後陣痛

【助産師が解説】陣痛から出産まで、ママとパパが知っておくべきこと

もうすぐ会えるね!陣痛から出産までの流れとパパの役割

「陣痛ってどんな感じ?」「いつ病院に行けばいいの?」

出産を控えたママとパパにとって、陣痛から出産までの流れは、期待と不安でいっぱいですよね。

この記事では、助産師である私が、陣痛の始まりから赤ちゃんが生まれるまでの流れと、その時にパパができるサポートについて、詳しく解説します。

これを読めば、夫婦で力を合わせて、最高のお産を迎える準備ができますよ。

お産の始まりのサイン

お産は、以下の3つのサインのいずれかで始まることが一般的です。

  • 陣痛:規則的な子宮の収縮。最初は生理痛のような痛みで、だんだん強く、間隔が短くなっていきます。
  • おしるし:少量の血液が混じったおりもの。お産が近いサインですが、すぐにお産が始まるとは限りません。
  • 破水:赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、羊水が流れ出ること。すぐに病院に連絡が必要です。

陣痛が始まったら?

陣痛が始まったら、まずは落ち着いて、陣痛の間隔を測りましょう。

初産婦さんの場合は、10分間隔になったら病院に連絡するのが一般的です。

パパができること

  • 腰をさする:ママが楽な体勢で、腰をさすったり、押したりしてあげましょう。
  • 飲み物や軽食の準備:陣痛の合間に、水分補給やエネルギー補給ができるようにサポートします。
  • 励ましの言葉をかける:「上手だよ」「一緒に頑張ろう」など、ポジティブな言葉でママを励ましましょう。

分娩室での流れ

病院に着いたら、いよいよ分娩室へ。

子宮口が全開大(約10cm)になるまで、陣痛は続きます。

パパができること

  • 呼吸法をリードする:ママがパニックにならないように、一緒に呼吸法を行いましょう。
  • 手を握る:ママの手を握り、安心感を与えましょう。
  • 助産師さんとの架け橋になる:ママの希望や状態を、助産師さんに伝えましょう。

赤ちゃん誕生!

子宮口が全開大になったら、いよいよ赤ちゃんとご対面です。

ママのいきみに合わせて、赤ちゃんが産道を下りてきます。

パパができること

  • 感動の瞬間を分かち合う:赤ちゃんの誕生を、夫婦で喜び合いましょう。
  • ママをねぎらう:出産という大仕事を終えたママを、心からねぎらいましょう。

まとめ

出産は、ママと赤ちゃん、そしてパパにとっても、一生忘れられない特別な体験です。

事前に流れを知り、夫婦で協力することで、より満足のいくお産に繋がります。

この記事が、あなたの素晴らしい出産体験の、お役に立てれば幸いです。

【助産師が解説】陣痛?破水?おしるし?お産が始まったサインと、出産までの流れ完全シミュレーション

「その時」は、必ずやってくる。でも、いつ?どうやって?

臨月を迎え、大きなお腹を抱えながら、赤ちゃんと会える日を心待ちにする毎日。
その一方で、日に日に大きくなるのが、「出産への不安」ではないでしょうか。

「陣痛って、どれくらい痛いの?」
「おしるしが来たら、すぐ病院に行くべき?」
「破水したら、パニックにならずに、何をすればいいの?」

初めての出産は、誰にとっても、未知の体験。不安になるのは、当然のことです。

ご安心ください。この記事では、助産師として、数多くの出産に立ち会ってきた経験から、お産が始まる3つのサインと、陣痛が始まってから、赤ちゃんが誕生するまでの流れを、時系列で、分かりやすくシミュレーションします。

出産の流れを事前に知っておくことは、漠然とした不安を、**「乗り越えるための覚悟」**に変える、最高のお守りになります。

お産が始まる、3つのサイン

お産は、この3つのいずれかのサインから始まることがほとんどです。慌てず、冷静に見極めましょう。

サイン1:おしるし

  • どんなもの?: 少量の血液が混じった、おりもの。色は、ピンク色や茶褐色など、様々です。
  • なぜ起こる?: 子宮の収縮が始まり、子宮口が少しずつ開くことで、卵膜が子宮壁から剥がれるために起こる出血です。
  • どうすればいい?: おしるしが来ても、すぐにお産が始まるとは限りません。数日後、あるいは1週間以上経ってから、陣痛が始まることも。慌てずに、通常の生活を送って大丈夫ですが、「いよいよだな」と、心の準備を始めましょう。

