夏の暑い日、車を運転するママ、パパへ。
今日は、少しだけ胸が締め付けられるような、でも、絶対に知っておいてほしい、大切な話をさせてください。
「ほんの数分だから、大丈夫だろう」
「寝てるから、起こすのも可哀想だし…」
そう言って、エアコンを切った車内に、お子さんを一人残して買い物に行った経験、ひょっとしてありませんか?
3姉妹の母であり、現役ナースである私は、救急の現場で、取り返しのつかない悲劇をいくつも見てきました。そして、声を大にして言いたい。
夏、「車内放置」は数分でも命取り。エアコンを切って買い物は、絶対ダメです!
「ほんの数分」が命を奪う恐ろしさ
なぜ、わずかな時間でも危険なのでしょうか?
それは、夏の車内温度の上昇スピードが、私たちの想像をはるかに超えているからです。
JAFの実験データによると、外気温35℃の場合、エアコンを停止した車内の温度は、わずか15分で40℃を超え、30分後には45℃に達します。ダッシュボードは70℃以上にもなります。
大人であれば、暑ければ窓を開けたり、飲み物を飲んだり、自分で対処できます。しかし、まだ幼い子どもは、それができません。
- 体温調節機能が未熟: 大人よりも体温が上がりやすく、汗をかく能力も低い。
- 脱水症状の進行が早い: 体が小さい分、水分を失うスピードも速く、あっという間に脱水症状に陥る。
- 重篤な熱中症に直結: 最悪の場合、意識障害や臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。
「ちょっとだけ」が、取り返しのつかない「永遠」になる可能性があるのです。
「うちの子は大丈夫」その油断が一番の敵
「うちはチャイルドシートが嫌いで、すぐに泣いちゃうから…」
「寝かしつけるのに時間がかかったから、起こしたくない…」
親御さんの気持ちも、痛いほどよくわかります。
でも、ほんの少しの判断ミスが、子どもの未来を奪い、ご家族に一生消えない傷を残してしまうのです。
どんな理由があっても、どんなに「うちの子は大丈夫」と思っていても、夏にエアコンを切った車内に子どもを一人残すことは、絶対にやめてください。
もし、車内で子どもを見かけたら…
もし、あなたが夏の駐車場で、エアコンが止まった車内に子どもが残されているのを見かけたら、どうしますか?
- まずは、大人がいないか周囲を確認しましょう。
- すぐに戻ってこないようであれば、ためらわずに警察(110番)に連絡してください。
あなたが「余計なお世話」とためらうその一瞬が、子どもの命を救うかどうかの分かれ目になるかもしれません。
命より大切なものはありません
子育て中の毎日が、常に時間との戦いであることは、私自身もよく理解しています。でも、どんなに急いでいても、どんなに疲れていても、命より大切なものはありません。
この夏、どうか、悲しいニュースが一つでも減りますように。ナースとして、そして一人の母親として、心から願っています。
