「おたふく風邪って、ただの風邪でしょ?」その油断が、取り返しのつかないことに…
「おたふく風邪って、子どもの頃にかかるものだよね?」「熱が出て、耳の下が腫れるくらいでしょ?」
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)と聞くと、多くの方がそんなイメージを持っているかもしれません。私も3人の子育てをする中で、周りから「おたふく風邪は軽く済むよ」と言われたこともあります。でも、現役ママナースとして、おたふく風邪が持つ「恐ろしい合併症」について知った時、その認識の甘さにゾッとしました。
「まさか、うちの子が…」そんな後悔をしないためにも、おたふく風邪の本当の怖さを知っておくことは、親として非常に重要です。
このブログでは、現役ママナースの私が、おたふく風邪の恐ろしい合併症と、それを防ぐための「ワクチン接種の重要性」について、私の経験を交えながら分かりやすくお伝えします。感染した場合の家庭でのケアや、受診の目安も満載です。もう、おたふく風邪を軽く見ないでくださいね。
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)とは?その症状と潜伏期間
おたふく風邪は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症です。唾液腺の一つである耳下腺が腫れるのが特徴で、発熱を伴うこともあります。感染力が非常に強く、飛沫感染や接触感染によって広がります。
おたふく風邪の主な症状
- 耳下腺の腫れ: 片方または両方の耳の下(耳下腺)が腫れて痛みます。腫れは数日でピークを迎え、1週間~10日程度で引いていきます。
- 発熱: 38℃以上の発熱を伴うことが多いですが、熱が出ないケースもあります。
- 痛み: 腫れた部分に痛みがあり、食事の際に口を開けたり、噛んだりすると痛みが強くなることがあります。
- その他の症状: 頭痛、倦怠感、食欲不振などを伴うこともあります。
潜伏期間と感染期間
- 潜伏期間: 感染してから症状が出るまで、約2~3週間(平均18日前後)かかります。
- 感染期間: 症状が出る1~2日前から、腫れが引いてから5日くらいまで感染力があります。特に、腫れがピークの時期が最も感染力が強いと言われています。
軽く見てはいけない!おたふく風邪の恐ろしい合併症
おたふく風邪は、耳下腺の腫れだけで済むと思われがちですが、実は様々な合併症を引き起こす可能性があります。中には、重篤な後遺症を残すものや、命に関わるものもあります。
おたふく風邪の主な合併症
- 無菌性髄膜炎:
- 特徴: 発熱、頭痛、嘔吐、首の硬直などの症状が現れます。おたふく風邪の合併症の中で最も頻度が高く、約10~20%の子どもに起こると言われています。ほとんどは軽症で後遺症を残しませんが、入院が必要になることもあります。
- 膵炎:
- 特徴: 腹痛、嘔吐、発熱などの症状が現れます。約2~5%の子どもに起こると言われています。重症化すると、入院や長期的な治療が必要になることもあります。
- 難聴:
- 特徴: 片方または両方の耳が聞こえなくなる合併症です。頻度は低いですが、一度発症すると回復が難しく、永続的な難聴になる可能性があります。特に、片耳の難聴は気づかれにくいことがあるため、注意が必要です。
- 睾丸炎(精巣炎):
- 特徴: 思春期以降の男の子に多く見られ、睾丸が腫れて強い痛みを伴います。不妊の原因になる可能性もあります。
- 卵巣炎:
- 特徴: 思春期以降の女の子に多く見られ、下腹部の痛みを伴います。不妊の原因になる可能性は低いと言われています。
- 脳炎:
- 特徴: 意識障害、けいれん、麻痺などの重篤な症状が現れます。非常に稀ですが、命に関わることもあります。
これらの合併症は、おたふく風邪を軽く見てはいけない理由です。特に、難聴は一度発症すると回復が難しいため、予防が非常に重要になります。
予防が最も重要!おたふく風邪ワクチン接種のすすめ
おたふく風邪の合併症を防ぐ最も効果的な方法は、ワクチン接種です。ワクチンを接種することで、おたふく風邪の発症を予防したり、かかったとしても軽症で済ませたりすることができます。
