「この子は卵アレルギーだから、1歳まで卵は絶対ダメ!」
「アレルギーが怖いから、離乳食はできるだけ遅く始めよう…」
ひと昔前まで、子どもの食物アレルギー対策は、原因となる食べ物を**「いかに避けるか」**が常識でした。
こんにちは!3人の娘を育てるママナースの皐月です。
長女が赤ちゃんの頃、ひどい乳児湿疹に悩まされ、当時の小児科の先生に「卵と牛乳は1歳を過ぎるまで、絶対に与えないでください」と指導されました。もちろん、私はその言葉を信じて、必死に除去食を頑張ったんです。
ところが、です。
数年後に生まれた三女の時には、指導が全くの真逆に!「むしろ、生後6ヶ月ごろから、少しずつ始めた方がいい」と言われ、本当に驚きました。
今、食物アレルギーの考え方は、180度変わろうとしています。
今日は、そんなアレルギーケアの「新常識」と、私たち親が家庭でできることについて、ママナースの視点から、希望の光となる情報をお届けします。
【※重要※ 必ずお読みください】
私は看護師ですが、あなたのお子さんの主治医ではありません。この記事は、現在の医療ガイドラインに基づく一般的な情報提供を目的としています。
食物アレルギーの治療や食事内容の変更は、アナフィラキシーなど命に関わる危険を伴います。必ずアレルギー専門医に相談し、指導のもとで行ってください。自己判断は絶対にやめましょう。
この記事でわかること
- なぜ「完全除去」がもう古いと言われるのか
- 「食べて治す」ってどういうこと?最新治療の考え方
- アレルギー予防の鍵は「肌」にあった!家庭でできる一番大事なこと
- 専門医を受診するタイミングと、上手な付き合い方
なぜ「完全除去」から「食べて治す」へ?考え方が変わった理由
かつての「完全除去」指導には、いくつかの問題点があることが分かってきました。
- 栄養の偏り: 成長に重要な卵や牛乳などを除くことで、栄養が偏るリスク。
- 生活の質の低下: 給食や外食で、本人や家族が大きなストレスを抱える。
- 治る機会の損失: 食べないことで、体がアレルゲンに慣れる機会(耐性獲得)を失ってしまう。
こうした背景から、今は**「専門医による正確な診断のもと、安全に食べられる量を見極め、むしろ少しずつ食べることで体を慣らしていく」**という積極的なアプローチが主流になっているのです。
最新治療の考え方「経口免疫療法」とは?
この「食べて治す」治療法の代表が、経口免疫療法です。
これは、アレルギーの原因となる食べ物を、専門医の厳密な管理のもと、ごくごく少量から食べ始め、体を少しずつ慣らしていく治療法。まるで、**食べ物で体を慣らす「ワクチン」**のようなイメージです。
入院して、耳かき一杯分のような本当に少ない量からスタートし、症状が出ないことを確認しながら、数ヶ月〜数年かけて、家で決められた量を食べ続けます。そして定期的に病院で量を増やすチャレンジをする…という、非常に根気のいる治療です。
だからこそ、この治療はアレルギー専門医との二人三脚が不可欠。自己判断で真似するのは、絶対にやめてくださいね。
アレルギー予防の鍵は「肌」にあり!家庭でできる一番大切なこと
「じゃあ、アレルギーにならないために、家でできることはないの?」
あります!そして、それがアレルギー予防の「新常識」の、最も大切なポイントです。
実は最近の研究で、食物アレルギーは、食べ物との最初の出会いが「口」からではなく「皮膚」からだと、発症しやすくなることが分かってきました。(経皮感作)
どういうことかと言うと…
例えば、赤ちゃんに湿疹があって肌が荒れているとします。その肌の隙間から、空気中に舞っている卵やピーナッツの細かい粉などが侵入すると、体がそれを「異物だ!」と認識し、アレルギーの準備状態に入ってしまうのです。
つまり、アレルギー予防のために、私たちが家庭でできる最も重要なことは、毎日のスキンケアで肌のバリア機能を守り、ツルツルに保ってあげることなんです!
ママナース流・鉄壁スキンケア術
- 優しく洗う: 泡立てた洗浄料で、手で優しくなでるように洗います。
- しっかり流す: シャワーで、洗浄料が残らないよう、しっかり流します。
- すぐに保湿!: お風呂から上がったら、体を拭いて3分以内に、たっぷりの保湿剤を全身に塗ります。これが鉄則です!
専門医を受診するタイミングは?
- 離乳食を始める前に、湿疹がなかなか治らない
- 特定の食べ物を食べた後に、じんましんや嘔吐などの症状が出た
- 血液検査で陽性だったが、本当に除去が必要か知りたい
こんな時は、小児科、あるいはアレルギー専門医に相談しましょう。
大切なのは、ネットの情報や自己流の食事制限で様子を見ないこと。専門医は、あなたの家族の強力な味方になってくれます。
まとめ:アレルギーケアは「希望の時代」へ
子どもの食物アレルギー治療は、「あれもダメ、これもダメ」と食卓から笑顔が消える時代から、「どうすれば安全に、少しでも食べられるようになるか」を、医師と一緒に考えていく希望の時代に変わりました。
過度に怖がる必要はありません。でも、正しい知識を持って、専門家を頼る勇気は必要です。
信頼できる先生と手を取り合って、お子さんの「食べる喜び」と「家族の笑顔」を、一つでも多く守っていきましょうね。
