子どものお腹の風邪(胃腸炎)、食べさせるべき?絶食させるべき?|症状別の食事と水分補給ガイド

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

「食べさせない方がいい?」子どもの胃腸炎、その常識、もう古いかも

夜中に突然の嘔吐。朝から続く水のような下痢。子どもの胃腸炎は、見ているだけで本当につらいものですよね。ぐったりしている我が子を前に、「何か食べさせた方がいい?」「いや、絶食させた方がいいんだっけ?」と、頭の中が混乱してしまうママは少なくないはずです。

昔は「胃腸を休ませるために絶食!」というのが常識でした。でも、ちょっと待ってください。実は、その常識、もう古いかもしれません。

私自身、ナースとして、そして三姉妹の母として、数えきれないほど子どもの胃腸炎と戦ってきました。その中で、最新の医療ガイドラインと、私自身の経験から確信したことがあります。それは、**「適切なタイミングで、適切なものを食べさせ、水分補給をすることが、回復を早める鍵になる」**ということです。

この記事では、子どもの胃腸炎で悩むママ・パパのために、症状のステージごとに「食べさせるべきもの」「避けるべきもの」、そして何よりも大切な「水分補給のコツ」を、ママナースの視点から具体的に解説します。家庭でできる二次感染対策についても触れていますので、ぜひ最後まで読んで、つらい胃腸炎を早く乗り切ってあげてくださいね。

胃腸炎の基本:脱水だけは絶対に避けて!

胃腸炎で最も怖いのは「脱水」です。特に小さな子どもは、あっという間に脱水が進んでしまいます。まずは、水分補給を最優先に考えましょう。

経口補水液(OS-1など)を常備しよう

水やお茶だけでは、失われた電解質(塩分やミネラル)を補給できません。嘔吐や下痢で失われた水分と電解質を効率よく補給できる**経口補水液(OS-1など)**を、必ず常備しておきましょう。

  • 与え方: 一度にたくさん飲ませると、また吐いてしまうことがあります。スプーン1杯(5ml程度)を5〜10分おきに、少量ずつ、根気強く与えましょう。飲めるようなら、少しずつ量を増やしていきます。
  • 冷やしすぎない: 冷たすぎると胃腸に負担がかかることがあります。常温か、少し冷たい程度がおすすめです。

症状別:食べさせるべき?絶食させるべき?

「絶食」という古い常識は、胃腸を休ませるという目的では理解できますが、実は、腸の回復を遅らせてしまう可能性も指摘されています。最新の考え方では、**「無理のない範囲で、消化の良いものを少量ずつ与える」**ことが推奨されています。

CASE1:吐き気が強い時・嘔吐が続いている時

この時期は、無理に食べさせる必要はありません。水分補給を最優先しましょう。

  • 水分補給: 経口補水液を少量ずつ、頻回に与えます。吐き気が強い場合は、30分〜1時間ほど何も与えず、胃腸を休ませてから再開しましょう。
  • 避けるべきもの: 牛乳、乳製品、柑橘系のジュース、炭酸飲料、油っぽいもの、甘いもの。

CASE2:下痢が続いている時・嘔吐が落ち着いた時

水分補給を続けながら、消化の良いものを少量ずつ与え始めましょう。

  • おすすめの食事:
    • おかゆ: お米を柔らかく煮込んだおかゆは、消化に優しく、エネルギー源になります。最初は重湯から始め、徐々に米粒を増やしていきましょう。
    • うどん: 柔らかく煮込んだうどんもおすすめです。味付けは薄味に。
    • すりおろしりんご: ペクチンが腸の働きを整えてくれます。冷やしすぎないように注意。
    • 白身魚、鶏ささみ: 柔らかく煮て、ほぐして与えましょう。タンパク質は、体力の回復に必要です。
  • 避けるべきもの: 脂っこいもの、食物繊維の多いもの(きのこ、ごぼうなど)、生もの、冷たいもの。

CASE3:回復期|少しずつ元の食事に戻していく

症状が落ち着いてきたら、少しずつ元の食事に戻していきます。焦らず、子どもの様子を見ながら進めましょう。

  • 徐々に: 柔らかいご飯、パン、野菜スープなど、消化の良いものから始め、徐々に種類を増やしていきます。
  • 乳製品の再開: 下痢が完全に治まってから、少量ずつ再開しましょう。乳糖不耐症になっている可能性もあるため、注意が必要です。

家庭でできる二次感染対策

胃腸炎は、家族中にうつってしまうことも少なくありません。家庭内での感染拡大を防ぐために、以下の対策を徹底しましょう。

  • 手洗い: 嘔吐物や排泄物を処理した後、食事の前など、石鹸で丁寧に手洗いをしましょう。アルコール消毒だけでは、ノロウイルスなどには効果が薄い場合があります。
  • 嘔吐物・排泄物の処理:
    • 使い捨ての手袋とマスクを着用し、ペーパータオルなどで拭き取ります。
    • 拭き取ったものは、ビニール袋に入れて密閉し、捨てる。
    • 汚れた場所は、**塩素系漂白剤を薄めた液(次亜塩素酸ナトリウム)**で拭き取り、しっかり換気しましょう。ノロウイルスには、アルコール消毒は効きません。
  • タオルの共有を避ける: 家族でタオルを共有するのはやめましょう。一人ずつ専用のタオルを用意し、こまめに洗濯・乾燥させましょう。

子どもの胃腸炎は、ママ・パパにとって本当に大変な試練です。でも、正しい知識と適切なケアで、必ず乗り越えられます。この記事が、少しでもあなたの不安を和らげ、回復への一助となれば幸いです。

コメントを残す

*