「もしもの時、おじいちゃん、おばあちゃんは大丈夫だろうか…」
高齢のご家族と一緒に暮らしていると、地震や台風などの災害が起こった時に、特に心配になるのが、ご高齢の方の安全ではないでしょうか。私も、現役看護師として高齢者の方々と接する中で、身体能力の変化や持病、認知機能の低下など、高齢者ならではの防災の課題を日々感じています。
一般的な防災対策だけでは、高齢者の方々を守りきれないこともあります。今回は、現役ママナースの私が、高齢者と同居する家庭が特に意識すべき防災対策について、バリアフリーの視点と備蓄のポイントを中心に、具体的に解説します。避難計画の立て方や、地域との連携の重要性についても触れますので、ぜひご家族で話し合うきっかけにしてくださいね。
高齢者と暮らす家の防災、なぜ特別な配慮が必要?
高齢者の方々は、加齢に伴う身体的・精神的な変化により、災害時に様々な困難に直面する可能性があります。
- 身体能力の低下: 視力や聴力の低下、運動能力の低下により、避難が遅れたり、危険を察知しにくくなったりします。
- 持病・服薬: 持病がある場合、薬の確保や医療機関へのアクセスが困難になることがあります。また、ストレスで持病が悪化するリスクもあります。
- 認知機能の変化: 状況判断が難しくなったり、避難指示を理解できなかったりすることがあります。
- 情報収集の困難さ: テレビやラジオからの情報収集が難しい場合や、スマートフォンの操作に不慣れな場合もあります。
- 精神的なストレス: 環境の変化や不安から、精神的に不安定になることもあります。
これらの特性を理解し、高齢者の方々に寄り添った防災対策を立てることが重要です。
バリアフリーの視点を取り入れた防災対策
日頃から住まいをバリアフリーにしておくことは、災害時の安全確保にもつながります。
1. 転倒防止対策
- 家具の固定: 地震の際に家具が転倒しないよう、L字金具や突っ張り棒などでしっかりと固定しましょう。特に寝室や高齢者が過ごす部屋の家具は優先的に固定してください。
- 通路の確保: 避難経路となる廊下や階段には、物を置かないようにし、つまずきやすい段差にはスロープを設置するなど、スムーズに移動できる空間を確保しましょう。
- 滑り止め対策: 浴室やトイレ、玄関など、滑りやすい場所には滑り止めマットを敷いたり、手すりを設置したりして、転倒を防ぎましょう。
2. 照明と誘導
- 足元灯の設置: 夜間の停電時でも足元が見えるように、廊下や寝室に自動点灯式の足元灯を設置しましょう。
- 蓄光テープの活用: 避難経路の壁や階段に蓄光テープを貼っておくと、暗闇でも経路が分かりやすくなります。
3. トイレ・水回りの工夫
- 簡易トイレの準備: 断水時に備え、簡易トイレや凝固剤を多めに備蓄しましょう。高齢者の方でも使いやすい、座面が高いタイプや手すり付きのものがおすすめです。
- ウェットティッシュ・ドライシャンプー: 入浴できない時のために、体を拭くウェットティッシュやドライシャンプーを用意しておくと衛生的です。
高齢者の特性を考慮した備蓄のポイント
備蓄品は、高齢者の方の健康状態や好みに合わせて選ぶことが大切です。
1. 食料品
- 食べやすいもの: 歯の悪い方でも食べやすい、柔らかいもの(おかゆ、ゼリー、缶詰の煮物など)を選びましょう。
- 栄養バランス: 栄養が偏らないよう、タンパク質やビタミンが豊富なもの(栄養補助食品、野菜ジュースなど)も備蓄しましょう。
- 持病に配慮: 糖尿病や腎臓病など、持病がある場合は、医師や管理栄養士と相談して、病状に合わせた食品を備蓄しましょう。
- 嗜好品: 普段から食べ慣れているお菓子や飲み物など、精神的な安らぎになるものも少量備蓄しておくと良いでしょう。
2. 医薬品・衛生用品
- 常備薬: 普段服用している薬は、最低1週間分、できれば1ヶ月分を備蓄しましょう。お薬手帳のコピーも忘れずに。
- 介護用品: おむつ、ウェットティッシュ、清拭剤など、普段使用している介護用品は多めに備蓄しましょう。
- 補聴器の電池・予備の眼鏡: 普段使用している補助具の予備や消耗品も忘れずに。
3. その他
- 情報収集ツール: ラジオ(手回し充電式)、携帯電話の充電器、予備の電池などを準備しましょう。文字が大きく、操作が簡単なものを選ぶと良いでしょう。
- 連絡先リスト: 家族や親戚、かかりつけ医、地域の福祉施設などの連絡先を、手書きでリストアップしておきましょう。携帯電話が使えない時でも役立ちます。
避難計画と地域との連携
1. 個別避難計画の作成
高齢者の方の状況に合わせて、具体的な避難計画を立てましょう。誰が、どのように避難をサポートするのか、避難場所までの経路、集合場所などを明確にしておきます。
2. 地域との連携
- 近所付き合い: 日頃から近所の方々とコミュニケーションを取り、いざという時に助け合える関係を築いておきましょう。
- 民生委員・地域包括支援センター: 地域には、高齢者の方をサポートする民生委員や地域包括支援センターがあります。日頃から相談し、顔の見える関係を築いておくことが大切です。
- 自主防災組織への参加: 地域の自主防災組織に参加し、防災訓練に積極的に参加することで、いざという時の対応力が向上します。
まとめ:高齢者と家族を守る、きめ細やかな防災対策
高齢者と暮らす家庭の防災は、一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかな配慮が必要です。日頃からの備えと、ご家族や地域との連携が、いざという時の命を守ることにつながります。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひご家族で防災について話し合い、具体的な対策を進めてみてください。もし、もっと詳しく知りたいことや、不安なことがあれば、いつでもコメントで教えてくださいね。私たちママナースも、皆さんの安全な暮らしを心から願っています。