お正月、家族みんなで食卓を囲む時間は、何にも代えがたい幸せな時間ですよね。お雑煮やおしるこ…。そんな楽しい食卓に潜む、子どもの「窒息事故」の危険について、今日は少しだけ真剣な話をさせてください。
「お餅、うちの子は何歳から食べさせてる?」
ママ友との間で、そんな会話が交わされることも多いのではないでしょうか。
「3歳になったから、もう大丈夫かな?」
そう考えているとしたら、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。3姉妹の母であり現役ナースの私は、正直に言うと**「3歳でもヒヤヒヤする」**と感じています。
なぜ「3歳」でも危険なの?
消費者庁のデータによると、平成26年〜令和元年の6年間で、食品の窒息によって14歳以下の子どもが80名も亡くなっており、そのうち5歳以下が73名と、9割以上を占めています。
3歳になると、奥歯も生え揃い、上手にカミカミできる子も増えてきます。しかし、お餅は、他の食品とは決定的に違う危険性を持っています。
- 強い弾力と付着性: 噛み切るのが難しく、喉や食道にくっつきやすい。
- 焦ると丸呑みしがち: 一度喉に詰まると、呼吸ができなくなり、パニックに陥りやすい。
大人のように、強く咳き込んで吐き出す力も、まだ十分に備わっていません。「もう3歳だから」ではなく、「まだ3歳だから」こそ、最大限の注意が必要なのです。
お餅を食べる時に、絶対に守るべき「3つの約束」
それでも、日本の伝統的な食文化であるお餅を、子どもにも経験させてあげたい、という気持ちもよくわかります。
もし、お子さんにお餅をあげるのであれば、以下の「3つの約束」を、家族全員で絶対に守ってください。
1. 小さく切って、調理法を工夫する
お餅は必ず、大人の監視のもとで、1cm角以下のサイコロ状に小さく切ってあげましょう。
また、お雑煮のように汁気のあるものと一緒に食べさせると、ツルッと丸呑みしやすくなります。きなこ餅や安倍川餅のように、お餅そのものをしっかり噛まなければならない調理法を選ぶのも、一つの工夫です。
2. 食べることに集中させる
歩きながら食べたり、テレビを見ながらの「ながら食べ」は絶対にやめましょう。何かに気を取られた拍子に、うっかり丸呑みしてしまう危険性が高まります。
「座って、よく噛んで、ゆっくり食べようね」
この声かけを、徹底してください。
3. 食事中は、絶対に目を離さない
これが、一番重要です。
たとえ小さく切ってあげたとしても、何が起こるかわかりません。子どもが食べ終わるまでは、必ず大人がそばで見守り、万が一の時にすぐ対応できるようにしておきましょう。
楽しいお正月を、笑顔で締めくくるために
「うちの子は大丈夫」という油断が、一番の危険です。
少し神経質かな?と思うくらいの注意が、お子さんの命を守ることに繋がります。楽しいはずのお正月が、悲しい事故の記憶にならないように。
今年の冬は、家族みんなで安全なお餅の食べ方について、もう一度話し合ってみませんか。
