災害史

【避難所の過ごし方】子どもの心を救う「遊び」と「学び」のアイデア帖|ママナースの工夫

「ママ、ひま…」「おうちに帰りたい…」

体育館の冷たい床の上、不安と退屈にじっと耐える我が子の姿。 физиカルな安全は確保できても、子どもの心が元気をなくしていくのを見るのは、親として本当に辛いですよね。

こんにちは。3人の娘を育てる、現役ママナースの皐月です。

看護師として、そして母として、私は確信しています。災害という非日常の中で、子どもの心を守るために最も効果的なのは、「日常」を取り戻してあげること。そして、その最強のツールが**「遊び」と「学び」**なのです。

「こんな時に、不謹慎では…」なんて思う必要は全くありません。これは、子どもの心を救うための、立派な「ケア」の一つ。この記事では、特別な道具がなくても、限られたスペースでもできる、子どもの心に笑顔を取り戻すための、たくさんのアイデアをお届けします。

この記事でわかること

  • なぜ、災害時の「遊び」は子どもの「心の応急手当」なのか
  • 【道具いらず】体ひとつでできる!「心のビタミン」遊び
  • 【身近なものでOK】避難所のありふれたものが「おもちゃ」に変わる工夫
  • 「学び」の時間が、子どもの心の「日常」を取り戻す

遊びは、子どもの「心の応急手当」です

まず、一番に知っておいてほしいこと。

結論:災害時の「遊び」は、単なる暇つぶしではありません。それは、傷ついた子どもの心を癒すための、最も効果的な「応急手当」なのです。

子どもは、遊びを通して、

  • ストレスを発散し(怖い体験を忘れて没頭する)
  • 気持ちを整理し(おままごとなどで、体験した出来事を再現して、心を整理する)
  • 安心感を取り戻す(親と笑い合うことで、「ここは安全だ」と感じる)
    ことができます。

物理的な怪我を手当するのと同じように、目に見えない心の傷にも、私たちは「遊び」という薬で、手当をしてあげる必要があるのです。

【道具いらず】避難所ですぐできる「心のビタミン」遊び

周りに気を遣う避難所でも、声と体さえあればできる遊びは無限にあります。

  • しりとり・連想ゲーム: 定番ですが、頭を使うので気分転換に最適。
  • 指ずもう・手遊び歌: 「いっぽんばしこちょこちょ」「アルプス一万尺」など。スキンシップが、子どもの心を安定させます。
  • 影絵あそび: 夜、毛布などで周りを囲い、懐中電灯で壁に影を作れば、そこはもう小さな映画館です。
  • 物語の創作リレー: 「むかしむかし、あるところに…」から始めて、親子で一行ずつ物語を繋いでいきます。笑えるヘンテコな物語が完成することも!

【身近なものでOK】ありふれたものが「宝物」に変わる工夫

避難所にある、ちょっとしたものでも、立派なおもちゃに変わります。

  • 新聞紙・チラシ: ちぎってストレス発散!その後は丸めてボールにしたり、兜や船を折ったり。
  • 段ボール: 子どもにとって最高の「秘密基地」になります。小さなスペースでも、自分だけの空間があるだけで、驚くほど落ち着きます。お絵描きキャンバスにも。
  • ポリ袋・ビニール袋: 空気を入れて膨らませれば、安全なボールに。ペンで顔を描けば、即席の風船人形の出来上がり。
  • ペットボトル: 小石やビーズなどを入れれば、マラカスなどの楽器になります(音量には注意!)。

【ママナースの視点】「学び」を止めない、小さな工夫

結論:「学びの時間」を作る目的は、勉強を進めることではなく、日常の「リズム」を取り戻し、子どもに「いつも通り」という安心感を与えることです。

1日15分でもいいんです。時間を決めて、親子の「お勉強タイム」を作ってみましょう。

  • お気に入りの絵本を読む: 何度読んだ本でも構いません。知っている物語は、心を安定させてくれます。
  • 簡単な計算や漢字の練習: 広告の裏など、どんな紙でもOK。「できた!」という達成感が、子どもの自信を取り戻します。
  • お手伝いという「学び」: 「配給の列に一緒に並ぶ」「毛布をたたむ」など、小さな役割を与えてあげましょう。「自分も役に立っている」という感覚は、子どもの自己肯定感を高めます。

まとめ:ママの笑顔と「楽しいね」が、一番の救援物資

災害時、子どもは親の表情を驚くほどよく見ています。

物資が足りなくても、環境が劣悪でも、ママやパパが笑顔で「楽しいね」「面白いね」と声をかけ、一緒に遊んでくれる時間があれば、子どもの心はちゃんと守られます。

あなたの笑顔こそが、お子さんにとって、何物にも代えがたい「一番の救援物資」なのです。

大変な状況だと思いますが、ほんの少しの時間でも、お子さんと向き合って、遊んでみてください。その温かい時間が、親子でこの困難を乗り越える、大きな力になるはずですから。

【災害後の子どもの心】見逃さないで!ママナースが教える「心のSOSサイン」と寄り添い方

「家も片付いて、日常が戻ってきたはずなのに…」
「最近、うちの子、すごくワガママになった気がする」
「ささいなことでかんしゃくを起こしたり、夜中に急に泣き出したり。一体どうしちゃったんだろう…」

災害の後、子どもの「いつもと違う姿」に戸惑い、悩んでいませんか?