サイン2:陣痛

  • どんなもの?: 赤ちゃんを押し出そうとする、子宮の収縮による痛み。「生理痛の、ものすごく重い感じ」「お腹を、内側からギューッと握りつぶされるような痛み」などと表現されます。
  • 本物の陣痛の見分け方:
    • 痛みが、規則的にやってくる(例:10分おき)
    • 休んでも、姿勢を変えても、痛みがおさまらない
    • 痛みの間隔が、だんだん短くなってくる
    • 痛みの強さが、だんだん強くなってくる
  • どうすればいい?: 陣痛の間隔を、時計やアプリで測り始めましょう。産院から指示された間隔(例:初産婦なら10分間隔、経産婦なら15分間隔)になったら、産院に電話して、指示を仰ぎます。

サイン3:破水

  • どんなもの?: 赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が流れ出てくること。「パシャッ」と、まとまった量の温かい液体が出ることもあれば、「チョロチョロ」と、尿漏れのように、少しずつ流れ続けることもあります。
  • なぜ危険?: 破水をすると、子宮と外の世界が繋がり、赤ちゃんへの細菌感染のリスクが高まります。
  • どうすればいい?: 陣痛が来ていなくても、すぐに産院に連絡してください。 シャワーや入浴は絶対にNGです。清潔なナプキンや、大きめのタオルを当て、車で移動する際は、シートが濡れないように、バスタオルやレジャーシートを敷いて、すぐに産院に向かいましょう。

【完全シミュレーション】陣痛開始から、出産までの流れ

分娩第1期:開口期(陣痛開始〜子宮口が全開大10cmになるまで)

  • 所要時間(目安): 初産婦で10〜12時間、経産婦で5〜6時間
  • ママの様子: 陣痛の波が、だんだん強く、長くなっていきます。最初は、話す余裕もありますが、次第に、痛みのない間(間欠期)に、うとうとするようになります。
  • パパができること:
    • 腰や、お尻のあたりを、テニスボールなどで、強く押してあげる(いきみ逃し)
    • 水分補給のサポート、汗を拭く、うちわで扇ぐ
    • 「上手だよ」「赤ちゃんと一緒に、頑張ろうね」と、ポジティブな声かけを続ける

分娩第2期:娩出期(子宮口全開大〜赤ちゃん誕生まで)

  • 所要時間(目安): 初産婦で1〜2時間、経産婦で30分〜1時間
  • ママの様子: 赤ちゃんが、骨盤の中を少しずつ下りてくるため、自然と強くいきみたくなります。助産師の「いきんでいいよ!」の合図に合わせて、陣痛の波と共に、いきみます。
  • パパができること:
    • ママの頭を支え、呼吸をリードしてあげる
    • 手を握り、励まし続ける
    • 「頭が見えてきたよ!」など、実況中継をして、ママを勇気づける

分娩第3期:後産期(赤ちゃん誕生〜胎盤が出るまで)

  • 所要時間(目安): 15〜30分
  • ママの様子: 赤ちゃんが生まれた安堵感と、感動に包まれます。軽い陣痛と共に、胎盤が自然に出てきます。

まとめ:出産は、赤ちゃんとママの、最初の共同作業

出産は、ゴールが見えない、長いマラソンのようです。しかし、あなたは、決して一人ではありません。

お腹の赤ちゃんも、狭い産道を通るために、必死に頑張っています。そして、パパや、助産師、医師が、チームとなって、あなたと赤ちゃんを、全力でサポートします。

大丈夫。あなたなら、必ず、乗り越えられます。

元気な産声と、温かい赤ちゃんの重みを感じる、あの感動の瞬間まで、あともう少しです。

会陰切開の傷が開いた?ズキズキ痛む時の応急処置と受診目安をママナースが解説

「もしかして、会陰切開の傷、開いちゃったかも…」
「ズキズキとした痛みがずっと続くけど、これって普通なの?」

出産という大仕事を終えたばかりの体で、自分の体の異変に気づいた時の不安と恐怖。誰にも相談できず、一人で抱え込んでいませんか?