おたふく風邪ワクチンの重要性
- 発症予防: ワクチンを接種することで、おたふく風邪の発症を約90%予防できると言われています。
- 重症化予防: 万が一、ワクチンを接種していてもおたふく風邪にかかった場合でも、軽症で済むことがほとんどです。特に、合併症の発症リスクを大幅に減らすことができます。
- 集団免疫: 多くの人がワクチンを接種することで、地域全体での感染拡大を防ぎ、ワクチンを接種できない赤ちゃんや免疫力の低い人を守ることができます。
ワクチン接種の時期と回数
おたふく風邪ワクチンは、任意接種(費用は自己負担)ですが、接種が強く推奨されています。
- 1回目: 1歳を過ぎたらできるだけ早く接種しましょう。
- 2回目: 1回目の接種から2~6年後(就学前)に接種することが推奨されています。2回接種することで、より高い免疫を獲得できます。
ワクチンの副反応
- 主な副反応: 接種部位の腫れや痛み、発熱、耳下腺の腫れなどが起こることがありますが、ほとんどは軽症で数日で治まります。
- 稀な副反応: 非常に稀ですが、無菌性髄膜炎や、アナフィラキシーショックなどの重篤な副反応が起こる可能性もあります。しかし、おたふく風邪にかかった場合の合併症のリスクに比べると、ワクチンの副反応のリスクははるかに低いと言えます。
ワクチン接種については、かかりつけ医とよく相談し、子どもの健康状態や接種時期などを検討しましょう。
おたふく風邪にかかってしまったら?家庭でのケアと受診の目安
ワクチンを接種していても、おたふく風邪にかかってしまうことはあります。もし、おたふく風邪にかかってしまったら、家庭でのケアと、合併症のサインを見逃さないことが大切です。
家庭でのケア
- 安静: 十分な休息が回復には不可欠です。無理に遊ばせず、ゆっくり休ませてあげてください。
- 水分補給: 脱水症状を防ぐため、こまめな水分補給が大切です。口を開けるのが痛い場合は、ストローを使ったり、ゼリーやプリンなど、喉ごしの良いものを与えましょう。
- 食事: 柔らかく、刺激の少ないものを与えましょう。酸っぱいものや、硬いものは痛みを増すので避けましょう。
- 痛み対策: 腫れや痛みがひどい場合は、冷たいタオルなどで冷やしてあげると楽になることがあります。医師から処方された解熱鎮痛剤を使用することもできます。
- 感染対策: 感染力が強いため、きょうだいや他の人への感染を防ぐため、タオルや食器を分けたり、手洗いを徹底したりしましょう。発症から5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまでは登園・登校を控えましょう。
こんな時はすぐに受診を!緊急性の高いサイン
以下の症状が見られた場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。
- 強い頭痛、嘔吐を繰り返す、首の硬直: 無菌性髄膜炎のサインです。
- 強い腹痛、嘔吐、発熱: 膵炎のサインです。
- 耳が聞こえにくい、聞こえないと訴える: 難聴のサインです。
- 思春期以降の男の子で、睾丸が腫れて強い痛みを伴う: 睾丸炎のサインです。
- 意識がはっきりしない、けいれんを起こした、麻痺がある: 脳炎のサインです。
- 高熱が続く、または急に上がった。
- ぐったりしている、元気がない。
これらのサインは、合併症の可能性を示しています。早期の医療介入が子どもの命を守ることに繋がります。
ママナースからのメッセージ:予防と早期発見が、子どもの未来を守る
おたふく風邪は、決して軽視してはいけない感染症です。ワクチンで予防できる病気は、積極的に予防することが、子どもの未来を守ることに繋がります。
そして、万が一感染してしまった場合でも、合併症のサインを早期に発見し、適切な医療を受けることが大切です。不安な時は、一人で抱え込まず、いつでもかかりつけ医や地域の相談窓口を頼ってくださいね。
この情報が、少しでも皆さんの不安を和らげ、子どもの健康を守る一助となれば幸いです。あなたは、あなたのままで素晴らしい親です。どうか、自分を大切にしてくださいね。