毎晩、プロレスごっこ。歯磨きタイムが、憂鬱なあなたへ
「さあ、歯磨きしようね」
その一言で、さっきまでご機嫌だった我が子の顔が曇り、脱兎のごとく逃げ出す。
追いかけて、羽交い締めにして、泣き叫ぶ口に無理やり歯ブラシを突っ込む…。
毎晩繰り返される、このプロレスのような攻防戦。子どものためと分かってはいても、「もう、やめたい…」と、心身ともに疲れ果ててしまいますよね。
こんにちは!3人の娘たちの、三者三様の「歯磨きイヤイヤ期」と格闘してきた、現役ママナースの皐月です。
お気持ち、痛いほど分かります。歯磨きは、子どもの将来の健康を守るために絶対に欠かせない習慣。だからこそ、親は必死になり、そして、その必死さが、かえって子どもを頑なにさせてしまう…という悪循環。
でも、大丈夫。この記事では、そんな歯磨きバトルを「親子の楽しいふれあいタイム」に変えるための、具体的な方法を、専門知識と実体験に基づいて、徹底的にご紹介します。
なぜ嫌がるのか?その理由が分かれば、あなたの対応もきっと変わるはず。さあ、今日から憂鬱な歯磨きタイムに、さよならしましょう!
なぜ?どうして?子どもが歯磨きを嫌がる「4つの理由」
まず、子どもが歯磨きを嫌がるのには、ちゃんとした理由があることを理解しましょう。
- 理由1:口の中が敏感だから
- 赤ちゃんの口の中は、非常にデリケートなセンサーです。そこに、いきなり異物である歯ブラシが入ってくるのですから、不快に感じて当然です。
- 理由2:何をされるか分からなくて怖いから
- 親が真剣な顔で迫ってくる。「ゴシゴシ」という音も、何をされているか分からない子どもにとっては、恐怖でしかありません。
- 理由3:拘束されるのが嫌だから
- 自由に動き回りたい盛りの子どもにとって、じっとさせられたり、押さえつけられたりすることは、何よりの苦痛です。
- 理由4:過去に痛い思いをしたから
- 歯ブラシが歯茎に当たって、痛かった経験がトラウマになっている可能性もあります。
これらの理由を知れば、「ただのわがまま」ではないことが分かりますよね。嫌がるのには、嫌がるなりの「正義」があるのです。
歯磨きが「楽しい遊び」に変わる!7つの魔法のテクニック
では、どうすれば歯磨きを好きになってもらえるのでしょうか。キーワードは**「歯磨き=楽しい遊び」**に変換することです。
1.「歯磨きごっこ」で予行演習
いきなり口に入れるのではなく、まずはおもちゃとして歯ブラシに慣れさせましょう。お気に入りのぬいぐるみや人形を相手に、「クマさんのお口、あーん。シュッシュッシュッ。きれいになったね!」と、楽しそうに歯磨きごっこを見せてあげます。子どもが真似して、自分の歯ブラシをぬいぐるみに当てて遊ぶようになったら、第一関門突破です。
2.「歯磨きの歌」を歌う
「歯磨きが始まったら、この歌!」というテーマソングを決めましょう。YouTubeなどで検索すれば、楽しい歯磨きの歌がたくさん見つかります。歌のワクワク感で、歯磨きへの抵抗感を和らげます。
3.「キャラクター」の力を借りる
「歯のバイキンマン、やっつけよう!」「アンパンマンみたいに、ピカピカの歯になろうね!」など、子どもが好きなキャラクターを登場させ、ヒーローごっこの世界に引き込みます。
4.「実況中継」で安心させる
「上の歯さん、こんにちはー!」「奥の歯さん、バイキンマンいないかなー?」と、今何をしているのかを、明るく実況中継してあげましょう。何をされているか分かることで、子どもの不安は大きく減ります。
5.「鏡」で見せてあげる
手鏡を持たせて、自分のお口の中を見せながら磨いてあげるのも効果的です。「あ、バイキンマンいた!」「きれいになったね!」と、視覚的に確認できると、子どもも納得しやすくなります。
6.「選ばせる」作戦
「どの味の歯磨き粉にする?」「どの歯ブラシで磨く?」と、子ども自身に選ばせましょう。自分で決めたという自己決定感が、歯磨きへのモチベーションを高めます。
7.「終わった後のご褒美」を用意する
歯磨きを頑張れたら、カレンダーにシールを貼る、思いっきり褒めてハグするなど、子どもが喜ぶ「特別なご褒美」を用意しましょう。「これを頑張れば、良いことがある!」という見通しが、子どものやる気を引き出します。
【ママナースの視点】虫歯予防のための「仕上げ磨き」のコツ
子どもが自分で磨けるようになっても、小学校中学年くらいまでは、親の**「仕上げ磨き」**が不可欠です。
- 体勢: 子どもの頭を、親の膝の上に寝かせる「寝かせ磨き」が基本です。上から覗き込むことで、口の中がよく見え、磨き残しが減ります。
- 歯ブラシの持ち方: 鉛筆を持つように、ペン持ちで。余計な力が入らず、歯茎を傷つけません。
- 動かし方: 小刻みに、優しく振動させるように。ゴシゴシと大きく動かすのはNGです。
- 特に注意する場所:
- 上の前歯の裏側と、歯茎の境目
- 奥歯の溝
- 歯と歯の間
フッ素入りの歯磨き粉や、歯科医院でのフッ素塗布も、虫歯予防に非常に効果的です。かかりつけの歯医者さんを見つけて、定期的に健診を受ける習慣をつけましょう。
まとめ:毎日の「シュッシュッ」が、一生モノの宝物
歯磨きは、ただ虫歯を防ぐだけの作業ではありません。
それは、自分の体を大切にすることを学ぶ、最初の食育であり、健康教育です。
毎日の歯磨きタイムが、親子の笑顔あふれるコミュニケーションの時間に変われば、子どもは、自分の体をケアすることの心地よさを知るでしょう。
今日ご紹介したテクニックを参考に、ぜひ、あなたのお子さんに合った「楽しい歯磨き」を見つけてみてください。その毎日の積み重ねが、お子さんへの、一生モノの素晴らしい贈り物になりますよ。