こんにちは。3人の娘を育てる、現役ママナースの皐月です。

私たち大人が、目に見える復興に必死になっている間、子どもは、その小さな心に、目には見えない大きな傷を負っていることがあります。でも、子どもは自分の「怖い」「不安だ」という気持ちを、うまく言葉にすることができません。

だから、子どもは**行動で「SOS」**を発信するのです。

看護師は、言葉を話せない患者さんの顔色や呼吸、仕草といった小さなサインから、その方の状態を読み取る「観察」のプロです。その観察術は、子どもの「心の声」を聞くためにも、きっと役立ちます。

この記事では、ママやパパが、お子さんの「最高の観察者」となり、心のSOSを見逃さないための具体的なポイントと、そのサインに気づいた時の優しい寄り添い方をお伝えします。

この記事でわかること

  • 子どものストレスは「わがまま」ではなく「行動」に現れる理由
  • 【年齢別】見逃してはいけない、子どもの心のSOSサイン・チェックリスト
  • サインに気づいた時、親がすぐにできる「心の応急手当」
  • 一番大切な、親自身の心のケアについて

言葉にできない叫び声。子どものストレスは「行動」に現れる

結論から言うと、災害後の子どもの「困った行動」は、そのほとんどが「心のSOSサイン」です。

大人でさえ、言葉にするのが難しい、あの日の恐怖や、生活が一変した不安。子どもたちは、その感情を処理できず、心に溜め込んでしまいます。そして、その行き場のないエネルギーが、「かんしゃく」や「赤ちゃん返り」といった、様々な行動として現れるのです。

決して「わがままになった」わけではありません。むしろ、「助けて!」と、体全体で叫んでいるのだと理解してあげてください。

【年齢別】見逃さないで!心のSOSサイン・チェックリスト

ストレスのサインは、年齢によって現れ方が異なります。

□ 乳幼児期(0~3歳)のサイン:体からのSOS

言葉を話せない、または話し始めたばかりの小さな子どもは、体や行動で不調を訴えます。

  • [ ] 寝つきが悪くなる、夜中に何度も起きる(夜泣き)
  • [ ] 食欲がなくなる、または逆に食べ過ぎる
  • [ ] おねしょや、おもらしが増える(トイレトレーニングが後退する)
  • [ ] ママやパパから片時も離れようとしない
  • [ ] 指しゃぶりなど、以前なかった癖が始まる
  • [ ] 理由もなく、かんしゃくを起こす回数が増える

【ママナースの寄り添い方】
この時期は、徹底的なスキンシップが何よりの薬です。「大丈夫だよ」と優しく抱きしめ、背中をさすってあげましょう。「できなくなったこと」を叱らず、「今は不安なんだね」と、おおらかに受け止めてあげることが、安心感に繋がります。

□ 幼児~学童低学年(4~8歳)のサイン:遊びや言葉に現れるSOS

少しずつ自分の気持ちを言葉にできるようになる一方、空想と現実の区別がつきにくく、不安が大きくなりやすい時期です。

  • [ ] 地震ごっこなど、災害の場面を繰り返し再現して遊ぶ
  • [ ] 「また地震が来る?」「死んじゃうの?」など、死や恐怖に関する質問を繰り返す
  • [ ] 頭痛や腹痛など、体の不調を頻繁に訴える(原因が見当たらない場合)
  • [ ] 一人で部屋にいることや、夜眠ることを怖がる
  • [ ] 急に攻撃的になったり、乱暴な言葉を使ったりする

【ママナースの寄り添い方】
「地震ごっこ」は、怖い体験を自分でコントロールし、心を整理しようとする大切な作業です。無理にやめさせず、「怖かったんだね」と気持ちを受け止めながら、静かに見守ってあげましょう。子どもが話す恐怖や不安を、「大丈夫だよ」と頭ごなしに否定せず、「そうなんだね、怖かったね」と、まずは共感してあげることが重要です。

□ 学童高学年~(9歳以上)のサイン:内にこもるSOS

大人びて見えても、心はまだ発達の途中。「親に心配をかけたくない」と、平気なふりをして、一人で感情を抱え込んでしまう子も増えてきます。

  • [ ] 好きだったことに興味を示さなくなる、無気力になる
  • [ ] 友達と遊ばなくなり、一人でいる時間が増える
  • [ ] 眠れない、食欲がない、集中力が続かない
  • [ ] 災害のニュースなどを過剰に避ける、または逆に見続ける
  • [ ] 「自分だけ助かって申し訳ない」など、罪悪感を口にする

【ママナースの寄り添い方】
この時期は、「何かあったの?」と正面から聞いても、「別に」と心を閉ざしがちです。大切なのは、いつでも話せる雰囲気を作っておくこと。「最近、よく眠れてる?」など、心ではなく体の調子を気遣う言葉から始めると、本音を話しやすくなることがあります。

まとめ:ママの笑顔が、子どもの一番の「安心毛布」

災害後の子どもの心のケアで、最も大切なこと。それは、ママやパパ自身が、心穏やかに過ごすことです。

親の不安は、子どもに伝染します。あなたが笑顔で「大丈夫だよ」と言ってくれること以上に、子どもの心を安定させる魔法はありません。

完璧な親になろうとしなくていいんです。辛い時は、あなたも誰かに「辛い」と話してください。意識的に休息をとって、自分自身をいたわってあげてください。

ママの笑顔が、子どもにとっての一番の「安心毛布」になることを、忘れないでくださいね。