、この順番を意識するだけでOKです。
Step 1: 結論ファーストで「事実」を簡潔に伝える
まず、言い訳や感情は抜きにして、事実だけを簡潔に伝えます。
NG例: 「本当に申し訳ないんですけど、朝から子どもの熱がすごくて、ぐったりしてて…保育園からも電話があって、どうしようもなくて…本日、お休みをいただくことは可能でしょうか…?」
OK例: 「おはようございます。子どもの発熱のため、本日は急遽お休みをいただくことになりました。」
最初に「休む」という結論を明確に伝えることで、相手は「では、仕事の調整をどうしようか」と、すぐに次の思考に移ることができます。
Step 2: 「仕事の状況」と「引き継ぎ」を具体的に提示する
次に、相手の「仕事は大丈夫?」という不安を解消するための情報を伝えます。これが最も重要です。
OK例:
「担当しているA案件の資料ですが、昨日のうちに作成を終え、共有フォルダのBというファイルに保存済みです。」
「もし本日、C社から連絡がありましたら、『担当の皐月は本日不在にしておりますので、明日改めてご連絡します』とお伝えいただけますでしょうか。」
「急ぎの要件については、メールを確認できますので、何かあればご連絡ください。」
ポイントは、**「私は休みますが、仕事が滞らないように、できる限りの手は打ちました」**という姿勢を見せることです。これにより、あなたのプロ意識と責任感の強さが伝わります。
Step 3: 謝罪+感謝の「合わせ技」で締めくくる
最後に、謝罪と感謝をセットで伝えます。
NG例: 「本当にご迷惑ばかりおかけして、申し訳ありません…」
OK例: 「急なことでご迷惑をおかけし、申し訳ありません。皆様のサポートに、心から感謝いたします。 明日には出社できるよう、しっかり子どもの看護にあたります。」
「申し訳ない」という気持ちを、「助けてくれてありがとう」という感謝の気持ちに転換するのです。感謝を伝えられて、嫌な気持ちになる人はいません。むしろ、「大変な時はお互い様だから、気にしないで」という温かい空気が生まれます。
「休みやすい自分」は作れる!普段からの立ち回り術
いざという時に休みやすくするためには、普段からの「信頼の貯金」が欠かせません。
- 自分の仕事は、常に前倒しで進める癖をつける。
- 仕事の進捗状況や情報を、普段からチーム内でオープンに共有しておく。(「あの人にしか分からない仕事」をなくす)
- 同僚が困っている時は、積極的に「何か手伝うことある?」と声をかける。
- 「いつも子どものことで助けていただき、ありがとうございます」と、普段から感謝を口に出して伝える。
「情けは人の為ならず」です。普段から周りを助け、感謝を伝えている人に対して、いざという時に冷たく当たる人はいません。
まとめ
ワーキングマザーにとって、子どもの急な発熱は避けて通れない道です。そして、そのたびに感じる罪悪感は、私たちの心を少しずつ蝕んでいきます。
でも、もう自分を責める必要はありません。
あなたは、母親としても、一人の働くプロとしても、何も間違っていないのですから。
今回お伝えした連絡術と立ち回り術が、あなたの「申し訳ない」を「ありがとう」に変え、あなたがもっと心穏やかに、自信を持って働き続けるための、力強い味方になることを、心から願っています。