その「ゴンッ!」に、あなたは冷静でいられますか?
目を離した一瞬の隙に、テーブルの角に頭をぶつけた我が子。
公園の遊具から、頭から落ちてしまった。
「ゴンッ!」という鈍い音と、その直後の大泣き。
親にとって、子どもの頭部外傷は、最も「ヒヤリ」とし、そして最もパニックに陥りやすい状況の一つですよね。
「大丈夫かな…?」
「病院に行った方がいいのかな?」
「このまま様子を見ていていいのかな?」
そんな不安と疑問で、頭がいっぱいになっていませんか?
こんにちは!救急外来での勤務経験もあり、数えきれないほどの頭部外傷の事例を見てきた、現役ママナースの皐月です。
まず、あなたにお伝えしたいのは、子どもの頭部外傷は、ほとんどの場合、軽症で済みます。 しかし、ごく稀に、命に関わる重篤な状態に陥ることもあります。大切なのは、正しい知識を持ち、冷静に対処することです。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、頭部外傷時の応急処置から、病院を受診すべき目安、そして特に注意すべき危険なサインまで、専門家の視点と実体験を交えて、徹底的に解説します。
さあ、お子さんの大切な頭を守るための一歩を、一緒に踏み出しましょう。
なぜ?どうして?子どもの頭部外傷の特徴
子どもの頭は、大人に比べて頭蓋骨が薄く、脳が未熟なため、衝撃を受けやすい特徴があります。しかし、同時に、子どもの脳は柔軟性があり、回復力も高いと言われています。
子どもの頭部外傷の特徴
- 頭蓋骨が柔らかい: 大人に比べて頭蓋骨が柔らかく、衝撃を吸収しやすい反面、変形しやすい。
- 脳が未熟: 脳が未熟なため、衝撃に弱い部分もあります。
- 症状が出にくいことも: 症状がすぐに出ず、数時間〜数日経ってから現れることもあります。
- 泣くことで安心: 頭を打った直後に大声で泣くのは、脳が正常に機能している証拠でもあります。泣かない方が心配です。
<ママナースの視点>
頭部外傷は、見た目では判断できないことも多いです。外傷が小さくても、頭の中で出血している可能性もゼロではありません。そのため、打った後の子どもの様子を注意深く観察することが非常に重要です。
【緊急時】子どもが頭を打った時の応急処置「3つのポイント」
頭を打った直後は、親もパニックになりがちですが、以下のポイントを冷静に実践しましょう。
1.まずは、落ち着いて声をかける
- **「大丈夫?痛かったね」**と優しく声をかけ、抱きしめて安心させてあげましょう。子どもが大声で泣くのは、意識がある証拠でもあります。
2.冷やす
- 打った場所をすぐに冷やしましょう。 冷たいタオルや、ビニール袋に氷と少量の水を入れたもの(氷のう)をタオルで包んで当てます。冷やすことで、内出血や腫れを抑える効果があります。
- 注意点: 冷やしすぎると凍傷になる可能性があるので、直接氷を当てたり、長時間当て続けたりしないようにしましょう。
3.出血があれば止血する
- 頭は血管が多いため、少しの傷でも出血しやすいです。清潔なガーゼやタオルで、打った場所をしっかり押さえて止血しましょう。出血が止まらない場合は、すぐに医療機関を受診してください。
【ママナースの視点】こんな時は病院へ!受診の目安
頭を打った後、以下の症状が見られた場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。緊急性が高い場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン
- 意識がない、呼びかけに反応しない、ぐったりしている
- けいれんを起こした
- 手足の麻痺がある、動きがおかしい
- 頭を打った直後から、何度も吐き続ける
- 鼻や耳から透明な液体や血液が出ている
- 頭のへこみや、大きなこぶがある
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- 乳児(特に生後6ヶ月未満)の場合
夜間・休日でも受診を検討すべきサイン
- 打った直後は元気だったが、徐々にぐったりしてきた
- 頭痛がひどい、泣き止まない、機嫌が悪い
- 顔色が悪い、目の動きがおかしい(目の焦点が合わない、左右の目の大きさが違うなど)
- 手足の動きがぎこちない、ふらつく
- 眠ってばかりいる、起こしてもすぐに眠ってしまう
- いつもと違ういびきをかく
- けいれんの既往がある場合
<ママナースの重要メモ>
頭を打った後、最低でも24時間は、お子さんの様子を注意深く観察しましょう。特に、打ってから数時間後、または翌日に症状が現れることもあります。夜間も、数時間おきに起こして意識を確認しましょう。
まとめ:正しい知識が、親子の「安心」を育む
子どもの頭部外傷は、親にとって非常に心配な出来事ですが、正しい知識と冷静な対処法を知っていれば、慌てずに対応することができます。
大切なのは、打った後の子どもの様子を注意深く観察すること。
そして、危険なサインを見逃さず、迷わず専門家を頼ることです。
あなたのその冷静な判断と、温かいサポートが、お子さんの回復を早める何よりの力になります。このガイドが、あなたの不安を少しでも和らげ、お子さんとご家族の健康を守る一助となれば幸いです。