「うちの子、風邪かな?でも、なんだか呼吸が苦しそう…」
赤ちゃんのゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を聞くと、親としては本当に心配になりますよね。特に、冬から春にかけて流行する「RSウイルス感染症」は、乳幼児期に重症化しやすく、親御さんを不安にさせる病気の一つです。
私自身、看護師として、RSウイルスで呼吸が苦しくなり、入院が必要になる赤ちゃんをたくさん見てきました。その小さな体が、一生懸命呼吸している姿を見るたびに、胸が締め付けられる思いがします。
でも、大丈夫。RSウイルスは、早期にサインに気づき、適切なケアをすれば、ほとんどの場合は回復します。大切なのは、「見逃してはいけないサイン」を知り、慌てずに対応することです。
この記事では、現役ママナースの私が、RSウイルス感染症の具体的な症状、家庭でできるケア、そして「これはすぐに病院へ!」という危険なサインと入院の目安を、分かりやすく解説します。大切な赤ちゃんを守るために、一緒に知識を深めていきましょう。
RSウイルス感染症ってどんな病気?
RSウイルスは、乳幼児に非常に多い呼吸器の感染症です。ほとんどの赤ちゃんが2歳までに一度は感染すると言われています。
症状の経過
- 初期:鼻水、咳、発熱など、風邪とよく似た症状から始まります。
- 進行期:症状が進むと、咳がひどくなり、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)が出始めます。呼吸が速くなったり、苦しそうに見えたりすることもあります。
- 重症化:特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんや、早産で生まれた赤ちゃん、心臓や肺に持病がある赤ちゃんは、細気管支炎や肺炎を起こし、呼吸困難で入院が必要になることがあります。
感染経路
主に飛沫感染(咳やくしゃみ)や接触感染(ウイルスがついた手で鼻や口を触る)で広がります。保育園や幼稚園など、集団生活の場で感染が広がりやすいのが特徴です。
【見逃さないで!】赤ちゃんの呼吸が苦しいサイン
赤ちゃんの呼吸が苦しい時、親が気づけるサインはいくつかあります。これらのサインを見つけたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 陥没呼吸(かんぼつこきゅう):呼吸をするたびに、鎖骨の上、肋骨の間、みぞおちなどがペコペコとへこむ。
- 多呼吸(たこきゅう):呼吸の回数が異常に速い。目安は、1分間に40回以上(乳児の場合)。
- チアノーゼ:唇や顔色が青紫色になる。酸素が足りていない危険なサインです。
- 肩で息をする:肩を上下させて、苦しそうに呼吸している。
- うなり声:息を吐く時に「うー」とうなるような声が出る。
- ミルクが飲めない・活気がない:呼吸が苦しくて、ミルクを飲むのがつらそう。ぐったりして、元気がない。
【皐月のひとこと】
赤ちゃんの呼吸が苦しそうに見えたら、まずは落ち着いて、服をめくって胸やお腹の動きをよく見てあげてください。特に、寝ている時や、泣き止んでいる時に観察すると、より正確に判断できます。少しでも「おかしいな」と感じたら、迷わず病院へ連絡しましょう。
家庭でできるケアと受診の目安
RSウイルス感染症と診断されたら、家庭では以下のケアを心がけましょう。
家庭でのケア
- 水分補給:脱水にならないよう、こまめに水分を摂らせましょう。母乳やミルク、経口補水液などがおすすめです。
- 鼻水吸引:鼻水で呼吸が苦しそうな時は、市販の鼻水吸引器でこまめに吸ってあげましょう。鼻が通るだけで、呼吸が楽になります。
- 加湿:部屋の湿度を50~60%に保ち、喉や気管の乾燥を防ぎましょう。加湿器がない場合は、濡らしたタオルを干すだけでも効果があります。
- 体勢:呼吸が苦しそうな時は、少し体を起こしてあげると楽になることがあります。抱っこしてあげたり、背中にクッションを入れてあげたりするのも良いでしょう。
受診・入院の目安
以下の症状が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 呼吸が苦しそう(上記サイン):陥没呼吸、多呼吸、チアノーゼなど。
- ミルクが飲めない・活気がない:ぐったりしている、呼びかけに反応が鈍い。
- 顔色が悪い:唇や顔色が青白い、または紫色。
- 高熱が続く:38.5℃以上の熱が何日も続く。
- けいれんを起こした:熱性けいれんの既往がなくても、すぐに受診。
まとめ:早期発見・早期対応が、赤ちゃんを守る鍵
RSウイルス感染症は、赤ちゃんの呼吸器に大きな負担をかける病気です。しかし、親が「見逃してはいけないサイン」を知り、早期に医療機関を受診することで、重症化を防ぎ、大切な赤ちゃんを守ることができます。
不安な時は、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してくださいね。あなたの「おかしいな」という直感が、赤ちゃんの命を救うことにも繋がります。