「うちの子、歯並びがガタガタかも…」その原因、遺伝だけだと思っていませんか?
ふと我が子の笑顔を見たとき、
「あれ?なんだか歯が重なって生えている…」
「受け口になっている気がする…」
子どもの歯並びの乱れに、ドキッとした経験はありませんか?
「歯並びは遺伝だから仕方ない」と諦めてしまいがちですが、実は、子どもの歯並びは、遺伝よりも日々の何気ない「癖」や「習慣」といった後天的な要因に大きく影響されることが分かっています。
つまり、親が早期にそのNG習慣に気づき、改善してあげることで、将来の高額な矯正治療を回避できる可能性もあるのです。
この記事では、歯科衛生士として多くの子どものお口を見てきた経験から、歯並びを悪化させる危険な「NG習慣」と、今日からできる改善策を詳しく解説します。
あなたの子どもは大丈夫?歯並びを悪くする5つのNG習慣
無意識のうちに、お子さんがこんな癖をしていないかチェックしてみましょう。
NG習慣1:指しゃぶり(3歳以上)
指しゃぶりは、赤ちゃんにとっては自然な行為ですが、3歳を過ぎても続いている場合は注意が必要です。指で前歯を押し続けることで、「出っ歯(上顎前突)」や、奥歯で噛んでも前歯が閉じない「開咬(かいこう)」の原因になります。
- 改善策: 無理やりやめさせようとすると、かえってストレスで悪化することも。絵本などで「指しゃぶりはバイキンさんが入っちゃうよ」と伝えたり、寝ている間にそっと指を外してあげたり、根気強く関わっていくことが大切です。
NG習慣2:口呼吸(お口ポカン)
常に口がポカンと開いている「口呼吸」は、歯並びにとって最悪の習慣の一つです。本来、舌は上顎の正しい位置に収まっていることで、上顎の成長を促し、歯が並ぶスペースを確保しています。しかし、口呼吸だと舌の位置が下がるため、上顎が十分に成長せず、歯がガタガタに生える「叢生(そうせい)」の原因になります。
- 改善策: 鼻炎やアデノイドなどが原因の場合は、まず耳鼻咽喉科を受診しましょう。癖の場合は、「あいうべ体操」などの口周りの筋肉を鍛えるトレーニングが効果的です。
NG習慣3:頬杖(ほおづえ)
テレビを見ている時や、食事の時などに、片側だけで頬杖をつく癖はありませんか?片側から継続的に力が加わることで、顎が横にずれ、顔の歪みや、歯並びが左右非対称になる原因となります。
- 改善策: 見つけたら、その都度「頬杖つくと、お顔が曲がっちゃうよ」と優しく声をかけてあげましょう。なかなか治らない場合は、意識させるために、机に注意書きを貼っておくのも一つの方法です。
NG習慣4:舌の癖(舌突出癖)
食べ物や飲み物を飲み込む時や、話す時に、無意識に舌で前歯を押していませんか?この癖があると、指しゃぶりと同様に、「出っ歯」や「開咬」を引き起こします。
- 改善策: 舌の正しい位置(舌先が上の前歯の少し後ろのスポットについている状態)を教え、意識させるトレーニングが必要です。専門的な指導が必要な場合も多いので、歯科医院で相談してみましょう。
NG習慣5:片側だけで噛む癖
いつも同じ側ばかりで食べ物を噛んでいると、使っている側の筋肉ばかりが発達し、顔の歪みや顎のずれに繋がります。また、使われていない側の歯は汚れが溜まりやすく、虫歯のリスクも高まります。
- 改善策: 食事の際に、「右でもカミカミしてみようか」などと声をかけ、両方の歯をバランス良く使うように促しましょう。虫歯や歯の痛みが原因で片側噛みになっている場合もあるので、一度歯科検診を受けると安心です。
まとめ:子どもの歯並びは、親が守る大切な財産
子どもの顎の骨は、まだ柔らかく、成長段階にあります。だからこそ、悪い習慣の影響を受けやすい一方で、良い方向へ導いてあげることも可能なのです。
今回ご紹介したNG習慣は、どれも日常生活に潜む些細なことばかりです。しかし、この些細なことの積み重ねが、10年後、20年後の子どもの健康で美しい口元を作ります。
「おかしいな?」と思ったら、自己判断せずに、まずはかかりつけの歯科医院に相談してみてください。早期の対応が、子どもの健やかな未来への最高のプレゼントになります。