「たいくつー」「おうちに帰りたい…」
大きな地震の後、不安な顔で体育館の隅に座り込む子どもたち。看護師として被災地支援に参加した時、私が目にしたのは、ケガや病気だけでなく、**「心の栄養」**が足りずに元気をなくしていく子どもたちの姿でした。
こんにちは!3人の娘を育てながら、看護師として働く皐月です。
災害時、食料や水の確保に必死で、子どもの「遊び」や「学び」は、どうしても後回しになりがちです。でも、子どもにとって「遊び」は、単なる暇つぶしではありません。それは、**不安やストレスを乗り越え、日常を取り戻すための、何より大切な「心の処方箋」**なのです。
この記事では、そんな極限状態でも、子どもの心を守り、笑顔を引き出すための「遊び」と「学び」の工夫を、私の経験を元に、具体的にお伝えします。
この記事でわかること
- なぜ災害時に「遊び」が子どもの命綱になるのか
- 道具がなくても大丈夫!いつでもどこでもできる「魔法の遊び」3選
- ママナースが厳選!防災リュックに入れるべき「心の栄養」アイテム
- 「勉強」が、子どもの日常を取り戻すきっかけになる理由
なぜ災害時に「遊び」が“心の処方箋”になるの?
災害という非日常は、大人が思う以上に、子どもの心に大きなストレスを与えます。そんな時、「遊び」には、信じられないような力があります。
- ストレスの発散:体を動かしたり、声を出したりすることで、心の中に溜まった不安や恐怖を発散させます。
- 心の回復:遊びに夢中になることで、つらい現実から一時的に離れ、心を休ませることができます。
- 日常の再確認:いつもと同じように遊ぶことで、「大丈夫なんだ」という安心感を取り戻し、心の安定に繋がります。
看護の現場でも、病気でつらい思いをしている子どもたちが、少し遊べただけで、表情がパッと明るくなる瞬間を何度も見てきました。遊びは、生きる力そのものなのです。
【道具なしOK】いつでもどこでも!魔法の「お守り遊び」3選
避難所には、おもちゃなんてないかもしれない。そんな時でも、ママやパパの体一つでできる、とっておきの遊びをご紹介します。
① なぞなぞ・しりとり
「これはなーんだ?」「“り”から始まる言葉は?」
言葉遊びは、場所を選ばず、無限に楽しめます。「食べ物しりとり」など、テーマを決めると、さらに盛り上がりますよ。
② 手遊び歌・指遊び
「むすんでひらいて」「とんとんとんとんひげじいさん」など、おなじみの手遊び歌は、子どもの気分転換に最適。歌に合わせて体を動かすと、子どもも自然と笑顔になります。
③ 影絵遊び
もし、懐中電灯が一つあれば、壁やテントに影を映して、犬や鳥を作ってみましょう。暗くて不安な夜が、幻想的なシアターに早変わり。子どもたちの想像力をかき立てます。
【準備編】ママナース厳選!防災リュックに入れるべき「心の栄養」リスト
ほんの少しの備えが、子どもの心を大きく救います。防災リュックの片隅に、「心の非常食」も忘れずに入れておきましょう。
- □ 折り紙・チラシ:かさばらず、無限の創造性を引き出せる最強のアイテム。鶴を折るだけでも、子どもは集中し、心が落ち着きます。
- □ トランプ・UNO:家族や、避難所で出会ったお友達とのコミュニケーションのきっかけになります。
- □ 小さなスケッチブックと色鉛筆:言葉にできない気持ちを、絵に描いて表現させてあげることも、大切な心のケアです。
- □ お気に入りの絵本一冊:何度も読んだ、お気に入りの絵本は、子どもにとって「日常」の象徴。最高の安心材料になります。
- □ 小さなぬいぐるみ:いつも一緒に寝ているぬいぐるみなど、「お守り」になるものを一つだけ。
「学び」は、日常を取り戻すための大切なルーティン
「こんな時に、勉強なんて…」と思うかもしれません。でも、災害時の「学び」は、学力のためだけではありません。
普段通りのドリルを1枚やる、絵本を読む。
その行為は、「いつもと同じ」という、何にも代えがたい日常の感覚を取り戻させてくれます。避難生活で失われがちな、生活のリズムを作る上でも、非常に効果的なんです。
まとめ:あなたの笑顔と温もりが、最強の防災グッズ
災害時、子どもにとって一番の安心材料は、おもちゃでも、お菓子でもありません。
それは、ママやパパがそばにいて、笑顔で「大丈夫だよ」と抱きしめてくれること。
今回ご紹介した遊びや学びは、すべて、そのためのきっかけに過ぎません。
完璧じゃなくていい。ほんの少しの時間でも、お子さんと向き合い、一緒に遊んでみてください。その温かい時間が、子どもの心に、困難を乗り越えるための、強くてしなやかな根っこを育ててくれるはずです。
