「アレルギーが怖いから、卵は1歳を過ぎてから…」
「うちの子、肌が弱いから、新しい食材を試すのが不安…」
離乳食を進める上で、食物アレルギーはママたちの最大の不安の一つですよね。良かれと思って、アレルギーが心配な食材を、つい後ろ倒しにしていませんか?
こんにちは!3人の娘を育ててきた、現役ママナースの皐月です。
実は、この「アレルギーが怖いから、食べるのを遅らせる」という考え方、今では180度、真逆の考え方が主流になっていることをご存知でしょうか?
この記事では、ママたちの不安を煽る古い常識をアップデートし、**最新の医学的エビデンスに基づいた「食物アレルギーの正しい予防法と対処法」**を、どこよりも分かりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 【昔と今】こんなに違う!食物アレルギーの最新常識
- なぜ?「早く食べた方がアレルギーになりにくい」の科学的根拠
- アレルギーを予防するために、今日から家庭でできること
- もし症状が出たら?ママナースが教える、その時の正しい行動
【昔 vs 今】こんなに違う!アレルギーの新常識
まず、あなたの中にある「アレルギーの常識」を、一度アップデートしてみましょう。
| 昔の常識(~2000年代) | 今の新常識 | |
|---|---|---|
| 離乳食 | アレルギーが怖い食品は、遅く始める | 怖がらず、生後5~6ヶ月から少量ずつ試す |
| 肌ケア | 湿疹が出たら薬を塗る | 湿疹が出る前から、保湿で肌のバリア機能を守る |
| 考え方 | 食べ物からアレルギーになる | 肌からアレルギーになる |
結論から言うと、現在のアレルギー予防の基本は、「①スキンケアで肌のバリア機能を守り、②適切な時期に、少量ずつ食べ始める」ことです。
「え、どういうこと!?」と思いますよね。その理由を、次に詳しく解説します。
なぜ?「肌からアレルギーになる」ってどういうこと?
なぜ、こんなに常識が変わったのでしょうか。その鍵は**「経皮感作(けいひかんさ)」**という言葉にあります。
結論:食べ物アレルギーは、口から食べるより先に、傷ついた皮膚から食べ物の成分が侵入し、体が「異物だ!」と勘違いして、アレルギーの準備状態(感作)に入ってしまうことで発症する、と考えられています。
例えば、赤ちゃんがカサカサの肌で、卵のついた手で体を触ると、皮膚の隙間から卵の成分が侵入し、体が「卵=敵だ!」と認識してしまう。その後、いざ離乳食で卵を食べた時に、アレルギー反応が起きてしまう、というメカニズムです。
逆に、皮膚の状態が良い時に、腸から先に少量の卵を取り込んでおけば、体は「卵は食べ物で、栄養だ」と認識し、アレルギー反応が起きにくくなる(経口免疫寛容)と考えられています。
だからこそ、「肌のバリアを守ること」と「適切な時期に食べ始めること」が、予防の二本柱になるのです。
アレルギーを「予防」するために、今日からできること
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。
予防①:何よりもまず「保湿」!肌のバリア機能を死守する
赤ちゃんの肌は、大人の半分以下の薄さで、とても乾燥しやすくデリケート。カサカサしたり、湿疹が出たりしている肌は、バリア機能が壊れ、アレルゲンが侵入しやすい「玄関が開けっ放し」の状態です。
お風呂上がりはもちろん、1日に数回、たっぷりの保湿剤で、全身をツルツル・ピカピカの状態に保ってあげましょう。これが、最強のアレルギー予防になります。
予防②:「食べる」を怖がらない!離乳食の正しい進め方
- 開始を遅らせない: 生後5~6ヶ月頃、赤ちゃんの準備が整ったら、標準的なスケジュールで離乳食を開始しましょう。
- 新しい食材は「1日1種類、少量から」: まずは耳かき1杯程度から。午前中の、病院が開いている時間に試すのが鉄則です。
- 卵の進め方:
- 固ゆでの卵黄の中心部を、耳かき1杯から試す。
- 問題なければ、少しずつ量を増やし、卵黄1個をクリアする。
- 次に、卵白をほんの少量、加熱したものから試す。
- 全卵へ。
アトピー性皮膚炎などで皮膚の状態が悪い赤ちゃんの場合は、必ず、かかりつけの小児科医やアレルギー専門医の指導のもとで進めてくださいね。
【ママナースの視点】もし症状が出たら?その時の正しい行動
もし、何かを食べた後に、お子さんの様子に変化があったら。まずは、絶対にパニックにならないでください。 ママが冷静であることが、何より大切です。
1. まずは「観察」と「記録」
- 何を、どれくらい食べたか?
- 食べてから、何分後に症状が出たか?
- どんな症状が、どこに出ているか?(例:口の周りだけ赤い、お腹にじんましんが出ている)
- 機嫌は良いか?呼吸は苦しそうではないか?
スマホで、発疹などの症状の写真を撮っておくと、受診の際に非常に役立ちます。
2. 病院へ行くべきか、救急車を呼ぶべきか
- 【すぐに救急車!】
- 呼吸がゼーゼーして苦しそう
- ぐったりして意識が朦朧としている
- 何度も嘔吐を繰り返す
→これらは、命に関わる「アナフィラキシー」のサインです。ためらわずに救急車を呼んでください。
- 【診療時間内に受診】
- 皮膚の症状だけで、比較的元気にしている。
3. 自己判断で「除去」しない
一度症状が出たからといって、「この子はもう、〇〇アレルギーだ」と決めつけ、完全にその食材を除去するのはやめましょう。正しい診断と指導は、必ず医師にしてもらってください。
まとめ:正しい知識は、ママと赤ちゃんを不安から守る「お守り」
食物アレルギーに関する情報は、日々新しくなっています。大切なのは、古い常識に縛られず、信頼できる情報源から、正しい知識を得ること。
怖がりすぎる必要はありません。でも、正しく知っておくことは必要です。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、赤ちゃんと一緒に「食べるって楽しいね」と笑い合える日が増える、きっかけになれば嬉しいです。
