「おたふく風邪って、ほっぺが腫れるだけの病気でしょ?」
そう思っていませんか?私も3姉妹の母として、子どもがおたふく風邪にかかった時は、「熱が出て、ほっぺが腫れて、数日で治る」くらいの認識でした。しかし、現役看護師として、おたふく風邪の合併症で苦しむ患者さんを目の当たりにし、その恐ろしさを痛感しました。「まさか、こんなことになるなんて…」と後悔しないためにも、おたふく風邪の正しい知識と、ワクチン接種の重要性を知っておくことが大切です。
今回は、現役ママナースの私が、おたふく風邪の主な症状と、見過ごされがちな恐ろしい合併症、そしてワクチン接種の重要性について、私の経験も交えながら分かりやすく解説します。子どもの健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)ってどんな病気?
おたふく風邪は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症です。主な症状は、耳の下にある唾液腺(耳下腺)が腫れて痛むことです。発熱を伴うこともあります。
主な症状
- 耳下腺の腫れと痛み: 片側または両側の耳の下が腫れ、触ると痛みを伴います。腫れは数日から1週間程度続きます。
- 発熱: 38℃程度の発熱を伴うことがあります。
- 頭痛・倦怠感: 全身のだるさや頭痛を感じることもあります。
- 食欲不振: 唾液腺の腫れや痛みで、食べ物を噛んだり飲み込んだりするのが辛くなることがあります。
感染経路と潜伏期間
- 感染経路: 飛沫感染(咳やくしゃみ)、接触感染(ウイルスが付着した手で口や鼻を触る)によって感染します。
- 潜伏期間: 2~3週間と比較的長いです。症状が出る前に感染を広げてしまうこともあります。
見過ごされがちな恐ろしい合併症
おたふく風邪は、耳下腺の腫れだけで治まることが多いですが、中には重い合併症を引き起こすことがあります。特に注意が必要な合併症をいくつかご紹介します。
1. 無菌性髄膜炎
- 概要: ウイルスが脳を覆う髄膜に感染し、炎症を起こす病気です。おたふく風邪の合併症の中で最も頻度が高く、約10~20%の子どもに起こると言われています。
- 症状: 高熱、激しい頭痛、嘔吐、首の硬直(項部硬直)など。
- 予後: ほとんどの場合、後遺症を残さずに治りますが、入院が必要となることもあります。
2. 難聴
- 概要: ウイルスが内耳に感染し、聴力に障害を引き起こす合併症です。頻度は低いですが、一度発症すると回復が難しい場合が多く、永続的な難聴につながる可能性があります。
- 症状: 片側または両側の耳が聞こえにくくなる。
- 予後: 治療法が確立されておらず、後遺症として難聴が残ることがあります。
3. 膵炎
- 概要: ウイルスが膵臓に感染し、炎症を起こす病気です。
- 症状: 激しい腹痛、嘔吐、発熱など。
- 予後: ほとんどの場合、数日で治まりますが、重症化すると入院が必要となることもあります。
4. 睾丸炎(精巣炎)・卵巣炎
- 概要: 思春期以降の男性が感染した場合、約20~30%に睾丸炎を合併することがあります。女性の場合は、まれに卵巣炎を合併することがあります。
- 症状: 睾丸や卵巣の腫れと痛み、発熱など。
- 予後: 睾丸炎の場合、不妊症の原因となる可能性があります。
ワクチン接種の重要性
おたふく風邪は、ワクチンで予防できる病気です。ワクチンを接種することで、おたふく風邪の発症を予防し、万が一かかったとしても、症状を軽くしたり、合併症のリスクを大幅に減らすことができます。
ワクチン接種のメリット
- 発症予防: おたふく風邪の発症を予防します。
- 重症化予防: 万が一感染しても、症状を軽くし、合併症のリスクを減らします。
- 集団免疫: 多くの人がワクチンを接種することで、地域全体での感染拡大を防ぎ、ワクチンを接種できない乳幼児や免疫力の低い人を守ることができます。
ワクチン接種のタイミング
おたふく風邪ワクチンは、任意接種(費用は自己負担)ですが、接種が強く推奨されています。通常、1歳を過ぎたら1回目の接種を、小学校入学前(5~6歳頃)に2回目の接種を行うのが一般的です。かかりつけ医と相談して、適切なタイミングで接種しましょう。
ママナースからのメッセージ:予防できる病気は、予防しよう
おたふく風邪は、耳下腺の腫れだけで治まることが多いとはいえ、無菌性髄膜炎や難聴、不妊症など、恐ろしい合併症を引き起こす可能性がある病気です。特に、一度発症すると回復が難しい難聴は、子どもの将来に大きな影響を与える可能性があります。
予防できる病気は、積極的に予防することが、子どもの健康を守るための大切な選択です。ワクチン接種について不安な点があれば、かかりつけ医に相談し、納得した上で接種を検討してください。私たちママナースも、皆さんの子育てを心から応援しています。子どもたちが健やかに成長できるよう、一緒に頑張りましょう!