その気持ち、痛いほどわかります。赤ちゃんのお世話で休む暇もない中、自分の体の痛みや不快感は後回しになりがちです。でも、産後のママの体は、あなたが思っている以上にデリケートで、適切なケアを必要としています。

「気のせいかな?」「みんなこれくらい痛いのかな?」と我慢しないでください。

この記事では、現役ママナースであり、3度の出産を経験した私が、

  • 産後の傷が開いてしまう「創部離開(そうぶりかい)」とは何か
  • 今すぐできる応急処置と、痛みを和らげるセルフケア
  • 「これは危険!」な症状と、すぐに病院を受診すべき目安

を、専門的かつ具体的に解説します。

この記事は、あなたの不安な心に寄り添う、産後のためのお守りです。正しい知識を身につけて、あなた自身の体を大切に守ってあげてください。

それ、普通じゃないかも。傷が開く「創部離開」とは

会陰切開や、出産時に自然に裂けた会陰部の傷(会陰裂傷)は、通常、溶ける糸で縫合されます。しかし、何らかの原因で、その傷口がくっつかずに開いてしまう状態を**「創部離開(そうぶりかい)」**と言います。

【創部離開が起こる主な原因】

  • 血腫(けっしゅ): 傷の内側で内出血が起こり、血の塊ができてしまうことで、皮膚がうまく接着しない。
  • 感染: 傷口から細菌が入り、炎症を起こしてしまう。
  • 物理的な負荷: くしゃみや咳、排便時の強いいきみ、長時間の座位などで、傷に強い圧力がかかる。

「私のせいだ…」と自分を責める必要は全くありません。これは、産後のママなら誰にでも起こりうるトラブルの一つなのです。

自宅でできる応急処置と痛みのセルフケア

「傷が開いたかも?」と思ったら、悪化させないために、そして痛みを少しでも和らげるために、以下のセルフケアを試してみてください。

1. 安静第一!とにかく傷に負担をかけない

当たり前のようですが、これが最も重要です。できるだけ横になる時間を増やし、傷に体重がかかるのを避けましょう。授乳時も、円座クッションを必ず使い、直接傷が当たらないように工夫してください。

2. 清潔を保つ

感染を防ぐため、傷を清潔に保つことが大切です。トイレの後は、ウォシュレットの弱い水流で優しく洗い流すか、ペットボトルなどにお湯を入れて作った「携帯用おしり洗浄器」で洗い流し、ゴシゴシこすらず、優しくティッシュで押さえるように水分を拭き取ります。

3. 患部を冷やす

ズキズキとした痛みや、熱を持っている感じがする時は、患部を冷やすと楽になります。清潔なガーゼやナプキンに保冷剤を包み、下着の上から5〜10分程度あててみましょう。ただし、冷やしすぎは血行を悪くするので注意してください。

4. 便秘を避ける

排便時にいきむと、傷に強い圧力がかかります。水分をしっかり摂り、食物繊維の多い食事を心がけましょう。それでも便が硬い場合は、我慢せず、産院で処方された下剤や、市販の酸化マグネシウム系の便秘薬を服用してください。

これは危険のサイン!すぐに産院に連絡・受診すべき症状

以下の症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ず、すぐに電話で産院に連絡し、指示を仰いでください。 夜間や休日でも、ためらわずに連絡することが大切です。

  • 我慢できないほどの強い痛みがある
  • 傷口から膿(うみ)のような、黄色や緑色のドロッとした分泌物が出ている
  • 分泌物から、生臭いような悪臭がする
  • 38度以上の発熱がある
  • 傷の周りが赤く、熱を持ってパンパンに腫れている
  • 出血が続く(悪露とは違う、傷からの新鮮な出血)

これらの症状は、感染を起こしている可能性が高いサインです。早期に適切な処置(再縫合や抗生物質の投与など)を受ければ、きれいに治ることがほとんどです。どうか、一人で悩まず、専門家を頼ってください。

まとめ:ママの体は後回しにしないで。あなたの健康が、家族の幸せ

産後の体のトラブルは、精神的にも大きなダメージを受けます。特に、会陰部の問題はデリケートで、誰にも言えずに一人で抱え込みがちです。

  • 産後の傷が開く「創部離開」は、誰にでも起こりうるトラブル。
  • まずは安静にし、清潔を保ち、痛い時は冷やすなどのセルフケアを。
  • 「強い痛み」「膿」「発熱」は危険のサイン。すぐに産院へ連絡を。

あなたの体は、命をかけて赤ちゃんを産んだ、誇り高い体です。そして、その体が健康であってこそ、笑顔で赤ちゃんのお世話ができるのです。

「これくらいで病院に行くなんて…」などと、決して思わないでください。あなたの心と体の健康が、家族にとって何よりの宝物なのですから。